概要
2018年8月中にオンライン小説投稿サイト『小説家になろう』にて連載されていたライトノベル作品。作者は谷尾銀氏。
2023年3月21日には外伝が連載される。
記事のタイトルはコミカライズ版で、WEB版の正式名称は『殺されて井戸に捨てられたチート怨霊がイケない勇者とハーレム美少女達にコワーイお仕置きイッパイしちゃうゾ!』とコミカル風になっているが、かなりのタイトル詐欺のため、閲覧には注意を。
心優しい聖女が理不尽な理由でクズな勇者と仲間達に殺された挙げ句、亡骸を井戸に捨てられた後に強大な怨霊となって復活し、勇者達に復讐を成し遂げるダークファンタジー作品。
本編は30話にも満たないが、作中のほとんどに胸糞・鬱・グロ要素をこれでもかと詰め込んでおり、なろう小説では珍しいファンタジーホラーサスペンス。
作中に登場するキャラクターは勇者達を筆頭にクズばかりな上、数少ない善良寄りなキャラクターたちも人を見る目が致命的に無かったりと大きな問題を抱えており、彼らの因果応報な末路が見どころとなっている。
ミッドナイトノベルズにも掲載されており、話の一部が凌辱シーンなどに差し替えられている。(※R-18Gのため閲覧には注意を)
なお、本編25話は当初、小説家になろう版(一般向け)には掲載出来ないほどの内容を記載していたことで運営から警告を受けたため、後に大幅に改変した話に差し替えられる。(事の顛末についてはこちらを参照(外部リンク))
ちなみに、ミッドナイト版の25話は当初一般向けに掲載されていた内容をマイルドにしたものである。当初の一般向けの内容は電子書籍アプリ『まいどく』で掲載されていたが、アプリ終了とともに現在では削除されており、以前はどんな内容だったかは確認する方法は無くなっている(作者も公開は考えていない模様)。
書籍化はされていないが『ガンガンONLINE』にて、コミカライズ版の連載が開始する。作画は七清水くらげ氏。既刊2巻。
大筋は原作通りだが、原作では詳しく描かれなかった場面や展開が一部変更、加筆されている場面がある。
あらすじ
世界を救う旅に出た勇者ナッシュ・ロウに同行していた聖女・サマラは、ある日の夜、ナッシュに迫られて拒否したことで理不尽に逆上した彼に暴行を受けて動かなくなってしまう。ナッシュと仲間の女性達はこの不祥事を揉み消すべくサマラの遺体の隠蔽を決める。だが、女性達がサマラの遺体を運んでいる途中、サマラは辛うじて息を吹き返すも、日頃から彼女のことを疎ましく思っていた彼女達に止めを刺され、井戸に捨てられる。
その後、魔王を倒したナッシュ達は、王国に帰還した時に「聖女は魔王に寝返った」と噓を吐いて彼女を貶め、彼女の両親も謂れのない誹謗中傷の末に自ら命を絶つ。
ナッシュは仲間達と結婚し、新たな新居を構えて幸せな生活を送るはずだった………
だが、ナッシュ達は気付いていなかった………
井戸に捨てられた聖女は、殺された怨念から最早手の打ちようがないほど強大な怨霊となっていたことを………
そして、かつて聖女に助けられるも勇者パーティーに皆殺しにされた魔族のうち、善良なオークの生き残りが自身と彼女の無念をはらすべく自らを生贄とすることで聖女は怨霊として復活、自分を貶めた者達への復讐を始めたのであった………
登場人物
※この項目にはネタバレ情報が多分に含まれておりますので、コミック派の読者はご注意下さい。
- サマラ
主人公の聖女でこの物語で群を抜いて聖人。処女の間のみ使える回復魔法を持っており、それでパーティをサポートしていた。地味で素朴の印象だが、聖女の名に違わぬ非常に優しい性格で、旅の道中で負傷したオークの子供の手当てをしていた。
王都近郊の農村・マグダラ村で父・エデルと母・ソフィアの3人で暮らしていた。5歳の時に回復魔法を突如開花させ、それからは無償で病人や怪我人などを治療していた。10歳の時に法皇庁から来た奇跡認定官に「清らかなる乙女のみに許された特別な力である」と教えられ、聖女と認定される。
だが、16歳の時に勇者・ナッシュとの出会いを契機に、彼女の運命が大きく狂い始める。
勇者パーティーの一員として旅をしていたある日、宿場町アンルーヘの宿屋で、ナッシュに(処女でなければ魔法が使えないと知っているにもかかわらず)性交を迫られたため激しく拒否すると、逆上した彼に半殺しに遭い生死の境を彷徨う。サマラが死んだと思いティナ達が死体を捨てに運ばれている最中、息を吹き返すも日頃から自分を目障りと思っていたティナ達に止めを刺されて、亡骸は燃やされて井戸に捨てられる。
その後、ナッシュ達が魔王を討伐した後、ティナによる「魔王側に寝返った」との嘘で陥れられて彼女の聖女としての名声が地に堕ち、『稀代の毒婦(ミッドナイト版は『稀代の淫婦』)』として事実無根の悪名を広められる。両親を始め、彼女に助けられた人々は無実と訴えていたが、勇者達を支持する人々に迫害されて両親らは命を落とすばかりか、次第に助けた人々からも掌を返されて彼女を貶め始めた。
