「凄い力じゃのう……手術、成功しとったんか!? 今のちまいのは眷属じゃろ? そうか、これがお前さんの眷属の能力か! もう、成功しとったなら、早く教えてくれれば良いものを……ブーシュの奴、水臭い!」
「わしはデンテ・ストマック。お前の父さんの……父さんの……弟じゃ! は〜はっはっはっ!」
概要
かつてはストマック社で技術部門を担っていた重鎮にして、兄が作り上げた闇菓子のために「人間をスパイスとして利用する」システムを開発した、本編における悲劇の元凶の片割れとも呼べるキーパーソン。大甥であるニエルブを技術者として鍛えた師匠でもある。
本編では自らの意思でグラニュート界を離れ、人間界の洞窟を根城にし隠居生活を送っている。
クジラとカエルの中間めいた、大柄な姿をしており、後頭部から長く白い髪を編んで2つに垂らしている。首元には大きめな襟巻きが覆っている。
また、シータやジープと共通の外観をしたガヴがあるものの、老齢に加え不摂生(後述)が祟ってか、上顎の歯が全て抜けてしまっている。
また、頭部の口吻に相当する部位は上顎と下顎は明確にあるが、口内全体にステンドグラス状の皮膜が張っているような形状をしている(ただし、大口を開けられる事実から、皮膜ではなく歯茎の可能性も考えられる)。
グラニュート界では一般グラニュートと同様に、貴族風のコートを着用していたが、人間界では「服など要らんわ〜!」とばかりに全裸で生活している。
甥であり上司であったブーシュが下した決断(井上みちるとその間に生まれた息子であるショウマを迎えた決断)を拒絶しなかった数少ない人物であり、更にブーシュの依頼を受けて、眷属を作る力のなかったショウマの〈赤ガヴ〉に改造手術を施した経緯がある。
人物像
厳つい風貌に反し、軽妙かつフレンドリーな言動が特徴で、大甥・姪達と異なりブーシュやショウマに愛着を抱いて協力するなど、人間を侮蔑する意識も持っていない(前述の通り人間をスパイスにする研究を行っていたため、愛着に発展したのはショウマとの出会いがきっかけになったと思われる)。
お菓子を優先しての転落人生を全く気にしていなかったり、変身したショウマに上記のセリフを発しながら警戒心を持たないまま近づくなど、年齢に反して保身よりも知的好奇心を優先する子供っぽい面も大きい。
しかし、名家の出身かつ大企業の主幹エンジニアを勤めた過去から、上記の子供っぽさは無自覚な特権階級めいた価値観の表出にも見え、実際に不謹慎な言動から相手の不興を買ってしまうなど、大役を勤めた人物とは思えない程の浅慮を見せる。それを裏付けるかのようにブーシュのショウマやミチルに対するスタンスも、「愛していた」ではなく「可愛がっていた」と語るなど、無自覚に人間をペット感覚で認識している節もある(ただし、デンテの年齢や血統などを考慮すると、孫同然に歳が離れた親族に向ける「可愛い」の可能性もあり得る)。
また、第15話での発言から目をかける相手以外には関心が薄く、時に面白半分に他者の命を軽視するような発言をする場面も……。
動向
第5話で行き倒れた青年を偶然発見し、自ら改造した〈赤ガヴ〉からそれが成長したショウマであると見抜き、根城に匿い幼少期の事実を教えた結果、再びショウマと交流を持つようになる。
上記のブーシュの懇願により改造手術を行うデンテであったが、前例のない事例なのもあり彼の技術をもってしても手探り状態になり、効果は現れなかったが、彼なりに「何とかできないか?」と試行錯誤する内にショウマへの愛着が芽生え、人間の研究でその糸口を見出すべく人間界に渡ったが、人間界のお菓子にハマって(根城の洞窟には、彼が集めたお菓子が多数置かれている)そのまま居着いてしまい現在に至る。
グラニュート界での上流階級生活から一変した浮浪者生活やお菓子の食べ過ぎによる体型変化を「このザマ」と自嘲してはいるが、当人は「住めば都」とばかりに今の生活を気に入っている模様。
そのため、ストマック家の現状(元凶であるブーシュの死やランゴ達の台頭、そしてショウマの出奔)も、全く把握していなかった。
成長した彼との再会と手術の成功に喜ぶ一方、ショウマが語った自らの不運を聞くも思わずブーシュの擁護をしてしまい、その場は感情に身を任せて飛び出したショウマとケンカ別れをする形になってしまう。
