概要
「デジモン」シリーズ第5作目となるアニメ作品。
2006年4月2日から2007年3月25日まで放送された。全48話。
いわゆるデジモン4部作から約3年の間を置いて再始動した。
今作はデジモン側の設定は原点回帰の色が濃くなっており、パワーアップ手段は最終形態を除けば通常の進化に戻っている他、
敵陣営も七大魔王やロイヤルナイツなど、従来の公式設定に則ったものが多い。
その一方、人間側については独自色が目立つ構成。
キャラクターデザインは中鶴勝祥氏が手掛ける少年漫画然としたデザインからやや大人びた風貌に変わり、それに伴ってメインキャラの年代も引き上げられた。
特に主人公である大門大はシリーズ一とも言える異色の存在であり、
名前やゴーグルの共通点を有していないことに加え、己の身一つでデジモンを殴り飛ばすという常識外れの戦闘能力を持っている。
他のメインキャラも、飛び級の天才少年・シリーズ最年長の選ばれし子供・デジモン世界で育てられた野生児など個性豊かなメンツであり、
彼等を取り巻く大人達がデジモンと明確な関わりを持つ、洗脳やトラウマと言った同情の余地のない明確な悪役が登場するなど、メインからサブに至るまで全体的にキャラが濃い。
異色のキャラクター設定に伴い、ストーリーや人間世界の舞台も従来から大きく差別化されている。
しかし、こうした歴代との雰囲気の違いを苦手とする視聴者もおり、加えて放送当時はアニメ不況期であったこと、シリーズ構成の反省の弁によれば「デジモンを家族で楽しむには中途半端な時期だった」ということから、デジモン人気の復興は果たせなかった。
不評を覆せないまま放送を終了したものの、突き抜けた個性を持つ大門大の破天荒さ、同情の余地のない分かりやすい敵役・憎まれ役を設定したことで、細かいことを考えず突き進むわかりやすいストーリーから、時を経て再び評価されている。
特に大門大による、ケレン味溢れるぶっ飛んだ描写は単純に映像として見栄えすることから話題となり、エンターテイメント性の高い作品として評価するファンが増えるようになった。
OPが和田光司担当でないことも批判の的となった。が、これは和田が病気療養後に活動を大きく縮小していたため。しかしファンからの要望が熱かったことから、本作の後期OP「ヒラリ」で満を持してメジャーに復活。デジモンシンガーとしての地位を不動の物とした。挿入歌も宮崎歩や谷本貴義担当ではなく、完全新規アーティストのまま、それも追加楽曲が一切なしという形で終了した。これは以降のシリーズでも例をみない。
2006年12月9日には劇場版 『デジモンセイバーズ THE MOVIE 究極パワー!バーストモード発動!』
が公開。同時上映は『映画 ふたりはプリキュアSplashStar チクタク危機一髪!』。なおプリキュアシリーズの劇場版が他作品の劇場版との併映となっているのは現在まで本作が唯一の例である。
本作でアニメ初登場となるデジモンは放送に合わせて発売された『デジヴァイスic』、『デジヴァイスバースト』、『デジウインドウ』に登場したデジモンの他、『デジモンペンデュラムX』シリーズや2005年に発売された『デジモンアクセル ジャスティスゲノム/エビルゲノム/ネイチャーゲノム/アルティメットゲノム』など2003〜2006年に展開されたメディアで登場したデジモンが多い(バンチョーレオモンやスレイプモン、メルクリモン、ベルフェモン、メタルファントモン、クレニアムモンなど)。うち、アグモン/ファルコモン(+ヤタガラモン)/クダモンは本作用にリデザインされ、ファルコモンにはレイヴモンという新規進化、アグモンにはシャイングレイモンルートが用意されただけでなく、X抗体版の設定も一部導入された。
ただし、本作新登場のパートナーデジモンには究極体こそ設定されているが、主役4人以外のDATSメンバーでは薩摩のパートナーであるクダモンの進化系であるスレイプモンを除いてアニメには未登場である。
ストーリー
3度の飯よりケンカが好きな中学2年生の少年「大門大」。ケンカに明け暮れていたある日、彼の前に恐竜のような姿をした奇妙な生物が現れる。
その奇妙な生物アグモンは、異世界デジタルワールドからやってきたデジタルモンスターであった。互いの拳を交わしたことで親しくなった大とアグモンは、デジモンと人間の共存を築く社会を作る秘密組織DATS(Digital Accident Tactics Squadの略称)の一員となり、人間界に現れるデジモンを退治することになる。
登場人物
