北條透
ほうじょうとおる
「今度こそ思い知るでしょう……私という人間の素晴らしさを」
演:山崎潤
『仮面ライダーアギト』に登場するキャラクターの1人。
気取り屋で高級志向のナルシストな性格をしており、かなりの皮肉屋かつ毒舌家。事あるごとにG3ユニットの前に現れては嫌味な発言を繰り返し、彼らを利用したり功名心のために蹴落とそうとするなどエゴイスティックな言動が目立つ。
その上、警視庁上層部にコネを持っているらしく、北條の提言がきっかけで警察幹部が何らかの計画を強行して結果的にG3ユニットや津上翔一、葦原涼が窮地に追い込まれる事が多かった。
短期間ながら仮面ライダーG3、仮面ライダーG3-Xを装着した実績はあるものの、ストーリー的にはほぼお邪魔キャラと言っても過言ではない。とは言え、後述するように警察官としての正義感に関しては本物であり、いざという時は民間人を守るためならば身を張って戦い抜くことも辞さず、嫌みな部分があっても他人に対して気遣うこともあり、完全に嫌な奴とは言い難い。
実際に人として越えてはいけない一線を越えたことはなく、自分が間違っていれば素直に認める部分もあり、先輩刑事の河野浩司からも「根は良いやつ」と評されている等、嫌われ役であっても決して悪人ではない。
好きな食べ物はエリート志向からか高級料理で庶民的な食事を好む小沢(焼肉)や河野(ラーメン)とは正反対であるが、尊敬する上司から貰ったサンドイッチなどはきちんと頂くなど最低限の礼儀は弁えている。
一応、エリート刑事ではあるので、ジャガーロード パンテラス・ルテウス撃破後であるにもかかわらず同種の事件が起こっていることに対し「アンノウン出現はG3ユニットの虚言」という見当はずれな主張をしながらも、次に被害者の親族が狙われると推理して護衛に回ったり、オクトパスロードに人質が囚われていることを分かった上であえて発砲し、全弾命中させて少年を救出する、氷川の視界が悪くなった際にはGトレーラーから的確な指示を与え、突っ込んできたファルコンロードの撃破に貢献するといった有能さを見せる。
北條主役回である第18・19話では、あと一歩でG3ユニットを掌握できる状況だったにもかかわらず、心から尊敬する上司・司龍二(演:てらそままさき)の犯罪を告発することで自らその機会を逃すなど、エゴよりも正義感を優先する側面も見られた(推理の決め手となったのは彼の妹が作ったピクルスサンドと被害者の店で出ていたサンドイッチが酷似していたというわずかな手掛かりであった)。
かつての事件で司の左腕を負傷させてしまったことにも負い目を感じていたこともあって、司から教わった「あらゆる偏見を排除してただ事実を事実として直視する」という信念を、皮肉にも司自身に振りかざさるを得ない状況になってしまったことを嘆いており、彼にしては珍しく涙まで浮かべていた。
また、オクトパスロードとの2度目の戦いでは強化再生した相手に恐れをなし、G3の装備を脱ぎ捨てて逃走したり、涼を殺されたと思い込んだ榊亜紀の超能力でバリケードで雁字搦めにされて手巻き寿司がトラウマになったり、翔一のコップと新聞紙を使ったマジックに興味を示し、再現に成功するとドヤ顔をするなど妙にコミカルで人間臭いところもある。
氷川とは犬猿の仲にも近い関係で北條が仮面ライダーアギトに銃を向けた際には彼に殴られたこともある(これは護衛していた妊婦をそっちのけでゼブラロードと戦うアギトを捕獲しようとしたためである)。
ただし、氷川から才覚を認められており、小沢澄子がG3-Xの装着員として翔一を挙げた際には「北條ならまだ分かる」と評していた。
北條も氷川の身体に異変が起きた際には彼の身を心配しており、氷川からの頼みを守ったり氷川のサポートをしたりしているので本当に仲が悪いかと言われると少し微妙なところである。
一方で流石の北條も翔一に会うと彼のマイペースぶりに辟易しており、その点では氷川と五十歩百歩でもある。
当初は、G3装着員として氷川に敗れたことなどによって自身の功や体裁に拘り、対抗してアギト捕獲作戦やG3ユニットの強奪やV-1システムの開発などを立案したりもした。
だが、G3-XとVー1システムのコンペが終わってからは、氷川の実力を認めて彼のサポートに回ったり、誰よりも早く「あかつき号事件」のもう一つの側面にいち早く気付いたりしている。
終盤ではアギトの危険性を纏めた書類を提出したために、警視庁はアギトを討伐してアンノウンを保護するという方針に転換。G3ユニットも方針転換を迫られ、北條はG3-Xの装着者として活動することになる(既にこの頃には闇の力による人類滅亡計画が始まっていた)。
尾室には「我々は正しい・・・正しいのです!」と言い聞かせていたものの、心の奥底では自分がやろうとしていることと上層部の方針に疑問を持っていたようであり、小沢らがGトレーラー奪還に現れた際には「きっと来ると思っていましたよ」と告げ、彼らに活動を一任した。
後日談では久しぶりに小沢と再会し、憎まれ口を叩きながらも互いを認め合っていた。
以上のキャラクター性から単なる嫌味なエリート刑事と言う枠に収まらない魅力を放っており、『アギト』の中でもコアな人気を誇る人物となっている。脚本家の井上敏樹からも気に入られていたらしく、「北條が何をするか」が脚本打ち合わせのテーマだったという。
『仮面ライダージオウ』のアギト編では北條らしき人物のインタビューが新聞記事に記載されており、アナザーアギト襲撃に関して「ノーコメントとさせていただきます」とコメントしている。
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