概要
イギリス(英国)のロールス・ロイスが開発・生産した水冷V12OHVガソリンエンジン。第二次世界大戦期の英国における代表的なレシプロ航空エンジンである。当初は1000hp級だったが、スーパーチャージャーの改良などで最終的には2000hp級まで出力を向上させた。
スピットファイアやランカスター、モスキートといった英国のレシプロ戦闘機・爆撃機で広く採用されたほか、アメリカ合衆国(米国)パッカード社でのライセンス生産版「V-1650」がP-40後期型やカナダでライセンス生産されたモスキートなどに使用された。しかし一番大きかったのはP-51に採用されたことで、同機が最優秀レシプロ戦闘機として脱皮するのに大きな役割を果たした。
さらに戦車用のエンジンとしても、マーリンをデチューンした「ミーティア」が採用され、クロムウェルやコメット、センチュリオンといった主力戦車に採用された。
戦後もカーレースやボートレース用に転用されたほか、P-51などの大戦機が多く残ったことで、現在でも多数の可動個体がある。