概要
1962年10月7日から1965年3月28日までTBS系『タケダアワー』枠(毎週日曜19時からの30分枠)で放送され、忍者ブームの火付け役ともなった。全10部(計128話)。
1787年から1790年にかけての日本各地を舞台に、江戸幕府11代将軍・徳川家斉の腹違いの兄である松平信千代(大瀬康一)が秋草新太郎と名乗り、公儀隠密として旅をしながら、世の平和を乱す忍者集団との戦いを繰り広げる。
子供向けに制作されたためか、ひばり児童合唱団による主題歌が用いられたり、東映によるアニメ映画の集中上映期間内に本作のグッズを来館者に配付するなどの宣伝が行なわれた。
第1部は蝦夷が舞台で、アイヌ人と和人(日本人)の葛藤が描かれたが、重厚な内容ゆえ不人気であった。その反省で第2部から忍者との戦いを繰り広げることになり、子供だけでなく大人まで楽しめる痛快娯楽作品となって、最盛期には40%近い視聴率を取って、映画化や続編の制作につながった。
登場するさまざまな忍者や忍術は脚本家・伊上勝のアイディアによるものが多く、後の『水戸黄門』『仮面の忍者赤影』『仮面ライダー』などに活かされたとされている。また、時代劇ではあるものの、数人の忍者が乗る「潜水艦」が登場したこともある。
登場人物
- 秋草新太郎(あきくさ しんたろう) (演:大瀬康一)
- 霧の遁兵衛(きりのとんべえ) 演:牧冬吉
- 馬場周作 (演:大森俊介)
- 松平定信 (演:美川洋一郎、大宮敏、加賀邦男)
- 呑海(どんかい) (演:宇佐美淳)
- 光信女(こうしんにょ) (演:三影千絵)
甲賀竜四郎(こうが りゅうしろう) (演:友田輝)
- 百々地源九郎(ももち げんくろう) (演:勝木敏之)
- 甲賀白雲斉(こうが はくうんさい) (演:小林重四郎)
- 風摩小太郎兼良(ふうま こたろう かねよし) (演:天津敏)
- 朧 (演:佐賀直子)
- 牙竜道士(がりゅう どうし)(演:吉田義夫)
- 甲賀の金剛(こうがのこんごう) (演:天津敏)
- 黒風堂幻心(こくふうどう げんしん) (演:大竹タモツ、声:加藤精三)
- 瞳太郎坊(ひとみ たろうぼう) (演:外山高士)
テーマ曲
主題歌『隠密剣士の歌』(作詞:加藤省吾、作曲:[[[小川寛興]]、唄:ひばり児童合唱団、キング児童合唱団)
主題歌『江戸の隠密渡り鳥』(作詞:加藤省吾、作曲:小川寛興、唄:ボニージャックス)
挿入歌『我は影なり忍び者』(作詞:山崎正、作曲:川上英一、唄:佐賀直子)
『新隠密剣士』
大瀬康一版が終了した翌週から主演を林真一郎に変更した新作。1965年4月4日から12月26日まで同じくタケダアワー枠で全3部(計39話)に渡って放送された。
薩摩藩の公儀隠密で薩摩の影一族の若き頭領でもある影信之介が、様々な悪の忍者集団と戦う。本作品では主人公も忍者として設定された。
しかし、主役の交代やシリーズ自体の人気低迷により当初1966年3月まで放送予定だったのが3クールで打ち切られ、まだ放送枠が決まっていなかった『ウルトラQ』がタケダアワーで放送されることとなった。
登場人物
- 影真之介(かげ しんのすけ) (演:林真一郎)
- 霧の遁兵衛(きりのとんべえ)(演:牧冬吉)
- かなえ(演:白鳥みづえ)
- 大作少年(演:二宮秀樹)
テーマ曲
主題歌『秘影』(作詞:加藤省吾、作曲:小川寛興、唄:春日八郎)
挿入歌『影を求めて』(作詞:加藤省吾、作曲:小川寛興、唄:白鳥みづえ)
荻島真一版
『新隠密剣士』から8年後に荻島真一を主演に製作されたリメイク版。旧作と異なりカラー作品。1973年10月7日から12月23日まで、旧作同様TBS系『タケダアワー』枠で放送された。全12話。
松平信太郎が伊賀の抜け忍・賀夜猿(かやざる)と勇作少年らと諸国を周遊しながら、本多上野介配下の伊賀忍者・赤目の幻幽斉率いる十人衆と戦う。主人公の松平信太郎が徳川家康の長男・信康の落胤であるなど、設定が旧作と異なる。
実制作は東映京都。旧作でもプロデューサーを勤めていた西村俊一は、当時『水戸黄門』などの時代劇を手掛けていたため、脚本に同作品を手掛ける脚本家集団葉村彰子を起用した。企画段階では、旧作を手がけた脚本家の伊上勝も参加する予定であったが、西村と折り合いがつかず降板した。
しかし、世の子どもたちの間では変身ブーム真っただ中であったことから旧作ほどの人気には至らなかった。
『隠密剣士 突っ走れ!』
上記の荻島真一版の第2作目。1973年12月30日から1974年3月31日までタケダアワー枠で放送。全14話。
前作で赤目一党を倒した松平信太郎が江戸の全滅を企む新たなる敵・暗闇一党と戦う。
実制作は東映から宣弘社に戻り、脚本も前作の企画段階で降板した伊上勝が起用された。近代兵器を登場させたり、当時の人気アイドルが多数ゲスト出演したりして話題に。
本作が「タケダアワー」最終作となった。