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G11

げゔぇーあえれふ

H&K社が開発したアサルトライフル。無薬莢(ケースレス)弾を使用する珍銃。
目次 [非表示]

概要編集

現在、存在するあらゆる銃火器に必ず必要とされる薬莢。その問題点として、発砲後の空薬莢の処理が挙げられる。

薬莢の内部の火薬が爆発した直後で高温を帯びているので火傷の危険があり、大量に弾をばら撒く機関銃等の銃火器では、地面が空薬莢で埋まり転倒する危険性があった。


そこで、H&K社は1970年代に次世代兵器として、薬莢を使用しないケースレス弾のアサルトライフルの開発に着手。そして、1974年にプロトタイプが完成、1983年に最終完成型モデルとして完成したのがK2、G11であった。


目的は達成したが・・・編集

本銃のために開発された専用ケースレス弾DM11は、薬莢代わりに直接火薬を押し固めて成形したケースに弾頭と可燃式雷管が収められており、原理的には発射時にケース部分がすべて燃焼するため、排莢の必要が無いというものであった。

薬莢を使用しない他に、軽量で材料費の安いポリマーフレーム、連射速度は毎分2,000発と極めて高いという特徴も持っていた・・・・・・だが、


それらの長所を上回る欠点が多々あった欠陥銃であった。


  • そもそも、金属薬莢には保管・運搬時に衝撃や湿気、熱から火薬を守り、射撃時においては発生した燃焼熱の大部分を薬莢内に遮断して持ち去るヒートシンクとしても機能する役割があったのだが…
    • 火薬を押し固めただけの弾薬はもろく、四角柱状に成形したケースレス弾をシングルカラム式で積み上げるしかなく、45発装弾のマガジンは非常に長く携帯に不便。(銃本体に2本の予備マガジンを携行可能)
    • 排莢による放熱ができず、さらに排莢口も閉鎖したままなため機関部に熱がこもり、薬室に装填された弾が勝手に発火するようになる。
    • 一応ケースレス弾にも湿気・熱対策のコーティングはしてあったが、文字通り焼け石に水であった。

  • 薬莢を使用しない分、軽量化とコスト削減を期待したが、何もかもが新規の技術のため生産性がなく逆にコスト高を招いた。

  • 銃身と交差する向きでマガジン内に収めた弾を装填するために、薬室が回転する機構を設けたが、結果として構造が複雑化。

  • リロードの度に「わざわざ弾を取り出して専用マガジンに収めて(湿気るのを避ける為"必要な時に"マガジンに収める必要がある)、セットして手動の回転ロックをかける」という十数秒単位のチンタラした動作が必要であり、「マガジンキャッチボタン押して空マガジン捨てつつ新しいマガジンをぶち込んで、レバー引いて薬室へ装填」と3秒程度で済ませられる現行銃と比べて非常に不便

  • 高レートの連射速度によって反動の影響を減らし、単発の精度ではなくバーストにより反動により銃がぶれる前に発射する事で命中率を上げるコンセプトであったが、機関部全体とマガジンも後退するため高反動すぎた。

要するに今まで使われてきた技術の殆どをかなぐり捨てて開発された未発達の銃だったのである(従来の金属薬莢弾を用いる銃ですら、新規設計部分のある銃は何らかの欠陥・問題を抱えているものである)。

欠陥や不備は実際に運用されることで少しずつ改善されていくものではあるが、冷戦終結のための予算削減で生産数は抑えられ、少数配備(むしろ試験運用)に留まってしまったことが致命的となり、その後の進展は遅々としている。


そして、次世代のアサルトライフルにはG11ではなくG36が採用されたことで完全に立場を失った。

不必要だと思った物を無くそうとしたら、実は(少なくとも現状は)必要不可欠な物だったことを実証してしまい、自分が不必要になってしまったという、実に皮肉の効いたオチが付いてしまったのであった…。


ただ、MP7に使われている4.6mmx30弾の弾頭はG11の専用弾4.73mmx33 DM11の発展型であり、決して本銃に纏わる研究の全てが全て無駄だったというわけではない。

現在では、少数製造であり珍しいケースレス弾を使用する銃なのでDM11はマニアの間で高値で取引きされている。

また、その独特なデザインが近未来的で非常に好評であり、上述の諸々の不都合を完全に無視してしまえるフィクション作品やゲーム作品ではそれなりに強力な銃として設定され、現代戦を舞台とする作品などでは度々登場して人気を博している。



データ編集

全長750mm
銃身長540mm
重量4,300g
口径4.73mm
装弾数45発

兄弟銃がいる。そして後継も・・・編集

実はG11には同じくケースレス弾を使う兄弟銃がいるのだ。

最初にLMG11、これはG11最終型と同じDM11ケースレス弾を使う銃で大きさはG11とほぼ同じぐらいだが、装填できる弾数は300発。ある程度試作品はできていたのだが、G11が開発中止になるとこちらも開発中止になった。

G11 PDW、ピストルぐらいの大きさのサブマシンガン(個人防護兵器)として開発されていた。使用弾はDM11よりちょっと短い物だった。しかしこの銃、装填・発射機構が艦砲のようになっており複雑でまさに変態であった。当然のことながら試作だけされて没。

G11 9mm SMG、G11のサブマシンガン、使用弾はケースレス弾であったかは不明だが、先輩が偉大過ぎたので、試作だけでこれも没!

この他にもライバルのモーゼルもG11の試作品を製作しており、発射機構が複雑だったので試作だけに終わった。

後に南アフリカなどでケースレス弾が研究されたが、実用されること無く消えていった。


そして21世紀初頭、ケースレス弾が再び注目されこれを使うアサルトライフルが開発された。MR-C(モジュール・ライフル・ケースレス)である。

しかし彼は幽霊のように消えて行った。


現在、無薬莢ではないが、樹脂薬莢のLSATがアメリカで研究されている。口径は5.56mmで、ケースレス弾同様に弾頭が火薬に埋没しているテレスコピック弾を使用している。現用の5.56mmNATO弾に比べてコンパクトで軽量であることから、携行弾薬の増大が見込まれている。


余談ながら、G11のようなケースレス弾を使う銃は排莢口がないような描かれ方をすることがあるが、実際には不発の際や射撃終了時等で機関部を分解することなく弾を排出する必要があるため、排莢口はなくす事が出来ない

G11の場合、排莢口は薬室の真下に設けられている。


関連イラスト編集

H&K G11ドイツ連邦駆逐戦車開発小史 DRK編


余談だが、現在では『ドールズフロントライン』のG11(ドールズフロントライン)のイラストで大部分を占めている。

g11無題


関連タグ編集

アサルトライフル H&K MR-C

G11(ドールズフロントライン)

ゴースト(千銃士)/ゴースト(千銃士R)

戦略自衛隊:旧劇場版において一般兵士が使用。メタ的な視点で言えば、作画コストの削減のためとも考えられる(ケースレス弾を使用するG11は輩出された薬莢を描く必要が無いため)。

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