概要
『週刊少年ジャンプ』(WJ)2020年28号(6月15日)より連載が開始され、2022年4月25日より『少年ジャンプ+』に移籍。2023年9月25日に完結した。
作者矢吹健太朗にとっては『ToLOVEる』(2006年~2009年)以来11年ぶりとなるWJでの連載作品で、原作者なしの場合は『BLACKCAT』(2000年~2004年)以来16年ぶりとなる。
妖怪を引き付ける体質のヒロインと、そんな妖怪から彼女を守ろうとする主人公が織り成す和風伝記系ラブコメ…かと思いきや“主人公が第1話終盤で女体化する”という、いわゆる“TSF”を題材にした作品なのが大きな特徴。
そして、作者が2019年11号のWJで掲載した短編ラブコメ『れお×レオ』を基盤としており、登場人物の造形や幼馴染設定、TSFなど多くの要素が本作に受け継がれている。
TS要素は本編を見るまでわからないサプライズ仕様で披露されており(単行本1巻のカバー&帯でも同様)、そこに続く今流行りの足太い系女子などのインパクトもあって、『ゆらぎ荘ロスが瞬で引っ込んだ』『令和のらんま1/2』『安心と信頼の矢吹神』『次の展開が読めない』『太いね♡』など数多のパワーワードが湧いた。
ここpixivでも、鬼滅の刃やポケモンに並んでTS百合がピックアップされたなど、その影響は計り知れない。
更には、作者のWJでの前作『ToLOVEる』と世界観が共通(スターシステム)していることが示唆されており、本作では登場人物の一人であるルン・エルシ・ジュエリアがモブとして登場したり、マジカルキョーコの飛び出し坊や看板やコスプレ衣装、結城リトの父執筆の漫画も登場している。
それだけではなく、連載デビュー作『邪馬台幻想記』から連なる物語であることも明かされている。
登場人物
CVはアニメ版 / ボイスコミック版の順
主要人物
風巻祭里(かざまき まつり)
CV:千葉翔也(男)、富田美憂(女) / 峯田大夢(男)、京花優希(女)、樺澤綾(幼少期)
本作品の主人公で、16歳の少年。
人の世に害をなす妖を退治する「祓忍(はらいにん)」の家業を祖父から引き継いだ。
しかし、シロガネが悪あがきで放った呪術「性醒流転(せいせいるてん)」を受けてしまい、女に変わってしまった。
花奏すず(かなで すず)
本作品のヒロインで、甘いものには目がない。
一般人ではあるが、幼い頃から妖が見える体質で、周囲から孤立していた時に祭里と出会った。
実は「妖巫女(あやかしみこ)」という妖を引き寄せる体質(祭里曰く「イケニエ体質」)の持ち主である。
見た目はただの猫だるまだが、実際は"妖の王"と呼ばれる長生きかつ強大な力を持つ妖怪。
一話ですずを食おうとした結果妖力の大半を封印されるが、自身も祭里を女にする意趣返しを行い、以降は互いを元に戻す為の睨み合いをする関係に。
北彩高校
鳥羽弥生(とば やよい)、月丘ルーシー(つきおか ルーシー)
すずの中学時代からの友達。
パッチリとした猫目と八重歯に茶髪セミロングヘアのハイテンションな女子が弥生、片時もスマホを離さない金髪ウェービーロングのミーハー系女子がルーシー。
それぞれ「ヤヨ(弥生)」、「ルー(ルーシー)」と呼ばれており、祭里やすずからは二人合わせて「ヤヨルー」と呼ばれる。
筋森益荒男(すじもり ますらお)
校則には厳しく、性転換前の癖が抜けず、無意識に男子トイレに入ってしまう祭里に手を焼き、度々叱りつけている。
筋骨粒々の厳つい外見とは裏腹に無類の猫好きで、校舎を徘徊するシロガネがお気に入りだが、よく逃げられている。
校長
北彩高校の校長。恋緒の祖母で、祭里の祖父と親交がある妙齢の女性。性格も至って温和な人格者であり、『ToLOVEる』シリーズの校長とは全く正反対な人物。
祓忍関係者
風巻清弦(かざまき せいげん)
CV:常盤昌平(ジャンプ公式ボイスコミック)/ 魚建(テレビアニメ)
祭里の祖父。かつては祓忍として第一線で活躍しており、現役時代は長年小美呼市で妖を退治してきた功績から人脈が広く、祭里が通う北彩高校の校長(恋緒の祖母)などをはじめとする地元の有力者と親交が深い。
祭里が幼い頃はまだ凛々しい雰囲気だったが、現在はあまり見る影もないような老いぼれになっており、引退後はヘルニアを発症するなど年齢相応に衰えている。
祓忍家業を孫の祭里に引き継がせ、引退した現在ではアイドル動画を見てゲームをするだけという自堕落な隠居生活を送っている。
風巻纏(かざまき まとい)
祭里の母親。関東祓忍衆の御頭だが、有事のため祭里のクラスの副担任・山瀬いぶき(やませ いぶき)として北彩高校に赴任してきた。
