概要
アニメ『ヒーリングっど♥プリキュア』の主人公。花のプリキュア・キュアグレースに変身する。
すこやか市に引っ越して来た中2。
誕生日は3月9日。同月生まれのプリキュアはのどかが初であり、担当声優とも誕生月が一致している。
大人しくおっとりマイペースであるが、明るく前向きで芯が強い性格。
小学生時代から重篤な病気を長く患っており、つい最近となって「やっと自由に走れる様になった体」であることが第1話で両親の会話より明かされている。
現在病気はほぼ完治している模様であるが、後述の通り、長い入院生活によって体力や筋力は非常に乏しい。
人物
前述の通り、本編開始前長年に渡る入院生活を強いられていた。その間は体を思う様に動かすことすら出来ず、回想シーンでは人工呼吸器を付けてベッドに横たわり、両親より励まされている様子や車椅子でリハビリをしている様な様子が描かれている。
いつから入院していたのかは作中では明言されていないが、第9話では「休んでいた頃は写真を撮らなかったため、小さい頃の写真しかない」と語っており、小学生時代の大半 - 中1終わりまでほとんど入院生活であったのではないかと思われる。
どうにか退院出来るまで回復し、新生活のためにすこやか市に引っ越して来た場面から物語が始まる。
長い入院生活で「普通の生活の楽しみ」からは遠ざかっていたこともあり、「当たり前の中学生らしい経験をしたい」という気持ちが強い。そのため、おっとりとした雰囲気に反して好奇心はかなり旺盛で、何気ない波飛沫や草花の様子に感激する等、感受性も豊か。その好奇心の高さからか勉強にも積極的で、試験点数も中々良い。
そんな自分が退院出来るまでに回復出来たのは両親や病院の医療スタッフ達等、周囲の人々が支えてくれたお陰と考えている。自由に動けるようになった今では、自分も他人に親切にしようと心掛けており、困っていたり危ない目に遭っている人を放っておけない心優しさを持つ一方、自然や人々を蝕み、傷付けようとするビョーゲンズには毅然とした態度で立ち向かう確かな正義感も有する。
ただ、沢泉ちゆに指摘された通り、運動経験が非常に不足しているため、自分の体の限界などが体感として身についていないので、後先考えず無茶してしまうこともしばしば。
「そんな有様ではプリキュアとして不適格」と、のどかと共に戦うパートナーであるラビリンもパートナー解消を第2話で早々に申し出ていた(ただし、これは戦うことに不向きな身体であるのどかを危険に巻き込まないための配慮故でもある)。
しかし、のどかの「プリキュアだけは何が何でもラビリンと一緒に続けたい」という強い意思に押されて、ラビリンはのどかと共に戦い続けることを最終的に決意する。ラビリンも医者としてはまだまだ半人前であるため、のどかと「2人合わせて一人前のプリキュア」として歩んで行くこととなった。
体質
本編開始時点で病気自体は治っている様であるが、ずっとベッドの上か車椅子で過ごしていたため、身体が全く鍛えられていない。桃キュアにしては珍しく運動が苦手…どころか基礎体力・筋力がかなり乏しい。特に体のバランス感覚が弱いためか、ちょっとしたことで躓いたり、よろめいてしまう。
第1話ではダッシュして来たひなたにぶつかり、のどかのみ倒れ込んでしまったり、市内を歩き回った直後とはいえ、ちゆを追い掛けて少し走った程度でもへたり込んでしまう有様。第2話では運動部練習をいくつか体験するも、陸上部では走り高跳びでバーに辿り着く前に途中でつまづいて転倒あるいはバーに接触。テニス部ではやはり体が付いて行けず、全て空振り。挙句剣道部では防具を身に着けただけなのに「防具って重いんだ…」とよろめき、剣先を合わせる前に転倒するという始末で、ラビリン達を愕然とさせてしまった。
第2話ではちゆから、「運動が苦手なのではなく、体の動かし方を経験として知らないのではないのか」と即座に見抜かれている。そして、最初はまず軽いジョギング等から始める様にアドバイスを受けた。
そして、これ以降のエピソードでは登校前に出来るレベルでのジョギングを欠かさず続けている様子も日常の1コマとして描かれている。
容姿
髪型はボブヘアーで右側に2本のヘアピンを付けており、そのうち1本にはピンク色の花飾りが付いている。変身バンクを良く見ると足の形はエジプト型。
身長は4人の中で1番小さい(のどか<ひなた<ちゆ<アスミ)。
服装
私服
春 - 秋は上がクリーム色と水色の七分袖のトップス、下がピンク色のスカート。足には白いショートソックスに赤茶色のストラップシューズ。
秋~冬は、胸元に赤いリボンをあしらったワンピースとハイネックの黒いセーター。足には春同様、白いショートソックスに赤茶色のフラットシューズ。
制服
特にアレンジも何もせず学校指定のままである。
靴下は白のハイソックス。
よそ行きの服
第33話で見せたよそ行きの服。
白い襟とボタンが付いた紺色の長袖ワンピース。
水着らしき服装
第35話で見せた服装。
ピンクのトップスの上から薄ピンクのシャツを着用し、緑に白い花柄のショートパンツを穿いている。
髪型は短いツインテール。
ちなみに、『コンプリートブック』によると、シャツの下はセパレートタイプの水着である模様。
家族構成
家族は両親とのどか本人の3人家族。
父が先行して準備していたすこやか市の家に母子共に第1話冒頭で移住して来た。
広々した庭付2階建一軒家は少々年季が入った中古物件の様に見受けられるが、外壁や多くの内装、風呂などが木製となっており、両親が娘の体調を考慮してわざわざ特注で準備したと思われる。
第6話において父・たけしは主に住宅リフォームを手掛けるデザイナー、母・やすこはかつて運送ドライバーとして勤務しており、入院する娘に付き添うために退職。今回の引越しを機にすこやか運送に再就職したことが明かされた。
両親の名前を漢字で書くと「健」と「康子」で「健康」を意味するのではないかという推測がある。
のどかの歩み・成長(※本編ネタバレ注意)
「経験」によって形成された人格
CV・悠木碧氏氏はのどかというキャラの第1印象を、「誰が見ても良い子という印象。ともすれば作り物めいたいい子さも感じる程であった」と語っている(『ヒーリングっど♥プリキュア オフィシャルコンプリートブック』P50)。
この言葉通り、彼女は天然気味ながらもおバカ要素は極めて薄く、行動や考え方は極めて常識人寄り、という「のどか(長閑)」の名に違わない"癒し系""ナチュラル"気質でありながら、プリキュアとして人々を助けるためなら自分が傷付くことも厭わない確固たる信念と強い使命感を併せ持った性格、というシリーズ内でも非常に独特なキャラ像となっている。(こうした系統の主人公自体がここ20年のニチアサ全体で見ても結構希少な存在でもある)
彼女のこの様な性格には長きに渡った闘病生活という経験が大きく関わっている。
のどかは子供時代の大半を心が折れそうな辛い病との闘いの中で過ごして来た。
呼吸器を付けてベッドに横たわるばかりの日々の中、同年代の子達が過ごす「当たり前の日常」に強く憧れて来た。