しかし、続く第6話でショウマが手土産と共にやって来ると、早速チョコとポッピングミを平らげる。
ショウマから「これからも人間界のお菓子を融通する代わりに、人間を助けるサポートをして欲しい」との頼みを持ち掛けられ、「一応ワシもストマック家の一員じゃぞ?」と前置きしつつも相手の次の一手を待つ素振りを見せると、ショウマは「改造を施した〈赤ガヴ〉 が今後も成長する可能性」や、人間界を素直に気に入っている本心を問われた。
そんなショウマの強かな姿を見て増々彼を気に入り「まぁ、ええか!お菓子のためじゃ」と遂に協力者となった。
第7話では訪ねてきたショウマに新しいガジェット・ガヴフォンを手渡し、その説明を終えるや否やショウマから「自分以外に改造されたグラニュートの存在の有無」を尋ねられ、ガヴ以外の存在がいる話を疑問に思う。
第13話冒頭では、ショウマから辛木田絆斗/仮面ライダーヴァレンと共に戦っているところをガヴフォンで見せられながら「人間が自分のように眷属を使って変身できるの?」と尋ねられたデンテは、彼から催促したお菓子を食べながら「人間がショウマのように変身するためには、グラニュートの力を取り込まなければ変身できない」「それができるのはグラニュートしかできない」と推測した。
その後、ショウマが新たに「絆斗のお母さんの写真を見た瞬間、頭の中に火花が走ったような感覚に襲われた」と漏らしたことに対して、「もしかしたら……お前さんの記憶は所々抜けているのかものぅ」と指摘しショウマを動揺させた。だが、直後にショウマから「(デンテおじさんも)俺の名前を忘れているでしょう!?」と返され、図星を突かれたのか「ワシはおじいちゃんじゃから……」 とたじろぎながらも、自分の年齢を理由に弁解してゴチゾウに小突かれた。
第14話では直接的な登場はなかったものの、シータとジープの回想シーンで、ブーシュの電話の相手として存在が仄めかされた。
第15話では「ストマック社から抜けたい」と決意・相談しに現れたバイトの話をショウマから聞き、「そんなヤツ居るかのぅ?……闇菓子の魅力に抗えるかのぅ」と疑い半分に漏らすや、両手に掴んだ菓子を一斉に口に放り入れ「ワシはお菓子の魅力には勝てんがのぅ!!」と茶目っ気を見せた。だが、直後に「居ったとしても、そういうヤツは誰にも言わずこっそり消えるもんじゃからなぁ。いや、ひょっとしたら消えたんじゃなく……秘密裏に消されとるのかもしれん」 と笑い飛ばすような調子で伝えるや、ゴチゾウの連絡を受けて足早に去るショウマに対し「おぉ、そうか……気を付けてなぁ!」の言葉を投げ掛けて見送った。
続く第16話では結局そのバイトに裏切られた挙句、絆斗が攫われた事態に気を病むショウマを慰めつつ、今更になって自らが片棒を担ぎ産み出した闇菓子の恐ろしさを痛感する。
だが、未だに気を病むショウマを見て「落ち込んでいるのは、裏切りや拉致だけではない」と察して探るや、ショウマは「絆斗に自分の正体を伝えていない」 と胸のつかえを吐露し、デンテは珍しく真面目な調子で「正体を明かさない方が良い」 と釘を刺した上で「知られたら、次にヴァレンが狙うのはお前さんじゃぞい」と警告した。
余談
- 名前の由来はイタリア語で「歯」を意味する「デンテ(dente)」と思われる。
- 声を演じる多田野氏は『仮面ライダー電王』のホエールイマジン以来で、実に17年ぶりの仮面ライダーシリーズの出演となる。奇しくも容姿が似通っている。
- デザインは全身が怪人であるためか、他のストマック家メンバー(篠原保氏担当)と異なりK-SuKe氏が担当。ただし、幹部級の怪人である点から、篠原氏デザインラインが意識されている。
- 愛着を持つショウマに対しては友好的に接しているものの、人間と深く関わる以前には元々は人間からスパイスを抽出する技術を開発していた、ブーシュに請われるままに幼いショウマに強化改造手術を施す等々の点から、一部の視聴者からは「友好的だけど倫理がない」と手厳しい評価をする人もいる。
