LFA
えるえふえー
「IS F」に始まったレクサスのプレミアムスポーツ「F」シリーズの頂点に立つと同時に、「世界超一級レベルの運動性能と超一流の感性と官能を持ち合わせるスーパースポーツカー」として世に送り出すべく、トヨタ自動車・トヨタグループのあらゆる技術を結集して開発された、同ブランド初、そして日本でも初の数千万円級のスーパースポーツカーである。
2005年と2007年にプロトタイプコンセプトカー「LF-A」が公開され、2009年の東京モーターショーで市販モデル「LFA」が発表された。
2010年12月15日から豊田市の元町工場LFA工房にて生産が開始され、職人による組み立てで1日1台のペースで、2012年12月14日までの25か月をかけて500台の生産が行われた。
なお市販された500台とは別に、生産試作車の一部が公道走行可能な状態でトヨタが保有しており、イベント用に使われている。さらにトヨタが展示用として各地で展示している車もいるが、これは生産試作車より古い試作車をアップデートして市販車と同じようにしたもの。車台に番号が入っていないので車検が取れないため公道走行はできないが、公道以外なら走らせることもできる、とのこと。
心臓部に収められた4800cc自然吸気V10エンジンは最大560馬力を発生する。
これはトヨタのスポーツカーエンジンではお馴染みのヤマハ発動機とのタッグで開発された「国産乗用車初V10エンジン」「国産乗用車初500馬力超エンジン」であり、名古屋の老舗排気管メーカー三五によって調律されたエキゾーストノートは『天使の咆哮』の呼び名で絶賛されている。その代わりに静粛性は犠牲になっているが、この車にそれを求めるのは野暮だろう。一応、オーディオシステムにはレクサスの車に装備できるマークレビンソン(JBLなどのブランドでオーディオ機器を発売している、アメリカのハーマンインターナショナルの高級ブランド。一部のトヨタ車にはJBLのサウンドシステムを装備できる)のサラウンドシステムを搭載している。
トランスミッションはMTベースの6速セミオート。これは開発開始時にDCTが市販車向けに実用化されておらず、その性能も未知数だったこと、空間的な制約、ダイレクトなシフト感を実現できなかったことなどが理由。また、トルクコンバータ式ATでないのも空間的な制約があったため。
インテリアでは、銀色の輪が左右に移動するフルグラフィックメーターがアイコンとなっている。
この意匠は後に発売された他車種のFスポーツやFにも受け継がれた。メーターはアナログではなくLCDだが、これは変速による回転数の変動が激しく、アナログメーターでは針が追いつけないことが理由。
また、楽器のYAMAHAが車内に伝わるエンジンサウンドの"調律"を担当しており、天使の咆哮を余す事なくドライバーへと伝えている。
シャシーやボディ骨格、外板はすべてCFRP(炭素繊維強化プラスチック)でできている。初期はアルミで構成されていたが、軽量化と剛性の向上を目的にCFRPで作られることになった。結果、ボディは65%がCFRPで構成されている。なお、CFRP製造のための設備はすべて元町工場のLFA工房にある。これは外製にするとコストが上がってしまうからなのだが、この経験でトヨタはCFRPを自社で製造する技術を手に入れ、後のRC FやGS F、GRヤリスなどに活かされている。
トヨタ車に厳しい評価をすることが多いジェレミー・クラークソン氏はLFAについて
「今まで運転した車の中で最高の車」
と絶賛している。
コンセプトカーの「LF-A」時代はオープンカー仕様があったが、量産車ではオープンカーは発売されなかった。発売されていないだけで特別モデルとして2台だけLFAのオープンカー仕様があり、イベントで姿を見ることができる。
モータースポーツでは、GAZOO Racingチームがニュルブルクリンク24時間レースに数年に渡って出場している。
特筆すべきは、初出場したのが2008年、つまり発売の2年も前という点である。
これはレースで得られた技術情報を市販車にフィードバックする目的があり、翌2009年にも改良を加えられ出場し、データ収集を継続した。
2009年以降、ドライバーにモリゾウ(豊田章男)が参戦(2010年から12年、15年は参戦していない)。実戦での性能を確かめるべくドライバーとして乗り込んでいる。
同レースへの出場は2015年まで続き、クラス優勝を複数回獲得するなど存在感を示すことに成功した。
なお、このレースにはエンジン排気量を5300ccに強化し、フルカーボンフレームを持つ「LFA Code X」が2014年から参戦している。
ドリフト競技であるD1グランプリにもプライベーターチームから出場したことがある。
ただし、エンジンはV8ターボに換装されていた。