9mm機関けん銃
きゅうみりきかんけんじゅう
自衛隊が使用している国産のマシンピストル。
開発・製造は9mm拳銃を製造しているミネベアで、弾薬は9mm拳銃と同じ9mmパラベラム弾。
開発
自衛隊が海外貢献活動として、国連平和維持活動いわゆるPKOに参加していることは周知の事実だが、その際、情勢が不安定な場所への派遣になると、隊員の身の安全を守らなければならないため、武器の携行が必要となったが、自衛隊は軍隊ではなく、また侵略者ではないという意図のもとで、主に、国内向けに武装は極力避けるという姿勢を示さなければならないという状態にあった。
しかし、情勢不安の地ではいくら地域貢献活動としても武器不携帯は自殺行為には変わりないため、自衛用として許可されたのが拳銃のみであった。
だが、自衛隊が採用している『9mmけん銃』は装弾数が8+1と自衛用としてはやや心もとないものだったため、拳銃の範囲を超えない武器として、この機関拳銃が開発された。
というのが一般的に知られている開発経緯である。
実際はPKOとは関係なく、それまで自衛隊に使用されていたトンプソン・サブマシンガンやグリースガンの後継と拳銃を携行していた隊員の火力増強のために作られたともされている。
或いは、ミネベアとの関係を保ちたいがために開発させたとも噂されている。
一般公募による愛称は『エムナイン』
64式小銃、89式小銃などと同様、自衛隊がモチーフになっている組織などが登場する作品に登場する。と、思いきや、なぜかCoD:MW3にてロシア兵の所持品として登場する。入手経路は不明。鹵獲したものだろうか?(なお、名称はPM-9となっており、モーションなどは完全にミニウージーの使いまわし)
性能に関しては、さまざまな意見がある。容赦なく駄作と切り捨てる人もいれば、それなりに評価している人もいる。ただし、それぞれに共通しているのは、決して傑作ではないということ。
形状は握把に弾倉(25発)が差さるデザインに、オープンボルトファイアの内部機構と外見や内部機構共々UZIのコンパクトモデル『マイクロUZI』によく似ているが、銃床が無くフォアグリップと大きなマズルブレーキが付いている点が特色。
発射モードは自衛隊伝統のア(安全)タ(単発)レ(連射)の三つ。それぞれトリガー上のセレクターをスライドすることで選択できる。
発射抑制装置が付いておらず、連射時はものの1~2秒でで全弾撃ちつくしてしまうため、反動もすさまじいものになるのだが、銃口の特徴的な形状をしたマズルブレーキによる発射炎減衰効果、またバレル下に備わるフォアグリップと、2.8kgに及ぶ重量(参考までにM1カービンは2.5kg)のため反動はある程度抑えられているとされる。
発射レートは約1185発/分と結構早めだが、M11(1200発/分)・マイクロUZI(1400発/分)など他国の同じような銃と同程度。ただし、この手の銃は特殊部隊向けで、一般的な部隊では実用性(撃ち易さ)を考えてもう少し大柄で大人しい短機関銃を使用することが殆どであるため、やたら発射レートが高い銃と思われてしまうのかも。
グルーピング(集弾性)能力も高いとされている…が、これは防衛省の性能要求仕様書によって『万力固定で、50メートル先の40×40cmの的に連射させた場合10発中7発が命中すること』とされているのが根拠らしいが、何しろ銃床が無いため実際に人が撃って当てられるかどうかは別問題である。(現に「意外と当たる」「オレが撃てば当たる」と評価する隊員もいれば、「当てづらい」「スコアが伸びない」と嘆く隊員が居ることも事実である)
レシーバーは他国の同様の銃の多くはプレスで製造されているが、9mm機関けん銃は塊材の削りだしで製造されている。
プレスは金型が必要で年間調達数の少ない自衛隊の装備では製造コストが高すぎ、NCマシンの普及により削りだしで製造しても安く済むために削りだして作られたとも言われている。
必要とあれば増産のために普段製造していないラインでもNCマシンで作れるから、とも言われていたが、真相は不明である。
お値段は89式小銃を凌いで凡そ40万円前後(付属品込み)。当然1丁あたりの価格である。
データ
全長 | 339mm |
---|---|
銃身長 | 120mm |
重量 | 2,800g |
口径 | 9mm |
装弾数 | 25発 |
陸上自衛隊では、それまで11.4mm短機関銃(トンプソンサブマシンガン・M3グリースガン等)や拳銃を携行していた隊員、つまり部隊指揮官(幹部自衛官)や対戦車誘導弾・無反動砲手などへ供給された。
また、戦車や自走無反動砲などに備え付けられる乗員用の自衛火器としても調達される予定だったが、こちらは新規調達分は89式小銃(折曲銃床)、従来から使用されている車両は廃車まで備え付けの銃を継続使用する事となったため調達されず、部隊指揮官向けも第1空挺団や、西部方面普通科連隊(現:水陸機動団)、ヘリボーン部隊の第12旅団などの一部の部隊へ供給されるに留まり、多くの部隊では9mm拳銃が継続して使用されている。
結局、陸上自衛隊全体の調達数は当初の予定より削減されて、現在では計画数を満たしたために陸上自衛隊向けの製造は中止。依然として古い銃が残る海上自衛隊と航空自衛隊向けに細々と製造されている。