ウルトラマンをつくった男たち
うるとらまんをつくったおとこたち
1989年3月21日にTBS系列で放送。
実相寺昭雄の自伝的小説『星の林に月の舟』を原作とし、実相寺をモデルにした演出家吉良平治が円谷プロで『ウルトラマン』の制作に携わり、独自の演出観から他のスタッフとの衝突を繰り返しつつ演出家として成長していく。
ドキュメンタリーとして扱われることも多いが、原作執筆当時の実相寺はウルトラシリーズにあまりいい印象を抱いていなかった(平成シリーズに携わって以降は態度を軟化させている)こともあって脚色も多数含まれている。
ドラマ化に関しては実相寺と共に『ウルトラマン前夜祭』を手掛けた樋口祐三が「これをぜひやりたい」とオフィス・ヘンミに持ち込み、オフィス・ヘンミと飯島が所属していた木下プロダクション、そして円谷プロダクションで共同制作されたとしている。
しかし樋口が語ったところでは「僕は何もしてないよ。飯島さんを担ぎ出すダシにされたんじゃない?」とオフィス・ヘンミ側が主導した企画であるらしい。
『ウルトラマン』の出演者もキーパーソン的な役柄でゲスト出演しており、成田亨に相当するデザイナーの池田は黒部進が演じている。
樋口はドラマについて「あのドラマに描かれてた空気は、たしかにあの頃に近いよ。『ウルトラマン』当時はドラマの世界はピュアだったんですよ。スポンサーも含めてみんなピュアだった。作り手が尊重された時代だった」と語っている。
番組のラストには同年春に公開された『ウルトラマン大会』の鑑賞券プレゼントの告知があった。
- 吉良平治:三上博史
- 戸倉則子:南果歩
- 円谷英二:西村晃
- 宮城哲夫:山口良一
- 円谷一郎:三宅裕司
- 黒川進:円谷浩
- 桃井浩美:実相寺吾子
- 二条達也:住田隆(ビシバシステム)
- 石田豆吉:西田康人(ビシバシステム)
- 小柳昭三:藤波辰巳
- 池田:黒部進
- 飲み屋ひょうたんの親父:小林昭二
- 飯沢宏美:石田純一
- 加納幸子(吉良と恋仲の女優):国生さゆり
- 川島(円谷プロ支配人。市川利明または末安昌美に相当):仲本工事
- TBS演出部 金子課長:伊東四朗
- 山下(円谷プロ特撮助監督):柳沢慎吾
- 村川(怪獣アクター):毒蝮三太夫
- 高田(劇中の人物描写は有川貞昌に近い):大地康雄
- 和泉(音効技師):高田純次
- 和泉の妻:友里千賀子
- 機電:赤木優
- ウルトラマンのスーツアクター・大島:京本政樹
- ウルトラマン役の声優:栗田貫一
- TBSプロデューサー 片山:斉木しげる
- 円谷プロダクション本編助監督:アパッチけん
- TBS制作部:永島敏行
- 雑誌記者:泉谷しげる、小坂一也
- あけぼの荘の大家:原知佐子
- 東宝特技助監督:松山英太郎
- 東宝特技撮影班:加藤茂雄 ※ノンクレジット
- 藤井一子、咲浜小百合、出光元、市川勇、打出親五ほか
当初円谷英二役にはオフィス・ヘンミとも縁があった東宝ゆかりの大御所俳優を起用する構想だったが、オファーされたその俳優は円谷本人とも面識があり「俺が円谷さん?イメージと違うだろう」と断ってしまった。そこでオフィス・ヘンミが制作協力している『水戸黄門』を通じて縁があった西村晃の起用に至った。
- 私が愛したウルトラセブン - 市川森一原作・脚本のテレビドラマ。『ウルトラセブン』の制作現場を脚本家の視点で描く。
- ウルトラマンになりたかった男 - 佐々木守脚本のテレビドラマ。こちらは特にモデルとなった実話のないフィクション。
- ふたりのウルトラマン - 『ウルトラマン』の制作現場を脚本家の視点で描く。