だが、幸いにも献身的な両親の看護や主治医・蜂須賀や看護師達による熱心なサポートにより、絶望的な状況にも鬱屈することなく、希望を絶やさずに真っ直ぐ成長することが出来た。
この様な経験から「自分の命は周りの皆に支えられている」ということを彼女は骨身に染みる様に理解している。
だからこそ、「自分も誰かの助けとなりたい」と強く願う様にもなった――そんな少女が「地球と、そこに生きる生命全てのために戦う」プリキュアの力を手に入れた。
それが、本作の物語の骨格である。
本作ではのどかが闘病生活の中で優しさ・強さを得たこと自体は肯定的なものとして扱われている。だが一方で「人間的に成長出来たから病気となったことも良い思い出」の様な言説を徹底的に否定もしている。
過去は変えられないたため、それを受容して前に進むしかないが、その「受容」というのは悲劇を美化することではないというのが終盤では強いメッセージとして現れている。
「人助け」への固執がネガティブな過去に起因するプリキュア主人公は過去に愛乃めぐみ/キュアラブリーも存在したが、彼女の人助けがメサイアコンプレックスの産物であると描かれていたのに対し、のどかは「そうすることが当たり前」という様に描かれている。
歴代主人公の多くは「未来」を見据えながら悩み成長する様なキャラが多かったが、どちらかといえばのどかは「過去」の経験をどう活かして行くかということが主題に置かれている。
ラビリンという心強いパートナーや仲間達と共に失った青春を取り戻す様に学校生活を謳歌。地球の「お手当て」にも励む。
だが、そんな彼女に再度過酷な運命が襲い掛かる。
苦しみの再来
本編第27話でのどかは敵キャラの1人・ダルイゼンにメガパーツを埋込まれる。幼少期同様に医学的には原因が特定出来ない苦しみに再度苛まれた。
ラビリンと力を合わせてメガパーツを上手く排出。そこから生み出されたケダリーの姿を見て自分の成り立ちを思い出したダルイゼンより「自分はキュアグレースを宿主として生み出された存在である」という衝撃の事実を告げられる。
のどかが原因不明の病気となったのはダルイゼンの「種」が幼い彼女の体内に寄生したことが原因であった。寄生した彼の種が生育するために生気を奪い続けていたため、彼女は長年に渡って苦しみ続けることとなった。
皮肉にも憎むべき敵・ビョーゲンズこそ、強く優しいのどかの性格を形成した「経験」を生み出した要因である。
だが、彼女の信念自体は揺らぐことなく密かな覚悟を固め、地球のため、皆のためにプリキュアとしてビョーゲンズと戦い続けることを誓うこととなる。
なお、『プリキュアシリーズ』において物語開始前の過去から敵キャラと因縁があったという設定が主人公自身に課されたのも彼女が初めてである(未来で因縁が出来ていた先輩はいるが)。
ダルイゼンとの決着
上述の通り、のどかは第1話より「他者を助けること」に強い信念を持つキャラとして描かれて来た。
だが、第41 - 42話にかけてダルイゼンとの因縁の決着を通じ、遂に「自分も大切にする」という方面での成長が描かれた。
ただ、これに関しては従来のプリキュ達に見られた「例え敵であったとしても困っているのなら助ける」という形ではなく、「どうしても許せない存在とは決別する」という形であったことに多くの視聴者が意表を突かれたこととなる。
第41話で復活を果たしたビョーゲンズの首領・キングビョーゲンは自身のさらなる進化のための生贄となれとダルイゼンに命じる。彼は成長を遂げた同族を吸収することでパワーアップする性質を有しており、そのターゲットにダルイゼンを見初めた。
従来よりキングビョーゲンへの忠誠心等が薄かったダルイゼンは「俺は俺だ、自我を失いたくないし、消えたくもない」という考えの下、ビョーゲンキングダムより逃走するが、その過程で深手を負ってしまう。
追手の目を上手く逃れ、傷を癒やすための唯一の方法――それは再度「種」となり、のどかの体内に帰ることであった。
ダルイゼンは「良いからよこせよ、その身体!」とキュアグレースに襲い掛かるが、深手を負っていたため、戦うことも出来ずに倒れ込んでしまう。
「助けて…くれ…」と彼は必死にグレースに命乞いし、「体内に匿ってくれ」と懇願する。
グレースは苦悩する。彼に寄生されていた幼少期の苦しみが蘇る。だが、敵とはいえど苦しんでいる相手を見捨てても良いのか?
葛藤の末、グレースは助けを求めて彼が伸ばした手を振り払い、その場から逃走した(第41話ラスト)。
そして、続く第42話でそんな自分の弱さから罪悪感に囚われ、「私、本当はそんな優しい子じゃない」と涙ぐみながらラビリンに心中を暴露する。このシーンは、悠木碧の熱がこもった演技もあいまって作中屈指の名場面である。
ラビリンより優しく激励されたのどかは「自分と大切な人達が健やかに生きる未来のため、絶対にダルイゼンを助けない」と決断をする。自分が再度病気となる選択をしてしまうことは自分が元気となることを信じて支え続けてくれた家族や医療関係者達への裏切りとなる。それは彼女にとって到底受入れ難いことであったと考えるべきであろう。
のどかが自分の気持ちに素直になり、自分がやりたい選択が出来たのはラビリンの存在が大きい。SD・池田洋子氏は「実際、ラビリンがいなければキッパリと決断は出来なかったんじゃないかと思います」と、シリーズ構成・香村純子氏はのどかが「ノー」という勇気を持ち、自分が思っていることを素直に意思表示し答えを選べたのは「そのためのという訳ではないんですが、そこでのラビリンなんです」と『ヒーリングっど♥プリキュア オフィシャルコンプリートブック』のスタッフインタビューで語っている。
一方、グレースに見捨てられたダルイゼンは最終手段として大量のメガパーツを体内に取込むという賭けに出た。その結果暴走し、巨大な怪物と化したダルイゼンは体中を蝕む痛みに苦しみながら暴れ回る。グレースはそんなダルイゼンを憐れむが、それでも彼女の中に帰ろうと必死に足掻く彼を「私は貴方の道具じゃない! 私の体も! 心も! 全部私のものなんだから!」とキッパリ否定し、浄化した。
(より詳細な流れについては下記の各話ネタ第42話、及びダルイゼンの項目の第42話に関する記述を参照)。
という2つのメッセージからなるのどかの答えは従来のプリキュアにはなかった新たな答えとなっている。このテーマ性は極めてインパクトが大きく、放映直後に明らかにこのエピソードを受けて「自己犠牲」というワード(否定対象としてであるが)がYahoo!でトレンド入りしている。
第42話はある意味で「プリキュアとは何か」という原始的な問いを1人の少女と1人の悪役を通じて我々に突き付けた回でもあるのかもしれない。
ネオキングビョーゲンとの最終決戦
キュアグレース達は「ヒーリングっどシャワー」によってダルイゼンを浄化するが、メガパーツで過剰に強化されたダルイゼンを完全に浄化するには至らず、彼は意識を失って初期形態に戻るに留まった。
