概要
何らかの熱源から発生する熱を、外気へ放熱・排熱するために装置に取り付けられる部品。放熱板。
発生した熱を外気に渡すことで、冷却対象から熱を奪う働きをしている。
主にアルミニウムなどの金属製で、板や棒が多数突き出た形状(剣山にたとえられることもある)である。これは、効率よく熱を空気に渡すには、表面積が大きいほど有利だからである。
主に熱伝導性のよいアルミで作られるが、用途によっては(熱伝導率は劣るものの)耐熱性や物理的強度に優れる鋼鉄が用いられることもある。また、銅を使用することもある。(そのままではサビるので、メッキなどと併用)
変圧器やインバータなど発熱の大きな電気部品にしばしば用いられ、CPUやパワー半導体などの発熱の大きな半導体素子にも過熱による破損を防ぐために取り付けられる。
応用
ヒートシンク単体では間に合わないほど発熱が多い場合は、まずはヒートシンクを大型化し、空気との表面積を増やす。それでも足りない場合は、放熱効率を上げるため冷却ファンを併用する(強制空冷式)。こうすることで対流を促進し、温められた外気を押しのけ、冷却に適した新鮮な外気を取り入れる。
例えば、80年代ごろのパソコンは、CPU用にヒートシンクは装備していたものの、冷却ファンは搭載していなかった。それが90年代ごろになるとファン搭載が一般化している。
冷媒との併用
ヒートシンクの大型化を進めていくと、材質の熱伝導量の限界から、末端まで熱が伝わりきらないことがある。これを改善するために、熱を輸送する「冷媒」と呼ばれるものが使用される。(水やガスなど)
冷媒は、「ヒートパイプ」や、「ベイパーチャンパー」などに封入される形で使用され、熱源で発生した熱をヒートシンク全体に高速で輸送する。これにより大型ヒートシンクでの放熱性を高めている。(メイン画像のヒートシンクに繋がっている棒はヒートパイプである)
冷媒のもう一つの役割は、熱を冷却に適した場所まで輸送することである。例えば、パソコンの内部や、自動車のエンジンルームなどは非常に混み合っていて、冷却に適さない。そこで、熱をまず冷媒に移し、遠くまで輸送してから冷却するのである。エアコンは、室内の熱を冷媒を通して屋外に運んでいる。
自作PCで水冷が使われる理由
自作PCでは、水冷を使用した冷却パーツが存在する。これは、上で述べた、冷媒の二つの利点を応用している。
まず、パソコンの熱源となるCPUやGPUは、熱の発生点が非常に小さく、直接金属に触れさせても熱が拡散せず、効率的に冷却できない。そこで、冷媒を使用して熱を拡散させるのである。水冷パーツでは水が冷媒となるし、空冷パーツでもヒートパイプなどで熱を拡散させるのは一般的である。
更に、パソコンの内部でCPUやGPUが鎮座しているケース中央部は外気から遠く、熱源同士が隣り合っており、ここにヒートシンクを設置しても冷却効率が低い。また、現代のCPUやGPUの発熱に対応できるヒートシンクは総じて巨大で、PCケース内部に収めるのは難しい。なので、熱を冷媒に乗せて冷却に最適な場所(PCケース表面や、ケース外部)で冷却するのである。
名称
内燃機関にも冷却のため放熱板が取り付けられるが、空冷エンジンではシリンダーと一体化しており冷却フィンと呼ばれる。
ラジエーター(ラジエター)ともいうが、これは主に液冷(水冷)の放熱装置のことを指す。ラジエーターはヒートポンプ(冷蔵庫やエアコンなど)にも用いられる。