一方その裏で、彼女は殺された恨みから闇の力を得て強大な怨霊と化しており、正体不明のよからぬ気配を察した神竜によって封印されていた。だが以前に彼女が助けたオークの生き残りが、彼女の誘いによって自らを生贄に捧げ彼女を蘇らせてしまう。
そして、彼ら並びに世界への復讐へと動き出す……。
呪いを何とか抑えていたが真相を悟って勇者達を見限った神竜が死ぬと、サマラは王国全土に呪いを掛けて勇者達の加護と王国民全員の魔力を奪う、天候を操って作物を不作にする、これから誕生する新生児全員がオークのような豚の頭をした奇形児として生まれてすぐに死ぬ『豚頭病(ぶたあたまびょう)』なる奇病(の体裁の呪い)を起こす等々、もはや神話級の厄災を振りまき徐々に王国を破滅へと導く。自身も王国の各所に隙間風のような擦れた呼吸音と焦げ臭い異臭とともに現れ、特定の相手に過去の映像を見せて真実を突きつけたり、謎の人体発火現象を起こしている。
コミカライズ版では、ナッシュに半殺しにされて一時幽体離脱状態となるが、アンデッド化防止の処理直前に息を吹き返す。最初こそティナ達は(アンデッド化防止処理で殺そうとした気まずさこそあったものの)手当てのためにサマラを宿に戻そうとするが、サマラは「ナッシュに殺される」と拒絶。だが、ティナ達は仲間を殺そうとした咎でナッシュと離れる事態を嫌ってか、当事者のサマラに対し「犯人はナッシュではない」と無理な誤魔化しを続けるも、サマラは「ナッシュが誘ってきて拒否したら殴られた」と訴えると、3人はまるで「3人よりも自分の方が魅力的だったからナッシュが迫って来た」とでも曲解したのか、逆上するままに「お前が色目を使ったからだ」「お前から誘ったはずだ」等と言い掛かりを付けられた挙句リンチを受ける。更に「『まだ処女である』かの証明」と称して白木の杭で、処女を無理矢理突かれて失神すると、そのまま3人に殺される。
魔王討伐後、ティナ達の嘘で『稀代の毒婦』の悪名が広まった際、故意に人相が悪く描かれたサマラの人相書きが出回り、民衆の彼女への憎悪と怒りを煽り高めていた。以前助けたオークが民衆にリンチにされて川に捨てられた際、彼の精神世界に現れて無言のまま彼に自分と両親の顛末を教え、彼に自分の亡骸がある井戸へ向かうように導いた。
この物語の中では人格者である事は間違い無いが、人を見る目の無さにかけてはティナ達とどっこいであり、ナッシュの事も暴力の矛先が直接自分に向けられるまで「女好きだけれど根は善人」と誤解しており、聖女としての役割に区切りが付いたら貞操を捧げる心算だった。
また、博愛精神故に誰にでも同じような善意で接する為に、ティナの抱くコンプレックスの厄介さに気付く事が無く悪意ゼロで地雷を踏みまくり、唯一の友人だったガブリエラも味方として繋ぎ止めて置く努力を怠る形になっている。相手の性格や事情に合わせて配慮する能力に関しても人を見る目の無さ同様に問題が有ったと言わざるを得ない。
- ナッシュ・ロウ
勇者。元は宿屋の1人息子だったが家業に嫌気が差していた折りに、女神によって勇者に選ばれ、女神の加護を受けて強大な力を得る。
外見は(今では)整ってはいるものの、その実態は気に入らない事態に遭うと逆上のまま顔を歪ませつつ暴行、(美女であれば)相手の隙を見つけては手を出すなどの悪事を平然と行う悪人。更に横暴、傲慢、自分勝手、自己中、無責任、責任転嫁、ご都合主義等々……汚点を挙げれば切りが無い悪徳勇者。
更に、仲間候補を精査する意思も能力も無く、相性の悪い者同士を調停する事もしないなど、リーダーや指揮官としての能力も欠落している。
ある日、サマラに手を出そうとするも断られるや、逆上して彼女に暴力を振るって半殺しにし、死んだと思って仲間に遺体を捨てさせる。
その後、運良く魔王を倒して凱旋し、王が与えようとした爵位や領地の褒美を固辞する代わりに、法律で一夫一妻制と決められていたのを「特例で一夫多妻制を許可してほしい」と望み、それが叶えられて3人の仲間を嫁に迎えると、魔王を倒した偉業と名声でハーレムを築いて酒池肉林の栄華を存分に楽しもうと目論む。
自分が殺したサマラの怨霊が復讐を目論んでいるとも知らずに……。
魔王討伐から帰還した時にはすでに両親は死んでいたが、表向きは悲しみつつも清々した様子でさっそく宿屋を取り壊すと、代わりに豪邸を建てて大勢の美女のメイドを雇った。尚、この時にはすでに嫁に迎えた3人への愛着が薄れており、国の王女であるレモラ姫と3人の結婚式の当日から浮気を始め、それからは雇っているメイドなど多くの女性に次々と手を出していた。その後、ガブリエラの妊娠が発覚すると、それを嫌がって王族や貴族ばかり相手にするようになり、あまり家に帰らなくなった。