しかし、直後にシンドイーネが現れてダルイゼンの所在をキングビョーゲンに報告したことで彼は吸収に成功。ネオキングビョーゲンに進化する。
彼はダルイゼンを助けなかったグレースを「ダルイゼンを見捨てながら、地球の皆と全てを守るというか。随分な思い上がりだ」と嘲笑った。
グレースは顔を歪めたが、迷いを振り切る様に「ダルイゼンを追い詰めたのは誰? 貴方にいわれたくない! そんな言葉には負けない! 私は絶対あなたを浄化する! それが私の今の気持ちだよ!」と言い返した。
一方、続く第43話では世界を救うため、自分の体内にビョーゲンズを取込むという危険な作戦を遂行するアスミの姿が描かれ、第42話とはある意味で真逆の流れとなっている。
勿論、真逆の展開であることは作中でも明確に強調されており、グレース自身も危険なことは止める様にアスミを説得する場面さえある。
だが、この第43話では「危険なのは承知の上であるが、死にたい訳じゃない。自分も皆も生き残りたいから危険なことを引受ける」というアスミの意思を通じ、自己犠牲の善し悪しを問うよりも、1番大切なのは自分が出来ることを自分の意思でやることが強く示された。
上記の作戦は成功し、浄化・弱体化されたナノシンドイーネを取込んだキュアアースを突破口とした最終決戦の末、のどか達はネオキングビョーゲンを倒し、ビョーゲンズ一派は全て浄化された。
だが、最終回でのどか達はビョーゲンズとの戦いの意味を再度問い直されることとなる。
サルローとの出会い
最終決戦後の後日談となる最終回ではサルローからの度を越した進化を果たした人間は地球からすればビョーゲンズと等しく"地球を蝕む害悪"であり、ビョーゲンズは倒すべきであるが人間は救うべきなんて都合の良い理屈はないのではないかという問い掛けにのどか達は苦悩する。が、「この地球の上で、自分も皆も健やかに生きて行くため」に必要なことは何かを問い続けなければならないと考えたのどかは「生きてくって感じ!」という、いつもの口癖をアレンジさせた台詞で決意を新たにするのであった。
CVについて
演じる悠木碧氏は2017年(平成29年)公開映画『映画キラキラ☆プリキュアアラモード_パリッと!想い出のミルフィーユ!』のオリジナル敵キャラ・クック役以来のプリキュアシリーズ出演で、TVシリーズでは本作が初出演となり、最終話に登場したスズメのヒーリングアニマルのスズチュンの声も兼任していたことを旧Twitter(現・X)及びオンライン感謝祭で明かしている。
公式サイトにあるキャスト発表時のコメントでは「プリキュアは見るだけで夢や希望をチャージしてくれる、栄養剤の様な作品です。私がプリキュアシリーズにハマったのは、大人となってからでした。子供の頃は呼吸するだけで生み出せていた希望ですが、大人となると掻き集めなければ手に入らなくなって来る」
と本音を述べた上で、そんな自分がプリキュアの主役に選ばれたことを
「大変光栄に思いました。同時に、責任も感じました。多くの役者さんが受継いで来たタイトルのバトンを受け取る緊張感、1年掛けて毎週観て下さる皆さんに夢と希望を伝えて行ける喜び、噛み締めつつ、丁寧に届けて行きたいです」
また、ニチアサキッズタイムで「悠木碧」名義で声優として出演したのは特撮番組『仮面ライダーゴースト』のユルセン役以来4年振りとなる(「八武崎碧」名義では『仮面ライダーファイズ』で少女時代の園田真理を演じていた)。
『アニメージュ』第43回アニメグランプリ
2021年8月号で発表された『アニメージュ』第43回アニメグランプリ(投票期間4月9日 - 5月8日、5月号の綴じ込みハガキ投票を集計)、女性キャラ部門で花寺のどか(キュアグレース)が1位(得票数405Point)・夏海まなつ(キュアサマー)が2位(得票数106Point)とワンツーフィニッシュで入選している。
声優部門でも悠木碧1位(得票数228Point)、ファイルーズあい2位(得票数150Point)と担当声優がツートップとなった。
悠木碧氏は第43回アニメグランプリ声優部門1位の受賞インタビュー内で、主人公・花寺のどかの選択は視聴者への問題提起であるとし、「『ヒーリングっど♥プリキュア』は『のどかが優しい自分のままでいられる世界とは?』を1年かけて提示して来た作品です。のどかは、頑張り屋で他者に優しさを与えすぎてしまう部分もありました。でも、『自分を大切にすること』が周りの人達の幸せに繋がることを学んで。第42話ではダルイゼンというヒール役を滅ぼすかどうかという展開がありました。視聴者の方はきっとのどかと一緒に『正義とは何か』を考えて下さったでしょうし、のどかの選択には賛否両論があったと思います。私は、あのエピソードは『のどかの選択は正しい』ということを伝えるのではなく、『あなたはどう思う?』と問い掛けているのではないかと思っていて」
―正解だと主張するのではなく。
「感じ方は人それぞれなのだと。それはこの作品に限らず、世のアート作品全てにいえると思います」とコメントしている。
第43回アニメグランプリの反響は大きく、翌月の『アニメージュ』9月号のキャラベスト10にも6位に花寺のどか/キュアグレース(得票数64票)がランクインした。さらに、10月号では15位(得票数43票)、『アニメージュ』11月号にも27位(得票数24票)にランクインしている(TOP30まで誌面に記載、TOP20まで画像付で記載される)。
各話ネタ
『スター☆トゥインクルプリキュア』第49話(最終話)話
- 『まほプリ』最終話から始まった、毎年恒例となる4回目の先行ゲスト出演。
- ラテと共に観星町にやって来ており、星奈ひかると知り合う。その後ひかるの父・星奈陽一が変貌した巨大ノットレイとプリキュアとの戦いの余波に巻き込まれたフワ・プルンスを救い出し、間接的に手助けしている。戦闘終了後、ノットレイから出現したフワの絵柄が描かれたエレメントボトルをラテに貰う。
- ED後のバトンタッチではラテと共にキュアグレースとして登場。
TV本編
■第1話
- 「ふわあ~! 見て見てお母さん! 今ね、波がザパーンってなって、しぶきがキラキラーッってなって…」と冒頭より早速大はしゃぎ。すこやか市に引っ越して来た主人公・のどかは母・やすこが運転する乗用車で父・たけしが待つ新居に向かっていた。
- 家の内部を見てひとしきり喜んだかと思うと、山頂に見えるハート型の建物が気になって飛び出してゆく。長らく入院生活を送っていたのどかにとっては、目に映る何もかもが新鮮で、自分の足で走り回れるのが楽しくて仕方なかった。「これからここでどんな出会いが待っているのかなぁ…今日が私の第1歩!」
- 日帰り温泉・ハーブショップ等、癒しの店が並ぶ街を物珍しげに散策。アニマルクリニックと併設するカフェを眺めていると、突如走って来た女の子とぶつかってしまい、バタンキュー。「ごめんねごめんね大丈夫!?」と早口でまくし立てる彼女にのどかが「私も余所見してたから気にしないで」と謝ると、「めっちゃ良い人! 今度遊び来て! うちのジュース御馳走するし!」とまたも一方的にまくし立て、すぐさま走り去る。圧倒されたのどかは「光の速さ(光速?)で行っちゃった…」と呆然と見送るのみであった。