トーマ・H・ノルシュタイン(CV:野島裕史)
DATS
Digital Accident Tactics Squadの略である国家機密省によって編成された対デジモン特捜チーム。
詳細は当該項目を参照。
フランツ・ノルシュタイン(CV:安元洋貴)
リリーナ・ノルシュタイン(CV:壱智村小真)
倉田軍団
ベルフェモンレイジモード(CV:安元洋貴)
メルクリモン関係
サーベルレオモン関係
聖なる都
イグドラシル関係
アルフォースブイドラモン(CV:鶴岡聡)
その他の人間
タカシ(CV:吉本理江子)
大川&小宮(CV:ビッグスモールン(ゴン、チロ))
橋口先生(CV:鶴岡聡)
ノルシュタイン家の執事(CV:景浦大輔)
主題歌
オープニングテーマ
「強ing! Going! My soul!!」(1話 - 29話)
歌 - ダイナマイトSHU / 作詞 - 比留間徹 / 作曲 - POM / 編曲 - 渡部チェル
「ヒラリ」(30話 - 最終話)
歌・作詞 - 和田光司 / 作曲 - Ikuo / 編曲 - SPM@
エンディングテーマ
「One Star」(1話 - 24話)
歌 - 伊藤陽佑 / 作詞 - 榊原智子 / 作曲 - POM / 編曲 - 大野宏明
「流星」(25話 - 47話)
歌 - MiyuMiyu / 作詞・作曲 - yukiko / 編曲 - 三宅一徳
挿入歌
「Believer」
歌 - Ikuo / 作詞 - 山田ひろし / 作曲・編曲 - 太田美知彦
キャラソン
「Beater!」
歌 - 保志総一朗 / 作詞 - 山田ひろし / 作曲・編曲 - 太田美知彦
「あぁ卵焼き」
歌 - 松野太紀 / 作詞・作曲・編曲 - 神楽坂直樹
「Friendship!!」
歌 - 釘宮理恵、神代知衣 / 作詞 - 比留間徹 / 作曲・編曲 - TATSUYA
「Cool Running」
歌 - 野島裕史 / 作詞 - 比留間徹 / 作曲・編曲 - TATSUYA
「いつまでも一緒に」
歌 - 中井和哉 / 作詞・作曲 - イズミカワソラ / 編曲 - 太田美知彦
「男魂(おとこだま)」
歌 - 竹本英史 / 作詞 - 山田ひろし / 作曲・編曲 - 太田美知彦
「TEAM?」
歌 - 保志総一朗、松野太紀、野島裕史、中井和哉 / 作詞 - 山田ひろし / 作曲・編曲 - 太田美知彦
各話リスト
No. | サブタイトル |
---|---|
1 | 俺が大だ!コカトリモン襲来 |
2 | 燃えろ怒りのデジソウル 闇にひそむフライモン |
3 | 帰ってきた天才トーマ!メラモンをぶっとばせ |
4 | 新チーム初出動!ドリモゲモンを追え |
5 | デジタルワールド突入!ドリモゲモンの罠 |
6 | 大・アグモンコンビ解消!?疾風ガルルモン |
7 | トーマの休日 爆裂ボンバーナニモン |
8 | ヨシノ玉の輿ゲット!?クリサリモンの影 |
9 | トーマ栄光なき戦い 暗躍トゲモン |
10 | マサル人生最悪の日 いたずらソウルモン |
11 | 親子の絆を取り戻せ イビルモンの幻惑 |
12 | 知香はボクが守る!ピヨモンの決意 |
13 | マサル新たなる力 完全体ライズグレイモン |
14 | デジモン少年イクト 森の番人ジュレイモン |
15 | 母さんの思い出 吠えろマッハガオガモン |
16 | 仲間はファルコモン!?モーレツ!ブロッサモン |
17 | 奇跡を呼ぶ歌声 ライラモン進化 |
18 | DATSチーム全滅!?激突メルクリモン |
19 | 標的はイクト!?ゴツモンの企み |
20 | 母親を救え、イクト ハグルモンの檻 |
21 | 人間界大パニック デジモン軍団進撃 |
22 | 倒せ究極体!怒涛サーベルレオモン |
23 | 再び、デジタルワールドへ インセキモン大暴れ |
24 | 明かされる過去 非情!ギズモン:AT |
25 | 倉田の野望をくだけ 飛翔ヤタガラモン |
26 | マサル記憶消去 失われた絆 |
27 | 倉田を追え デジモン殲滅作戦始動! |
28 | 進化不可能!デジヴァイス崩壊 |
29 | よみがえるデジヴァイス 新たなる輝き |
30 | とらわれたの大 聖なる都の罠 |
31 | 天才対決!トーマ対ナナミ |
32 | 猛攻倉田軍団 聖なる都を守れ |
33 | 最後の決戦!聖(コウキ)、究極進化 |
34 | 訣別の日 最強の敵・トーマ! |
35 | 破滅のパワー シャイングレイモン暴走 |
