発見と命名
2005年にアルゼンチンのサンタクルス州にあるセロ・フォルタレーサ累層で発見され、4年がかりで2体分の骨格が発掘された後、2014年に新種としてドレッドノータス・シュラニと命名された。
属名はラテン語で「恐れ知らず」を意味するが、これはその巨体から弩級戦艦ことドレッドノートを彷彿とさせたことや、実際に発掘地の近くでドレッドノートを製造した会社があったことに由来する。種小名は発掘プロジェクトに出資したアメリカの実業家アダム・シュランに敬意を表してつけられた。
特徴
ティタノサウルス類の竜脚類の中でも派生的なグループであるリトストロティア(「石に覆われた者」の意)に分類され、アンタークトサウルスに近縁と考えられている。
本種の最大の発見は、発掘された骨格の完全性である。ドレッドノータスは他の大型竜脚類と比べて骨格の完全性が高く、頭骨を含めた場合(256本)では45.3%(116本)、頭骨を除いた場合(196本)は58.7%(115本)、頭骨を除いた142種類の骨のうち70.4%(100種類)が見つかっており、大型竜脚類としては最良とされている。
化石から推測される全長は26mと、精々パラリティタンやブラキオサウルスくらいの大きさで、30m以上に達したとされるアルゼンチノサウルス等に比べると見劣りするが、骨格の完全性の高い本種の方がそのサイズの信憑性が高い(アルゼンチノサウルスに至っては全骨格の5%、骨の種類では9%しか見つかっていない)。
またこの個体はまだ成長途中であり、成体は更に大きくなった可能性がある。体重は発見当初は65tと見積もられたが、近縁の研究では20~40t程だったとする説が濃厚である。
体骨格の大半と完全な尾椎が見つかっており、尾の長さは8.7m、体高は6mほどとされ、四肢はほぼ同じ長さで水平に近い体型だったとされている。首から上の化石は部分的な上顎骨と頸椎2個しか見つかっていないが、近縁種に比べると比較的首が長めだったらしく、首を持ち上げた場合は体高12.2mに達したと推測される。
生態
化石の発掘されたセロ・フォルタレーサ累層は7600~7000万年前の地層と考えられており、共存した恐竜にはプエルタサウルス等が挙げられる。
肉食恐竜としてはメガラプトル科のオルコラプトルがおり、発見されたドレッドノータスの化石にはオルコラプトルのものと思われる歯の化石も混じっていた。しかしオルコラプトルは精々全長5~6mほどしかなく、20m以上に成長したドレッドノータスの敵ではなかったと思われるので、単に死骸を漁った際に抜けたものである可能性が高い。
メディア
2014年に命名されたばかりなので、他の竜脚類に比べると知名度はまだ低いが、そのインパクトのある名前故に人気は出つつある。事実、日本ではかつて本種に因んでドレッドノータスと命名された競走馬がいた(ハービンジャーとディアデラノビアの息子)。
また命名した研究者からは、その巨体と推測される歩き方からインペリアル・ウォーカーに例えられている。
- ジュラシックパークシリーズ
ゲーム作品『ジュラシック・ワールド・エヴォリューション』にて先行登場していたが、2022年公開の第6作『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』にて登場が決定した。
本作では白亜紀当時の世界で優雅に水浴びを楽しむ姿が描かれた他、バイオシン社によって再生された個体が本社兼保護区「バイオシン・サンクチュアリ」にて飼育されている。
第2話「砂漠の恐竜たち」において主役として登場する。
本作では雄と雌は普段は別々に行動しているが、繁殖期になると開けた砂漠に集結し、求愛を行う姿が描かれた。また雄はディスプレイとして、グンカンドリの喉袋のように気嚢を膨らませるという説も採用されていた。
更には雄同士でキリンやコモドドラゴンのように激しく争う姿も描かれ、大抵の作品で温厚な生物として描かれる竜脚類のイメージを一変させた。