アメリカやイギリス、ロシアなど各国に多く存在する行政機関の一つ。
主に地方行政、国内治安、出入国管理などの内政面を担っている。
内務省と言っても国や地域によって組織の権限や性質に差があり、ロシアの内務省では国内軍を保有し、アメリカの内務省では天然資源や先住民関連の業務を担当するなど、日本の環境省に近い。
日本の内務省
明治18年、内閣の一省となり警察・地方行財政など、内政一般を掌る。官選知事を通じて内政全般に関与した。
明治20年、造神宮使庁をおき宗教政策を強化。
昭和3年、大逆事件を機に、特別高等警察(特高)を全国設置し、共産主義・社会主義の取締まりを強化。
昭和22年、日本敗戦後、連合国軍最高司令官最高司令部(GHQ)の指令により、日本の中央集権的官僚行政の中枢であったこと、軍部と組んで日本を軍国主義国家にしたとの理由で解体された(実際は、軍部とはゴーストップ事件などで何度もトラブルになっており、友好関係にはなかった)。
関連省庁
現在の総務省、警察庁、国土交通省、厚生労働省は、内務省の後継官庁に当たる(旧内務省系官庁)。法務省の外局である公安調査庁や、文部科学省の外局である文化庁も、旧内務省の後継官庁の一つである。
また、神社行政を統括していた神社局は戦後の政教分離の原則で廃止。その後の神社の統括は宗教法人神社本庁へ移された。
総務省、自治省と内務省
総務省の前身の一つである自治省は「内務省後身省庁の嫡流」と呼ばれ、自治大臣は警察庁を所管する国家公安委員会の委員長(国家公安委員長)との兼任が多かった。これにより、いわゆる内務行政と呼ばれる地方自治と警察業務という内務省の要の部分を一大臣で所管するようにしていた。
とは言え、国家公安委員長は内務大臣と違って警察に関する強い行政権限を持たない(このことは、今日に至るまで警察の不祥事に政治家が強く出れない原因の一つともされる)。加えて自治大臣は、当選回数に依って大臣ポストを求める陣笠議員と呼ばれる議員向けの大臣ポストとして扱われ、その椅子は往時の内務大臣の力を思えば比較にならないほど軽くなったとさえ言われた。
後に地方自治問題がクローズアップされることで自治大臣は花形ポストへと格が上がり、加えて中央省庁再編で総務庁及び郵政省の情報通信分野(テレビなどの放送や通信に関わる分野)を統合して総務省となると、主任大臣の中では内閣総理大臣に次ぐナンバー2(副総理を含めるとナンバー3)の序列を有する再重要閣僚となり、内務大臣ほどでは無いにせよある程度の権限を取り戻したとも言える。
しかしながら、前述の通り警察行政に関しては警察内部そのものによる統制下にあることに加え、総務大臣の所管業務が自治大臣より増大したことからほぼ国家公安委員長との兼務が無くなった。このため、総務大臣はG7内務大臣級会談(この会議は地方自治よりテロなど警察業務を話し合うものとしている)に出席することは殆ど無い。
関連項目
警視庁 厚生省