- 重そうな荷物を持ったお婆さんを家まで送ったは良いものの、かなり遠くまで来てしまっており、「今日は調子に乗って歩き過ぎたのかな…」とグッタリしつつ帰途に。そんなのどかをジョギングする少女が追い抜いていった。その美しいフォームに見とれていると、彼女は髪からシュシュが落ちたのにも気付かずに走り続けている。「あの、シュシュ落ちました!」と叫んで追跡したが、もう息も絶え絶えで逆に心配されてしまう始末。ペットボトルのドリンクを分けてもらって一息ついた後、彼女に教えて貰った緑が多い森林公園に行ってリラックスしていると…
- そこにダルイゼンが作り出したメガビョーゲンが出現。人々が逃げ惑う中、立てなくなっている老人を助けていた所、避難しようとする母に引っ張られながらも「まだあっちにワンちゃんいたもん! 怪物に食べられちゃうよ!」と訴える子供の声が聞こえた。母子が去った後、のどかは自分も逃げるべきなのか逡巡するが、「大丈夫…私はもう走れる!」と自身に言い聞かせたのどかはメガビョーゲンが暴れる公園の中に向かって行く。
- そこにはぐったりとした子犬=ラテと不思議な小動物ラビリン・ペギタン・ニャトランの姿があった。「早く病院に連れて行かないと!」とラテを抱き上げるが、「病院に行っても無駄、メガビョーゲンを浄化して地球を『お手当て』するしかない」とラビリン達から説明される。でもあんな巨大な怪物とどうやって戦えば良いのか戸惑うのどかであるが、苦しそうなラテの姿を見て、病床に伏していた頃、両親が温かく自分を励ましてくれた姿がふと脳裏をよぎった。「決めたじゃない…今度は私の番!」この子を必ず助けるとのどかは決意する。
- 「ねぇ、あなた達はその『お手当て』の方法知っているんだよね? 私に何か出来ることない? わたし、何でもする!」と訴えるのどかであったが、メガビョーゲンが吐く汚染液が降り注いで来た。ラビリンに間一髪救われたものの、汚染液を浴びた土はたちまち腐敗・病気となって行く。ラビリン・のどかは「貴女には無理ラビ! 早くここから逃げるラビ!」「嫌だ…」「危ないって今のでわかったラビ!」「だからってほっとけないよ! この子…こんなに苦しんでいるのに…」と押し問答になるが、そののどかの言葉にラビリンはハッとなった。
- のどかが来る直前、ラビリンは単身でメガビョーゲンと戦おうとし、仲間達から「無謀だ」と制止されたが、「だからってほっとけないラビ! 地球がこんなに苦しんでるのに!」と泣き叫んでいた。今ののどかは先程の自分と全く同じではないか。目に涙を浮かべたラビリンの手の肉球が淡く光る。ヒーリングガーデンより旅立つ際に女王・テアティーヌがいっていた言葉が頭をよぎる。「心の肉球にキュンと来る人間を見付けなさい」…もしかしてこの少女が…?
- 「私はラビリン。あなた、名前は?」「のどか…花寺のどか」「のどか、本当にアイツに立ち向かう勇気はあるラビ?」「この子を助けられるならいくらでも!」2人の覚悟は決まった。花のエレメントボトルを受け取ったのどかは、ヒーリングステッキと同化したラビリンと心を重ねることでプリキュアに変身。キュアグレース・ラビリンは2人揃って名乗りを決める。「「重なる2つの花!」」「キュアグレース!」「ラビ!」
- ラビリンの的確な指示の下戦闘開始。長い療養生活で脆弱な体となってしまった自分からは考えられぬ程の凄まじい運動能力・ジャンプ力・パワーを発揮出来ることに驚き、メガビョーゲンをはしゃぎながらも浄化して、体内に囚われていた花のエレメントさんを救出した。「お大事に!」
- 「やった~! 怖いの追い払ったよ! 凄い凄い、こんなに跳べる! 私の体じゃないみたい!」と有頂天のグレースは「はしゃし過ぎラビ!」とラビリンに窘められ変身解除。弱っていたラテも花のエレメントさんのお陰で快復し、一件落着。ここでのどかはふと気付いた。「そういえば…何でウサギが喋ってるの!?」「今更ラビ!?」*「あ~、お花も喋ってたし! 皆一体何者~!?」とにもかくにも、のどか/キュアグレースはプリキュアとしての第1歩を踏み出したのであった。
■第2話
- ラテを拾って来たという理由で飼うこととなり、妖精3名も加わった共同生活が始まった。ラテの境遇やビョーゲンズの暗躍について聞かされ、「これから一緒に地球を守って行こうね!」「ラビリン、のどかと出会えて良かったラビ~!」と手に手を取り合う2人であった。
- 転入初日、教室に入るや「あ~っ!」と賑やかな声が上がる。それは何と、昨日ぶつかった女の子であった。さらに後ろの席にはジョギングの少女までいる。その2人、平光ひなた・沢泉ちゆと早速仲良くなり、幸先が良いスタートを切ったが…
- 放課後、あちこちの部活から勧誘され、見学へ。「キュアグレースとしてあれだけ活躍したから、きっと最高の記録を叩き出すはず」と、ラビリンは期待しながらのどかを見守っていたが、陸上部では走り高跳びのバーに到達する前に転んで、テニス部ではボールにスイングが全く追い付かず、剣道部では防具の重さに耐え切れずダウンという、まるで話とならないダメっぷり。「ウソラビ…」とラビリンは呆然自失になる。
- 「いくら何でも情けないラビ!」とのどかを責め立てるラビリンは「実は体力がなくて、運動が得意じゃない」というのどかの説明でさらに失望してしまい、「何でプリキュアやるなんていったラビ? のどかとは無理。新しいパートナー探すラビ!」と叫んで飛び去ってしまった。
- そこにちゆが声を掛けて来た。「のどかは運動が苦手なのではなく、経験自体が不足しているため、体の動かし方や疲労の度合いが分からないだけ」と見抜いた彼女に対し、のどかは「私はずっと見ていただけだったから、今は色んなことをやってみたい」と打ち明ける。「最初は欲張らず、基礎体力を付けながら自分が1番やりたいことを決めて頑張ると良いわ」というちゆのアドバイスに考え込むのどか。「1番やりたいこと…」
- 一方、ラビリンは心配して追って来たペギタンに「自分でパートナーに選んでおいて、あれは酷いペエ」と窘められつつも、「それは謝るけど、パートナーのこととは別。のどかを危ない目に遭わせられないラビ」と落胆していた。勇気を出してラテを助けてくれたのどかには感謝しているが、運動神経があれだけ鈍いのではプリキュアとしてビョーゲンズと戦って行くのは余りにも危険過ぎる。のどかを大好きだからこそ彼女を危険に巻き込みたくないというジレンマに、ラビリンは苦悩する。「心の肉球にキュンと来るって、こういうことラビね…」
- その頃、ダルイゼンが学校の巨木からメガビョーゲンを誕生させていた。駆け付けたものの、ラビリンがいなければプリキュアにはなれず、窮余の一策としてニャトランとの変身を試みるも失敗。そうしている内にもラテの体調は悪化し、学校内の草花も病気にされて行く。「どうしよう…他に何か…何かわたしにできることは…」
