シロガネ(あやかしトライアングル)
あやかしとらいあんぐるのしろがね
本作に登場する人ならざる存在「妖(あやかし)」の一体。
普段は風巻祭里をもってして「猫だるま」と呼ばれるような丸々と太った糸目の白猫である。
その実態は齢400年を越え、「妖の王」と呼ばれる程の強大な力を秘めた存在。
真の姿は首にしめ縄を巻いた巨大且つ凶悪な面構えの化け猫で、燃え盛る炎や入道雲に荒れ狂う竜巻を思わせる体毛を持つ。
ただし「王」とは言っても、物語の舞台である小美呼市一帯の「ヌシ」という意味合いであり、日本中の妖を統べる程の力や器を持っている訳ではない。
第1話にて「妖巫女(あやかしみこ)」の花奏すずを狙うが、祭里の封神結界で妖力の大半を奪い取られて、真の姿に戻れなくなってしまうが、悪足掻きとして祭里を性転換させた。
完全な封印を免れたその後はあの手この手を使って、祭里から自身の力が封印された巻物を取り返そうと目論むが悉く失敗し、一度は祭里に止めを刺されかけるも、すずの仲裁もあり、監視目的で風巻家の飼い猫にされた。
以後は自分も力を奪い返すべく、祭里やすずと行動を共にすることになる。
一人称は「我輩」。語尾に「である」と付けるのが口癖。
普段は王の肩書きに違わず、悠然と構えていると同時に、すずを食べて更なる力を得ようと考える強欲な性格を持つ。
その一方男女の色恋事には過敏であり、カップルが自分の前でいちゃつくことを極端に嫌がる等、妙に器が小さくみみっちい部分もある。祭里を女体化させたのも、すずとのロマンス展開を許さなかったからという何とも個人的な僻みによるもの。
また、意外と乗せられやすい部分もあり、すず特製きび団子「すずだんご」に舌鼓を打ち、密かに楽しみにしている。
そんな絶妙に小物な本性もあって他の妖からの人望はさして高く無く、それどころか内心では下剋上を企まれてすらいる。
基本的に人間を見下しており、祭里と日々小競り合いを繰り広げていることもあって馴れ合う気はさらさら無いが、大きなポテンシャルを秘める祭里の実力には警戒していたり、すずに執着している為彼女が絡んだ際に必要とあらばやむを得ずとも手を結ぶこともある。
またその半生故に、妖の善悪の線引きを人間の勝手と論じるようなシニカルな面も持つ。
普通の猫に変身して北彩高校に頻繁に出入りするようになってからは、その愛らしい姿とあざとい仕草で生徒・教員たちから人気を集めているが、過剰なスキンシップを迫る筋森益荒男や歌川画楽には強い苦手意識を抱いている。
当初はコミカルなところが多かったが最近ではヒロインであるすずの色ボケに冷静にツッコみを入れる描写が増えている。
基本封印状態の為戦闘は不得意で、妖の中でも弱小の部類に入る異魂にも対抗できず、それに歯がゆい思いをすることもある。
だが、自身の妖気を隠す他にも、人間や普通の猫に化けられるなど、要所要所でその片鱗を見せることも多い。
一方、猫の見た目の割に嗅覚は然程強くない。
使用技
性醒流転(せいせいるてん)
対象の性別を反転させる秘術。
その対象の腹部には、妖力を持つ者にしか見えない性転紋(せいてんもん)が現れる。
術の解除はシロガネにしかできず、術の解除前にシロガネが絶命すれば、術は呪いとして残り、二度と元の姿には戻れなくなってしまう。
祓忍と妖という関係上、犬猿の仲。
互いに巻物を巡って日々小競り合いを起こしている。
当然のことながら祭里からの扱いは雑であり、食事も生ごみ同然の残飯しか与えられていない。
そんな彼のことは当然蛇蝎の如く嫌っているものの、先述の通り実力そのものは警戒している等、単に見下している訳では無い。
喰らわんと狙う標的である妖巫女。
すず自身が祭里を男に戻そうとしていることもあって、シロガネとの仲はそこまで悪く無く、寧ろ心から和解しようと歩み寄られている。
現状シロガネ自身は餌以上の感情は持ち合わせていないが、彼女のすず団子や体を気持ちよくまさぐられていることは密かに気に入っている。
一方で、彼女の何処かエッチな妄想癖には常にドギマギしている。
- 風巻清弦
祭里の祖父で、嘗て鎬を削った宿敵。
しかし、今となってはその関係が嘘であったかのようにどこか和気藹々としている。
すずの妖巫女としての人格・記憶が独立した存在。
ある事件により負傷した際、すずの身体から移る形で一心同体となる。
「人間というヤツはいつもそうだ」
「勝手に恐れ慄き、勝手に崇め祭り上げ、勝手に忘れ消し去るのだ」
元は江戸時代に生まれた一匹の猫が化け猫になった存在であり、時には人から恐れられ、時には敬われ、いつしかある土地の守り神として神社が建てられ信仰される様になっていた。
しかし時と共にその信仰も薄れ、日本が高度成長期に入ると、寂れた神社は地元のデートスポットとしてカップルの溜まり場と化す様に。
イチャイチャ嫌いの彼はそんな状況をブチ壊してやるべく、山奥に篭って修行に打ち込み、その末に編み出された秘術が「性醒流転」だったのである。
だが意気揚々と地元に戻ると、自分の神社は村ごと開発されたダムの底に消えており、怒ってダムの破壊を企てた結果、当時の祓忍であった清弦と"悪妖"として長きに渡り戦り合う関係となった。
そして十数年経った辺りで諦めがつくと同時に虚しさを感じ、現在まで人間との関わりを止めていた模様。