「人類よ、そのもの達の中へと同化せよ。そのもの達もかつて、おまえ達と同じ様な人間であった」
「限りある命におびえ、互いに争い、ついには自らの星をも破滅への危機へと追いやった」
「だが彼等は克服したのだ。人を、あらゆる有機物、無機物を、ついには惑星自体も一つに融合し完成させた、完全無欠の生命体。それが私だ。まだ間に合う。地球が滅び去るその前に、私はおまえ達を迎え入れよう」
「私こそ地球の歩むべき、『未来』だ‼」
データ
登場作品『ウルトラマンダイナ』
第50話『最終章II 太陽系消滅』、最終回『最終章III 明日へ…』登場
概要
宇宙球体スフィアの本体で、遥か遠い昔、とある惑星が自身に住まう全ての生命体と一体化した存在。分析したナカジマ隊員が「今までとはまるで桁違いの怪物」と称する程の脅威。
その目的は宇宙全ての存在と同化することであり、地球を太陽系諸共自身へと同化するために太陽系へと接近してきた。
闇の中から姿を現す際や自身の虚像を世界各地に投影させた際は女性の笑い声の様な不気味な高い音を出す特徴を持つ。
これまでのスフィアがコスモネットを通じて人類にコンタクトを取ってきたのに対し、直接喋ることが出来る高い知性を持っている。
本体の周辺の重力を自由自在に操作できる能力を持っており、周囲にブラックホールの様な高重力場を発生させ、それに包まれることで身を護り、殆どの攻撃は本体に届く前に高重力場に飲み込まれて届くことが無いという極めて高い防御力を持っている。クラーコフNF-3000のネオマキシマエンジン全開ですら振り切ることができず、ダイナもミラクルタイプのスピードが無ければ逃げられない。
本体も近づく者に対しては強力な電撃光線で迎撃し、さらに幻覚を操る事も可能で、これまでダイナやスーパーGUTSにより撃破された怪獣達の虚像をばら撒くことも可能である。
また、重力操作能力以外にも、ソルジェント光線やネオマキシマ砲さえ防ぐほどの超強力なバリアを展開できる。
上記の能力を遺憾なく発揮し太陽系の外周部から惑星を飲み込みながら地球へと接近、人類に自らと同化するように迫る。
さらにネオガイガレードにリョウ隊員を人質に捕らせ、ネオマキシマ砲を撃たせないための盾にさせる卑怯な戦法を取る。
スーパーGUTSが砲撃をためらう中、ダイナはグランスフィアからの雷撃をかわしつつ突撃する。
「やめてアスカ!!死ぬ気なの!?」リョウが叫ぶ。
「この卑怯者をぶちのめすまで死にやしねえ!!」
「それに俺は………俺は今、君だけを守りたい!! 」
「アスカ…」
ダイナがネオガイガレードを殴り飛ばしリョウを救出。すかさず発射されたネオマキシマ砲によってネオガイガレードは消し飛ぶが、グランスフィアは砲撃を飲み込み、重力場でクラーコフを捕らえてしまう。
そこへダイナがソルジェント光線で追撃、バリアによって防ぐも重力場が弱まり、クラーコフは脱出に成功した。
そしてこの一戦で、「攻撃を防ぐためにバリアを一点に集中し脇ががら空きになる」という弱点をアスカに見抜かれてしまう。
そして最終決戦、自身に向かってくるダイナにグランスフィアは問いかける。
「お前は何だ?なぜ私の邪魔をする?!消えろ!」
「闇に溶け、地球は正しい進化をする。お前には何ができる? 闇に溶けろ、私に従え!」
怪獣達の虚像を出現させるが、ダイナは「ふざけるな!!」とそれを一掃する。
そこへクラーコフからネオマキシマ砲が発射され、グランスフィアはバリアを展開した。
「今だ、アスカ!!」
ヒビキ隊長の叫び声と共に、ダイナはゆっくりとその腕を十字に組んでいく。
「俺は俺だ…ウルトラマンダイナだ!!」
「届けえええええええええええっ!!!!」
暗黒の闇を切り裂いて、一条の光が飛んでゆく。
ソルジェント光線はグランスフィアの表面に着弾し、大爆発を起こした。
その光景を見つめ、動かないダイナ…。
「アスカ!!すぐそこから離れるんだっ!!!」
コウダ副隊長が叫んだのも束の間、爆発の影響で発生した生じた高重力場の存在した宙域に「光すら脱出不能」なほどの重力崩壊から時空の歪みが発生し、はっとしたダイナは反転も間に合わず飲み込まれてゆく…。
「ぐぁっ、負けるかぁぁぁぁぁ!」
闇に飲み込まれた星々は元に戻ったものの、グランスフィアは死んでもタダでは転ぶということはなく、ダイナ=アスカは闇の中に消え、生死不明となってしまった。
また、飲み込まれたTPCコスモアタッカー部隊も戻ってくることはなかった。
主人公であるダイナを、シルバーブルーメのMAC基地襲撃によって生死及び行方不明となったウルトラセブン同様の末路に追いやるという、多くの視聴者に衝撃的なトラウマを植え付けた恐るべき強敵であった。
このラストに度肝を抜かれた視聴者は多いらしい。
実はアスカはこの後に別の時空へと飛ばされており、旅を続けていた。『ウルトラ銀河伝説』においてそれが判明し、視聴者に無事な姿を見せるまでには11年4ヶ月もの歳月を要した。
またスーパーGUTSの面々にアスカが無事を伝えられたのは、更に後に公開された『ウルトラマンサーガ』での出来事である。
…が、同時にスフィアの残党が存在していた事も判明し、それから更に10年後…
余談
その性質上、行動は『帰ってきたウルトラマン』に登場したバキューモン、本質(性格)は『ウルトラマンG』のゴーデスによく似ているとファンの間では言われているらしい。
企画段階での最終回のタイトルは「明日へ」と書いて「ひかりへ」と読ませていたものの、余りにも無理矢理だったため没になり、そのサブタイトルは後にビデオソフト「ウルトラマンダイナSPECIAL」に収録された最終章・完全版「ひかりへ…」にて採用された。
脚本を担当した長谷川圭一氏は最終回放送直後に、知人から電話で「俺の子供が泣いてる、なんてことしてくれたんだ!」と怒られたという。
それもあってか、『ウルトラマンサーガ』では本来、アスカが仲間たちと再会して大団円を迎えるという結末が検討されていたという(最終的に、アスカ役のつるの剛士氏の意向もあり、「仲間たちに無事を伝えた後、再び旅に出る」という結末に落ち着くこととなった)。
1万2756kmという身長は、ウルトラシリーズに登場した怪獣で身長が明らかにされている種の中では最大であり、2024年現在もこれを上回る超巨大怪獣は確認されていない(身長不明の怪獣を除く)。
なお1万2756kmという数値は、地球の赤道面の直径と同一。
関連タグ
ボーグ 人類補完計画 集合精神 みんなのトラウマ 超巨大怪獣
ブラックスター(ウルトラマンレオ)(惑星サイズの生命体関連で) ラスボス(ウルトラシリーズ)
バキューモン:星を飲み込む超巨大怪獣繋がり。
マザースフィア/マザースフィアザウルス:ダイナをモチーフとした作品「ウルトラマンデッカー」のラスボス怪獣でありデッカー版グランスフィアと呼べる存在。言動や目的も近い物を持っていたが、こちらはデッカーとトリガー、新生GUTS-SELECT全員の総攻撃によって倒されている。