概要
レシプロエンジンのシリンダーヘッドの形式。名前はDouble Over Head Camshaftの略。
1本のカムシャフトが吸排気のバルブの開閉を担当するSOHCに対し、吸排気を別々のカムシャフトが担当するタイプで、ツインカムとも言う。
特徴
SOHCに比べ高回転に強く、高出力化に向いていることで知られるが、構成部品が増えることから高コストかつ重くなる。このため、かつては量産には不向きとされ、レース車両もしくはスポーツカーに限定的に搭載された。
しかし、1980年代になると四輪車・二輪車の高性能化が進み、四輪車では大衆車レベルでもDOHCのエンジンが普及しはじめる。
2000年代以降、四輪車においてはDOHCが廉価グレードにまで普及し、逆にSOHCの方が珍しい。これはかつてのスポーツカーのような高回転を狙ったわけではなく、主に燃費向上と排出ガスの低減の要求による。吸排気を別のカムシャフトが制御するDOHCは燃焼をきめ細やかに制御しやすく、バルブの配置の自由度が高く、燃焼室形状も理想的な物に近づけることができるのである。また可変バルブ機構との相性もよい。
二輪車は小排気量エンジンではSOHCが未だに主流であり、DOHCは主に中排気量以上の車種にのみ搭載される。
余談
1970年代後半~1990年代までは、DOHCの車種には車体のどこかに「DOHC」もしくは「TWIN CAM」と表記するのがメーカー問わずお約束であった。
特に大衆車においては、下位グレードはSOHC、上位グレードはDOHCと棲み分けされている事が多く、DOHCであることは一種のステータスだったのである。
そういった歴史から勘違いをする者も後を絶たないが、SOHCとの違いはあくまで設計の自由度だけであり、DOHC=高回転型というわけではない。現在では先述の通りDOHCが当たり前になっており、またそのエンジン特性も高回転を狙ったものではないので、DOHCをアピールするステッカーは見られなくなった。