ウルトラシリーズに登場する惑星についてはウルトラの星を参照。
概要
脚本には昭和ウルトラマンシリーズで長く関わった上原正三を起用、ウルトラマンティガと初代ウルトラマンの夢の共演、在りし日の円谷プロの様子、EDが『ウルトラマン』のダイジェスト映像とファンサービス満載の一作。
平成ウルトラマン初の昭和ウルトラマン客演回であり、後の『メビウス』『Z』の先駆けともとれるだろう。
ストーリーの内容は実際の円谷プロと空想の物語であるウルトラマンティガの世界が入り混じり、『ウルトラマン』誕生の秘密を語ったメタフィクションとなっている。
また、実在する登場人物として以下数名が登場。
- 円谷英二(演:滝田裕介)
- 金城哲夫(演:沖田浩之)
- 円谷一(演:円谷浩)※一氏のご子息。次回作にミヤタ参謀役で出演。
- チーフ助監督・満田(演:長倉大介)※モデルは満田かずほ氏。実娘の赤木優も受付嬢役で出演している。
- 制作担当・熊谷(演:浅見小四郎)※モデルは熊谷健氏。
- 上原正三(演:河田裕史)※脚本を書いているのはモデルになった当人である。
登場怪獣
第49話予告
時空を超え、怪獣ヤナカーギーを探す謎の男チャリジャ。
彼は円谷英二を訪ねて1965年へ旅立つ。
次回ウルトラマンティガ「ウルトラの星」お楽しみに
あらすじ
山高帽をかぶった謎の男が海に向かって呟いていた。
「ヤナカーギー、お前はどこへ行っちまったんだよ…」
男の正体は「怪獣バイヤー」を名乗る異星人チャリジャだった。彼は子供が遊んでいた怪獣の玩具を譲ってほしいと頼む。子供たちに「円谷プロに行けば貰えるかもしれない」と言われたチャリジャは円谷プロ本社に現れ、怪獣を買いたいので円谷英二に会いたいと受付に告げるが、円谷英二はすでに故人だった。
そのころ特捜車両シャーロックに乗ってパトロールをしていたマドカ・ダイゴは、バックミラーに映った男の姿が宇宙人であることを突き止め、後をつけていた。
「1965年の円谷プロに行けばいい」と言われたチャリジャは、謎の機械を使って何処かへ消えてしまった。ダイゴは仕方なく本部に戻り報告する。
円谷英二とは誰なのかと尋ねるヤズミ隊員に、サワイ総監は特撮の神様と呼ばれるその男についてひたすら懐かしがりながら語る。
「円谷英二を知らないのか!?ゴジラ、モスラ…夢中になったもんだ…」
時代は1965年。
この時代にタイムスリップしたチャリジャは、ここでも怪獣を買いたいから円谷英二に会わせろとスタッフの一人熊ちゃん(プロデューサーの熊谷健氏が元ネタか?)に迫る。困り果てた熊ちゃんは脚本家金城哲夫に助けを求める。だが金城は悩んでいた。今度円谷プロが始めようとしている『ウルトラQ』に続く怪獣もの特撮の脚本を任されたのだが、中々いい案が出てこないのだ。その隙を突いたチャリジャは円谷プロの中を探し回り始めた。
一方チャリジャが消えた場所の調査をしていたダイゴは、謎の空間に吸い込まれチャリジャと同じく1965年にタイムスリップしてしまう。
円谷プロ内を探索し始めたダイゴは偶然撮影スタジオに入ってしまい、スタッフから助監督の「長野」と間違われ、カチンコを持たされてしまった(ちなみに、この「長野」というのはダイゴを演じている長野博が元ネタであるのは言うまでもないだろう。また、この時にスタッフがGUTSの衣装に影響を受け、科特隊の設定が生まれたらしい事が示唆されている)。
ダイゴ「長野って誰だよ…」
南極で怪獣に遭遇し驚く調査隊のシーン撮影が始まるが、役者達の演技は棒読みで緊迫感が感じられない。監督の円谷一はOKを出したがそこに待ったをかけた男がいた。
「あぁ〜…ダメだダメだダメだよ。驚いてないじゃないか。相手は怪獣だよ?もっと驚けよ、50メートルもの怪獣が突然目の前に現れたんだぞ?腰抜かすだろ?」
それがあの円谷英二であった。
再び撮影が始まり、今度こそ英二からOKが出た。撮影が終了し、休息をとっていたダイゴは何と壁からチャリジャの顔が突き出ているのを発見。別のスタジオまでチャリジャを追いかけ目的を問うが、チャリジャは持っていた傘でダイゴを攻撃する。壮絶な撃ち合いの末、チャリジャは何処かへ消えていった。
そのころ金城は円谷一から完成したばかりの脚本を突き返されてしまい、またしても悩んでしまった。
そんな彼の様子を見た円谷英二は金城を自宅に招き、謎の赤い石を見せる。
それは、昔、英二が竜ヶ森湖周辺を散歩していた時、M78星雲からやってきた異星人「ウルトラマン」(CV:本作のナレーター)を目撃し、彼から友好の証しとして貰った「ウルトラの星」と呼ばれるものだった。
そしてウルトラマンは竜ヶ森湖に宇宙怪獣を封じ込めていたという事を語った。
だがこの話はチャリジャに盗み聞きされていた…
早速チャリジャは竜ヶ森に向かい、湖の底に封じ込められていた怪獣ヤナカーギーを復活させてしまう。
街を攻撃するヤナカーギーに気付いたダイゴはティガに変身。しかしヤナカーギーのパワーと光線吸収能力を前に徐々に追いつめられていく。もはやこれまでか…
その時、戦いを見ていた英二の思いがウルトラの星に届き、奇跡が起こった!
