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783系

ななひゃくはちじゅうさんけい

JR九州の交流特急形電車。JRグループになって最初に登場した新系列車両でもある。
目次 [非表示]

国鉄の分割民営化に伴い発足したJR九州によって設計・製造された交流特急形車両。愛称は「ハイパーサルーン」。


1987年4月1日の国鉄民営化から1年経たない、1988年3月13日のダイヤ改正より運転開始。

1988~JR九州783系特急電車「ハイパーサルーン」

デザイン・サービス・性能などあらゆる面で、従来の国鉄型特急形車両とは一線を画しており、JRグループとしては最初に登場した新系列車両であることも話題となった。1989年には鉄道友の会ローレル賞を受賞した。


1988年から1991年までの間に計90両が製造された。


概要編集

1980年代当時、九州内で高速道路網が急速に整備され、競合他交通機関であるマイカーや高速バスなどの発達が目まぐるしかった。これらに対応するためには、特急として運用されていた従来の485系交直流特急形電車では、性能・サービス面において陳腐化しているとされたため、新たな特急形車両である783系が開発されることになった。


なお、新系列特急形車両の開発計画自体は国鉄時代末期から存在しており、車体や機器設計などは国鉄時代の車両技術を応用したものである。


交流専用車両であり、制御方式はサイリスタ連続位相制御を用いる。このシステムは国鉄時代に九州地区に少数導入された713系を基本としたものだが、主制御整流装置の小型軽量化が図られている。なお、交流専用のため、直流を用いる関門トンネル本州方面には乗り入れできない。


車体は先頭部を除きステンレス製。登場時はJR九州のコーポレートカラーである赤色と細い白色テープを巻いていた。居住性を考慮して211系と同一の、幅が広い車体断面を採用している。


乗客用ドアが車体の中央部に設けられているのが特徴。これは客室を2分割することで、グリーン席と普通席、喫煙席と禁煙席、指定席と自由席とを、需要に合わせて細かく設定できるように考えられたためである。


台車も211系などに使用されているものに、高速走行に適したヨーダンパの追加など若干の設計変更を加えたものである。そのため、当初から130㎞/h運転が可能な性能を持っている。


グリーン座席の背面には液晶テレビを備えており、グリーン車内では女性客室乗務員「ハイパーレディ」が乗車し、乗客にお茶やおしぼりを配布するサービスを行っていた(現在は廃止)。


運用編集

1988年の運用開始時は、鹿児島本線の特急「有明」から投入され、その中でも西鹿児島発着列車には「スーパー有明」と名付けた速達列車を設定した。頭に「スーパー」を冠する列車名の先駆けともなった。また、当時非電化だった豊肥本線には、DE10ディーゼル機関車と電源車ヨ28000を連結したうえで、水前寺まで乗り入れるという、変わった運用も行われていた。豊肥本線直通は1994年で一旦終了となるが、1999年10月の熊本口電化で5年ぶりの直通再開となり、自力での乗り入れが実現したものも半年後に787系に任を譲るハメになる。


1989年からは「かもめ」にも投入される。かもめ用の先頭車両は、前頭部から乗降扉までの帯色が赤色ではなく青緑色となっている。


1990年より、130km/h運転を開始。「にちりん」としての運用も行われるようになる。


その後、個性的で質が高い新型特急車両787系が登場すると、本系列は見劣りすることになり、1994年から1995年にかけて内装と外観を含めたリニューアルが行われた。

待避線~783系「ハイパーかもめ」と885系「白いかもめ」JR九州783系


2000年には、「みどり」・「ハウステンボス」用に一部車両のリニューアルが実施され、併結運転の際に通り抜けが出来るよう、貫通型先頭車も改造のうえ登場した。

連結面の魅力~JR九州783系特急電車列車


2021年3月13日のダイヤ改正で日豊本線での運用が終了。また、定期列車は4両編成(連結した8両編成での運用もある)のみとなった。


2022年9月現在では、長崎本線佐世保線系統の「みどり」(22本)・「ハウステンボス」(全列車)・「かささぎ」(1本)、鹿児島本線の「きらめき」(3本)に運用されている。


編成編集

全ての編成が2001年3月以降、南福岡車両区に所属している。デビュー当時は最短で3両、最長で9両の編成もあったが、車両組み換えにより4両編成と5両編成に統一された。


CM1~5・CM31~34編成編集

HYPER SALOON 783鉄面画 JR九州783系にちりんシーガイア

787系の登場後に行われた第1次リニューアル工事が行われた時のカラーリングで運行される。このうちCM1~5編成は非電化時代の豊肥本線にDE10の牽引・推進で乗り入れていた。

CM1~5とCM34が5両編成、CM31~33が4両編成。

長崎本線の「かもめ」の他、日豊本線の「にちりん」などで活躍した。

2021年3月のダイヤ改正で定期運用が無くなった後、CM2・3・5が2号車を抜いた4両編成で予備車両として使用されたが、2022年9月の西九州新幹線開業によってCM2編成を除いた全編成が保留車に移行した後に廃車・解体され始めている。残されたCM2編成は後述のみどり・ハウンステンボス用の予備車兼団体臨時用として、また唯一の第1次リニューアル工事車として2024年時点でも引っ張りダコな活躍を続けている。

CM31~33も元々は5両編成だったが、2011年に減車され抜かれた中間車両は2016年12月より廃車解体された。

CM11~15編成編集

みどり回送列車~キハ47型気動車

第2次リニューアル工事でみどりに転用された編成。「かささぎ」・「きらめき」にも使用される。

CM15編成は2021年8月の豪雨災害にて、佐世保線北方駅停車中に川の氾濫に遭遇し水没。そのまま廃車された。

CM21~25編成編集

JR九州特急のパイオニア・ハイパーサルーンリニューアルテンボス

第2次リニューアル工事でハウステンボスに転用された編成。当初はイラスト左のようなカラフルな塗装だったが、2017年に再びリニューアルされ、イラスト右のようなオランダをイメージしたオレンジ色になった。「みどり」・「かささぎ」8両編成運転時の増結車両としても使われる。

CM35編成編集

783系CM35編成

本系列の中でもっとも奇天烈な編成。2006年3月のダイヤ改正に合わせて早岐方のクロハ782-7を展望型から貫通型に改造した編成(車番もクロハ782-407に変更)。故に車両のカラーリングはリニューアル色のままだが、早岐型の先頭部だけ「みどり」のカラーリングになっている。主に繁忙期の増結や「みどり」「ハウステンボス」の予備編成として運用される。


余談編集

2013年9月21日、鹿児島本線弥生が丘駅~基山駅間の上り線で貨物列車(EF81+コキ20両)が立ち往生した際、後続列車で783系で運用されていたみどり+ハウステンボス(8両編成・営業列車)が後ろから押し出し基山駅まで救援するという珍事を起こした。ちなみに、この時の783系の出力は2400kwとEF81の2370kw(交流区間での総出力)とほぼ同等の出力であった

ちなみに、この時の様子をかつての『かもめ・みどり・ハウステンボス』の三層建て列車になぞって『かもつ・みどり・ハウステンボス』と呼ばれることも。


救援後の様子。

以下、ニコニコへのリンク

783系特急 コキを押す [2013/9/22ANNニュース]

【迷列車で行こう】プラレールも真っ青 アクロバティック救援列車


関連タグ編集

JR九州 特急 エル特急

有明 つばめ かもめ みどり にちりん ひゅうが きらめき

787系 883系 885系 800系

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