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64式小銃

ろくよんしきしょうじゅう

自衛官の体の一部、陸自の新隊員や予備自補、空自、海自を中心に愛されている。 陸上自衛隊の一般部隊では、89式小銃や20式小銃にほぼ交換されている。
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概要編集

64式小銃は1964年に制式採用された、戦後初の国産小銃である。

開発と製造は、九九式短小銃を開発した豊和工業が担当した。

現在各自衛隊海上保安庁で使用されている。

弾薬はM80普通弾を使用し威力と命中精度に優れる。

M80普通弾には7.62mmNATO弾と同様の常装薬弾と装薬量を減らした減装薬弾が用意されている。

バトルライフルの64式の後継がアサルトライフル89式小銃っておかしくね?とか思われるが米軍でも前例があるしそもそもどっちも自動小銃なので問題ない。

89式への更新後も7.62mmの射程の長さからマークスマンライフルとして使用されており、空自海自、海保といった交戦距離が長くなりがちな組織では更新される予定が無い、もしくは89式が配備されても状況に応じて使用するために残される事になっている(後継は20式小銃となっている)。

そして航空自衛隊が使用する64式はフォアグリップや光学照準器が付けられるように魔改造されていたりするらしい。

また自衛隊の戦略思想とも相俟って軽機関銃的な使い方も出来ることから拠点防衛用の火器としても使われている。

陸自の教育隊等では未だに現役であり、教育を受けている多くの陸士、予備自衛官補に愛されている。


また、銃身に施されたクロムメッキの恩恵で、銃身の寿命はとても長い。とある文献によるとその寿命は軽機関銃並みの37,000発以上はあるという。

だが、機関部の方の寿命は24,000発と言うことで、銃身の寿命が尽きるより先に機関部がヘタる。銃身は明らかな過剰性能である。


加えて、後に記述される通り部品脱落や破損しやすい部品等があるものの、銃全体としての堅牢性はとても高いらしく、89式小銃の初期ロットが耐用限界を超える中でも未だに現役で使用可能な64式が多数存在する。

89式小銃が後継に選ばれたことで生産は終了しているが、自衛隊と海上保安庁全体に行き渡らせるために23万丁以上生産されており、ストックが大量にあることも現役の長さに一役買っている。


重量は4.3kg。

小銃としては重いとよく言われるが、バトルライフルのなかではむしろ軽い(同世代のH&K G3は4.4kg、M14は4.5kg)ほうだったりする。

また、銃床の長さなどは小柄な日本人にあわせて短めに作られており、ボディアーマーなどを着込んだ状態でも自然な肩付けができる。二脚を用いる際は床尾上板を展開し肩の上に当てる。


通常の7.62mmNATO弾では日本人の体格に対して反動が強いとしているため、火薬量を10%減らした減装薬弾を通常使用する弾としているが、規整子(ガスレギュレーター)の操作により7.62mmNATO弾と同様の常装薬弾も使用可能。


規整子は使用する弾にあわせていくつかのモードがあり、通常弾や減装薬弾に加えて空砲小銃擲弾用の高圧空砲使用時に機関部を作動させない事も出来る。

直床銃であり、発射サイクルも落としてあるため、M14などと違い全自動(フルオート)射撃時の高い集弾性を実現している。64式の集弾性の高さは数あるバトルライフルの中でも上位に食い込むものであり、バトルライフルの大半がフルオート機能をオマケ程度にしている(バトルライフルによく使われている7.62mmNATO弾は反動が大きすぎてフルオート向きでは無いため)ことを鑑みると、バトルライフルのフルオート機能にここまで拘っているのはある種異質な個性と言える。

ちなみにこのような減装薬弾と低発射レートの組み合わせは64式が初めてではなく、1957年にスペインのセトメで開発された小銃をベースとしたセトメ・ライフルことモデロ58が最初で、フルオート時のコントロールを容易にする為に軽量弾頭・減装弾仕様の7.62mmx51CETME弾を使用し、低発射レートと直銃床の組み合わせというレイアウトであった。

(64式は500発/分、モデロ58は600発/分、M14は700~750発/分となっている)

