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暴力装置

ぼうりょくそうち

国家権力によって組織化され、制度化された治安維持組織を指す社会学用語。
目次 [非表示]

概要編集

暴力装置とは、国家組織が保有する治安維持機構のある意味での学術用語である。



『防人』

具体的には、警察軍隊のこと。


広義には政府、国家など強制力を持つ公権力全般を含む。


なぜに‘暴力’?編集

どうして「暴力」装置なんですか?

暴力はいけないことではないのですか?

みんな仲良く出来ないのですか?


こんな素朴な疑問を抱いていたら、こんな質問をしたい。


Q.武器を持ったテロリストの一団が人質をとって某所に立て籠もりました。相手と話し合おうとしましたが、犯人たちは交渉自体に応じようとしません。このままでは人質のが危ないです。どうしたらいいですか?


A.テロリスト達を逮捕するか、殺害するしかない。そして、人質となっている人間の安全を早急に確保するよりない。



このような際に、「無法な暴力に対処できる能力」と「秩序(=平和)を強制する力」すなわち暴力実力行使)の権限が与えられた警察や軍隊(自衛隊含む)等が投入される。


暴力装置とは、国家と国民の安全を脅かす犯罪戦争災害発生などでの混乱、言い換えれば話し合いなどという悠長な手段をとっている暇がない非常事態に臨機応変に対処し、その究極の手段として‘暴力’の権限が認められた集団こそが実態である。

すでにこうした考え方は古代ギリシアの哲学者や春秋戦国時代の諸子百家の一部から萌芽が見られ、中世末期にイギリスのトマス・ホッブズ社会契約論で有名な著書『リヴァイアサン』の中で「公権力が個人や集団の武装を解除し、暴力(武力、自衛力、治安維持能力事態ect)を一元管理する事によって、はじめて秩序が維持できる(そうでもしなければ各々が勝手なことをはじめて社会は無秩序になる)」という趣旨の提議を行う。

さらに時代が下って19世紀にドイツのマックス・ヴェーバーが著書『職業としての政治』にて「主権国家(=近代国家)の条件は、暴力の独占によって(その国の)法規制に従わない強引な暴力の使用をコントロールできなければならない」という意味合いの主張を展開した。

これが『暴力装置』という用語の最初の使用例であり、以降、世界各国の基本理念となった。


つまり、世界基準では‘暴力の独占’つまり治安維持能力のある程度の一元化が行われなければ社会や国家は成り立たないと考えられていて、その大本をたどれば各コミュニティ(封建領主部族ect)が無秩序に行ってきた戦争行為その他を君主政府の責任の名の下に管理したほうが賢明であるという哲学にたどり着く。


ここまで読めばわかる通り、この場合の‘暴力’とはあくまで社会と個人の秩序の維持するための手段一つを形容しただけであり、善悪という抽象的な価値観は含まれない。


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