概要
1901年に辻馬車から自動車によるタクシー営業に切り替わったのが起源。当時は辻馬車を意味する「Hackney Carriage」(ハックニーキャリッジ)が自動車によるタクシーを意味していた。
黒色の塗装が多く「Black Cab」と呼ばれることもあるが、時代の変化で色んな塗装が施されたりラッピング広告が施されたタイプも存在するようになった。
なおハックニーキャリッジはイギリスの法規制上、流し営業が許可されているタクシーを指す用語として使われている。流し営業が出来ず、事前の予約がないと利用できないか営業所に出向かないと乗れないものはプライベート・ハイヤーと区別される。
車両
長年に渡ってブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)とその後身企業によってオースチンのブランドで販売されていた。
1984年に製造権を持っていたカーボディーズ社が経営権の移行でロンドンタクシーインターナショナル(LTI)へ社名を変更。2010年にLTIの株式を保有していたマンガニーズ・ブロンズ社が中国の吉利汽車(ジリー社)へ経営権を委譲し、製造コスト削減を理由に車体の製造もジリー社へ依頼。イギリス国内では最終組立のみを行うことを決定した。
2017年、ロンドンタクシーの全電気自動車化に向けて工場を設立したのをきっかけに社名をロンドンEV社(LEVC)に変更している。
2018年から運用されているLEVC・TXはレンジエクステンダー付電気自動車で、搭載バッテリーをフル充電にすることでおよそ130kmの航続距離を確保。更にレンジエクステンダーを動かせば航続距離は600km程度まで伸びる。
車内は伝統的に運転席と後部座席を隔壁で仕切り、乗客3人が座れる正席と折りたたみ式の補助席を2人分設置。補助席は運転席と後部座席を仕切る隔壁部分に収納されており、展開すると向き合って5人が座る形となる。
日本への輸入
1958年に登場したオースチン・FX4については後期モデル以降が断続的に日本にも輸入されていた。
その大半がタクシー用としての輸入ではなく、結婚式場などのリムジンや遊園地などのイベント用、個人の自家用車向けなどであった。タクシー用としての輸入例が非常に少ないのは燃料が日本で主流のLPGではなく軽油であること、車両価格が高額であることが理由とされる。
FX4は当初藤城商店によって輸入されていたが、エンジンが日産製となった時に日産関連会社の輸入となり、一時日産ディーゼルのディーラー網で販売されたこともある。その後光岡自動車が輸入していたが、ディーゼル排ガス規制の関係で輸入が中止された。
2011年からは輸入元が岩本モータースとなり、エンジンをガソリンエンジンとしたTX4が輸入販売されるようになった。
なおTX4はごく一部の個人タクシーで運行されている他、過去には東京の法人タクシーである互助交通が運行していた。
ライセンス
ロンドンタクシーに乗務して営業するためにはノリッジ試験と呼ばれる試験に合格しなければならない。
このノリッジ試験は運転技術は勿論のこと
- ロンドンの街並みが入り組んでいるため道路や施設、地理などを全て記憶しないといけない事
- 出発地点から目的地までの最短ルートをすぐに割り出さないといけない事
などから世界トップクラスの厳しさを誇り、乗務開始までに3~4年はかかるのが当たり前とされる。