寧ろこのモデロ58のレイアウトを参考として64式の全体像が設計されたと言っても過言ではない。


自衛隊の制式採用銃ということもあって自衛隊の登場する作品などに度々登場する。


開発編集

64式小銃は日本オリジナル開発の小銃である。

1950年代当時、自衛隊は保有している小銃が経年劣化著しくなっていることから新型への刷新を急いでいた。しかし、当時のアメリカやヨーロッパのアサルトライフルは小柄な日本人の体格には合っていなかったこともあり、日本人向けの新小銃の開発が必要とされた。

1957年、防衛庁(今の防衛省)は国産小銃の開発を計画し、技術研究本部と豊和工業とが連携し研究開発がスタートした。

まず各国の自動小銃を購入しその性能・精度を確認した上で自衛隊が求める小銃のイメージを固めるところから開発はスタートした。当時、開発に携わった制服組が抱いた小銃の理想は小型・軽量・低反動のアサルトライフルであり、スペインのセトメ・ライフルH&K_G3の源流と言える小銃)が具体的なイメージであった。

しかし、開発は難航した。元より自動小銃開発のノウハウが不足していたこともさることながら、使用を予定していた7.62mm NATO弾の入手にすら手間取るなど、当時の日本は銃器開発においては環境も含め諸々が不足していた。開発に手間取る中、米軍からM14を購入するという計画が持ち上がり、一時は国産化も危ぶまれたが、開発陣の粘り強い研究の結果、自衛隊が求める性能を満たす試作型の開発に成功。

足かけ7年に及ぶ研究開発を経て防衛庁による正式採用が認可され、ここに64式小銃が誕生した。銃器開発先進国であるヨーロッパと縁遠い日本の環境下にあって、独自研究によって当時の傑作ライフルたちに引けを取らない性能の小銃を開発し得たことは快挙であると言っていいだろう。実際、試作機の開発段階でFALH&K_G3M14が比較のために購入され、それらとの性能競合の繰り返しを経て64式は完成されている。特に米軍が推していたM14はライバルとして設定されており、総合性能でM14を超えることが正式採用の目安となっていた。


ただし、やはりノウハウのなさは数多くの問題点を生み出すことにもなった。


問題点編集

部品点数が53個と多く(実はFALやG3等と比べても多くはないのだが)、分解結合には工具と技術を要し、前期教育では分解六分、結合九分と時間内に分解、結合し部品や工具の整頓も完了させる必要がある。

一部の部品は脱落しやすいため、銃点検を移動ごとに行い、演習などでは脱落防止のためにビニールテープでぐるぐる巻きという光景がよく見られる。ただし、機能を損じてはいけない。また、正しくない手順でも取り付け可能であったり、誤った状態でも取り付けができてしまう部品も一部存在するという。

また、頻繁に分解する部品の結合に何度も取り外す事を前提としていない部品を用いるなどの設計上の問題がある事に加え、特に教育隊で用いられているものは教練により過剰に分解結合を繰り返していることから、部品の磨耗により脱落しづらいはずの部品が脱落しやすくなってしまっているという問題もある。(とはいえ自衛隊での整備は米軍等と比べて必要以上に分解して整備しているともいわれており、自衛隊側の運用の問題か、自衛隊での整備方法に合わせて設計しなかった豊和の問題かは不明な面もある)ちなみに加筆者が曹候補生時に使用していた個体は、下部被筒(ハンドガード)が逆U字状に変形しており、教練の際「立て銃」時によく脱落した(本来はU字状が正しい形状)。


切り替え金の操作は一度引っ張ってから回すという二度手間が掛かる。

これは、自然界ではまず起きない動きである為、不便ではあるが安全性が高まるとされた為。

ちなみに発射モードの切替え軸部にはア(安全)、タ(単発)、レ(連発)と記されている。どう考えても縁起担ぎである。(発案は旧陸軍の某大佐。)

このア/タ/レセレクターはその後の日本製小火器にも使われ続けている。(9mm機関けん銃89式小銃20式小銃


M80普通弾と64式はセットで設計されている為、海外製の7.62mm弾を装填して射撃した際、薬室閉鎖と同時に発火(ボルトの前進の勢いで撃針が前進し、雷管を叩いてしまう)してしまったという。

逆に米軍のNATO弾を使用した際に雷管が叩ききれずに不発が起きた事もあった。

製造メーカーによって雷管の性能は異なる為、このような事は自衛隊に限らず、他国でも似たような事は起きている。当たり前であるが設計の違いにより銃により許容できる範囲は異なり、この手の相性問題は差が大きい。


