概要
1971年10月15日放送。
脚本:実相寺昭雄
監督:山際永三
全51話の本作では実相寺氏は脚本として参加している。
テーマ 怪獣も自然の驚異!
第28話予告
暗雲立ち込める稲妻の中に、クラゲ状の台風怪獣バリケーンが出現した。
大空に吸い込まれ吹っ飛ぶ船。
我らのマットアローが行く。
ウルトラマン危ない!
さぁ、来週もみんなで見よう!
あらすじ
今日も東京の空は厚いスモッグで覆われていた。
郷秀樹と岸田隊員は、坂田が考案したスタビライザーを装着した自動車で走行実験を行っていた。二人が基地に戻ると、MATでは台風が突如消滅したと慌ただしかった。先に調査に向かっていた南隊員、上野隊員と入れ替わる形で郷と岸田は海上パトロールに出かける。台風が消えたことは喜ばしいことだという郷に賛同する岸田。だがアローが自衛隊機とニアミスを起こしてしまう。
その夜。郷は坂田家で消えた台風について話をしている。するとタンカーが小笠原南50キロの地点で竜巻に巻き込まれ消息を絶ったというニュースがテレビを通じて放映された。
タンカーは空に舞い上げられ山の上にまで飛ばされ、真っ二つになり民家に突っ込んでいた。現地調査に向かったMATは、地元警察からタンカーは竜巻以外の力で砕かれたのだという報告を受ける。自然の摂理ではあり得ないと話し合う人々。
今度は紀伊半島で台風が発生するが、またしても消えてしまう。原因は一切不明。そんな折、ラジオのニュースが今日は光化学スモッグが少なく、空気が澄んでいると報道した。気象庁を訪れた郷と岸田は、海上保安庁から台風が突然発生したという報告を受ける。岸田は一旦勢力を落した台風が力を取り戻したのだと推測。そこへ台風がまたしても消えたという気象台からの報告が入る。
その夜。三浦半島で不知火が目撃されたという報告が入り、MATは調査に向かう。照明弾を投下したが異常がないため引き返す。
翌日。改良されたスタビライザーを搭載したマットビハイクルの試運転を行っていた郷と岸田。その時、郷は宙に浮かぶ台風怪獣バリケーンを目撃する。台風の正体はこの怪獣で、バリケーンが発生させた風が光化学スモッグを吹き飛ばし大気を浄化させているのだった。
郷からの連絡を受け隊員たちは出動しようとするが、バリケーンが台風を起こしてしまったら手出しができないと伊吹隊長に止められてしまう。
研究の結果、バリケーンは今エネルギーを蓄えていると推測されたため、その隙に麻酔弾で眠らせてから攻撃するという作戦を立てる。
ミサイル攻撃に備えて郷と岸田を基地に残し、出撃するMAT。狙い通りバリケーンを麻酔弾で眠らせることに成功。バリケーンは動きを止めて降下するが、送電線に引っかかってしまい凶暴化してしまう。大暴風雨が発生し次々と町が壊されていく。伊吹の命令で郷はミサイルを発射するが通用しない。
郷はウルトラマンジャックに変身し、嵐の中バリケーンと対決する。
スペシウム光線が通用しない台風怪獣バリケーンを、ジャックは自らの体を高速回転させる技「ウルトラプロペラ」で大気圏外にまで運び出し、宇宙の彼方で爆発させるのだった。
岸田「いつもウルトラマンにいいところを攫われるよな」
丘「地球の平和はウルトラマンのおかげよ」
伊吹「そういえば郷、私が呆然としたとき君はどこにいたんだ」
郷「神様にお祈りしてただけです」
事件が終わり、基地で談笑するMAT一同。
今日も東京の空は厚いスモッグで覆われていた…
余談
本エピソードはこれまで監督として参加することの多かった実相寺昭雄氏の脚本であるが、『ウルトラセブン』にて氏が監督として演出した「第四惑星の悪夢」及び「円盤が来た」の脚本としてクレジットされている川崎高とは、何を隠そう実相寺氏の事である。