演：川地民夫
概要
地球平和連合TPCの創設者にして初代総監。
平和主義者であり、人命を第一に考え部下を思いやる人格者。冷静な性格だが、平和を脅かす存在に対しては断固たる態度で臨み、有事には自ら現場に足を運ぶこともある。
レギュラン星人の宇宙船がTPCの宇宙ステーション・デルタへの衝突軌道を進んで来た際、ステーション職員の人命が優先としてヤナセ・オミ技官に宇宙船の爆破を命じたが、ヤナセは「事故かも知れない」と命令に背こうとしたため本部への出頭を命じる、ゼルダガスをめぐった事件のときには躊躇せずシーラへの攻撃を命じたりと人命が関わる部分では厳しい一面も見せる。
ゴブニュとの戦いでは、司令室にいる面々が宇宙でのアートデッセイ号と機械島の戦闘に気を取られる中、壁を破壊され浸水した基地の地下ドックで一人戦っていたダイゴの安否についていち早く気付き話を切り出すなど、一隊員にも気を配ることができる人物。
射撃の腕は確かで、デシモニアによって各国のTPC首脳らとともに監禁された際には、GUTSライフルを駆使して小型デシモニアの大群を撃ち落とした。月面基地ガロワ副隊長・キシナガに化けて基地に侵入したメンジュラには、パンチを見舞って怯ませている。
GUTSのことは「部下じゃないよ、仲間だ」と語るほどに強い信頼を置いており、有事だけでなく平時にも司令室を訪れ彼らとコミュニケーションを取ることもある。特にイルマは長年重用してきた腹心のような存在で、「随分無理を言ってきた」と言葉をかけたこともある。
立場上、タカ派のヨシオカ長官とは意見を対立させることが多いが、実は彼とは古くからの友人であり、対立も互いに深い部分で信頼し合っているからこその"喧嘩"である。前述のデシモニア事件でサワイを救出に来て、ライフルを渡したのもヨシオカだった。
最終決戦では世界を閉ざす"闇"がダイブハンガーに侵入し人命が失われる中、基地を棄てて逃げることを良しとせず「自身の心血を注いだ基地に警務局員と残る」と主張するヨシオカを「バカ野郎！」と一喝。「苦労などいつだってできる、生きていればな」と説得し、他の生存者とともにアートデッセイ号で脱出した。
昔は円谷英二監督作品のゴジラやモスラを夢中になって見ていたという。
『ティガ』本編中盤で、立派な口髭を生やしていた時期がある。
動向
TPC発足前の1999年に国連事務総長に就任し、人類の行く末を見据えて武力による紛争解決の無条件放棄を訴えて各国を訪問したが、その理想論ともいえる思想は「風車に立ち向かうドン・キホーテ」にたとえられ、冷笑されていた。
しかし世界各国の科学者フォーラムから支持を得たことで、核兵器の根絶と各国軍を国連管理下に置くことを国連で議決。2003年にはクリオモス諸島クリオモス島国際会議にて地球防衛軍UNDFの解体と地球平和連合TPCの設立が決定すると、世界各地で甚大な被害をもたらす自然災害への対応を目的とした非武装組織の結成を提案。科学省職員だったイルマ・メグミを中心とした「G機関」が誕生した。
2005年にTPCが正式に設立されると初代総監に就任、2006年にはTPC極東本部を千葉県房総半島沖のダイブハンガーに設置。イルマらとともにミステリーサークルを調査中、異星人のUFOに誘拐されかけたが、輸送部所属のマドカ・ダイゴの勇敢な行動によって救われる。その縁で、TPCに吸収されG機関から改称し正式に発足したGUTSに彼を推薦した（ただし特別扱いはせず、きちんと養成させている)。
そして2007年、世界から争いは消えたが、相次ぐ怪獣災害や異星人の侵攻に対抗するためGUTSの武装化を決定する。ただし、GUTSの戦力は人間同士の争いには決して使用しないことがルールとなった。
2009年頃には、クリオモス諸島にてTPC各支部にGUTSのような機関を置くための極秘会議に出席。そこでデシモニアの襲撃を受けて監禁され、自身に擬態したデシモニアによって国家元首としてクリオモス諸島の独立国家宣言および、TPCをクリオモス島を首都とする世界統一国家の行政機関へ移行すると発信されてしまう(この時GUTSは上述のルールが影響し、サワイが偽物だと発覚するまで攻撃できなかった)。しかしヨシオカとGUTSの活躍で救出され会議は成功し、TPCは平和維持を目的として軍備を強化していくことになる。
2010年、邪神ガタノゾーアの復活により世界が闇に閉ざされる。人命被害を受け基地機能を失ったダイブハンガーを放棄し、職員を退避させていたアートデッセイ号で自身も脱出。ガタノゾーアに立ち向かうティガと人間の戦いを見守った。事件後は再びダイブハンガーを拠点としている。
2012年には、TPC内で不穏な動きがあることを察知。同じくそれを危惧し、ルルイエの調査に同行し消息を絶ったイルマの身を案じる。しかしそこにシビトゾイガーの大群が発生したことを知り、TPCの責任として遺跡の爆破を決定する。だがイルマ救助を優先するGUTSの作戦変更の申し入れを何も聞かずに許可し、彼らの勝利を信じた。事件後は不穏分子をTPCから排している。
2017年時点では健康を害したため顧問となっており活躍は少なく、総監職はフカミ・コウキに譲っているが、体調が回復してからは火星基地を訪問している。
2020年にはかつてない強大な敵・グランスフィアとの決戦に臨むスーパーGUTSを案じるフカミら首脳陣の前にイルマとともに現れ、「部下たちをまず信用する、それが総監としての役目だ。自分の育てた組織を、それを支える前線の人間たちを、もっと信頼してやったらどうなんだ」と説く。最終決戦を見届け、最後はスーパーGUTSの面々に労いと感謝の言葉を述べるフカミに添っていた。
パラレルワールドである大決戦!超ウルトラ8兄弟では、国連事務総長として登場。宇宙飛行士になる夢を叶えてウルトラの星へと旅立つダイゴを激励した。
余談
サワイを演じた川地氏は、『ウルトラマンコスモスVSウルトラマンジャスティス THE FINAL BATTLE』にてサワイ同様に度量の大きなSRC代表・オオワダ役でゲスト出演している。
後年、『ティガ』DVD-BOX発売記念のインタビューで語ったところによると、川地氏がサワイを演じることになったのは先代の円谷社長(おそらく円谷皐氏のこと)と元々ゴルフ仲間であり、その中で出演の話が出たことがきっかけだったという。
前述の通りサワイはよく現場に赴くタイプの人物だが、第2話のロケ地であった採石場は暑くて嫌だったのだとか。
撮影現場では出演者とのコミュニケーションを重視しており、また誰よりも早く到着して皆の手本となれるよう心掛けていたとのこと(シンジョウを演じた影丸茂樹氏は、川地氏が撮影に参加する日には先着するつもりでいたものの既に現場に氏がいたことに驚き、それ以降早出を心掛けているという)。
また、『ティガ』を見ていた子供達が大人になり、「サワイ総監」と呼び掛けてくれたこと、自身を知ってくれていることが嬉しかったという。