摩耗により発生したか銃自体の問題かは不明だが、規整子のポジションが判り辛いという問題もあり、規整子の位置がずれたまま発砲すると発射ガスがうまく送られずに動作不良が起きてしまう。


可倒式の照星(フロントサイト)と照門(リアサイト)はクリックストップにより立てた状態で固定することが出来るものの、しっかりと固定する機構が無いためにストップ機構が摩耗するなどした個体ではヘルメットの庇への接触や射撃の衝撃で倒れるものもあり、立てた状態ではそれらを保護する部品がない為にぶつけたりすると壊れてしまうという問題もある。

立てた状態では壊れやすいというのは、最近の可倒式エマージェンシーサイトも同様であるが。

また、手袋をした状態では起こし辛いという問題もあった。

照門、照星の倒し忘れは教育を受ける者にとっては恐怖である。……指導されるのだ。


箱型弾倉はM14タイプマガジンと呼ばれることもあるが、M14との互換性は無い。

そもそもNATOでは7.62mm用のマガジンは互換性が定められておらず、64式に限らず流用できるものは殆どない。

開発段階では30発装填する弾倉がテストされていたが、少数試験されたのみで採用・量産には至っていない。


二脚は取り外しが出来ない。

また、銃の使用時に工具を出して脚を締め、収納時に脚を緩める必要がある。

そうしなければ銃が右または左を上面にして倒れる。


とまぁ銃から縁遠い国であるがゆえ、端々の使い勝手の評価が中心となりがちだが、鉄砲としての性質を見た場合とんでもない珍銃である。

上述した通りこの銃はセトメ・ライフルを目指し、発射レートが低くフルオートの扱いが容易な銃を目指したわけだが、その手段として採用されたのが「ボルトの動作距離をめちゃめちゃ長くする」という極めて短絡的な構造だった。

そりゃあ確かに移動距離が長くなればレートは下がるわけだが、そうすると引き金を引いても弾が出るまでに時間がかかるようになり、そうすると射撃精度が落ちる。

自国の状況を真剣に検討した上で機能を取捨選択するのは大事なことだが、「たまに撃つ、たまがないのがたまにきず」なんて川柳を読みながら、一発ずつ大事に大事に実弾を消費していた自衛官が、実戦の場で突然連射を要求されて扱いきれるかは神のみぞ知る。


またグリップの設計が悪く、引き金までがかなり遠い。

ライフル射撃においては人差し指末節の腹をトリガーにかけ、真っ直ぐ後ろに引くのが理想的な動作とされるが、この銃の場合は握把をしっかり握ると末節の更に先端を引っ掛けるのがやっとである。アジア人の体格に合わないからって弾の設計から考え直したのにこれでは片手落ちだ。


同、銃剣編集

64式小銃用銃剣は刃が付けられていないで、有事の際に刃をグラインダーなどで付ける。長さは41㎝と近代銃剣の中ではかなり長い部類に入る。

鞘についている剣ひもの脱落や、銃剣の挿入方向、トラック乗車時にイスに挟まり折れることもあるようで取扱いには注意が必要である。

「着け剣」の号令や「取れ剣」の号令で着脱を行う。

この銃剣は開発当時相当に揉めた代物であり、長くするか短くするかそもそも銃剣を廃止するかで意見が分かれ決闘騒ぎになったほどであった。結局、意見の間を取ってこのサイズに落ち着いたのである。


総合評価編集

フルオート使用時の高い集弾性・製造から数十年以上を経ても使用可能な堅牢性といった優秀なカタログスペックを持つ一方、使い勝手の悪さはお上からの要求によるところが大きかったため、長らく「日本の事情を考えればそれなりに使える銃」という評価がされていた。

ただネットの普及により使用経験者の忌憚のない発言が出回るようになり、またアメリカの射撃ノウハウを踏まえた評価が可能になると、上述の問題点から批判的な意見が増してきている。


但し仮にM14を採用していた場合、ストック形状の問題も相まって、米軍(欧米人)ですら持て余した7.62㎜弾のフルオート機能は、日本人にはキツ過ぎてなおさら使い物にならなかったと思われる。