だが、それに前後して王国全土に謎の奇病の蔓延や、自分を含む王国民全員の魔力が失うなど深刻な事態に陥っているのに気付かず、いつしか人々の間でこれらの異常現象を「殺した魔王の呪いでは?」と囁かれて以降、『魔王を倒した英雄』から一転し『王国に呪いをもたらした元凶』として人々から恨まれるようになり、破滅への転落が始まる。
久々に家に帰った時にあまりに粗末過ぎる食事を出されて激怒するが、ミルフィナから「謎の奇病が蔓延しているのは自分達の所為になっている」扱いを知り、それによって商品を売ってくれない状況に抗議しようとギルド本部に向かう。だが、道中で帰還当時のような活気が嘘の様に荒廃した街の様子に戸惑い、辿り着いたギルド本部前で奇病による妻の死産からナッシュに逆恨みを抱いていた門番に殴られてしまい、すぐに門番を殺そうとした時に初めて女神の加護が失っている現実に気付き、それを悟られないように人々の憎悪の視線と罵声を浴びながら立ち去った。その後、民衆からの報復を恐れて「王と王女の警護」を名目に嫁の3人を見捨てて王城に引き籠もってしまう。また、追い出される事態を恐れてレモラ姫と愛を語り合い、彼女を一途に愛するようになる。奇病の蔓延と飢餓で王国が末期状態となり、それによって王国内の治安が著しく悪化し、民衆から勇者の力を請われても仮病を使って拒否したため、ますます憎悪を高める苦境と陥る。
遂に反乱軍に王都が蹂躙・王国の崩壊が秒読みになると、ナッシュは王に「呪いの正体を突き止めよ」との使命とレモラ姫を託されて共に隠し通路から王都を脱出する。それからは『ナッツ・ローズ』の偽名で素性を隠して、ベルフリンクル国の片田舎にあるシャルフ村で2人で住んでいたがそこに祓魔官の2人が現れて……。
- ティナ・オルステリナ
魔法使い。巨乳でツインテールの美少女。非常に嫉妬深く、仲間だろうが平然と蹴落とす野心家な性格。
元は魔法を極めんとする者達が大勢暮らし、日夜知識の探求と魔法の腕前を競い合う『賢者の塔』にいた魔導師の1人。故郷では幼い頃から魔法の才能があると周囲に持て囃されていたが、塔では自分以上の才覚がある者ばかりだったため、初めて挫折を味わっていた(賢者の塔の卒業生で元宮廷魔術師でもある母の見立てで「潜在能力は自身と同等以上、ただしプレッシャーに弱い」と評されているので、才能自体は傑出とまでは行かなくとも賢者の塔で十分通用するレベルだったものの、些細なスランプを切っ掛けに悪循環に陥っていたと思われる)。そんなある日、ナッシュ(とサマラ)が魔王の秘密が眠る遺跡を探すために賢者の塔を訪れ、そのガイドに他の優秀な魔導師を差し置いて、自分を指名してくれたのをきっかけに彼を深く恋する(恐らく、才能ではなく胸が大きかったからと思われる)。出会ったその日にナッシュと関係を結び、ガイドの役割が終わった後も賢者の塔には戻らずナッシュに同行する。
サマラの遺体を捨てに行った際、自分の故郷に伝わるアンデッド化防止のための処理方法(白木の杭で心臓を突き刺し、首を切断して遺体を燃やした後に聖水をかける残忍な方法。尚、この手法自体は現実世界における『吸血鬼退治』のメソッドを複合したもの)を提案する。魔王討伐後、国王達との謁見の際に「魔王との戦いの最中に死んだ」と告げれば良いのを、あえて「サマラは魔王側に寝返った」との嘘を吐いて彼女を貶め、サマラの両親の自殺(と自分達の破滅)のきっかけを作った。
だが、ナッシュと結婚したものの、次第に彼と接する回数が減っている現状の危機感から情緒不安定に陥り、物やメイドに当たり散らすようになり、更にそんな自分への嫌悪感を誤魔化すため、たちどころに癒やす代わりに高い依存性を持つ(安価で低品質な)エリクサーを乱用し続けて中毒者になっていた。更に謎の影(正体はサマラの怨霊)が見えるようになって錯乱状態に陥り、遂にガブリエラの妊娠がトドメとなって……。
3人そろって性悪なのは事実だが、この内ガブリエラとミルフィナは単にナッシュと出会った故に運命が歪んでしまったが、ティナに関しては彼との出会いのみならず、出会いの時点で生い立ちへの不満と唯一の家族である母への誤解、実力とプライドの不一致とそれによる挫折で慎重なケアが必要な状態に追い込まれており、サマラの存在が「ティナ自身が望んだ未来そのものを掴んでいた」ようにも見えるなどで、自身の劣等感を常に刺激されていた上に、後述の様にサマラ自身も悪意が無かったとは言えティナを激怒させる事が必然の行為をやらかしてしまっており、彼女への私怨が凄まじいものと化していた……が、それによって上記の愚行(=サマラへの執拗な死体蹴り)を繰り返し全ての破滅を招いてしまった。