- のどかはやむなく剣道の防具で武装して自ら囮となり、「あなたなんか怖くないんだから!」とメガビョーゲンを挑発して誘き寄せ、テニスのネットで転ばせようという「今出来る精一杯の作戦」を敢行するが、メガビョーゲンのパワーを喰い止められるはずもなく、敢え無く吹っ飛ばされる。「それでどうにか出来ると思ったの? 馬鹿でしょ?」と辛辣な言葉をかけたダルイゼンは、メガビョーゲンを校外でも暴れさせるべく去ろうとする。それを止めたくても、のどかはもはや立ち上がる事すらできない。
- ラテの呼び声を聞きつけて戻ってきたラビリンは、どうして逃げないのかと問うが、のどかは叫ぶ。「だって助けたいんだもん! ラテも、エレメントさんも、学校も……みんな病気なんて辛いよ!」そしてのどかは、長い間病床に伏していたこと、思う様に動けなくて悲しく淋しかったこと、両親や医師や周囲の人々の励ましで元気となった今、その分を沢山の人にお返ししたいと思っていることを告白した。「だから、プリキュアになれて嬉しかった。ラビリンが私を選んでくれて嬉しかったの。絶対応えたいって思った。1人じゃ出来なくても、ラビリンと一緒なら出来るって思った。お願い、ラビリン…私は運動得意じゃないけど、『お手当て』だけは……プリキュアだけは何があっても頑張るから! 苦しむ地球をラビリンと一緒に助けたい! これが今、私の1番やりたいことなの!」
- その涙ながらの訴えを聞いたラビリンの目にも涙が溢れていた。まさかそんな体でありながら、それを上回る強い想いでプリキュアになってくれていたなんて…心の肉球にキュンと来たのは間違いではなかった。「ごめんなさいラビ! のどかの事情も気持ちも聞かないで、色々決めちゃって…ラビリンがのどかに助けて貰ったみたいに、のどかに難しいことはラビリンが助けるラビ! だからのどか、やっぱり…ラビリンのパートナー続けて欲しいラビ!」勿論、のどかに異存等あるわけがなく、2人は仲直り。のどかはキュアグレースに変身し、メガビョーゲンを一蹴する。
- 木のエレメントさんは解放され、ラテの具合も良くなった。心の声を聴診器で聴いてみると「仲良し、良かったラテ」と嬉しそう。「私、体力作りのためにランニング始めるね!」と楽しげに談笑しつつ、ラビリン達と家路につく。まさか、その様子を沢泉ちゆに見られたとも知らずに…
■第3話
- 教室に入ると、ひなたが「森林公園や学校に現れた怪物」の話題で盛り上がっており、ギクリ。「ねぇねぇ、のどかっちは怪物見た?」と話を振られ、まさか双方共に自分がプリキュアに変身して倒した等という訳にもいかず、「えっ? えっと…私は見てない…かなぁ」と誤魔化そうとするが、それを聞いていたちゆが「花寺さんは見たんじゃない? 怪物。始業式の日、下校してから再度学校に来ていたでしょう?」とさらに切り込んで来た。冷や汗を流しながら「み、見間違いじゃないかなあ?」とシラを切った所で始業チャイムが鳴り、どうにか命拾い。
- 昼休み、ラビリンとお弁当を食べていると、何とちゆがラテを連れて来た。どうやらのどかを追って学校まで来てしまったらしい。礼を良い、「どうしてうちの子だって分かったの?」と尋ねると、ちゆは「怪物が出た後、学校で見掛けたから。さっきはどうして『学校に来ていない』なんていったの? あの時一緒にいた何だか不思議なウサギやペンギンと関係ある?」と再度疑問をストレートにぶつけてきた。あの日、ラビリン達と喋っていたのをしっかり見られていた。
- 「えっと…か、飼ってるの。少し珍しいウサギとペンギンも…あの時もこの子達が逃げちゃったのを探しに来て、勝手に学校入っちゃったから怒られるかなって、だから…」と必死の言い訳をひきつった笑顔で並べるのどか。「そう…」と余り納得していない様子で聞いていたちゆであったが、幸い彼女は必要以上に問い詰めて困らせるような意地悪な子ではなかった。この話題はそこで切り上げ、可愛らしい鳴き声を上げるラテを見て、「ラテちゃん、良く抜け出すの? もう、仕方ない子ね」と笑顔でラテの頭を撫でてくれたため、のどかは一安心。「いつか珍しいウサギさん達にも会わせてね。そうだ、その時はうちに来て。きっと喜んで貰えると思うの」という話の流れで、ちゆの家を案内して貰うことに。
- ちゆの実家は風情がある温泉旅館であった。凄く楽しそうに施設を教えてくれるちゆにとって、ここはとても大好きで大切な場所らしい。ちゆが着替えに行っている間にラビリン・ペギタンはペット用温泉に入り、ペギタンは中々パートナーが見付からず、「お手当て」も良く出来ないことを吐露する。すると、その会話をちゆにまたまた聞き付けられて、ラビリン達は湯に慌てて潜って隠れ、「ラテと話しているの聞こえちゃったかなぁ? エヘヘ…」ととぼける羽目に。
- シンドイーネが給湯施設から誕生させたメガビョーゲンが出現。のどかはグレースに変身して戦闘開始するが、源泉の様子を確認しに来たちゆがのどかの変身を目撃していたことには気付いていなかった。
- メガビョーゲンの水流砲をかわすも、薙ぎ倒された木が近くにいた人を目掛けて飛んで行く。「グレース!」と叫ぶペギタンの声で、その人を咄嗟に庇ったグレースの背中に木が直撃。苦痛の声を上げて崩れ落ちた彼女を気遣い、「大丈夫!? 花寺さん!」と呼び掛ける相手に「うん、大丈b…えっ?」と答えかけ、グレースはそれがちゆであるとようやく気付いた。しかも、『花寺さん』って…とうとう全部バレてしまった。
- 「折角避けたのに、自ら当たりに行くなんておバカさんね」と嘲笑うシンドイーネを一瞥し、グレースは立ち上がった。正体がバレたとか、今はどうでも良い。自分のことよりも、ちゆを守ってメガビョーゲンを浄化しなくては。「ごめんね、後でちゃんと話すね」と答えて再度戦おうとするもダメージは大きく、苦痛に顔を歪めるグレース。「ごめんなさい、私のために…」と青ざめるちゆを制し、「大丈夫…行こう、ラビリン!」とメガビョーゲンに挑むグレースであったが、背中の痛みで先程までの力が出せず、苦戦を強いられる。
- 我が身を省みず懸命に戦うその姿はちゆに「私に出来ることはないの?」という思いを募らせ、ちゆの励ましで勇気を奮い起こしたペギタンの力を得た彼女はキュアフォンテーヌに変身。メガビョーゲンを見事浄化した。
- 一件落着後、ちゆ・ペギタンは正式にパートナーとなった。そして、「ねぇペギタン、良かったら私の家に住まない? のどかも沢山匿うの大変でしょう?」と、ちゆはのどかの名前を呼び捨てで呼んで来た。のどかも「ありがとう、ちゆちゃん」と笑顔で答える。2人はただのクラスメートから友達、そして一緒に戦う大切な仲間となった。
■第4話
- ビョーゲンズが出現してもいないのにラテの体調が良くない。ちゆに相談し、ひなたの実家「平光アニマルクリニック」に連れて行くことに。獣医であるひなたの兄・ようたに診てもらい、疲れが溜まっただけと分かって一安心していた所にひなたが息せき切って駆け込んできた。「お兄お兄お兄! ヤバイ、見て見て! 喋る猫発見!」その手に抱かれていたのは何と…ニャトラン!?