酒豪で豪快なお母さんで、清弦の娘。
二ノ曲宗牙(にのくる そうが)
祓忍の名門「風巻家」と並ぶ、「二ノ曲家」出身の祓忍で、祓忍と学生の両方で祭里の先輩にあたる17歳の少年。
鋭い目付きにギザ歯といった強面な特徴から、他の生徒達からは不良扱いされ、恐れられる存在になっている。
祭里の新人時代からの親友兼ライバルであり、本人も祭里の実力を認め、彼の「どんな苦境に陥っても妖を絶対に許さない」という強い信念を高評している。しかし女性に対して免疫のない奥手なため、女体化してしまった祭里のあられもない姿に顔を真っ赤にしてしまうこともある。
当初はすずのことも妖巫女として警戒していたが、彼女の人柄の良さに触れ、異性としてすっかり惚れ込んでしまう。しかし後に祭里がすずへの恋愛感情を自覚したことで潔く身を引こうとするも、女体化した祭里を意識するようになってしまう。
二ノ曲ポ之助(にのくる ポのすけ)
宗牙に仕える式鬼(しき)。見た目は山伏姿の小鳥の妖で、語尾に「~ポ」とつけて喋る。
かつて野良猫に襲われていたところを宗牙に助けられて以来忠誠を誓い、彼の良き理解者となる。
二ノ曲武牙(にのくる むが)
二ノ曲家の現当主で、宗牙の父親。
息子と同じように鋭い目付きとギザ歯が特徴で、極めて厳格な人物。
宗牙と見事な連携を見せた祭里のことを気に入り、女体化した祭里を息子の嫁として迎え入れようと決める。
二ノ曲刃夜(にのくる はや)
祓忍見習いで、宗牙の2つ歳下の妹。
兄の宗牙のことは「兄さま」と呼んで尊敬するが、女性に耐性のない兄を心配している。
初登場時はポ之助を脅す上で兄の着装具を奪い、「妖の術で女体化した宗牙」になりすまして祭里に接近した。
香炉木恋緒(こうろぎ れお)
代々祓忍具を制作する香炉木家の娘。
家は「おもちゃのコウロギ」という玩具屋だが、その実態は人の目では確認できない祓忍具専門店でもある。
祭里や宗牙と同じ祓忍の一人で、祓忍具を多用して異魂の研究しているものの、捕らえた異魂に逃げられたり、強力な妖の前では手が出なかったりと少々頼りない面が目立つ。
香炉木獅子丸(こうろぎ ししまる)
恋緒の父親にして、娘の祓忍具製作の師匠。娘の才能自体は認めているが、父親である自分にとってはまだ見習いとして見ている。
すずの家族
花奏夫妻
すず・律太の両親。夫婦共に商店街で喫茶店「Melody Bell」を経営しており、フルーツパフェをはじめとした、娘のすず監修のスイーツメニューが売り。
花奏律太(かなで りった)
すずの弟。小学6年生。
祭里とは幼い頃に姉のすずを通じて交流を交わしていた間柄だったが、女体化した祭里のことは両親と共に「男と思いきや、実は女だった」と認識している。
落ち着いた性格だが、女体化した祭里の胸に顔を赤らめてしまうという気になるお年頃な面が強く出ており、「姉(すず)と祭里はただならぬ関係」と誤解している。
妖
歌川画楽(うたがわ がらく)
日本を代表する有名画家の一人として知られる眼鏡をかけた男性。
その正体は有名な絵師が使っていた絵筆の付喪神で、シロガネと同じく江戸の頃より存在し、絵を描き続けている妖。
描いた絵を具現化させる妖術「画現術(がげんじゅつ)」の使い手。
シロガネのことは妖の王として認めているものの、画楽本人の姿・性格には元々使っていた人間の影響が強く出ており、(シロガネ曰く)その絵師が大の猫好きだったらしく、当のシロガネが筋森に続いて強い苦手意識を抱いている人物の一人。
その他
比良坂命依(ひらさか めい)
すずの前世で、先代の妖巫女である少女。
幼い頃から妖巫女としての能力を開花させ、人にとって危険な妖を諌めてまわっていた。
かつて人間に対して心を閉ざしていた画楽と出会い心を通い合わせるが、ある年に起こった大水害を鎮めるための人柱として水底に沈められ、この世を去った。
作中用語
妖(あやかし)
本作における妖怪の総称。
人間などの生物の思念が寄り集まって生まれた存在で、伝承にある妖怪や能力をもつものが多い。怨念や悪意から生まれた「妖」は、人間社会に害をなすことから駆逐対象となっている。
妖巫女(あやかしみこ)
常人をはるかに上回る生命力を発する特殊な人間。その肉体から発せられる「魄(ハク)」の気の波動は濃厚な蜂蜜のごとき甘さと表現され、食した「妖」に強大な妖力を与えるとされる(すず曰く、「超ハイカロリーの悪魔的限定スイーツ」)。