後述の様に、ティナは母子揃って父親に見捨てられた生い立ちを母から聞かされていた上に、母が娘の学資を貯金する為に売春せざるを得ない程に金策に苦しみ、スパルタ教育の末に賢者の塔に入学した身の上なので、愛情深い父親とその気になれば幾らでも金を稼げる能力が羨望の的だった事は想像に難く無く、自分が死ぬ程欲しかったもの悉くを置き捨てた形のサマラへの第一印象が良く無かった点だけは同情に値する。
ティナの性格が多少良かったとしても、生い立ちに起因するサマラとの相性の悪さと軋轢が生じていた事は間違い無く、其れを埋めるには本人達の努力の他に調停役の責務が大きい事は必然である。
仲間にしようとする人間の性格や事情を精査せず、調停の努力を怠ったナッシュの責任は重いと言わざるを得ない。
また、ティナのサマラへの悪意が決定的になったのは、ティナがナッシュの本命の座を射止めて幸せの絶頂だったタイミングで、事情を熟知している筈のサマラがナッシュに恋する余所者のガブリエラを手助けして仲間に入れてしまった一件である。この件に関してはサマラが辟易する程に熱愛振りと性欲を見せていたティナが潔白だったとも言い難いが、同時にサマラも事の重大さを理解せずにティナの怒りを買う行為をやらかしてしまっている。一夫一妻制が常識化している文化圏の出身者が自分の男を寝取ろうとする相手以上に、事情を熟知しているにも拘らずそんな輩を自分への配慮も無くホイホイ手助けする仲間を危険視するのは当然と言えば当然である。
ガブリエラやミルフィナと異なり、ティナはサマラから激怒に値する仕打ちを受けていたが、なまじその場で怒りを抑え込んだためにサマラに落ち度を認めさせる事も自分の中で整理を付ける事も出来ずに悪意が膨れ上がり、殺害と死後の名誉棄損と言う過剰報復にも程がある行為に走ったと言える。
最期の瞬間に本当の意味で正気を取り戻して自分の心の狭さと弱さを認めた上でサマラへの誠心誠意の謝罪と共に潔く罰を受け入れた。
ちなみにコミカライズ版ではメイドに対しても暴力を振るっており、精神崩壊を起こして以降メイド達から「いい気味よね。もうヒスられなくて済むんだし」とこき下ろされていた他、後述のガブリエラの悪女化の一因であったとも明かされた。
- ガブリエラ・ナイツ
戦士。魅惑の美少女。とある戦場で生まれ傭兵団に育てられる。何事にも自分が1番でないと気が済まない性格。
元々はある程度成長したら娼館に売られる予定だったが、男子の様に身長が高く逞しく成長したため買い手が付かず、更に武術の才能を開花させて下手な大人の男よりも強くなったのもあり『戦士』として扱われる。
斧を得物とし傭兵時代はその圧倒的な強さから「血被り姫」と呼ばれていた。だが、それによって女性らしさが無い自分にコンプレックスを抱えていた。
傭兵団が砂漠の小国シャムシャハルに雇われ、その国の秘宝を狙った魔王軍と戦いになった際、シャムシャハルに滞在していたナッシュ達と合間見えて際に彼に一目ぼれする。
魔王軍に圧勝し、その後に祝賀会が開催された際、最初は自分に似合わないと辞退しようとしたが、ナッシュの「ドレス姿を見てみたかった」発言で出ようとした。しかし、ドレスを着る以前に選び方も分からず悩んでいたところに偶然見かけたサマラが相談に乗り、ガブリエラのためのドレスを仕立て、化粧も施されて美女に変貌。
祝勝会では美しく変貌したため周囲に驚愕されて注目される。更にナッシュにダンスパートナーに指名された後、口説かれのもあって至福の気持ちに満ち溢れ、祝勝会後にナッシュと関係を持ち、そのまま傭兵団を飛び出してナッシュ達に同行する。
最初は自分の元にナッシュを導いてくれた恩義と、女性らしい自分に生まれ変わらせてくれたサマラに友好的だった。
しかし、コンプレックスの解消に伴い傲慢になっていき、次第に恩人のサマラのみならず、仲間であるティナとミルフィナも見下すようになる。
また、コミカライズ版の増補によると、当初こそサマラと普通に接していたが、後にティナとミルフィナのサマラに対する執拗な嫌がらせを行っていたと知るや、ガブリエラは「勝ち組にならないと自分も追いやられる(=サマラに嫌がらせをしないと自分も嫌がらせを受ける)」恐怖から、2人の嫌がらせに荷担するようになった経緯が判明した。
3人の中で唯一ナッシュとの子を身籠るも、その結果の末に……。
- ミルフィナ・ホークウインド
弓使い。エルフ族の少女。退屈なエルフ族の生活に嫌気が差し、森から出たがっていたところをナッシュ一行に拾われる。
一行の中では仲間意識がある方だが、それは情に厚いなどではなく、心の底で他の2人を見下していたから。また、3人の中で「自分が1番優れている」「寿命の差で最終的にナッシュは自分だけを愛してくれる」などと思い上がっている。
ナッシュから初めてプレゼントしてもらった、ミスリルのブレスレットを大切にしている。
