「祝福された道が俺にもあったのか…」
概要
プロフィール
人物
帝国陸軍北海道第七師団歩兵第27聯隊所属。階級は上等兵。鶴見中尉の小隊に属しながら、鶴見一派に対する造反を企てている。
※ただし元々の反乱者側は鶴見一派であり、第七師団全体としての立場で見るならばこの行動は軍に対して忠実なものである。
日露戦争終結後に勝利したものの、大損害の責任を取り自刃した故第七師団師団長花沢幸次郎中将と妾・尾形トメとの間に生まれる。鶴見曰く血筋では祖父も軍人という優秀な血統で、異母弟花沢勇作少尉とは同じ第七師団である。
射撃の腕は特に卓出しており、距離300m以内なら確実に相手の頭を撃ち抜けるだけの技量の持ち主。また有効射程距離500mの三十年式歩兵銃を用いて2000m先の狙撃も可能との自信を見せた。
「二千メートル以上俺から逃げきれるか試してみるか?」
一方、他の登場人物と比べると接近戦では飛び抜けた活躍は見られず、ロシア極東の拳闘「スチェンカ」に競技者として参加した際は早々に脱落(周りが規格外と言ってしまえばそれまでだが…)。また、月島軍曹と同様にロシア語を修得している。
状況により同行者を変えることから杉元や他の兵士からはコウモリ野郎と揶揄されることがあったが、「クソ尾形」(初出第45話)と呼ばれることもしばしば。師団の一部からは山猫(芸に長けない為に春を売る芸者の隠語)と陰口を叩かれ、公式からは孤高の山猫スナイパーのキャッチフレーズを付けられている。
そういった所以からか、鼠に反応する、鼻先の物の匂いを嗅いでしまう、嗅いだ後の変顔、暇つぶしに蝶を追いかける、身を丸めて眠る、火鉢の前から離れないetc…など猫そのものの行動を取る一面も。
同じ第七師団の上等兵であった宇佐美時重からは第七師団離脱後も「百之助」と呼ばれている。
作者へのインタビューにてうっかりな面も発覚。
Q:第七師団だけが知る、尾形上等兵のおっちょこちょいエピソードを教えてください。(ミキティさんより)
A:宇佐美上等兵に騙されて、訓練の集合場所に行ったら誰もいなくて、ひとりでしばらく立っていた。
日露戦争時、敵の銃弾で飯盒に小さな穴が空いているのに気がつかず、ご飯を炊いたらカチカチだった。
使用武器
所持回 | 武器 | 補足 |
---|---|---|
第103話 | スペンサー騎兵銃,スペンサー歩兵銃(三ツバンド) | 祖父の古い銃でマガモを仕留めた |
第4話 | 三十年式歩兵銃 | |
第42-46話 | 三十年式歩兵銃 | |
第55-59話 | 理容用鋏、三十年式歩兵銃 | |
第77話 | 三十年式歩兵銃 | |
第78話 | グランパ・ナンブ 南部式自動拳銃大型(甲)※① | 月島に奪われた |
第78-99話 | 三十年式歩兵銃 | |
第99話 | 三八式歩兵銃 | 杉元が奪った銃と交換 |
第137話 | 三八式歩兵銃 | 弾丸は三十年式実包 |
第160話 | ベルダンM1870 | ウイルタ民族男性の銃と交換 |
第197-200話 | 二十六年式拳銃 | 鯉登の拳銃を奪う |
第215話 | 三八式歩兵銃 | 死亡した第27聯隊から拾得 |
第252話 | 三八式歩兵銃 | ヴァシリに撃針を撃たれ櫓へ捨て置く |
第253話 | 三八式歩兵銃 | 対牛山で投げ捨てられた宇佐美の銃使用 |
※①『南部式自動拳銃大型(甲)』について、第8巻P159にグリットの背面下部に木製ストックを嵌め込むスリットらしき描写有り。1900年から開発された銃甲型には付属、乙型では廃止された。乙型でストックが付くものは製造過程で存在するが、陸軍では当時、三十年式小銃を三八式へと一新したため予算が無く採用されなかった(後年海軍が導入)。スリット描写が省略されていても作者より発信が無い限り次の情報を優先:甲型は1903年から1907年まで2400丁程が製造、乙型の製造が1908年以降の為第8巻の時点では1907年、甲型となる。
(下記リンク先参照)
狙撃の際の特徴的な構えは映画「山猫は眠らない」の主人公トーマス・ベケット、ひいてはそのモデルとなった伝説のスナイパーカルロス・ハスコックと同じである。
ちなみに銃の取り扱いには厳しく、手入れを怠りがちな杉元や谷垣に嫌味を言う場面も見られる。
階級