チャリジャ「ウ、ウルトラマン!? 懐かしいーーーーー!!」
そこに現れたのは、かつて英二が竜ヶ森で見た宇宙人「ウルトラマン」だった。
ウルトラマンはティガにエネルギーを託し共闘。スペシウム光線とゼペリオン光線の同時攻撃でヤナカーギーを倒したのだった。
チャリジャはウルトラマンにリベンジを誓い去っていった。
ティガとウルトラマンは固い握手を交わし、ウルトラマンは再び空の彼方へと飛び去って行った。
全てを目撃した英二は、金城に告げる。
「ヒーローが必要なんだよ、金城君。ヒーローが必要なんだ。ヒーローが…」
その言葉を聞いた金城は彼の言葉に答えるべく脚本を書きはじめる。
監修:円谷英二 脚本:金城哲夫 監督:円谷一。こうして番組が始まった。その番組の名は…
『ウルトラマン』
ナレーター「ウルトラの星はみんなに大きな勇気と力を与えるため、いつも空の彼方で瞬いている…」
一方、現代へと帰還したダイゴに出動命令が下る。
それがこれから始まる最大最後の戦いの序曲だったとも知らずに……
出動したガッツウィングが円谷プロの上空を飛び去る。
そして今回のタイトルである「ウルトラの星」の名が書かれたカチンコが映り込み、この話は幕を閉じる。
余談
小ネタ
- 戦闘シーンで使用されているのは、以前円谷プロダクション誕生35周年記念盤『HISTORY OF TUBURAYA』(通称円谷15枚組)に収録のウルトラマンの戦闘曲、勝利(『進め!ウルトラマン』のインストアレンジ)の新録版。
- ヤナカーギーが封印されていた竜ヶ森湖は、『ウルトラマン』第1話「ウルトラ作戦第一号」でウルトラマンから逃亡したベムラーが身を隠していた湖である。
- 赤い球からウルトラマンが出現するのは同作でウルトラマンが赤い球に乗って地球に飛来した事に由来すると思われる。
- なお、この回に登場したウルトラマンは『M78星雲から来た』事は確かなのだが、一体どこの宇宙出身かはいまだに謎に包まれている(ファンの間でもネオフロンティアスペースのM78星雲出身、M78スペースのM78星雲出身だったりと解釈は様々である)。
- ティガやチャリジャの干渉がある前は『ウルトラマン』が放送されていたのか、それとも彼らが来た事で『ウルトラマン』が放映される未来が生まれたのかは不明。
- 劇中で撮影していた『ウルトラQ』はどのエピソードを撮影していたのかは不明だが、吹雪のシーンを撮っている事は確かなので、第5話『ペギラが来た!』ではないかと推測される(撮影スタッフの一人を演じるのは後に初代ウルトラマンの声を演じる事になる外島孝一氏である)。
その他
- 当時はチャイヨー・プロダクション絡みのトラブルを避けるために従来の設定を引き継がなかったという説(※)を考えるとかなり冒険した試みであったとも言える((※)部分の出典:安藤健二(2008)『封印作品の憂鬱』洋泉社より)。
- この回およびマルチ・スペシウム光線を使用した第41話同様、過去作要素がないと言われがちな『ティガ』のTVシリーズでの数少ない過去作要素の絡んだ展開となっている。
- 平成ウルトラマンと昭和ウルトラマンの共演というコンセプトは、後に『ウルトラマンメビウス』や『ウルトラマンギンガ』などへと受け継がれていくことになる。
- ウルトラマンティガと初代ウルトラマンは、それぞれシリーズ最初のウルトラ戦士という共通点もあってか、その後も何かと共演・共闘する機会が比較的多い(『大決戦!超ウルトラ8兄弟』、『ウルトラマンギンガ』、『きたぞ!われらのウルトラマン』など。前者では、変身前の姿の共演も実現した)。
- また、能力的にも相性が良いのか、『きたぞ!われらのウルトラマン』のベータスパークアーマーや、『ウルトラマンオーブ』のスペシウムゼペリオンなど、初代マンとティガの力をミックスさせた戦闘フォームが、後年のシリーズでいくつも登場している。
- 児童書などのスチール画ではティガと初代マンがヤナカーギーに打撃を見舞うシーンが写されているが、本作ではウルトラマンが登場して早々に合体光線でヤナカーギーを倒した為、存在しないシーンである。
- EDは特別仕様で、『ウルトラマン』のダイジェストが流された。
- VHSソフト『ばっちしVα(アルファ)_ウルトラマンワールド_ウルトラマンヒットソング集!』(バンダイ)での『TAKE_ME_HIGHER(NEW ALBUM MIX)』の映像はこのエピソードから始まり、次に使用される映像が次回のものになっている(歌い出しのタイミングも芸コマ)。
- 知っての通りハヤタ役の黒部進氏の実子は『ティガ』でレナ役を演じる吉本多香美であり、並行世界を舞台とした『大決戦!超ウルトラ8兄弟』ではダイゴがレナと結婚しハヤタの養子になっている。
- チャリジャが子供が遊んでいた怪獣の玩具を譲ってほしいと頼んでいたロケ地は、お台場である。
- あらすじでも触れられているが、ティガの世界ではゴジラやモスラなどの東宝怪獣映画が公開されている。
関連項目
きたぞ!われらのウルトラマン/救世主の資格:当作をオマージュしたと思しきエピソード。
超時空のアドベンチャー:後日談。
次回予告
レナ「私、ダイゴがティガって知ってる」
忽然と深海に出現した超古代都市。滅びの使い、怪獣ゾイガーが蘇る。
次回、ウルトラマンティガ『もっと高く!』お楽しみに