2人が壊れた後、王国が衰退の一途を辿り、メイド達が全員逃げ出しても最後まで2人を世話していたが、崩壊していく生活に遂に限界を迎え、2人を見捨てて故郷の大自然に帰ろうとする。だが、その道中で奴隷にする為に移送される(マグダラ村の)女子供を乗せた商隊と、それを狙って襲い掛かる山賊を目撃。最初は見捨てようとするも僅かな良心の呵責で助けようとするが、魔力を失い魔王討伐から鍛錬を怠っていたのも重なり矢がほとんど当たらず、遂には崖に追い詰められ突き落とされてしまい……。
コミカライズ版では上述の通り、ガブリエラの悪女化の一因であったと判明する。
- レモラ姫
アッシャー王国の王女。王女らしく賢く要領が良いが、男の見る目が無い。
ナッシュの浮気相手であり、最初は彼を疎ましがっていたが、次第に彼に惹かれていく。勇者パーティの面々と比べれば、性格はまだマシな方。
奇病の蔓延と周辺国からの経済封鎖などにより、崩壊していく自国の惨状を目の当たりにして「これは自分がナッシュを拒否出来なかった天罰だ」と考える(彼女の考えはある意味当たっている)。それでも城に引き籠もったナッシュを追放せず愛を語らい合って甘やかし、勇者に治安維持を請う民衆を拒否するナッシュに協力して彼の仮病を認めるなどの愚行を続けてしまった。
王国が崩壊し、父親の王に「呪いの正体を突き止めよ」と託されて隠し通路からナッシュと共に脱出する。その後『レイラ』の偽名でナッシュと結婚・懐妊する幸運にも恵まれ、このままシャルフ村で幸せな家庭を築けるかと思われた矢先、そこに招かざる者が現れて……。
- オットー・ウェストリアス・アッシャー七世
アッシャー王国国王でレモラ姫の父。本名は本編では明かされなかったが、外伝で判明。『アッシャーの金獅子』の異名を持つ。
魔王討伐から帰還し、勇者達が発した「サマラは魔王側に寝返った」との嘘をサマラの両親が糾弾した際、勇者達を信用して2人を追放する。その後、ナッシュが望む「複数の女性との結婚」を(王家に勇者の血を入れる目論見もあって)特例で許し、ナッシュとレモラ姫との間に子供を産ませるべく『武術指導顧問』の肩書を与え、城の自由な往来を許した。
王国内で魔力の消失と奇病の蔓延、作物の不作など異常現象の報告は耳に入っていたものの、深刻に捉えず「すぐに収まる」と楽観視していたが、次第に周辺国が『闇の力による呪い』と気付いて飛び火を恐れて経済封鎖を行って慢性的な物資不足に陥る、『エリクサーが奇病の特効薬になる』デマが広まって粗悪なエリクサーが大量に流通して中毒者が続出する等、気が付けば取り返しがつかないほど王国が荒廃、末期状態と化した末にバエル公の反乱が勃発。8千の兵を率いて進軍してきたバエル公に対し、3万の王国軍で迎え撃つが、エリクサーの売買で得た大金で異国の傭兵(呪いの対象外のため魔力を失っていない)などを雇ったバエル公軍に対し、魔力を失っている上に日頃の食糧不足と治安維持による疲弊で士気が最低の王国軍では戦いにならず、瞬く間に蹴散らされて王都にまで侵攻されてしまい、殺戮、略奪、放火、凌辱など王都内は地獄絵図と化する。
ナッシュとレモラ姫に「王国を崩壊させた呪いの正体を突き止めよ」と託して隠し通路から逃がし、自身は何人かを道連れにするつもりでその場に留まったが、反乱軍が部屋になだれ込んで来たのと同時に放たれた弩を胸に受けて致命傷を負い、誰も殺せなかった己の不甲斐なさを悔いて死に迎えようとしたその瞬間、死神(その正体は呪いの元凶であるサマラ)を見て息絶えた。
王としての責務は全うしていたため、勇者パーティの面々などに比べればまだマシな部類に入るものの、ティナの嘘を鵜呑みにしサマラの功績や彼女の両親の言葉を封殺する、ナッシュを『勇者』の実績だけで厚遇する、国内の異変を察しながらも即座に対処しなかった等々、国のトップとしては些か資質が欠いた人物なのも事実であり、上記の破滅は必然かもしれない。
王の死によってアッシャー王国は事実上滅亡したが、反乱を起こしたバエル公も本陣で発生した謎の火災によって焼死したため、完全な無政府状態となった。だが、周辺国は呪いを恐れて難民の受け入れを一切拒否し、逃げ場を失った王国民達は王国内で留まざるを得なくなり、後に呪われた地として魔境と化し、アッシャー王国は闇に葬られた。
尚、反乱を起こしたバエル公は、王都内で殺戮と凌辱の限りを尽くす狂人と化していたが、焼け残っていた日記に「頭の中の声に命令された」と記されており、何者かに唆されたような様子であったが真偽は闇の中となった。
- フォックス・マーダー、ダナ・スケアリー
法王庁に属する祓魔官の2人組。フォックスは眼鏡を着けた白髪の男性、ダナは不健康な空気を纏う赤毛の美女。
王国崩壊の契機が「『魔王の呪い』の正体が怨霊と化したサマラである」と突き止め、それを鎮めるべく片田舎で隠棲する元凶のナッシュの元に来訪し、彼をサマラの亡骸が眠る井戸のあるアンルーヘへと連行する。
その志や言動から、彼らが亡きサマラを想って行動を起こしているように見えるが……?