現にこれも一因となり、M14は主力小銃としては早期にM16へ交代してしまい、64式が採用された頃には生産終了となっている。採用していた場合は他国と同様、ライセンス生産でない限りは初期輸入分以外は新古品、または中古品しか手に入らなかった可能性もあった。

同じく7.62㎜弾を使用するFALを、L1A1として採用した英軍等では、初期型以外はセミオートのみとなっている(フルオートありの銃は、分隊支援火器型のL2A1を別個採用)。


しかしながら予算的都合や無闇矢鱈と頑丈な構造から、採用から50年以上を経た今も尚部隊によっては現役である。

分相応の強度で作られた89式小銃が寿命によって20式小銃に順次更新されていく流れとなった中、64式小銃には未だ全廃の気配はなく、89式よりも長く現場に留まる可能性もある。

陸上自衛隊においては比較的新しい個体(80年代に製造された物)が、ライバルだったM14と同様にマークスマンライフルとして運用されており、航空自衛隊及び海上自衛隊においては自衛装備として今なお現役である。

今後7.62mm弾に対応した新型小銃が登場しない限り、寿命一杯64式小銃は使われ続けるだろう。


遊戯銃編集

有限会社ホビーフィックスからは、ダミーカート仕様のモデルガンが発売されていたが、現在は絶版。

古い商品であるため入手困難だが、唯一のモデルガンということもあり、オークションサイト等では高値で取引されている。


TOP JAPANからは、電動ガンが発売されていたが、こちらも現在は絶版。

バリエーションとして陸海空の刻印違いに加えて樹脂で再現されたストックやグリップを木製部品に置き換えたモデル、陸自の狙撃銃版も用意されていた。

なお、メカユニットは蛇腹式の独自のものを用いており(同社製のMINIMI等も同様)、扱いやすさや耐久性などの問題から社外メカボックスに換装してギアなどをマルイ製に入れかえたり、丸ごとマルイ製メカボックスに入れ替えているつわものも居る。

また、ガレージキットマルイG3を64式風に変える部品も発売されていた。


S&T(香港のメーカー)から電動ガンとして発売。

販売当初はTOP製と違い、切り替え金の操作は完全には再現されていなかったが、バージョンアップしたモデルでは再現されている。メカボックスはマルイコピーのものに変更されており、木製部品を標準搭載。後に販売されたモデルは、電子トリガーを搭載している。

TOP製では亜鉛合金だったパーツがスチールやアルミ製パーツに変更されている模様。

マウントベースはタスコジャパン(現サイトロンジャパン)製品をモデルとしたものとなっている模様。

なお上述のTOP製狙撃銃版とはネジの径が違い、そのままでは使用できないため、合うネジを探すか、個人製作品を使えば流用可能(但し各種パーツは入手困難かつ、高額になりがち)。


レプリカ銃剣はウインドラスから発売。

装飾用のため、刀身は真鍮製となっている。

また、ガレージキットも販売されていた。


その他にも、個人製作されたレプリカ等が多数存在する。


性能諸元編集

全長990mm
銃身長450mm
重量4,400g
口径7.62mm×51
装弾数20発
施条四条右転
連射速度500発/分

近代化改修?編集

2018年に行われた日米豪合同訓練にて航空自衛隊の隊員がこの64式にロシアのAK用のカスタムパーツであるZenit B-12を装着した画像が公開された。

そもそも、なぜ日本が対応していない銃器でしかも東側のロシア製のパーツを使っているのかが完全に不明だがミリタリーマニアの間では「Zenit64式」という俗称がつけられ話題となった。

当時は日露関係が良かったので個人輸入した者がいたのかもしれない。


コレに限らず、様々なカスタムパーツを取り付けることで使い勝手を改良したものが空自・海自各部隊で散見されており、64式には意外と改造の余地が残されていたことがうかがえる。


関連イラスト編集

伊丹耀司2等陸尉64式自動小銃(改修型)

センシティブな作品黄昏と64式小銃


HOWA Type-64豊和工業 64式7.62mm小銃64式7.62mm小銃+ドットサイトHowa Type 64 (64式7.62mm小銃)


関連タグ編集

バトルライフル 自衛隊 89式小銃 20式小銃 64式自(ドールズフロントライン)

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