- 「デンテはグラニュート族でなので人間の物差しで図るべきではない」……に類する擁護意見もあるが、同5話にて闇菓子はグラニュート社会でも違法(そして、閉じ込められていたショウマとミチルはまだその実態までは知らない)とも描かれている(それが「あくまで闇菓子の中毒性が問題視されてるだけで、人間はどうでも良い」のか「人間を傷つけるのもいけない」のかは不明だが)以上、少なくとも「違法である闇菓子に関わる技術を開発」している上に「それに対する悪気や負い目を感じているようには一切見えない」上、第15話での「居ったとしても、そういうヤツは(以下略)」発言もジョークのつもりで笑い飛ばしていだが、見方を変えれば「末端の人員の1人2人消えたとしても、大勢に変化が起こる程の価値がない」とする酷薄さの顕れを見せた時点で、グラニュート族の物差しで測ってもやはり倫理的とは評価し難いだろう。
- また、デンテの言動自体は無配慮そのもの(ショウマからすれば「自分達が苦汁を嘗めさせられた上、母はストマック家に殺された」にもかかわらず、デンテはショウマの苦難を一切考慮せず「ブーシュの言動は『ショウマとみちるを守る』意図があった」と擁護した)なのは否定できず、その意味では人間とグラニュートの物差し以前の話である。
- ただし、新たな仮面ライダーの支援者の酸賀研造もデンテと同じように、友好的に見えて倫理が乏しい技術者 であるが、あちらは赤の他人同士かつ純粋な利害の一致のビジネスライクな関係であるのに対し、デンテとショウマは(現在はデンテの一方通行気味だが)互いに面識がある血族と対照的になっている。
- 更に、現時点の酸賀は自身の知的欲求を重視するような言動に終始しているが、デンテは上記の通り第16話にて闇菓子の依存性の高さと、それに味を占めた者達の破綻振りなどを知って己の過ちに気付き始める描写も入り、その点でも対照的になっている。
- 「デンテはグラニュート族でなので人間の物差しで図るべきではない」……に類する擁護意見もあるが、同5話にて闇菓子はグラニュート社会でも違法(そして、閉じ込められていたショウマとミチルはまだその実態までは知らない)とも描かれている(それが「あくまで闇菓子の中毒性が問題視されてるだけで、人間はどうでも良い」のか「人間を傷つけるのもいけない」のかは不明だが)以上、少なくとも「違法である闇菓子に関わる技術を開発」している上に「それに対する悪気や負い目を感じているようには一切見えない」上、第15話での「居ったとしても、そういうヤツは(以下略)」発言もジョークのつもりで笑い飛ばしていだが、見方を変えれば「末端の人員の1人2人消えたとしても、大勢に変化が起こる程の価値がない」とする酷薄さの顕れを見せた時点で、グラニュート族の物差しで測ってもやはり倫理的とは評価し難いだろう。
- 一応、ハーフグラニュートのショウマだけでなく、純血のグラニュートも人間のお菓子を飲食し気に入る可能性を示した初の人物である。
- 後にニエルブも人間界のお菓子を食べたが、こちらは〈赤ガヴ〉とゴチゾウの研究の一環 で食べた意図が強く、目立った反応を見せていない。
関連タグ
善玉怪人?:人間を直接襲ったわけではないが、そもそも人間が襲われるようになった一因ではあり、現在も闇菓子自体に否定的な訳ではない。またショウマに対する悪意もないが気遣いもない発言も目立ったが、再三の通り第16話で漸く真っ当な一面を見せ始めた。
悪意のない悪意、地獄への道は善意で舗装されている:上記の言動と所業を纏めるとこうなる。
クジラ怪人:鯨モチーフの怪人でデンテに似ており(上記の通りデンテはクジラモチーフではないが)、主人公に協力するポジションである点から連想した視聴者がいた。故に「最終的に裏切り者として倒されるのではないか?」と、この手の善玉怪人にありがちな末路を不安視する声もある。
緑川弘:仮面ライダーを生み出した科学者繋がり。特にシン・仮面ライダー版は悪人ではないがどこかズレた善意の持ち主であり、倫理観がない点が酷似している。
キャンディ大王:多田野氏がかつて演じた映画及びお菓子モチーフのゲームのキャラクター。軽い言動や陽気な性格はデンテそっくりだが、その実態は・・・。
空見遼太郎:多田野氏がかつて演じていた5年前のプリキュアのキャラクター。