基礎データ(wikipediaより抜粋)
全長 | 6.84メートル |
全幅 | 2.48メートル |
全高 | 1.85メートル |
重量 | 14.5トン |
乗員数 | 2名 |
便乗者 | 12名(完全武装状態の隊員が乗車の場合10名) |
装甲 | 圧延鋼鈑 |
主武装 | A型:96式40mm自動てき弾銃 |
B型:12.7mm重機関銃M2 | |
最高速度 | 100km/h |
エンジン | 三菱6D40液冷4ストローク直列6気筒ターボチャージドディーゼルエンジン |
出力 | 360ps/2,200rpm |
変速機 | 5速オートマチック(前5/後2) |
懸架・駆動方式 | 前2軸:ダブルウィッシュボーン |
後2軸:トレーリングアームトーションバー方式 | |
行動距離 | 500km以上 |
概要
それまで陸上自衛隊で用いられてきた60式装甲車、73式装甲車の後継車輌。
また、2013年には82式指揮通信車の後継としての配備が確認された。
制式年は1996年。製造は小松製作所。
尚、本車両は陸上自衛隊で初めて採用された装輪式の装甲兵員輸送車でもある。
本車の車幅は手続き無しで公道を走る事が可能な規模に収められている。東日本大震災での災害派遣等でも用いられた。
駆動系
8輪のコンバットタイヤを装着している為、被弾等でタイヤの空気が抜けてしまってもある程度の走行は可能。
駆動輪は、通常は後方の2軸だけだが、全輪駆動にも切り替えられるパートタイム全軸駆動方式。
エンジンは三菱ふそうトラック・バスのスーパーグレート等にも使用されているターボチャージドディーゼルエンジンを用いている。(余談だが、スーパーグレートは同じ陸自の7tトラック(通称“74式特大型トラック”)の原型車でもある)
装備
- 圧延鋼鈑による装甲を備えており、防御力は非公表ながら、同クラスの装甲車両同様、小銃弾や砲弾の破片程度に対する防御力は備えていると見られる。
- 車両後部の兵員室には左右各1機の換気装置を備えている他、対NBC防御用に空気清浄機が搭載されている。空気清浄機作動時には備え付けの配管とゴムホースを通して個人のガスマスクへ清浄空気を送気できる。
- 乗り心地は悪くないという話だが、エアコンが無い(陸自の装甲車両のエアコンは16式機動戦闘車でようやく標準装備された)。海外派遣では後付けのエアコンを装着して対応しているようだが、近年の猛暑日の増加、乗員の体力・士気の維持を考えると、国内で運用している車両にもエアコンの装備が必要としばしば指摘される。
- 兵員室上部には外側へ開く観音開きの上部ハッチが2対存在する。
- 車体後部には兵員室と外部を繋ぐ油圧式ランプドアが備えられているが、エンジン停止時でも乗降可能なように、ランプドアには片開きの手動ドアも備えられている。
武装
本車両は大きく分けてA型とB型の2種類が存在する。
A型は陸自が保有するオートマチックグレネードランチャー「96式40mm自動てき弾銃」を装備するタイプ、B型は同じく陸自が保有する重機関銃「12.7mm重機関銃M2」を装備するタイプだが、それぞれアタッチメントの形状が異なる別設計の為、両者の間に武装の互換性はない。
A型は主に普通科部隊に配備され、B型は機甲科や中央即応連隊に配備されている。
A型とB型の生産比率は10:1の割合。
擲弾銃、機関銃共に乗員による直接操作の他、機械式の旋回・俯仰操作、発射動作が行える。
その場合照準等は等倍の照準潜望鏡にて行う。
防御用装備としては、オーソドックスな4連装の発煙弾発射器を左右1対備えている。
改良型
自衛隊イラク派遣の際、ワイヤーカッターやキューポラ左右に乗員を防護するための装甲板の付加といった一時的な改修をB型の96式へ施した改良型「国際貢献仕様」が送り込まれた。
平成20年度以降の調達では、国際貢献仕様の96式へ更にボルト止めの増加装甲が付加された追加改良型「96式装輪装甲車(Ⅱ型)」の調達が為されている。
後継
後継は、引き続き小松製作所が『装輪装甲車(改)』の開発を進めていたが、要求基準に満たさないとして2018年に開発中止となった。その後の2019年、小松製作所は防衛産業から撤退している。
令和4年12月、防衛省は後継をフィンランドのパトリア社製『AMV』に決定したと発表した。
候補には、三菱重工業が新規開発した『機動装甲車(MAV)』も含まれており、最終的に三菱とパトリアの一騎打ちとなったものの、性能・経費が評価されたパトリアに軍配が上がった。
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