概要
1966年12月11日放送。
地上征服を企む地底人の暗躍を描いた回。
STORY
科学特捜隊パリ本部から、特別任務を帯びたアンヌ・モーハイムが日本支部に雷時報する。
ムラマツはハヤタに国際宇宙開発軍のロケット操縦技術指導のため、アンヌと共にパリヘ出張するよう命じた。
翌日。ハヤタとアンヌがパリヘ出発してから、東京の広範囲で謎の電波障害が発生する怪現象が多発していた。
アラシとイデはテレビセンターで出会った福山博士の協力を受け、科特隊本部の地下室で強力な磁力光波を発するライター型の小型機械を見つける。
その機械には地下4万mにあるとされるゲルマタント鉱石が使われていた。
電波が回復した後、フジはパリへ飛び立ったビートルに連絡するが、全く応答しなかった。
妨害電波を発信する謎の機械は誰が置いたのか。そしてハヤタはどこへ行ったのか。
宇宙ビートルでパトロールから戻る途中、イデはパリへ発ったはずのアンヌを見つけた。
アラシとイデが駆け寄ると、アンヌは車に乗って逃走。追跡の途中、二人は落ちていたハヤタのバッジを拾う。
その頃科特隊本部にはパリ本部から驚くべき連絡が入る。すでにパリに着いているはずのハヤタとアンヌがまだ到着していないというのだ。
アンヌが怪しいと睨んだ科特隊は、ハヤタの捜索とアンヌの正体を探るため、三手に分かれて行動することになった。
一方、ハヤタは、光の無い空間で夢と現実の間をさまよっていた…。
その夜。テレビセンターで張り込みをしていたイデはアンヌを発見する。
逃走しようとするアンヌを取り押さえたイデは、ハヤタの行方を問い詰めようとするが、サングラスが落ちたアンヌの顔を見て驚愕した。
なんとアンヌの目がない。女はアンヌでは無かった。
それと同時に、地響きと共に地中から地底怪獣テレスドンが姿を現した。
アンヌの正体は、地上征服を企む地底人が送り出した工作員だった。
溶岩熱線を吐きながら、夜の都市を破壊するテレスドン。
イデの要請で出動したジェットビートルはナパーム弾でテレスドンを攻撃するが、ビクともしなかった。
その頃、地下4万mの地底空間では、地底人が拘束されたハヤタに自分達が地上世界で破壊を尽くし、人間達を奴隷にする計画を話した。
さらにハヤタがウルトラマンであることも知っていた地底人は、仮眠マスクでハヤタを操り人形にし、ウルトラマンをも地上破壊の尖兵にしようと目論んだ。
催眠状態のハヤタは、地底人に変身するように指示される。ベーターカプセルが発するフラッシュビームで光に弱い地底人達は全滅してしまった。そう簡単に悪の尖兵になるウルトラマンではなかった。
「ウルトラマンは光の子である。宇宙の彼方・M78星雲からの正義の使者ウルトラマンは、たとえハヤタの意識が失っていようと、光の国のスーパーマンだったのである」(ナレーション)
地底世界から脱出したウルトラマンは、すぐさまテレスドンに立ち向かった。
肉弾戦の末、ウルトラマンは投げ技の連続でテレスドンに反撃する。
何度も地面に叩きつけられた地底怪獣テレスドンは、そのまま力尽きた。
その後、科学特捜隊本部に無事ハヤタが戻ってきたことに喜ぶ隊員達。
そこへ絶命したはずの地底人…いや、本物のアンヌ隊員もやって来た。
彼女も本部に来る途中に地底人に拉致されたが、ウルトラマンに救出されたのである。
地底人の恐怖が去った数日後。
ハヤタとアンヌは隊員達に見送られながら、ジェットビートルで改めてパリへ旅発つのであった。
余談
脚本として佐々木守がクレジットされているが、実際は実相寺昭雄がひとりで執筆している。
ジャン・リュック・ゴダールの『アルファヴィル』(1965年)を意識して、地底人の本拠地を体育館内で撮影するなどSF的な意匠を使わずに近未来を表現しようとした。しかし後年実相寺は「似ても似つかないものになってしまった」と述懐している。
作戦室内を薄暗くしたり、複数人の台詞を被せて通信の混乱を表現する手法は本話が初出。
冒頭には日本航空が導入した初の国内線用ジェット旅客機であるCV880「KIKU号」が登場している。
今回登場した福山博士だが、脚本上では岩本博士が登場していた。劇中では名前が呼ばれず、演者が第19話に登場した福山博士と同じ福田善之であったことから福山博士ということになった。
福田は階段を上りながらワンカットで長台詞を言う場面のアフレコで口が合わずに苦労したと語っている。
実相寺監督とは懇意だったそうで、『ウルトラセブン』幻の第12話にも出演している。
福田とともに第19話に出演していた丸山謙一郎も東京テレビセンター職員役で出演している。
地底人のリーダー格地底人X役のフランツ・グルーベルは『ウルトラセブン』第1話でボガード参謀を演じた。
そのほか脚本上では存在するがカットされてしまったシーンがいくつかある。
- 冒頭でアラシがスパイダーショットの射撃訓練をしている。
- イデが電子レーダー銃を開発、アンヌの追跡に役立てる。
- アンヌが科特隊本部の消火栓に小型機械を放り込む。
- ハヤタとアンヌがパリに発った直後、黒い虹ではなく地震が発生する。
- イデとアラシは宇宙ではなく移動する震源を追って奥多摩上空から生田丘陵へ向かう。
- ウルトラマンはテレスドンに光を放って攻撃する。
- 不穏なラストシーンも存在した。
- ハヤタとアンヌを見送った直後、再び東京に地震が起こる。イデはさっき飛び立ったハヤタが本物なのかを訝しみ、無人の作戦室に電話が鳴る。
今回活躍したテレスドンは、『帰ってきたウルトラマン』第3話「恐怖の怪獣魔境」にも出てくる予定であったが、初代37話とウルトラファイトの新規撮影で着ぐるみが痛んでしまったため、地底怪獣デットンとして登場した。
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実相寺昭雄 ウルトラマン テレスドン 地底人(ウルトラ怪獣)