実際は聖女認定を受けた者が魔王にくだってしまったという醜聞によって落ちた法王庁の信頼を取り戻す為、その為ならナッシュがどうなろうとサマラが救われなくても呪いが鎮静化してくれれば構わなかったである。(もっとも、同僚が自分たち以外全滅した上に大陸が滅茶苦茶になってしまっていたので致し方ない点もあるが)尤も、ナッシュの行いは心底嫌悪しており、「サマラが救われればベスト、法王庁の無実が証明されて呪いが収まれば最低限の成功」との思惑だった感がある。
- エデル、ソフィア
サマラの両親。
エデルは元冒険者の余所者で、ソフィアは行き遅れていた村娘だったが、エデルが村にやって来た時に2人は結ばれ、その1年後にサマラが生まれる(ちなみにソフィアの方が5歳年上)。
魔王討伐に向かったサマラの帰りを待っていたが、帰還した勇者パーティの中にサマラがいない状態に気付き、すぐさまナッシュ達に問い質すとティナに「サマラは魔王に寝返った」と嘘を吐かれてしまい、娘を信じてナッシュ達を糾弾するが、勇者達を信用する王達によって逆に自分達が追い出される。その後『魔王に寝返った聖女の両親』として周りから誹謗中傷と排斥の末に、自ら首を吊って命を絶った。最後まで娘の無実を信じており、その旨の遺言を遺していた。
だが、村人達は当時の2人の結婚を一応祝っていたものの、結婚当初は2人を『余所者と行き遅れ』と嘲笑し蔑み、サマラの能力が判明した後は『幸運を掴んだ偽善者』と妬まれ逆恨みしていた過去から、彼らの死後その亡骸を『見せしめ』としてそのまま吊るして辱めた後、何者かに放火された挙げ句に遺体は沼地に無造作に捨てられる(ただし、サマラ一家の滅私奉公によって村が富んだ事実があり、村人共の行為は端的に恩を仇で返すに他ならない)。
最後まで娘の無実を信じ続けていたため、この物語ではサマラと同様最も聖心な人物達だった。
コミカライズ版では、暴徒達に実家を焼かれた後、心配してやって来たサマラの幼馴染のエミリーに小屋に匿われたが、実際はエミリーは自分達を罠に嵌めており、彼女が招き入れた暴漢達に襲われ、エデルはリンチにされ、ソフィアは醜悪な顔の暴漢に犯される。その後、小屋から逃げるも誰も信じれなくなった2人は「サマラももう死んでいる」と悟り、生きる希望を無くして首を吊って命を絶った。
- プレラッティ
アッシャー王国東部を統治するバエル公の側近で、元々の身分は高く無いが人柄の良さと秀才振りを見込まれて養子候補にまで取り立てられた。
サマラとナッシュとは魔王討伐の旅に出た直後ぐらいに知り合った。
サマラとその両親を聖人とするならば、物語上で一番の賢人と言える人物で、サマラが魔王軍に下ったとのティナの讒言が広まっても、サマラの善性を信じ続け、具体的な離反の経緯や時期が不明確でナッシュ達自身が詳細の説明をしない事に疑惑を抱いて独自に調査を開始する。
遂に「アンルーヘでサマラの消息が途絶えた」事実を突き止めて、調査隊を派遣する準備を始めるが、狂気に侵された主君に殺されてしまった。
サマラの離反に対しては、「直前に交戦した魔将や魔将と争奪した秘宝がサマラとナッシュの決裂に関係しているのでは」「サマラがナッシュから離反したのはやむにやまれぬ事情が有ったのかもしれない」といった仮説を立てており、魔王の側についたことまでは否定しきれずとも、ある程度は真相に迫ることができていた。
最後までサマラの善性を信じ続け、真相究明と名誉回復を目指していた数少ない知人であり、彼が死んだ事でサマラの怨念を鎮める手段は事実上失われてしまった。
惜しむらくは、重責に負っていた上に他にサマラの善性を信じ続けていた協力者が居なかったが故に、オーバーワーク状態に陥って元々は有能な人格者であった主人が狂気に侵された事に気付けなかった点である。
- 神竜
アッシャー王国より東の果てにある霊峰の頂にある『聖竜の神殿』に住む竜。性別はメスで人間の少女の姿に変身でき、その姿でナッシュと幾度か愛を語らった場面がある(勇者パーティの3人はそれを知らないし、コミカライズ版の初邂逅に至ってはレイプ同然の暴挙を受けるも、後述の理由から彼を受け入れてしまった)。ナッシュ達を魔王の待ち受ける空中庭園へと運んだ。
魔王討伐後に悍ましい闇の力を察知し、己の命を削りながら聖なる力で抑え続けていたがそれも届かず、闇の力の復活により神殿が崩壊し始め、自らの力も限界に達してしまう。もはや僅かな力も残されていない中、神殿に現れた闇の力の正体がかつての聖女サマラである事実と、全ての元凶がナッシュ達である真相を知り、ナッシュに深く失望して「もうあなたの力にはなりません」と見放す形で崩れゆく神殿の中で力尽きた。
『神竜』として真っ当な覚悟と矜持は持っていたものの、相手の人間性を見抜く観察眼が養われていなかった、愛情と肉欲の区別がつかず快楽に溺れてしまったなどの不運が重なり、ナッシュの本性を見抜けずに共倒れの道を歩んでしまった。
