東方不拡大は、西側・米国がロシアに約束したとされる、ロシア側の言説。
NATO不拡大、NATO東方不拡大とも。
概要
ロシア側の言い分
翌日、西独のゲンシャー外相やコール首相も訪ソして同趣旨の発言をしてNATOは1インチも 拡大しないとNATOや米国はロシアに約束した。
それなのに、口頭の約束だったので、西側は1997年以来次々とNATO拡大を続け、約束を一方的に破り捨てた。
NATOの今後の不拡大と、東欧・バルト諸国の軍備を1997年以前に戻すことを、今度は口頭ではなく文書で約束することを強く求める。
- また、米国務省の会議録によれば、
ベーカーはソ連に対して「NATOの管轄地域、あるいは戦力が東方へと拡大することはない」と明確な保証を与えている。
この意味ではNATOを東方に拡大させないという約束は明らかに存在した。
- 実際に1990年代、東西ドイツの統一交渉が行われていた時,ゲンシャー西独外相はミュンヘン郊外で「NATOはソ連国境に接近するような東方拡大を排除すべきである」と演説している(ゲンシャー方式/NATO東方不拡大論)。
西側・米国の言い分
- ただし、米政府とベーカー長官は「東方に1インチも拡げない」と「保証することが重要である」と述べたのであって,東方不拡大を確約したわけではないと主張している。
- 確かにM・ヴェルナーNATO事務総長は民族浄化のボスニア和平の為に、NATOは東方に介入すべきだと主張し、評議会で支持されたことで「NATO東方拡大」の概念が生まれた。
しかし、当初これはロシアへの接近ではなく、セルビアのような独裁体制を抑える為だった。
これをプーチン大統領は、「ベルリンの壁が崩れた後、NATOは東方に拡大しないと言った。私の記憶によると、そう言ったのは、当時のNATO事務局長ヴェルナーだった」と述べたが、
NATOの元軍事委員会議長K・ナウマンは2010年に、「NATOの東方拡大の否定は、口頭でも文書でも、誰もソ連に対して述べたことはない」と言明した。
- ゴルバチョフ氏自身が2014年10月16日に、「当時はNATO拡大の問題そのものが提起されなかった。それは私が責任をもって確言できる」とRussia Beyond the Headlines(露の英語メディア)で述べている。
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外部リンク
欧米はロシアへの約束を破ったのか―― NATO東方不拡大の約束は存在した ジョシュア・R・I・シフリンソン テキサスA&M大学准教授