1901年 尾形と宇佐美は袖章による階級の識別区分から二等卒※①と推察(第276話)(第278話)。
1904年 第七師団が投入された日露戦争時、尾形の袖章は三本線であり上等兵に昇進している(第76話)(第243話)。
1908年 必要に応じて氷上で息絶えた一等卒の軍服を身に付ける。
※①他兵の回想・夢に登場
容姿
猫を想起させる大きな黒い瞳と、眉骨が高い漢字のワ冠のような形状の眉をした男。黒髪は癖の無い真っ直ぐな髪質で、肌は他の登場人物に比べると色白に描写されており、作者曰く「個性的な美形」。ちなみに特徴的な目元は父親と瓜二つである。
初登場時は他の軍人同様に坊主頭だったが、再登場の際にツーブロックに変わった。イメチェン理由は作者曰く「解放感でしょうね」とのこと。頬には猫のヒゲを思わせる手術痕があるが、これは杉元との戦闘の末に顎が割れた時のものである。
服装は第7師団にいた頃と変わらず紺の軍装、軍帽は被らずフード付きの外套を羽織るスタイル。銃は常に携帯している(ファンブックp40より)。
癖・習慣
一、物陰に隠れる
物陰に隠れる姿は、狙撃手としての癖なのか?(引用元~気まぐれ尾形百景 ファンブックp40)
二、髪を撫でる/髪をかき上げる
描写回 | 補足 |
---|---|
第42話 | 初撫で 小樽アイヌコタン |
8巻 | 表紙/contents |
8巻 | カラー扉絵 |
第70話 | 牛山辰馬から刺青所持枚数紹介 |
第78話 | 月島基との交戦 |
第80話 | 牛山の連れとして登場 |
第83話 | アシリパから罠の説明 |
同 | ヤマシギ3羽 |
第96話 | 扉絵 白石磔刑(2回目) |
第100話 | 扉絵 気球隊試作機 |
第101話 | 杉元勢がもつ刺青の暗号 |
第108話 | 「惚れた女のためってのは…」 |
第109話 | 「銃から離れるなとあれほど・・・」 |
同 | 「久しぶりだな谷垣一等卒」 |
第112話 | 杉元の回想 その1 |
第113話 | 「男ってのは…」 |
第128話 | 土方、尾形の出自の話:同席者 杉元 アシリパ 白石 キロランケ 門倉 |
14巻 | カラー扉絵 |
第138話 | 高見張り |
第139話 | 杉元の回想 その2 |
第159話 | 飼馴鹿1頭 |
17巻 | カラー扉絵 |
第170話 | モニフンペ1頭 |
第187話 | アシリパの回想 |
同 | 「あーあ・・・時間切れかな…」 |
第222話 | のら尾形 |
第243話 | 宇佐美の回想 |
第258話 | サッポロビール工場 |
番 外 | 額に触れるのみ |
第115話 | 「頭がクラクラする…」 |
第180話 | 「アイツも何かに…」 |
表内補足:大ゴマの台詞、本編に触れる台詞は前後のコマの台詞を代用、若しくは省略し引用。
性格
基本的に冷静沈着で淡々としており、周囲から一歩引いた立場にいることが多い。
頭の回転自体も速く、戦闘時などの状況判断は的確。
杉元同様に敵対者には容赦なく手を下すが、フチをはじめとした年配者、立場の弱い者、特に親の愛情が希薄な子供に情を見せたり、お礼をするといった義理堅い部分も描かれている。作中では特に
・谷垣「俺を追う理由は無くなった」(第46話)と考えた谷垣に対し迎撃と敵討ちを実行しようとしていた。
「奴は(略)鶴見中尉を信奉し 造反した戦友三人を山で殺す男だ」(第111話)
・鰊番屋の一幕、偽アイヌコタンでの射撃や、
港でのアシリパへの気遣い、誘拐事件での描写等で垣間見える。
・ファンブックによれば、ロシア領で衣食住助けてくれたお爺さんにはお礼を置いて去っている。
・本人曰くバアチャン子。
「バアチャン子の俺にそんなことをさせるな」(第43話)
作者曰く尾形がバアチャン子なのはご飯を食べさせてくれたから。
・菊田杢太郎の話では上官の尾形に対する評価は高く、銃器に関する知識、戦術戦略は豊富で狙撃手として高いプライドを持っていた。狙撃の難しい獲物(作中での活躍欄参照)に成功すると杉元と牛山にドヤ顔を披露する負けず嫌いな一面も。
・土方一派、杉元一行との旅路や戦闘では主に殿を務め、常に双眼鏡を持って追手に注意を払うなど警戒心の強さを窺わせる。
笑むこともあるが頻繁ではない。冷静沈着で淡々としており摑みどころがないが頭の回転は恐ろしく速く、状況判断は的確、懐に潜り込む術も備わっているためどこの組織でも重宝される。