- 慌ててちゆがひなたの口を塞ぎ、のどかは「ひなたちゃん、私喉乾いちゃった~、隣のカフェに行きたいな~」と棒読みの言い訳でどうにか逃れた。そのカフェでひなたの姉・めいが作ったジュースで一息ついたものの、ひなたに話を蒸し返され、もう誤魔化し切れないと悟ったニャトランは開き直り、「自分は生まれ付き喋れる猫」という設定の作り話で押し通すこととした。
- ひなたが信じてくれて、秘密を守ると約束してくれたから良かったが、のどか&ちゆは内心冷や汗。しかし最初から、兄はともかく、他人には秘密を明かす気などなく、ニャトランが見世物になったりしないよう保護するか、飼い主を探すつもりであったと聞き、のどかはひなたの意外な心優しさを知る。
- そこでひなたはまたも「ああ~っ!!」と大声。ニャトランと出会ったドサクサで、友達のみな・りなと買い物に行く約束だったのをすっかり忘れていたのだ。大慌てで隣町のショッピングモール「ゆめぽーと」に向かうひなたに付き合い、のどかとちゆも探すのを手伝うが、中々2人は見付からない。そんな中、グアイワルが誕生させたメガビョーゲンが暴れ始めていた。
- メガビョーゲン出現を察知し、ニャトランにひなたを現場から遠ざけさせる役目を任せ、のどか・ちゆは変身して戦うが、バリアで攻撃を跳ね返すメガビョーゲンに手こずる。すると背後から「ウソ…えっ、何?プリキュア?」と驚くひなたの声が。ひなたはみなやりなと会えたものの、のどか・ちゆが怪物のいる方向に向かって行ったと聞き、心配して追い掛けて来ていた。その上、ニャトランがひなたの勇気を見てプリキュアになれる可能性ありと睨み、わざわざのどか達の変身場面を目撃させ、どう反応するか試したのである。ラビリンやペギタンが慌てふためく中、ニャトランは「さぁ、ひなたはここからどう出るニャ…」と期待して見ていると…
- 「えぇ~~! 可愛い~~! え~え~何? 何? 滅茶苦茶可愛い~! どうやって着替えたの? 魔法? 誰デザイン? あ~もう超可愛い~!」と目を輝かせて叫ぶひなたに、グレースとフォンテーヌ、グアイワルやメガビョーゲンまでもが目が点に。しかし、そのユニークな感性に加え、優しさと勇気を併せ持つひなたが気に入ったニャトランはプリキュアに勧誘。ひなたも快諾してキュアスパークルに変身し、メガビョーゲンを蹴散らした。
- 「これから宜しくね!」「宜しく、のどかっち、ちゆちー!」と手を取り合って笑顔を交わすのどか・ちゆ・ひなた。みなやりなも「皆無事だったし、ひなたが予定通りに行かないのは想定内」と怒っていなかった。ひなたの家のカフェに行こうとするひなた達の背中に手を振って見送ろうとしたが、ひなたに「プリキュアのことは内緒」というのを忘れていたため、口止めのために慌てて後を追い掛けるのどかとちゆであった。
■第5話
- 教室に入ると、ひなた達のグループが先日のショッピングモールの怪物の噂話をしており、ちゆは「あれ、大丈夫かしら?」と心配げに見ていた。案の定ひなたは自分達がプリキュアということをバラしかけ、ちゆに固く口止めされる。しかし、ひなたはそんな忘れっぽい自分を「ちゆが怒っているのではないか」と思い込み、逆にちゆは「自分がひなたを怖がらせているかも」と悩み、2人の間には気まずい空気が流れる様になってしまった。
- 放課後、一緒に下校したひなたは「あたし、プリキュア辞めた方が良いのかも」と言い出し、家に帰ればちゆが訪ねて来て「私って怖い?」と相談して来る。互いに相手のことを気遣っているだけなのに…今度はのどかが悩む番となり、やすこに相談すると、「一緒に過ごす時間が増えれば、互いに分かることも増えるかもしれないわ」と、水族館招待券をプレゼントされる。母の計らいに感謝しつつ、ちゆとひなたを誘って3人で水族館に。
- 少々ぎくしゃくしながらも館内を回る内にひなたが意外と気を遣ったり、実はちゆは笑い上戸であったりと、学校生活だけでは分からなかった知らない面が見えて来る。そんな中、ペギタンがいなくなり、みんなで探している内にメガビョーゲンが出現。ちゆは「早くメガビョーゲンを探すべき」、ひなたは「ペギタンを見付けるのが先」と意見が分かれるが、のどかは「どっちも探そう! ペギタンは私達のの大切なお友達だし、それにメガビョーゲンを見付けても、ペギタンがいないとちゆちゃんプリキュアになれないでしょ? ねっ、早く見付けて『お手当て』しよう!」と提案。どっちが正しいではなく、どっちも正しい場合もあるのだから。
- ペギタンを人質にしたシンドイーネと、ひなた・ちゆが揉み合っている現場に駆け付け、はじき飛ばされたペギタンをのどかは華麗にキャッチ…できず、頭にぶつけてしまうが、宙に舞ったペギタンを何とかちゆが受け止めた。ひなたに「のどかっちもナイスヘディング!」と褒められて照れ笑いするも、グッタリしたペギタンの姿を見て、シンドイーネに怒りの炎を燃え上がらせたちゆは(というか実際は、ひなたが投げ付けたリュックがペギタンの顔面に誤爆)、「みんな、『お手当て』するわよ!」と号令。その気迫に震え上がりながらものどかと・なたも一緒に変身し、3人揃っての初名乗り。
「地球をお手当て! ヒーリングっど♥プリキュア!」
- 一件落着後、ちゆはひなたに「これからはああいう無茶は慎んでよね!」とお説教。その「これから」という部分にひなたが怪訝そうな顔をすると、のどかが満面の笑みで補足した。「うん! フフッ、『これからも』3人で頑張ろうね!」ちゆもひなたも勿論同じ気持ち。腕を組んで笑い合う3人の結束はすれ違いを乗り越え、一層強くなったのであった。
■第6話
- 今回から恒例のアバンでの自己紹介が開始。
- ちゆ&ひなたが花寺家を訪れ、娘に良い友達が出来たと喜ぶたけし&やすこ。一安心した母・やすこは再度運送ドライバーとして働きに出ることとする。のどかは自分が入院している間、仕事を辞めてまでずっと付き添ってくれた母が再度働き出すことを嬉しく思う。
- ラビリンより連絡を受け、やすこの勤務先・すこやか運送に行ってみるとラテが中の様子を窺っていた。いつも日中は家にいて面倒を見てくれていたやすこが仕事に出掛けてしまい、淋しくなったラテは、彼女を追ってここまで来ていたのであった。彼女はいちご農園に集荷に行っていて会えなかったが、聴診器で「お母さん、のどかがいない時、ずっとよしよししてくれたラテ」と「お母さん、ママみたいだったラテ」というラテの心の声を聞いたのどか達はラテがやすこのことを母・テアティーヌの様に思っていたのを理解し、まだ幼いラテを淋しくさせていたことを謝罪。
- ラテがメガビョーゲンの気配を検知。今やすこがいるといういちご農園が狙われ、母の身に危険が迫っていると知ったのどか達は農園目指して走り出す。
- 懸命に走るも慣れない長距離走の疲労で足がもつれて転びそうになり、苦しそうに荒い息をつくのどか。ちゆ&ひなたに気遣われ、「今回は私達が『お手当て』するから、ラテと一緒に後から来て」と勧められるも、「行くよ、私もラテも。危ないのはイチゴだけじゃない、大好きなお母さんもなの! 私達が淋しい時、お母さんは助けてくれた。今度は私達が助ける番なの!」と、再度必死に走り出した。
