「ワタシ、顔に傷のある男性に弱いんです」
概要
プロフィール
つり目がちな細面の美女。スタイル抜群でトカㇷ゚も大きい。
常に薄笑みを浮かべ本心の掴みづらい言動からあまり信用されておらず、特に占いを信じていないアシㇼパからは「チロンヌプ(狐)」と呼ばれて警戒されている。
本人曰く「顔に傷がある男が好き」らしい。
作中での活躍
「シラッキカムイ(占いの神)」と呼ばれる白狐の頭骨を頭に乗せて落とし、その落ち具合によって良し悪しを占う。占い以外にも千里眼や千里感も持ち合わせている。
占いはよく当たると評判で、杉元たちと初めて出会った苫小牧勇払のコタンでは住人が貢ぎ物を出しておかしくなっていた。さらに白石に競馬場(実写ドラマ版では丁半賭博)に連れ出された際は殆どの勝ち馬を的中させている。
アシㇼパの父親について知っているかのような意味深な言葉を残し姿を消したが、その後アシㇼパのコタンに現れ、「アシㇼパの同行者に危険な裏切り者がいる」と占いの結果を聞かせ、アシㇼパのフチ(祖母)を不安にさせる。
フチに元気になってもらうためにと旅立つ谷垣源次郎に同行し、さらに勝手に付いてきたチカパシも加え、家族のふりをしながら杉元一行との合流を目指した。道中の稼ぎ頭であり、路銀は彼女が出していたようで、谷垣とチカパシは度々ヒモになっていた。
危険な目にも会いながらも釧路でようやく杉元一行と合流。網走監獄を目指す旅路に同行し、潜入作戦にも協力することとなった。
その目的について「アシㇼパを無事に帰したい」「アイヌの女として金塊を守りたい」と語るが、一方で鶴見中尉とも繋がりを持っており、鶴見中尉からの助言で谷垣を利用している節がある。
正体
北海道に来て間もないアシㇼパの父ウイルクに北海道アイヌについて教えた旧友。
アシㇼパと同じ位の年齢で彼と出会い、様々な知識を教えて毎日共に過ごし恋心を持っていたなど、その関係は杉元とアシㇼパを彷彿とさせるものだった。
しかしウイルクの結婚を期に彼の元を去り、大切な友人の証しとして彼の亡き母のチンヂリを受け取っている(現在彼女が着ている着物である)。
一方でアシㇼパはインカラマッについては父からまるで聞いたことがなかったため、すぐには信用できなかった。
ウイルクが殺害されたと聞き独自に調べていた際、遺品を回収していた鶴見中尉と接触、彼と協力関係になる(インカラマッは「利用しているだけ」と語る)。指紋の証拠から「殺害犯はキロランケであり、のっぺら坊は金塊の在処を知るパルチザンの仲間」と聞かされキロランケを警戒していた。
彼女の目的はウイルク、アシㇼパ親子の無事であり、金塊については本心ではどうでもよかった。
ウイルク親子の無事を確保できるのは杉元ではなく第七師団と考えており、谷垣が旅路の動向を電報でアシㇼパのコタンに伝えてることを教えていた。そのため第七師団は谷垣(ひいては杉元一行)の行動を把握しており、彼らの網走監獄潜入に合わせて雷型駆逐艦による襲撃をかけた。
死の運命と谷垣源次郎
谷垣は彼女に冷たい態度を示していたものの、いざと言うときには優しさを見せ、彼女が危険に晒された際には必ず助けていた。その優しさからインカラマッも彼を想うようになり、ラッコ鍋を口実にオチウに及ぶ。
一方で、インカラマッは自身の占いで決められた運命に囚われ続けていた。
ウイルクの元を去る際の占い、さらに超能力者の三船千鶴子の予言から「東の地で死にウイルクの顔を見ることは二度とない」と後々の死が決定付けられており、屈斜路湖で都丹庵士に追い詰められ溺れた際にキムンカムイ(羆)に送られる光景を幻視。運命付けられていた死に場所として死を受け入れようとしていた。
しかし、それを覆したのは谷垣源次郎だった。
巨大な谷垣(の幻影)が現れ羆たちを追い払い、また現実でも水底に沈みゆく彼女を谷垣は助けた。
それにより占いは絶対ではないと思うようになり、自分が占いの運命に囚われ続けていたこと、そしてその運命を谷垣が覆してくれたこと、ウイルクとの過去に決着をつけ「(谷垣と共に)未来へ進みたい」と谷垣に告白。
その想いに谷垣も、役目を終え時が来たら半分食べた飯の器を渡す(アイヌの婚姻の儀式)と約束。晴れて相思相愛の仲になった。
その後、網走監獄襲撃にてのっぺら坊(ウイルク)の銃撃を指示する合図を送っていたキロランケを目撃。そのことをアシㇼパたちに伝えようとするもキロランケにマキリ(小刀)で脅され、組み合いの末に偶発的に腹部を刺され重体に陥る。
杉元らと共に第七師団に回収された後、キロランケたちの行き先が樺太であると告げ、第七師団の元で治療を受けながら谷垣たちの帰りを待つことになった。
人物像
よく当たる占い師の美女で、本心の掴みづらい言動に加えて、杉元側と行動を共にしておきながら第七師団に通じているなど、食わせ者で油断のならない人物のような印象とは裏腹に、意外にもその本質は頭が切れて強かだが、一途で律儀な尽くす女である。
アシㇼパ自身は知らなかったが、ウイルクとインカラマッの友情自体は本当の話であり、彼女がアシㇼパたちを助けたのもウイルクとの友情から来る本心であった。
その後、谷垣とチカパシと共に行動しているうちに、本気で谷垣に惚れてしまい、彼との間に子供を作り結婚までしている。
また、ウイルクが殺された直後には、金塊探しの重要な人物となるということでアシㇼパが各勢力から狙われることになることを察して、彼女に逃げるように促している。
その一方で、計算高く強かな一面や、情に厚いが故に執念深く冷徹な一面も確かに併せ持っており、網走では、キロランケに刺されながらも証拠となるキロランケのマキリをずっと手放さない、鶴見中尉に通じて杉元たちの情報を流して第七師団を網走監獄に呼ぶなどの行動もとっている。
これらの行動の裏には、金塊探しは自分には関係ないから、探している人間同士で勝手にやりあっていればいいという判断から金塊を求めているわけではない谷垣と、金塊探しの重要人物であるアシㇼパとウイルクは殺されないであろうという判断であり、自分にとって大事な人を守るためには、たとえ同じ飯を食った仲間でも死の淵に追いやれるという冷徹な一面がある。
また、明治時代のアイヌ出身のよく当たる占い師と言う人物でありながら、科学捜査にも明るく第七師団と通じることも厭わない等、開明的な要素も併せ持っている。
総じて、味方にすると頼もしいが、敵に回すと恐ろしい女
名前について
本来の表記は「インカㇻマッ」であり、「ラ」がアイヌ語仮名の小書きになっているが、タグ引用などでは「インカラマッ」と表記されることが多い。
発音すると「インカ↓ㇻマ↑ッ」となる。分かりにくい人は「一休さん」と同じ発音と覚えよう。
名前は「見る女」(アイヌ語で「インカラ」=見る、「マ」=女)という意味で、アイヌ語監修の中川氏による命名。
余談
実は谷垣より年上であり、白石とは同年代。
作中としては貴重な「スタイルの良い妙齢の美女」なのだがお色気ポジションを99%男性陣に振り分けてる漫画なのでそっち方面を期待してはいけない。
青年誌とは何だったのだろうか…