コミカライズ版では最初から少女の姿で登場し、神竜から加護を授かるために勇者としての力を示す試練があったが、上記のようにナッシュが神竜をレイプして試練を突破した扱いに。その際に神竜はナッシュを「不埒でふしだらな男」と軽蔑するも「そんな神をも恐れぬ尊大さも魔王を倒すのに必要かもしれない」と強引に納得しようとした。
その後、聖女が怨霊として復活した際、彼女の力で神殿が崩壊し自身の力も奪われていく中、現れた聖女によってナッシュ達の悪行と聖女の両親の末路を見せられ、ナッシュ達の醜悪さとそんな彼らに助力した自分の愚かさに「無理にでも他の勇者を見つけるべきでした」と後悔し、最期は干乾びたように絶命した。
- オーク
豚の頭をした亜人。人間とエルフ族とは敵対関係で、その多くが魔王の軍勢に組していたが、中には魔王の軍勢に加わらずに人里離れた山奥でひっそりと暮らす平和主義で善良なオーク達もいる。
その善良な内の一人がかつて暮らしていた里が土砂崩れに遭って大怪我をした際に、生前のサマラに手当を受けて助かった。サマラに恩義を感じていたが、他の勇者パーティは自分達を嫌悪し、サマラ達が一度去った後に戻って来たガブリエラによって家族を惨殺されてしまう(自分は死んだふりをして助かった)。
生き残ったオークは、いにしえの霊術師の血を引いていたため、死んだサマラの声を感じ取り、彼女の居場所を探し続けた。そしてサマラの遺体がある井戸に辿り着くと、「彼女への恩返し」と「勇者達への復讐」のために自身を生贄に捧げ、サマラを怨霊として蘇らせた。
コミカライズ版では、両親と妹がいたがガブリエラに皆殺しにされた後、素性を隠して各地を放浪していた。魔王が倒された後、炊き出しの食事を食べていた際、かつてサマラに助けられた事情から「魔王に寝返った」との濡れ衣に疑問を抱くおばさんと知り合う。だが、彼女を擁護したと因縁付ける民衆からおばさんを守ろうとしてオークとバレた際、魔王軍に家族を殺されて亜人に憎悪を抱くおばさんに「魔王軍の残党」と決めつけられて裏切られ、他の民衆と一緒にリンチにされてしまい、おばさんに指を切られた上に川に投げ捨てられる。溺死しそうになるが「すべてから楽になる」として死を受け入れようとした瞬間、精神世界でサマラが現れて勇者達と悪行と自分の末路を知り、彼女から使命を授かって彼女が眠る井戸を探しに行く。そして、サマラが眠る聖なる魔法陣で封印された井戸を発見し、前述の封印は善良な心を持つオークには阻害にならなかったため「自分を生贄にすればサマラは封印を突破できる」と悟り、最期は家族の無念を晴らすべく我が身を捧げた。
- ナギサ・オルステリナ
ティナの母。
田舎村に流れて来た呪い師だが「自分は賢者の塔出身の元宮廷魔術師で、ティナの父は貴族だが、奥方に不倫が露呈して失脚した」と自称している。
娘に賢者の塔入学の為の猛勉強を強いる一方で、自身は酒を飲み、愛人を家に連れ込む等の問題がある生活態度である上に、「ビリー」の名の骨壺を大切に保管し、娘にビリー人形を作って与える等の奇行も多い。
遂に娘に「貴族の子は兄のビリーで、自分は出来の悪かったビリーの代わりに作った愛人の子」「賢者の塔に入学出来なければ殺される」との妄想を抱かせるまでになってしまい、娘が賢者の塔に合格したタイミングで娘に見殺しにされる形でゴブリンの大軍に襲われて戦死してしまうが・・・。
実はナギサの言い分は全て真実。
裕福な両替商の娘として生まれて賢者の塔を卒業し、母国の宮廷魔術師として出仕していたが、故郷の隣町の領主に言い寄られて、妊娠した挙句、奥方に不倫が露呈した際に全ての責任を負い被せられる形で失脚してしまう。
「ビリー」は実家の両替商を継いでいたナギサの従弟で、失脚したナギサと父無しの赤子のティナを温かく迎えてくれたのみならず、自分と再婚してやり直そうとナギサにプロポーズして婚約する。
しかし、そのタイミングで魔物の大軍が街に攻め寄せ、隣町の領主であるティナの父に援軍を要請するもまたしても見殺しにされ、ナギサも急募した傭兵で補強した自警団の先頭に立って獅子奮迅の闘いを繰り広げるも、兵数不足故に共倒れに持ち込むのが精一杯で、何とかティナの命だけは守り切ったもののビリーは戦死し、故郷と実家を失ってしまう。
幼子のティナとビリーの骨壺、辛うじて残った高価な魔法書を抱えたナギサはティナが故郷と思っている村に流れ着き、自分以上の潜在能力があるティナを何とか賢者の塔に入学させようと売春までして学資を積み立てていたと言うのが彼女の事情である。
心労と自棄酒による不摂生で魔力も落ちてしまったが、本来は魔物の大軍勢相手でも主力として十分通用するレベルであり、尚且つ賢者の塔の卒業生であるので、合格レベルも大金の学資が必要な点も理解していた。