極めて優秀な頭脳のため他者への気付きも鋭いせいか、杉元や谷垣はたびたび嫌味を言われている(主に2人が銃の手入れを怠るせいではある)。
杉元同様、敵対者には一切容赦せず殺害するが、多少なりとも罪悪感を持ち続ける杉元とは対照的に、罪悪感を持たない(本人談)。
作中での活躍
初登場は主人公サイドのメインキャラ白石由竹より早く第4話。
刺青の囚人を追跡した際に杉元と交戦、杉元に右腕を折られ目潰しで撤退を図るが、彼が投げた三十年式歩兵銃が後頭部に当たり川へ転落した。
転落の際に顎を骨折、更に低体温症の重体で長らく入院を強いられる。
再登場は第42話。造反の仲間が行方不明になった報せを受け病室から逃走。アイヌのコタン(村)で谷垣源次郎に接触する。尋問を経て造反者たちは谷垣に消されたと解釈し二階堂浩平と共に谷垣を狙う。鶴見中尉から殺害命令が出され、その場を離脱した。
その後、茨戸で土方歳三と交戦。約60m離れた火の見櫓の鐘を連擊して鳴らす神業を披露。戦いの末、目的の物を手に入れ土方一派へ加わるが、夕張で杉元一行と土方が手を組んだことにより杉元たちとも行動を共にする。
谷垣と再会時、杉元から現場に居た者しか知り得ない正確な情報を得た事により、彼らの頼みに添う一面も見せた。(第112話)
散弾銃以外で撃ち落とすことが難しいヤマシギを小銃で複数仕留めたり、エゾシカを弾丸一発で二頭仕留めた。
また人間相手なら小樽や真冬の樺太では長時間、呼気を消すため雪を絶えず口に含み身を潜める強い精神力、札幌では馬上の標的を狙う高い集中力を披露している。
網走ではとある人物と手を組み、依頼を受けた標的を射殺。さらに金塊に関わる情報を得た可能性がある人物も狙撃し脳を欠損する重症を負わせた。
樺太では作中屈指の名勝負、帝政ロシア国境守備隊のヴァシリとの狙撃戦を展開する。
南樺太が日本領であったこの時代、北樺太の亜港監獄にソフィア・ゴールデンハンドと仲間達が投獄されていたため脱獄に手を貸す。
流氷原で死に至るほどの重傷を負うが思いがけない人物に助けられロシア人医師に手術を施される。
帰国後は土方一行の所へ樺太土産を持って戻り、しばらくの間また行動を共にする。
他の登場人物が「金塊の分け前欲しさ」等ある程度明確な行動理由を持っているのに対し、尾形がこの金塊争奪戦に関わる理由は未だ不明のまま。
過去
当時近衛(現在で言う皇宮警察)歩兵第一聯隊長陸軍中佐だった父と浅草芸者の母との間に生まれた。山猫とは枕芸者の暗喩であり、尾形の生まれを揶揄する意味も含まれている。生後暫くして母子ともに祖父母のいる茨城へ移転、初の射撃は祖父から教わった。
作中ではこの地で母・尾形トメ急逝。その後尾形が北海道に配属されるまでの経緯は本編で描写されていない。
日露戦争で聯隊旗手を務めた異母弟花沢勇作少尉とは第七師団入団後初めて邂逅した。
しかし尾形を「兄様」と呼び慕っていた勇作は203高地にて戦死、日露戦争終結後には父・花沢幸次郎中将が自刃した事は軍部内外、大衆の知るところである。
※大タグ『ゴールデンカムイ』履歴にて全ての投稿者に向けた情報記載時のお願い「ストーリーの性質上登場人物の生死に関してネタバレ等を避けるため注釈は少なめに留めて頂けたら」との旨を確認、簡易表記にしております…
高級料理あんこう鍋は、尾形の回想(第103話)で(別離前の)父・花沢の好物だったと生前の母から教えられている。また食べに来てくれると信じながらあんこうの捕れる時期は毎日料理に出された事から、あんこう鍋が尾形のお袋の味であり、好物欄に公式表記されている。
尾形の過去について描かれた103話は、単行本化にて雑誌掲載時の17ページから23ページに大幅に加筆・修正がされており、尾形の感情がより強くわかりやすく描かれている。
余談
- 見どころなど
※初見者注意:ストーリーに触れる箇所有
「チタタプ」
夕張以降、行動する機会の増えたアシリパに対しては人物護衛の頼みに応えたり、餌付けを受けるようになったり、頑なに言わなかった言葉を呟くなど、若干ではあるが心を開くような仕草を見せるようになる。
・『シルバーカムイ 年末年始版』にてオリジナルリメイクされている
「ラッコ鍋」(第115話蝗害)
・↑尾形についてはクリック先「作中の動き」欄参照。
「全日大興奮!