- 危惧通り、やすこがいるイチゴ農園にはダルイゼンが現れ、メガビョーゲンを暴れさせていた。いちごは病気に冒され、やすこは「アンタ、人の心ってもんがないの!?」と食って掛かるが、ダルイゼンは「ないね。人間じゃないし」と素っ気なく吹っ飛ばされたやすこは気絶。その現場に駆け付けたのどかは「フッ、弱っ」と冷笑したダルイゼンに怒りを爆発させ、「許せない!」と変身して戦闘開始。
- しかし、メガビョーゲンに攻撃を弾き返され、踏ん張ってこらえようとしたグレースは病気の靄で蝕まれ、ぬかるんだ土に足が埋まって動けなくなってしまう。フォンテーヌとスパークルがメガビョーゲンのパワーに手こずっている間に、「良いの? お前は行かなくて。ああ、動けないんだっけ?」とわざとらしい台詞で愚弄しながら接近して来たダルイゼンは病気に汚染された土をヒーリングステッキと一体化していて身動きが取れないラビリンの顔に塗り付けた。
- その陰湿極まりない仕打ちにグレースは激怒。「貴方達、何でこんな酷いことするの!?」「酷い? 何が?」「地球を病気にして皆を苦しめることだよ!」「決まっているだろ? 俺はその方が居心地良いからさ!」「自分さえ良ければ良いの!?」「良いけど?」と、いくら非難しようともダルイゼンはどこ吹く風で、グレースの頬にも土をなすり付けた。今まで出会ったことがない、常識や価値観がまるで異なる相手。理解出来ない悪意。そんなダルイゼンに恐怖を覚えたグレースの体はすくんでしまう。
- 「ついでだ、このまま片付けちゃうか」と止めを刺すべく、ダルイゼンは掌にエネルギーを集中させるが、ラビリンの叱咤で我に返ったグレースは泥濘から脱出。ダルイゼンに反撃の蹴りを喰らわせる。「そう来なくては面白くない」とばかりに身構えるダルイゼン・グレースは睨み合うも、スパークルがメガビョーゲンに弾き飛ばされるのを見たグレースはダルイゼンを置き去りにして仲間の救援に飛んで行った。
- 拍子抜けしたダルイゼンが「アイツ、俺にキレていた癖に」と呟く先でグレース達はメガビョーゲンを浄化する。彼にとっては、自分のことより仲間を助けるのを優先したグレースの行動の方が理解し難いものであったが、今まで他者には全く無関心であった彼にしては珍しく、「ふーん、キュアグレースね…」と興味を示した様子で、ニヤリと笑いながら撤退。
- 実りのエレメントさんからエレメントボトルをプレゼントされるという収穫もあり、やすこも無事に意識を取り戻した。変身を解除してやすこの前に姿を現したのどか達は「ラテがお母さんに会いたがってたから連れて来た」と説明し、そののどかとラテに付合ってわざわざ遠くまで来てくれたちゆ&ひなたに、やすこは礼を述べ、「これからものどかとラテをよろしく」と頼む。そしてヒーリングガーデンではテアティーヌがメガビョーゲンの気配が消えたのを察し、ラテが良い人間と巡り合えたであろうことを感じて微笑んでいた。
■第7話
- 誰かに見られている様な雰囲気を感じるのどか。ちゆも気付いており、昨日からつけ回しているらしい。その正体は新聞部・益子道男。彼は、最近すこやか市で目撃される様になった怪物とのどかが何か関係しているかもと睨んで、後を付けていたのであった。プリキュアの正体がバレたのではと焦るのどか達であったが、何故か道男は逆に、のどかがその怪物を呼び寄せる張本人と思い込んでいた。
- とんでもない濡れ衣であるが、まさかプリキュアとしてビョーゲンズと戦っていると説明する訳にもいかない。取り敢えず道男が疑っているのはのどかだけなので、やむなくのどかは暫くの間、ちゆやひなたとは別行動を取ることとする。さらに、校内ではお互い余所余所しい態度を取り、放課後はちゆ・ひなたが道男の気を引いている間にのどかが逃げる等、3人はあの手この手で道男に対抗する。
- それでも執拗に追って来るため、のどかは走って彼の尾行を撒こうとするが、つまづいて転んでしまう。それを見た彼は「取材する相手に敬意を払うことを忘れてはジャーナリストとはいえない」と、執拗に尾行したことを謝罪。道男は小学校の頃、雨上がりの蜘蛛の巣がとても綺麗で、それを壁新聞に書いたら先生に褒められて嬉しかったため、それ以来記事を書く様になった事を打ち明ける。今では取材に夢中となり過ぎて周囲に煙たがられていたとはいえ、純粋な気持ちから始まっていた彼の行動を理解したのどかは、「夢中になることがあるって素敵だと思う。初めて記事を書いた時の気持ちって、きっとその雨上がりの蜘蛛の巣と同じ様にキラキラしてたんだね」と、道男に対する見方を改めた。
- のどかと別れ、一雨降った後の蜘蛛の巣を眺める道男は先刻のどかに指摘された「初めて記事を書いた時のキラキラした気持ち」を思い出していたが、そこに現れたグアイワルがメガビョーゲンを誕生させる。周囲にのどかの姿は見当たらず、彼女が怪物とは無関係と知った道男は今度は無謀にもメガビョーゲンに直撃取材するという馬鹿けた行動を敢行。勿論敢えなく吹っ飛ばされ、眼鏡を落として何も見えず、探し回っている所に到着したのどか達は変身してメガビョーゲンを片付ける。道男がようやく眼鏡を発見した際には既にメガビョーゲンもプリキュア達もいなくなっていた。
- のどか達の前に現れた道男は「『プリキュア』という3人の女の子達が怪物を追い払った。花寺さんへの疑いは僕の勘違いでした」と非礼を詫びた上でのどかへの取材は打切ると宣言した。一安心したのどか達であったが、帰り掛けた道男は立ち止まると、「花寺さん、僕は既に真実を掴みましたよ。君が隠している秘密のね」とまたも不穏なことを言い出した。のどか達は再度ギクリとなるも、「そう! 君達3人…実は凄く仲良しですよね? 学校で余所余所しい態度を取ったりしてましたが、僕の目はごまかせません!」いや、貴方のせいでそうせざるを得なかったんですけど…ともあれ再度一安心。
■第8話
- 県大会に備えて練習中のちゆが不調に。心配しつつも陸上競技は門外漢なのでアドバイスを送ることも出来ず、少しでも元気付けようと朝のトレーニングでの走り込みをするちゆに偶然を装って合流し、一緒に走ろうと誘うが、そこに同じ台詞でひなたがやって来たため、あからさまにちゆに気を遣っているのがバレて2人は狼狽える。ちゆはそんな2人に笑顔で返し、この日は3人で一緒に走ることとした。2人のお陰でまた飛ぼうという気持ちになったと今日のこの日に感謝していた。
- しかし、ちゆの不調は一向に回復せず、それでも何とかしようと無理な練習を重ねていた。ペギタンはちゆが典型的なイップス症状に陥っていると判断し、1度競技から離れて休んだ方が良いとちゆを説得してくれる様にのどか&ひなたに頼んで来るが、のどかはそれはとっくにお願いして来たと答える。それでもちゆが「今は無理をしてでも自分の限界を超えたい」と決意の笑顔で断って来たため、それ以上は何もいえなくなった。
