CV:梅原裕一郎
概要
本名: ヴァシリ・パヴリチェンコ
第160話「国境」から登場した、帝政ロシアの樺太国境守備隊に所属する兵士。日露戦争への従軍経験もある狙撃の名手で、尾形に勝るとも劣らない実力の持ち主。
戦友が撃たれても憎しみを持たない上、瀕死の味方すら餌として利用するというスナイパー向きの冷徹さを見せている。
鶴見中尉から流布された、かつてのロシア皇帝暗殺実行犯として指名手配中のユルバルス(キロランケ)が樺太国境を越えて密入国するとの情報に従い、仲間達と共に国境付近で彼等一行を待ち伏せ、急襲する。
偶然にも尾形が三八式歩兵銃を交換して持たせていたウイルタ族の老人を、相手側の狙撃手と認識して狙撃。
その老人の救出に向かうキロランケを撃つのを躊躇している内に尾形が狙撃で反撃。戦友のイリヤが撃たれ、相手側の狙撃手の生存を確認した。
「仲間を捨て身で助ける勇気に敬意を払った…わけではない」
「『撃ってみろ…』というあの態度が気に食わなかった」
「獲物の生き死にを決めるのは 狙撃手の私だ」
雪深い森の中に逃げた一行を追うも、逆に仲間を次々と斃され、やがて尾形とのスナイパー同士の持久戦・心理戦にもつれ込む。
互いに物音ひとつ立てないまま、睨み合い勝負は一昼夜を通して続いたが、明朝、尾形の仕掛けた囮に引っ掛かり先に発砲。結果、己の居場所を晒してしまい、直後に彼に横顔を撃ち抜かれて倒される。
(一方の尾形も、酷寒の中での長時間にわたる勝負の末に昏倒しており、互いにギリギリの闘いであったことが窺える)
再登場
「出てこい」「私は死ねなかったぞ」「あの時の続きをしよう」
上記の勝負で死亡したかに思われたのだが、第201話にて再び登場。
先述の尾形との勝いによって顔面に酷い傷を負い、以降は常に頭巾をかぶって口元を隠している。
尾形にリベンジを果たすべく、敷香の街で彼を誘き寄せるため白石の脚を狙撃。
しかしこの時すでに尾形は紆余曲折の末に彼等の元から逃亡しており、やがて狙撃地点を急襲した杉元に取り押さえられる。
殺害される寸前の所で、首元から出てきた尾形そっくりの似顔絵を見て杉元の手が止まる。
ヴァシリには絵の才能があったようで他にも様々な絵を所持しており、それらを使って意思疎通に成功(ただし、杉元は「自分も絵で説明すれば意思疎通ができるのでは」と思って絵を描くも、よく分からないトンチキな絵を描いていた)。
「尾形に撃たれたため復讐したい」旨が伝わり、ロシア語が話せる月島軍曹によって状況説明を受けた。
白石を最初に狙ったのは、たまたま初対決の時に彼が尾形と一緒にいたのを覚えていたため。同じ立場だったアシリパが先に狙われていた可能性もあり、もしそうなっていたら意思疎通は不可能だっただろう。
当然白石は謝罪の言葉を求めたが、狙撃された時の傷のせいで上手く話せないらしく、口元を見せられた白石は怯えて責められず「はやくロシアに帰れバカアホ」の一言で済ませた。
その後も追跡はやめず、一行の活動写真の撮影、鑑賞にさりげなく加わっていた。
やがてアシリパが鶴見中尉と決別すると「アシリパが第七師団に保護されると尾形が出てこない」と判断したのか、杉元一行の逃走を手助けする。
頭巾ちゃん
一時的に杉元一行に加わる形になってからは彼らに「頭巾ちゃん」と呼ばれるようになる。
先述の傷などが関係して言葉を話せないため「フンフン」しか言わなくなっており、ついには心理描写まで「フンフン」が混ざるようになった。
元々は豊かなもみあげと顎髭を蓄えた青年だったが、口元を隠すようになってからはかなり若々しい印象に。
食事中はさりげなく口元を晒しており、顔の横に古傷が残っているのが確認できる。意思疎通に使う絵の腕前は相変わらず相当なもので、思わぬところで役に立つ。
以前に比べるとコミカルな描写が増え、いざ尾形が現れると慌てふためいたりしているが、狙撃の腕前は全く衰えていない。
余談
モデルとなったのはおそらく第二次世界大戦中に活躍した実在のソ連の狙撃手ヴァシリ・ザイツェフとリュドミラ・パヴリチェンコ。
また横顔を撃ち抜かれるも、生還したというエピソードは最強のスナイパーと名高いシモ・ヘイヘが元になっていると思われる。
ちなみにアニメ版で声優を務める梅原裕一郎氏もザイツェフが好きらしく、ヴァシリ役を演じられて嬉しかったとの事。
絵の才能に関しては、「元々絵を描くのが上手だったので美術学校で絵を学びたかったが、家庭の経済事情により断念した」ということが公式ファンブックにて語られている。
最終回にて、彼について言及されたあるコマが、金カムファンに多くの衝撃を与えることになった。
ちなみにパブリチェンコとはウクライナ系の姓である(一般にローマ字表記で〜enkoと終わる姓はウクライナ系。実在した狙撃兵リュドミラ・パブリチェンコもウクライナ人。)。史実においては20世紀初頭のロシア極東には当時ロシア帝国領だったウクライナから多数の移民が開拓民として移住しており、東ウクライナと呼ばれるほどだった。現在でもウクライナ系住民が多い地域として知られる。
彼の小銃はモシン・ナガンという現代まで使用されているロシア製軍用小銃、日露戦争当時ではまだまだ新型、後にこの銃を使う名狙撃兵が多くに現れた。
関連イラスト
関連タグ
蘇芳・パヴリチェンコ - 同じくリュドミラ・パヴリチェンコから名前をとったキャラ