漫画史上最も過激なネイチャーパニック・コミック!!
ゴールデンカムイ 製作総指揮野田サトル
バッタバッタ! バタバタバッタ!!」
と珍しく扉絵に煽りが付いている。
・『シルバーカムイ 敬老の日特別版』にてオリジナルリメイクされている。
- その人気ぶり
登場キャラクターの中でも特に人気があり、人気投票では杉元と接戦を繰り広げ、最終的には2位となったがその人気の高さを示した。
※投票については関連リンク参照
「尾形が捕まえようとした蝶」(87話)もファンからの希望で期間途中から投票可能なキャラクターとなるのだが、途中からの参戦にもかかわらず15位という高順位に食い込む大番狂わせを起こす。
さらに上位20位内から2名のキャラを作者が描くことになっていたのだが、抽選で描きおろしキャラ2名に(蝶が)選ばれるまさかの事態が起きてしまい、ファンをさらに困惑させることとなった。(ちなみにもう1人は月島軍曹)
- もし現代に生きていたら?
原作17巻DVD同梱版の特典ミニポスターの裏に掲載された声優から作者への質問箱によれば、尾形がもし現代に生きていたら地方都市の歯科医とのこと。
またインタビューにて
Q:キャラが学生で、部活をしているとしたら何部に所属していますか?(戊さんより)
A:杉元はアイスホッケー部のFW。白石は体操。アシㇼパは陸上部の中距離選手。
尾形はバレーボールのセッター と言われている。
- 実写映画
アニメ版の声優である津田氏は、実写映画でもナレーションとして出演している。
グッズ展開など
受注期間2020/12/17-2021/1/27、2021年6月グッドスマイルカンパニーよりねんどろいど 尾形百之助が発売された。尚、主人公は発売未定で何故尾形が先行発売されたのかネット上がざわついた。
2021年サッポロビールから第四弾ゴールデンカムイ×CLASSIC北海道限定デザイン缶の応募企画があり、尾形百之助、谷垣源次郎、鯉登音之進、月島基の中からファン投票で選ばれるイベントがTwitterで展開された。尾形は45,000を越える票が寄せられ第1位に。2021年7月6日サッポロクラシック「ゴールデンカムイと乾杯ッ!!」キャンペーンが実施、350mlの杉元缶、白石缶と共に500ml缶で発売された。
"お昼寝している猫"をモチーフにしたセガオリジナルブランドおひるねこ。2021年9月3日第1段 杉元佐一・アシリパ・白石由竹の全3種がゲームセンターに登場。第2段 尾形百之助・月島基・鯉登音之進の全3種は当初10月8日を発売予定としていたが延期。ネット上では増産のためではないかと10月29日まで登場を待たれた。29日当日、都内店舗では開店前より列が形成されたため整理券が配布。それを受け東京都の他店舗でも相次いで整理券が作成されたとTwitterに流れた。午前中の時点で完売報告が各店舗よりアップ。オンラインクレーンゲームにおいては各社ゲーム台の予約すらキャンセル待ちとなり、早々に完売と相成った。
2022年2月どうぶつフォーゼマスコット発売。ゴールデンカムイの登場人物達が作中の動物に変身。杉元佐一、アシリパ、白石由竹、月島基、鯉登音之進と尾形の全6種。
尾形は山猫に変身。
2021年11月17日、作者野田サトル氏Twitterにて期間限定で『ゴールデンカムイ』抱き枕が受注販売されるとの報告がなされた。商品は全て書き下ろしで半裸・褌(下着衣)姿の杉元佐一、谷垣源次郎、尾形百之助が横たわる全3種。受注期間11/19(金)~12/12(日)、発送予定2月下旬、サイズW600×H1250mm。購入にあたりsns上では家族と交渉に入る報告や推し枕にベッドを明け渡す予告が続出していたが何よりも谷垣がセンターを飾った事から作者主体の企画ではないかとの憶測が流れた。
→翌11月18日。告知されてから20数時間後、杉元、尾形のイラストにおいて、表面・裏面の公開に加え3枚目が登場。『野田サトル先生のご意向により、11/17(水)告知時点よりイラストが若干変更になっております。』との断りが入りデザインが微調整された。作者の絵柄についてのこだわりはグッズにおいても発揮され、杉元は大胸筋・腹直筋・腹斜筋がより立体的に増強、尾形は大胸筋が下方へ膨らみ腹直筋の幅にリアルさが加わるという細部に及んだ変更がなされた。ちなみに、谷垣は当初のデザインから変更は無く満足のいく出来栄えだったと窺える。やはり抱き枕企画は野田氏が主導している模様。
関連イラスト
関連タグ
最終回のネタバレ…関連記事。タグ名自体がネタバレになる為、ネタバレ厳禁派は閲覧注意。