キハ58系グループの中でエンジンを1基のみ搭載した形式。床下のスペースに余裕が有ることから2エンジン車キハ58とは異なり水タンクは床下設置であり、冷房化改造を行った際も冷房用電源をこの車両に搭載している。
2019年までは、JR東日本のジョイフルトレイン「Kenji」用に改造された1両がJRで最後の稼働車となっていたが同年運用を終了しその年のうちに廃車されJRから姿を消した。
いすみ鉄道では、JR西日本から譲渡された車両がキハ52と共に観光列車として活躍している。これが上記の「Kenji」改造車が廃車になった今、国内で唯一稼働している車体になった。
このキハ28に関してあまり知られていないエピソードがある。それは特急列車への充当である。
1961年10月1日、京都-松江間を福知山線経由で結ぶ特急まつかぜが誕生。この特急まつかぜはキハ82が使用されたが運転開始初日に福知山駅で6号車のキハ82-40が軸焼けを起こして立ち往生。大騒動の末、とりあえず6号車を切り離して5号車であるキハ80-27が最後尾となった。一つ付け加えておくとキハ80-27は中間車である。
終点松江駅に到着した後、京都駅へ向けて折り返すため1号車のキハ82-27を方向転換してキハ80-27の前へ連結。しかしこのままでは5両編成で乗客を乗せきれないので1号車としてキハ28-7を連結。この珍編成で山陰本線を豊岡まで駆け抜けた後、豊岡駅でキハ28を切り離し。代わりに応急修理を終えたキハ82-40を連結して正規の編成で京都駅へと舞い戻った。緊急代走とはいえ、キハ58系列が特急列車に使用され、尚且つキハ80系との併結運転を行った唯一の事例でもある。(キハ58系列が特急に充当された例としてはキハ56系が特急北斗用のキハ80系が出揃うまでの間代走したことがある。これはこれで史上唯一の、予め計画された急行型車両によって代走された特急列車である。)
なお、キハ80系の制御電圧は他の気動車(24V)と全く異なる100Vを使用していたため(後年のキハ84系「フラノエキスプレス」改造車のみキハ183系と揃えた24Vへ変更)、松江~豊岡の殿をつとめたキハ28-7はブレーキの空気指令(ブレーキ管による)以外全くのぶら下がり状態であったものと推測される。