レシプロエンジンにおいて、1本のカムシャフトがピストンの頭上にあるような形態。吸気用のカムシャフトと排気用のカムシャフトを別に設けたものがDOHCである。
解説
昔のレシプロエンジンのカムシャフトは、燃焼室の横のシリンダーブロックに配置されており、長いプッシュロッドによって燃焼室の上にあるバルブを駆動していた。それがOHV(オーバーヘッドバルブ)という形式である。かつてシリンダーヘッド上のカムシャフトを駆動するためにはベベルギアやカムギアトレーンが用いられていたために、SOHCはOHVよりもコストのかかるシステムであった。現在は安価なタイミングベルトやチェーンによる駆動となり、部品点数がOHVより少なくなるので、むしろ小型軽量で安価になり、整備性もよい。
その構造上2バルブ以外は不可能と誤解されがちだが、実際はSOHCでも4バルブ化は可能で、現代まで採用例もある。
OHVよりは高回転向きだが、SOHCは高回転になるに従って吸排気の位相を揃えるのが難しくなるため、1980年代以降、バルブタイミングを吸気側・排気側で別々に調整できるDOHCに取って代わられる傾向がある。かつての乗用車では高機能・上級モデルはDOHCエンジン、廉価・下位モデルはSOHCエンジンというラインアップがよく見られた。
現在の日本車では軽自動車に至るまでDOHCエンジンが主流で、ディーゼルエンジンも新しいモデルはその多くがDOHCである。日本の自動車メーカーでSOHCを採用するのは本田技研工業と三菱自動車ぐらいになってしまった。三菱はSOHCで可変バルブ機構の搭載を可能にし、ホンダは高級モデルのレジェンドのモデルチェンジの際、搭載するV6エンジンにSOHCを採用し話題になったことがある。
一方バイクでは250cc以下のスクーターはほぼ全てSOHCである。
また同クラスのMTのロードスポーツやオフロード車でも、車種のキャラクターによってはSOHCが採用されることは全然珍しいことではない。現在では特にコスパをウリにするスズキが積極的に採用しており、ジクサー・GSX250R・Vストローム250など250ccの主力は軒並みSOHCである。