その力を欲する数多くの妖を引き寄せる特性から、一般の人間からは妖と同列の存在として忌み嫌われ、古来では生贄として犠牲になった者も多いが、その一方で妖巫女を純粋に慕う友好的な妖も多い。
祓忍(はらいにん)
人に害をなす妖の退治を生業とする忍者。高い霊力と身体能力に加え、霊的な処置を施された様々な祓忍具や術を駆使する。職業上、最低でも妖が見える霊力をもつことが祓忍の条件となる。
仕事着である祓忍装束は、チョーカーやバッジなどといったアクセサリー状の待機状態から、「着装」の掛け声で瞬時に全身に纏える仕組みになっており、一般人には認識されなくなる術式も込められている。
性醒流転(せいせいるてん)
「封神結界」で封印されかけたシロガネが、悪あがきで祭里に掛けた呪術。対象を本来とは反対の性別に変化させる。術者であるシロガネ以外には解呪不能。
術をかけられた者の腹部にはその証である「性転紋(せいてんもん)」が印されるが、妖の術によるもののため一般人には見えない。
祓忍組合
かつて徳川幕府が秘密裏に設立した組織。日本各地に支部が置かれ、怪異の情報を収集し、治安を維持している。
風巻家(かざまきけ)
風の術を得意とする祓忍の一族で、主人公・祭里の生家。
二ノ曲家(にのくるけ)
神速の体術を得意とする、風巻家と並ぶ祓忍の名家。表向きはそば屋「ニノそば」を営む。
香炉木家(こうろぎけ)
霊的効果を付与した祓忍具の製作を生業とする職人一族。但し元々はその名の通り、香炉の香りを祓いの道具とする祓い師の一族だった。表向きは玩具店「おもちゃのコウロギ」を経営する傍ら、他家の祓忍に忍具を卸している。
小美呼市(おみこし)
本作の舞台である架空の町。風巻家はこの町でも妖退治の功績から名家として知られ、北彩高校の校長をはじめとする地元の有力者たちとの太いパイプを持っている。
北彩高校(ほくさいこうこう)
祭里達が通う高校。
ちなみに『ToLOVEる』シリーズで登場した彩南高校と名前を並べると、南北になる。
わっしょいロード
小美呼市にある商店街。花奏夫妻が営む喫茶店「Melody Bell」や香炉木家が営む玩具屋兼祓忍具専門店「おもちゃのコウロギ」などの多くの店舗が並んでいる。
さくら牧場
小美呼市にある小さな牧場。ここの牧場の特製クレープはすずのお気に入りで、アイスクリームも販売している。
テレビアニメ
2021年12月のジャンプフェスタにおいて、2020年代陣のジャンプ作品初のアニメ化が決定。
先に連載開始した『夜桜さんちの大作戦』『アンデッドアンラック』『マッシュル-MASHLE-』よりも早く決定し、『僕のヒーローアカデミア』の6巻でのアニメ化記録に並んだ。
制作スタジオはCONNECT(SILVER LINK.の社内スタジオ)。
2023年1月9日から、とちぎテレビ及び群馬テレビ、BS11に加えてTOKYOMX、テレビ愛知そして読売テレビにて放送。
放送日時は月曜深夜に統一。その理由は原作が月曜更新である為。
矢吹健太朗原作漫画のアニメ放送は2015年の「ToLOVEるダークネス2nd」以来8年ぶり。
なお、ToLOVEるシリーズでのヒロインの1人・ララ・サタリン・デビルークを演じた戸松遥氏を始め、新井里美氏や櫻井浩美氏がそれぞれ別役で続投している。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で制作スケジュールに遅延が生じた為、第5話以降の放送を延期、円盤の発売スケジュールも当初の予定から半年延期となった。
最終的に6話まで放送するもそれ以降は1話から6話でリピート放送となり、7月より1話から再度放送されることが決定した。
スタッフ
主題歌
OP『熱風は流転する』
ED『厭わない feat. 富田美憂,市ノ瀬加那』
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1話後編
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- 忍空 / NARUTO:忍者が題材のジャンプ作品。後者は映像ソフト会社も同一。
- お兄ちゃんはおしまい! / 英雄王、武を極めるため転生す:本作と同時期放送のTSFアニメ。
- 魔王学院の不適合者:制作スタジオや映像ソフト会社、放送局の大半に加えて第二期前半の放送時期がそれぞれ同一。
- 久保さんは僕を許さない:同期にアニメ版が始まったジャンプ系列作品でこちらも後半部が延期されたことまで同じ。
- 機動戦士ガンダム水星の魔女:本作のアニメ版の近い時期に富田美憂と市ノ瀬加那が出演されている作品。