概要
JR九州が保有・運用している「電気式気動車」。「蓄電池搭載形ディーゼル・エレクトリック式車両」と報道で発表されているが、これは「蓄電池」を搭載した「電気式気動車」のことであり、法律上は「気動車(ディーゼルカー)」に分類される。
ディーゼルエンジンを使用している点は従来の気動車と同じであるが、電気式気動車の場合はディーゼルエンジンで発電機を動かし、そこから発生する電力によりモーターを回している。YC1系の場合はさらに蓄電池も装備してブレーキ時に発生する回生電力を蓄電池に充電させ、蓄電池のアシストによる効率的な走行性能を実現させている。燃料消費量は既存のキハ66系より約20%低減するとのこと。キハ200系と同じく3ドア車であるが、バリアフリー対応として出入口のステップが廃止されている。
2018年にまず量産先行車2両編成1本が新製。2020年には量産が開始され、長崎地区の普通・快速列車用として増備が進められていった。
これにより、同地区で活躍していたキハ66系は順次廃車除籍、またキハ200系は長崎地区から退き豊肥本線や指宿枕崎線などに活躍の場を移し、2021年7月以降、長崎地区の非電化線区は本系列のみで運用されるようになった。
全車が川崎車両製で、現在も増備が進められている。
塗装はステンレス車体の銀色で、ドアにハウステンボスをイメージしたオレンジ(783系ハウステンボスと同じ色)が入り、キハ66系などと同じ青色で英字ロゴが入る。
編成と番台
2022年1月31日現在、2両編成20本・増結車4両が、佐世保車両センターに配備される。
基本2両組成だが、0+1000・100+1100番台は1両ずつに分けて3両編成の増結車として扱うことが可能。増結の際は1000・1100番台が使われ、佐世保方に連結される。
一方で200+1200番台は分割のできない固定編成となった。
現状は200+1200番台が主力で、分割可能編成は0+1000番台が1本と100+1100番台が2本きり、増結車は1100番台のみである。
←長崎方 / 佐世保方→
- 0番台:セミクロスシート・分割可能編成 YC1-1+YC1-1001
- 100番台:ロングシート(車端部を除く)・分割可能編成 YC1-100+YC1-1100
- 200番台:ロングシート(車端部を除く)・固定編成 YC1-200+YC1-1200
※0番台は試作車のため、床や車内のデザインが異なる。
運用
佐世保車両センターにしか在籍していない関係上、必然的に長崎駅~(市布/長与)~諫早~(大村線)~早岐~佐世保間のみで使用され、快速・区間快速「シーサイドライナー」、普通列車問わず運用に入る。2~4両編成で運用。
なおワンマン列車の場合、以前は大村線竹松駅を境に長崎方向の全駅と、佐世保方向の有人駅が駅精算方式、佐世保方向の無人駅では前車両のみ扉が開く車内精算方式に分かれていたためか、本系列には運賃表と運賃箱も置かれていた。
本系列に統一されたのち、2021年10月以降は本系列を使用する列車すべてがワンマン運転となった上、長崎〜佐世保の全区間が駅精算方式になっているため、運賃箱は閉鎖されている。
「YC」は何の略?
車体デザインから「YC」は「YASASHIKUTE CHIKARAMOCHI」(優しくて力持ち)の略称であることが公表されている。どういうことなの・・・
今後の予定
大村線の全列車を当形式で置き換えたが、それ以降も増備が続いている。
2022年10月23日の西九州新幹線開業後に、長崎本線肥前浜駅~諫早駅間を非電化にする計画があり、正式発表はされていないが、それに関連した動きとみられている。
2022年5月20日からは、肥前山口駅~諫早駅の間で試運転を開始している。
余談
YC1系(と821系)は、前照灯・尾灯の他に、前面額縁部分がLEDで発光する。
このため、ファンや地元民からはエレクトリカルパレードやイカ釣り漁船などと呼ばれていた。
明るく、無人駅などでは目立つ一方、眩しすぎるとの声もあったようだ。
理由は発表されていないが、2022年に入ってからは消灯状態が続いている。