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ミカドロイド

みかどろいど

ミカドロイドは1991年に発売された、バブル期の日本に旧日本軍の改造兵士が蘇り、殺戮を開始するホラービデオ作品である。こいつはすごいぜ!
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「極秘・帝国陸軍人造人間ジンラ號計畫」


概要編集

1990年代に、東宝より発表された低予算が売りのVシネマレーベル、「東宝シネパック」作品の第一弾として製作された特撮SFホラー作品。後に「さくや妖怪伝」を手掛けることになる、当時から東映Vシネマを中心に、特殊メイク分野の第一人者として知られていた原口智生監督の初監督作品であり、同時に平成ガメラシリーズに加えて、近年は「シン・ゴジラ」、「シン・ウルトラマン」、「のぼうの城」などの監督・特技監督として知られている樋口真嗣監督の商業作品での特技監督デビュー作品となる。


なお、本作の製作時、原口監督宛てに東映からのオファーがあったものの、東映よりも東宝特撮の色で製作すべきだという理由で、監督自らその申し出を断り、円谷映像(後の、円谷エンターテインメント)を通じて東宝へと企画が持ち込まれたというエピソードが存在する。また企画内容も、当初は「ミカドゾンビ」という、太平洋戦争中の憲兵隊がゾンビとなって復活するという内容のホラー作品として製作が進められていたが、後述の理由から一時中断された結果、ミカドロイドとして再製作されたという経緯がある。


ちなみに、本作のロケ地の大半は大映撮影所で製作されたセット※や実在するディスコビルの他にも、東宝スタジオ内、更には東宝作品などの現像を行っていた映像・機材専門会社、キヌタ・ラボラトリーの跡地などもロケ地として利用された。


このセットは、当時円谷映像社長を務めていた円谷粲氏への恩返しとして同所のスタッフが作り上げた、この手の低予算作品のセットとしては非常に豪華なものだった。


あらすじ編集

太平洋戦争末期、日本陸軍は来るべき本土決戦に備え秘密兵器を、東京の地下にある「陸軍第十三秘密研究所」にて開発していた。

そのうちの一つ「百二十四式特殊装甲兵ジンラ號」は体力に優れる兵士を不死化処理後、特殊装甲で包んだ報復兵器である。完成した暁には敵地へ送り込まれ、敵兵を徹底的に殲滅する計画であったが、戦況の悪化とともに計画中止が決定し、既に完成していた試作機一体とまだ改造手術の完了していなかった素体二名、加えて計画に関わった研究者、その他設備を諸共破棄する為、1945年3月10日に東京憲兵隊が研究所を襲撃するも、研究成果を守ろうとした科学者とジンラ號からの反撃を受けただけでなく、空襲により憲兵隊や研究員はおろか、ジンラ號やその為設備なども巻き込み地下研究所は埋没、そのままその存在を忘れ去られてしまう。


それから数十年後、研究所の上に建てられたディスコの地下駐車場、その中にある変電設備で漏電事故が起こり、長き眠りについていたジンラ號「ミカドロイド」が覚醒してしまう。


目を覚まし、地下駐車場にいた若者達を殺戮するジンラ號、その猛襲から逃れようとたまたま居合わせたせいで、殺人劇に巻き込まれてしまった彩子と冨田の2人の男女、そして奇跡的に地下研究所の崩落から生き延び、老いることなく45年もの月日を、ジンラ號を葬る為だけに生きてきた2人の素体、岡崎と利重。


 東京の地下の闇で、1体と4人の生き残りをかけた死闘と逃避行が始まる……。

キャスト編集

スタッフ編集

余談編集

  • 上述したように、当初は「ミカドゾンビ」という憲兵ゾンビが暴れまわるホラー色が強い企画だったが、1988年に発生した東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件の影響により、ホラー映画に対して風当たりが強くなったため企画変更になった。
    • なお、この「ミカドゾンビ」の企画が立ち上がった当初に、二体の東京憲兵隊のミイラが他の造形物に先駆けて製作されているが、企画内容がミカドロイドに変更された後もこの造形物達は無事採用され、実際に本編へ登場している。
  • ジンラ號のデザインはイラストレーターの故・小林弘隆氏(スタッフなどからの愛称は、"イラコバさん")。DVD特典と、後述のデアゴスティーニの「東宝特撮映画」第62号付属冊子の中で上記の変遷が確認できる。また前述のミカドゾンビのイラストも、当該の「東宝特撮映画」第62号の冊子内にて確認できる。
  • pixivにおいては、旧日本軍にあり得そうな、ジンラ號の丸みを帯びた特異なデザインに魅了された絵師によって、いくつかのイラストが投稿されている。

ミカドロイドジンラ號ジンラ號スーパーヒーロー着地をするジンラ号

モータージンラは賢く強いセンシティブな作品ジンラ號

  • 研究所に残された陸上戦艦(移動トーチカ)は本土決戦に向けて開発されたもので「轟烈睦(ゴーレム」という名前がついており、種別も「帝都専守要塞」とされている。本作が収録されたデアゴスティーニより刊行の「東宝特撮映画」第62号によれば、設定上ではジンラ號の射出用として、驚異的かつ世界最大の72インチ砲を主砲として搭載しており、また最深部には皇族用の居住区画が存在しているとされている。これらの用途としては、連合国に本土が占領された場合に備え、本陸上戦艦を旗艦として皇室を奉じ武装要塞国家として独立宣言する予定だったとのことで、"日本最期の砦"として東京湾沿岸に配置される手筈であった。しかしながら、結局戦局の悪化に伴いジンラ號共々、開発は断念されたようだ。また、本艦は所謂陸上戦艦として建造されたが、他にも軍の計画段階では空を飛ぶ飛行戦艦としての案も存在していたとのことで、「轟烈睦」という名前と飛行戦艦案が存在したという設定から、本艦の元ネタは、東宝特撮ファンにとっては馴染み深い「あの艦」のことではないかと思われる。
    • ちなみに、この轟烈睦の撮影用ミニチュアは、本作より遡ること1981年に劇場公開された東宝特撮戦争映画「連合艦隊」のものを流用・改造して製作されたと言われている。
  • 旧日本軍の博士役として出演した伊武雅刀氏は、原口氏が本作で初監督を務めると聞いて、そのお祝いにとオファーを快諾したというエピソードがある。また木賃宿の男役の森本レオ氏は、たまたま別作品の撮影で近所にいたため、急遽撮影に参加したという逸話も存在している。
  • 監督の原口智生氏は、後に今度は日本海軍の改造兵士「海彦」が登場する『デスカッパ』を監督している。

関連タグ編集

特撮

改造人間 サイボーグ 架空兵器 超兵器 大日本帝国陸軍 十四年式拳銃 九九式軽機関銃 一〇〇式機関短銃


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