ベレッタ93R
べれったないんてぃすりーあーる
ベレッタ社がイタリアのテロ対策部隊の要望からベレッタ92を元に開発したマシンピストル。
93RのRはRafficaというイタリア語で突風、そしてバースト射撃を意味する言葉の略である。
ベレッタ92の原型となったM1951とM1951Rがそうであるように92のマシンピストル版であり、構造を同じくする部分も多いが、M1951でフルオート射撃した際の反動のコントロールの難しさの反省点からフルオートを無くし、単発・3点バースト切り替え式にしたためスライド・シャーシなども形状が異なり、大部分は専用の部品で構成されている。
このためか「92○○」とはならず「93R」と別のナンバーが振られている。
(現行の92F系とはセーフティ配置も違うが、最初期型の「92」はシャーシ側にセフティがあり、92Fどころか92Sすら登場していなかった最初期の92完成の2年後に開発された93Rがそちらに準じるのは当然である。このシャーシセーフティは2019年にベレッタ92Xが登場するまでは長らく92系に採用されていなかった。)
フレームにフォアグリップを備え、フルオート射撃ではなく自動的に3連射にとどめるバースト機構によって安定した射撃が出来る。さらにオプションとして折りたたみストックをグリップに装着することも出来た。
装弾数は標準仕様のロングマガジンで20+1発、92用の15発マガジンも使用できる。
拳銃では珍しかった3点バースト射撃、マズルポートから吹く派手なマズルファイアがあり、スクリーンではちらほら登場していた。また、何故かフランス映画に登場することが多かった。
現在は既に1993年に製造が終了したこともあって、後発のグロック18にその座を奪われているが、稀に92Fを改造して93Rに見立てたプロップなどが使用されている映画もある。
「ロボコップ」のオート9はこれを改造した物であるが、3やドラマ版に登場したものは発砲シーンのみ92Fをフルオート化したものがベースとなっている。
この銃は日本では後述のMGCのセールスのおかげでかなり有名な銃となっているのだが、世界的にみると情報もかなり少なくマイナーな部類だったりする。
3連バースト機構はフルオートよりも複雑で、命中精度が劣り装弾数を少なくせざるを得ないマシンピストルにおいて非常に有用な機構であるのだが、現在はそもそもバースト機能がいらない子扱いであることやバースト射撃やフルオート射撃は危険が伴う上にMP5に代表される高精度のサブマシンガンの普及でマシンピストルというジャンルそのものが廃れてしまった為に時代に取り残されてしまった銃と言える。
SBRの需要により伸縮式や折り畳み式のストックが前提とはいえハンドガンカービンやマシンピストル的な小型の連射可能な銃の需要が生じたものの、マシンガンとしての登録の難しさやベレッタ社には既に別の銃があった事もあり93Rの後継機(的な銃)の登場とはならなかった。
民間にこのモデルはほとんど出回っていないが、極稀にアメリカ市場で流通しており、その数の希少さから値段は日本円換算で約400~1400万円ととんでもない金額で取引されている。
また、映画用のプロップとしてステンレスで制作された銀色のモデルやカダフィ大佐に向けて作成されたフルオート仕様の黄金モデルも存在する。
日本では1988年から1991年にかけて『月刊コロコロコミック』(小学館)にて連載された漫画作品『リトルコップ』(小林たつよし/協力:レッドカンパニー)にて、主人公である矢車弾の愛銃(いわば主役機)として登場した事から、その世代のコロコロ読者には馴染みが深い銃である。
ちなみに弾は登場当初はノーマルの93Rを使っていたが、のちにより高度な敵と戦うために、より弾の闘法(性格)に合わせて改造されたギミック銃である93R-LCSP(ベレッタ93R リトルコップスペシャル)へと持ち換えている。
遊戯銃として
トイガン業界においてはMGCにより開発された業界初のセミオートガスガン(ただし固定スライド)であり、これは当時ライブカートのエアコッキングガンが主流だった時期のサバイバルゲームにおいては非常に強力で大ヒットした商品となった。
現在はKSC(かつてはMGCの傘下であった)の看板モデルである。
初期の93Rでは実銃どおり単射と3点バーストのみだが、裏技的機能としてセレクターを単発とバーストの中間位置にすることでフルオート射撃が可能となる。
さらに後のモデルではフルオートポジションが正式に設定され、モデルによっては3点バーストをオプションパーツによる追加機能としてフルオートを標準としているものもある。
また、バースト機能を省略した廉価版であるM93R-Cも発売されている。
現在、KSCの93Rは違うブローバックエンジンを積んだ二つの仕様が並列販売されているが、同仕様のブローバックエンジンを持つ機種同士ならM9(92F)とのマガジンの共用が可能となっている。
ロボコップに登場した仕様であるオート9も販売されており、フルオートをバーストに見せている映画と違いバースト射撃が可能。
モデルガンとしても販売されており、マズルのポートのデザインが違う1stと2nd、マガジン形状の違うプロトモデルの3種が販売されている。
発火用カート仕様だが別売品の部品を使用することでファイアリングピン保護機能の付いたダミーカートが使用可能となっている。
東京マルイからは電動ハンドガンとして販売されており、フルオート/セミオートが可能。
残念ながらグリップ内にメカボックスを組み込んでいる都合でマガジンがリアル形状ではない、ブローバックしないなどの欠点があるが、逆に言えば反動が発生しない上に片手で扱えてスタンダード電動ガン並みの火力が出せる為サバイバルゲームにおける実用性はかなり高い。
MGCからはマガジンをグリップ内に収めた状態で折り畳み可能なオリジナル仕様のストックが発売されており、これをモチーフとした『リトルコップ』の劇中に登場した93R用ストックは分解によりアーチェリーとなる等のギミックを備えたものとなっていた。