36 | 魔王ベルフェモン復活 |
37 | 目覚めよアグモン ベルフェモンを倒せ! |
38 | バーストモード 究極を超える力 |
39 | 人間界消滅!イグドラシルの決断 |
40 | 最強騎士団ロイヤルナイツ集結! |
41 | 拳でたしかめろ!父さんの想い |
42 | トーマ決意のバーストモード |
43 | 力こそ正義!獣騎士ドゥフトモン |
44 | 砕け!クレニアムモンの最強の盾 |
45 | 男と男のタイマン勝負 大VS英 |
46 | 衝撃!バンチョーレオモンの真実 |
47 | 未来を守れ!DATS最後の戦い |
48 | 完全決着!さらばケンカ番長 |
特別編 | アグモン!ガオモン!ララモン!爆裂!場外ラストバトル! |
作中のデジモンについて
- アニメシリーズには珍しく、「進化」→「質量の増加」のロジックに基づいており、完全体から小型化するのは、レイヴモンやバンチョーレオモンなど少数である。過去作に登場した究極体でも従来より遥かに大型に描かれていることがある。
- 初期からいる主役の3人のパートナーは、究極体への初進化が全員同時という歴代でも極めて異例。さらにラスボスにトドメを刺す形態がほぼ成熟期同然(扱いは究極体との説も)+人間というのも異質。
- デジモンクロスウォーズ~時を駆ける少年ハンターたち~のOPで主役デジモン3体がデジクロスするシーンの背景にはクダモン、ララモン、ガオモン、ファルコモン、ガワッパモンとセイバーズでパートナーデジモンを務めたデジモンたちが描かれていたりする。
- なお、本作で初登場した主要人物のパートナーデジモンには全て専用の究極体が設定されており、劇中で全て登場する事はなかったが、ゲーム作品で晴れて全種登場した。
- 作中のデジモンは『デジソウル』というエネルギーで進化する。このデジソウルは人間に宿るエネルギーで量に応じて進化先が決まる。必ずしも、デジヴァイスにデジソウルを込める必要はなく、知香とピヨモンのようにデジソウルがあればデジモンは次の世代に進化できる。(初期の敵デジモンも人間のデジソウル(特に七つの大罪に関する感情由来)の影響でリアライズ、暴走していたらしく、実質的にその人間のパートナーデジモン(になる素質があった)ともいえる。)
- ただし、大は自力でデジソウルを起こせず、デジモンやデジタルワールドの壁を殴らないとデジソウルを発生させる事はできない。また、素質があれば誰でもデジソウルを発生させる事が出来、最終話では小百合、ルカ(イクトの実妹)、祢音、リリーナ、白鳥一家、早瀬一家、イワンと弟達、ナナミが大たちにデジソウルを送っていた。
- また、込める量によってはデジヴァイスが破損してしまうが、デジソウルを増大・洗練する事で大らのデジヴァイスが一新された(薩摩のものは大らと同じicだが、バージョンが異なるので機種変はしていない)。
- デジソウルは感情によって暴走する事もある。大の憎しみによってデジソウルチャージがされた結果、シャイングレイモン:ルインモードが誕生した。
- デジソウルの正体それは『人の思いの力』である。人の情念に引き寄せられたデジモンがリアライズするように、進化にもまた影響を及ぼすのだ。よってデジソウルを付与してデジモンを進化させるという表現は厳密には正しくなく、人間とデジモンが力を合わせる事が『デジソウルチャージ』の本質なのである。
- 特に誰かを守りたいという思いを含めた欲望をコントロールし、練り上げた時、初めて究極進化への道が開けるとはバンチョーレオモンの談。
- デジソウルは漫画『デジモンネクスト』でも流用されたが、ユウがデジソウルを制御できずにガオガモンを不完全な形で進化させたり、殺意のままにチャージさせた結果、ブラックガオガモンに暗黒進化してしまった事もある。
- 同作ではオリジナルのデジソウルチャージとしてテイマーの命を削る『バーストチャージ』が登場している。
演者について
ヒロイン役の声優は、当時芸能界における進路についていろいろ模索していた新垣結衣。一年間レギュラーでアニメ声優出演していたのは語り草となっている。
それ以外にも、時期的な背景もありお笑い芸人のゲスト出演が盛んに行われていたのも特徴であり、特にゴツモン役で準レギュラー出演していた前田健は、本作での出演が縁となって後にフレッシュプリキュア!への出演に繋がっている。
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別名・表記ゆれ