HK433は、2017年にドイツのH&K社で開発された5.56mmNATO弾を使用するアサルトライフル。
概要
ドイツ連邦軍の主力小銃であるG36の後継を狙って2017年に開発された。
この後継主力小銃の選定試験には、本銃とHK416のほかにラインメタルとオーストリア シュタイアー(ステアー)・マンリッヒャーのが「RS556」、SIG SAUER「SIG MCX」、ベルギー FNH「SCAR-L」、Haenel Defense「MK556」が名乗りを上げている。
基幹モデルで5.56mmNATO弾のHK433の他に7.62mmNATO弾仕様の『HK231』、.300 BLK弾仕様の『HK437』 7.62×39mm弾仕様の『HK123』が計画されている。
機構
外観はややAR-15風であるが、構造はショートストローク・ガスピストン式で、チャージングハンドルはMP5/G3に似た位置、フロントハンドガード上方に付く。チャージングハンドルは工具無しで左右入れ替えが可能とされる。
銃身長は280mm(11in)~503mm(19.8in)まで豊富な種類を揃える予定。
ストックは伸縮可能な折り畳み式で、可動式のチークパッドが備わる。
マガジンキャッチは、G3 G36やAKと同じくマガジンハウジング後方に左右から操作可能なレバーを付け、マガジンもそれに対応するものを使うとみられるが、これまで公開された写真を見ると、M4カービンやL85と同様のSTANGマガジンが使えるモデルも試作された模様である。
フロントハンドガード左右側面には、KeyMod(※)によく似たHKeyなる穴が開けられ、レールや光学デバイスなどの脱着が簡単に行えるとしている。
- (※)KeyMod:Wikipedia(英語版)
また、2021年6月16日にはM-LOKに対応したハンドガードを装着されたモデルが確認されている。
何れにせよ、先に述べたものは量産される前の段階での情報あるため、量産銃の仕様は変更される可能性がある点は留意されたい。
ドイツ軍での採用審査
先に述べた4社から5機種が提案されており、中でも(政治的な理由や実績などで)H&Kが有力というのが下馬評であった。
しかしながら、ドイツ政府からITARに抵触しない機種であることが条件とされたため、主にアメリカで生産され、ドイツ内外でもそこそこの実績があったSIG MCXが脱落。
- ITAR:アメリカ国内で製造・流通する武器や軍事物資などの輸出にあたって米政府が定めた制約で、輸出先や品目などが厳しく規定される。参考(外部リンク)
2020年9月には、H&K有利との前評判をよそに費用対効果が高く評価されたHaenel MK556が(一旦)選出された。
当然、H&Kが黙っている筈もなくHaenelの選出が明らかになると直ぐに自社サイトで懸念を表明。
その後、10月に入るとHaenelに「他社の特許を侵害している可能性が認められた」として契約が撤回されたとしている。
一方で、採用審査における実試験の成績はHK416 MK556 HK433…の順だったと発表されたものの、H&Kはこの点についても「構造上類似点が多いHK416とHK433に大きな差が開くことは考えにくい」と抗議している。
2021年に入っても、Heanelとの契約の撤回とともに次点だったH&Kが自動的に選出… とはいかず宙に浮いた状態だったが、同年3月に国防省はメーカーをH&Kに決定したと発表した。現地メディアはHK416(A8)に決定したのではないかと報じている。
一方で、契約が撤回されたHaenelは「特許侵害はしていない」と主張し法的措置を取ると発表。
逆にHK416もマガジンにPMAG(MAGPUL)の特許を侵害した疑惑が報じられたり、(最初に費用対効果で選出されたHaenelにダンピング疑惑が上がったのに)何故か再計算でH&Kのほうが安くなったと発表されたりと、かなり雲行き怪しくなっている。
状況次第ではこの計画自体が破棄される可能性もあり、ドイツ軍の兵士は旧式のG36を使い続けなければならない可能性もある。