自分自身でも「プレッシャーに弱く自棄酒に逃げる悪癖が有る」と自嘲し、不倫を断り切れなかった点は明らかに落ち度であるが、我が子を守る為に強敵相手に命懸けで戦いを挑む、娘の長所を伸ばす為に必死で教育する、賢者の塔の莫大な学資を工面する為に文字通り身を削って貯金する、娘が虐めを受けている証拠を掴むや虐めっ子の親に直談判して虐めを止める、自分の憤りを娘に向けていた事を悔いる等、親としては割合真っ当。
その憤りも、故郷の隣町の領主と言う立場上逆らい辛い相手から言い寄られた末に責任を全部押し付けられ、ティナの父が援軍を送っていれば十分に勝てた戦で自軍の兵数不足が主原因で共倒れになってしまった末に、ビリーと実家を失ってしまった事情を考えると、「娘を大成させて自分達を捨てた男を見返したい」と言う欲求は同情に値する。
登場人物の中では真面な部類に入る人物であるが、努力が悉く裏目に出て、ティナが父親の責任転嫁&讒言癖と母親の男を見る目の無さ&プレッシャーに弱く自棄酒に逃げる悪癖を受け継いでしまった上に、火葬の伝統を持つ一族だった為にサマラが惨殺される一翼を担ってしまう結果を招いてしまった。
- エミリー
コミカライズ版オリジナルキャラクター。
マグダラ村の村娘でサマラの幼馴染。
魔王討伐後「『稀代の毒婦』の両親」として、暴徒達に実家を焼かれたエデルとソフィアの元に駆け付け、2人を小屋に匿った。2人は助けてくれた彼女に感謝していたが、実際は昔から自分より可愛くないのに聖女だからちやほやされていたサマラを憎んでおり、村長が「村の汚点となる2人を始末しよう」と考えていた折り、エミリーは「今までの鬱憤を晴らすチャンス」とばかりに快く協力し、2人を匿うふりして足止めし、暴漢達を招いて2人を襲わせ、村長からわずかな報酬を得ると外で高笑いしていた。
尚、WEB版では王国が崩壊の一途を辿る中、マグダラ村は『魔王に寝返った毒婦の生まれ故郷で、魔王の呪いの所為で王国が荒れ果てた責任の一端がある』との身勝手かつ滅茶苦茶な理由で人々の憎悪の対象となっていた。そのため村は暴徒達に襲撃を受けた後、女子供以外の村人共は虐殺、女子供も金目当てで奴隷として移送される途中に山賊達に襲われるなどから、恐らく彼女も碌でもない末路を辿ると思われる。
- 魔王クシャナガン
魔王。空中庭園で勇者達を待ち構え、勇者達と激闘の末、敗れ倒される。
本編における描写は……ただ、それだけである。
魔王でありながら作中ではほぼ空気扱いだが、彼の死後に起きる王国内の異常現象は「魔王の呪い」とされてしまう。
- 女神
この世界を管理する女神(ある理由から二柱が登場)。
魔王が現れると選ばれた人物を勇者として選定の力の加護を授け、魔王討伐の使命を与える。……はずが、手違いによって本来は勇者に選ばれていない人物(=ナッシュ)に、勇者の使命と加護を与えてしまう。そして、そのミスが取り返しのつかない悲劇に至ってしまう……。
関連タグ
山村貞子(リング):オマージュ元。『サマラ』はアメリカ映画版における貞子ポジションのキャラの名前でもある。
Xファイル:祓魔官の名前の元ネタ。
因果応報、自業自得、人を呪わば穴二つ:正しく言葉通りの物語。
クズモブ:ある意味、本作品の真の元凶。ナッシュ一味の虚言を盲信しサマラを貶めたが、サマラの呪いに追いやられると今度はナッシュ一味を逆恨む王国の民草や、マグダラ村の住民共の悪行や因果応報の数々から。ちなみにだが最終的に彼らもその所業が祟り……。
ジャンヌ・オルタ/ランサー(Fate/SamuraiRemnant):Fateシリーズに登場するサマラと同じく聖女かつ処女にして怨霊というキャラクター。ただしサマラとは異なり、本来の彼女は悲惨な最期ではあってもなお負の感情はなかった。
菅原道真・崇徳上皇:政敵によって僻地に追いやられ非業の死を遂げた結果怨霊となり、当事者を呪い殺し京都を荒廃させたとされる人物。要はこの作品は彼らの要素にファンタジー部分を盛り込んでさらにえげつなくしたともいえる。
第五共和国 - この作品で取り上げられた事件の一つ「スージー・キム事件」が、夫に殺された妻が「実は夫を拉致しようとした北朝鮮のスパイであり、夫が保護され任務に失敗した為仲間の工作員に殺された」とでっち上げられ、被害者遺族が迫害を受け離散するという、当作品に類する経緯を辿っている。(民主化後に真実が明らかとなり夫も捕まるが、遺体は既に無縁仏として埋葬され、親と兄弟は迫害の末に亡くなり、妹達は4人中3人が離婚に追い込まれ、でっち上げを主導した国家安全保障局関係者は時効を理由に裁かれる事はなかったという後味の悪い結末となった。)
外部リンク
殺されて井戸に捨てられたチート怨霊がイケない勇者とハーレム美少女達にコワーイお仕置きイッパイしちゃうゾ! - 小説家になろう