- 「何が正しいのかは私には分からない。だから、今はちゆちゃんが決めたやり方を応援すること。それだけだよ」として、のどか&ひなたはちゆを止めずに見守ることとした。そして、大会の日は手作り横断幕でちゆを精一杯応援。ただそれだけのことでちゆは大きな勇気を貰うことが出来たのであった。
■第9話
- のどかの部屋には幼少期の写真がいくつか飾ってあったが、入院・療養中であった最近までの写真はなかった。ひなたはそんなのどか・ちゆを誘い、隣町・ゆめぽーとに行く。前回訪れた際はひなたと待ち合わせしていたりな・みなを探すだけであったため、のどかは「私、また来てみたかったんだ~!」と大喜び。
- ひなたの目的は、各店のブースでレンタルした服やアクセサリーで可愛く着飾った姿を撮影してもらえる「エンジェルフォト撮影会」。ひなたのアドバイスでアクセサリーやネイル選びを楽しむのどかは、ドレスコーナーにて初めてのドレス選びにも挑戦するが、そこは女の子達に大人気の場所であり、熱気に圧倒された挙句、人ごみにもみくちゃにされて、目を回しダウンしてしまう。
- 自分がドレス選びに夢中になっている間に、のどかの具合が悪くなったことに気付かなかったひなたはのどかに謝罪。「気分が落ち着いたら帰ろう」と提案するが、のどかは「ひなたちゃん、私、まだ帰らないよ。だってこんなにドキドキするくらい楽しいんだもん。帰りたくないよ」と笑顔で答える。少し疲れたのは事実としても、入院していた頃には味わえなかった楽しい時間にもっと浸っていたかったのである。
- 「だから、ひなたちゃん…」と言い掛けた所で、ラテが他の犬に興味を示して走り出し、のどかの看病をちゆに任せてラテの後を追ったひなたはメガビョーゲンに遭遇。病気に侵食されるゆめぽーとを見ていられずに焦り、は1人で戦うが、苦戦を強いられる。
- そこにのどか&ちゆが駆け付けて変身。またしても1人で突っ走ってしまったことを謝るスパークルの手を、グレースはそっと握る。「スパークル、さっき最後までいえなかったけど…今日ずっと自分のことそっちのけで、可愛いアクセサリーとか私達に似合うの見付けてくれたよね。私、もう楽し過ぎて胸が一杯になっちゃった」と、先程いいそびれた感謝の気持ちを伝える。最後の「ありがとう、私、そんなスパークルが好き」の一言でスパークルは真っ赤に。
■第10話
- 校外学習が楽しみ過ぎて1時間も前に集合場所に着いていたのどかは興奮気味。病気のため、家族で外出する時はいつも乗用車。電車での外出は人生初とあり、「ひゃ~! 改札で引っ掛かったらどうしよ~!」と、変な方向でテンションが上がりっ放し。
- 小銭をバラ撒いてしまったおばあさんを見て、一緒に拾うのを手伝うが、自転車が接近しているのにも気づかず、ちゆに「早く助けたいのは分かるけど、もう少し周りも見なくちゃ」と窘められる。この時は「うん、気を付ける」と返事したのどかではあったが…
- 電車の中でもはしゃぎつつ、目的地のガラス美術館に到着。ガラス工芸作品に見惚れ、作者・長良澄子との会話で、彼女の作品への情熱に触れる等して有意義な時間を過ごしていた所、ふと窓の外に気配を感じた。何と留守番していたはずのラテやラビリン達の姿が。留守番が退屈なニャトランの「何かあった時に備えて、近くにいた方が良い」という口実に便乗する形で全員付いて来てしまったらしい。やむなく同行を許すが、その直後、妖精達の行動は結果オーライとなる。
- 美術館にはもう1人の招かれざる客・グアイワルが現れていた。長良のガラス作品から誕生したメガビョーゲンは、美術品をどんどん侵食して行く。のどか達は変身して戦うが、ラテの様子がおかしい。聴診器を当ててみると「あっちで大きな川が、別の方で黄色いお花さんが泣いてるラテ」という声が聞こえた。今回はグアイワルのみならず、シンドイーネ&ダルイゼンまでもが行動を起こしたために、離れた場所で同時に3体のメガビョーゲンが出現していた。
- 予想外の緊急事態に動揺しながらも、3人は手分けしてそれぞれ1体ずつ「お手当て」することを決める。フォンテーヌとスパークルがそれぞれの場所に向かった後、残ったグレースは1人で奮戦するが、周りは繊細なガラス細工ばかりで、壊さないように気遣う余り、思い切って戦えない。そうする間に時間が経過し、メガビョーゲンはどんどん育って強くなって行く。妖精達はそれぞれ考えた結果、1度合流して1体ずつ確実に浄化するのが得策と判断し、ラビリンはグレースに「発生時間が遅いメガビョーゲンの方が浄化しやすいから、川の方に向かうべき」と進言する。
- ところが、グレースはそれを拒否した。「嫌…だって、ここを離れている間に取り返しがつかなくなっちゃったらどうするの? この素敵な作品達は? 作った人の…長良さんの思いは? 私は絶対守りたい! ここを離れたくない!」諌めるラビリンの声にも耳を貸さず戦いを続けるグレースであったが、メガビョーゲンに攻撃を加えてふらつかせても、美術品の上に倒れ込まないように、逆に助けなくてはならない始末。グアイワルに嘲笑された挙句、自分の方が吹っ飛ばされて作品の上に落下しそうになってしまう。
- その窮地を、駆け付けたスパークルのぷにシールドが救った。フォンテーヌ&スパークルは、グレースが美術館を離れないと読んでか、ここを最初の「お手当て」対象に選んでくれた。フォンテーヌの活躍でメガビョーゲンは浄化されたが、グレースの表情は冴えなかった。「ごめんなさい、ラビリン。やっぱりラビリンがいう通りだった…あのままだったら、私1人だったらきっと守り切れなかった、もっと大変なことになっていた…。ちゃんと周りも見て考えなきゃって、朝、ちゆちゃんもいってくれてたのに…本当に助けようって思うなら、目の前の事だけじゃ駄目なんだよね…」助けたいという思いが強すぎた余り、状況が見えなくなり、逆に取り返しが付かない事態を招く所であった。グレースは苦い思いを噛みしめる。
- しかし。「グレースは一生懸命だったラビ、そういうこともあるラビ」というラビリンの励ましで少し立ち直ったグレースは「ラビリン、また私が間違えそうになったら、その時はまたちゃんといってね」と己を戒めつつ、「さあ、切替えて『お手当て』に集中しましょう!」とのフォンテーヌの叱咤で、俯いていた顔を上げた。「絶対絶対助けるから…待っててね、水のエレメントさん、花のエレメントさん!」
■第11話
- スパークルが戦っていた川辺のメガビョーゲンの所にに駆け付けた3人であったが、先程より病気が広がっており、その分メガビョーゲンも強くなっている。手こずりながらも、何とか浄化には成功。
- しかし、ラテの具合は一向に良くならず、最後のメガビョーゲンがかなり強力になっている事を予想させた。案の定、森は広範囲が病気に侵食されており、そればかりかメガビョーゲンも今まで見た事もないサイズにまで巨大化してしまっている。たじろぎながらも戦いを挑むプリキュア達であったが、圧倒的パワーに手も足も出ず、タンポポの綿毛爆弾を防ぐのが精一杯。遂にはラテを庇い、爆撃で吹き飛ばされてしまう。その間にメガビョーゲンが種子の様な奇怪な生命体を生み出し、ダルイゼンがほくそ笑んでいたこと等知る由がなかった。
- 仲間達の呼ぶ声でのどかは目を覚ます。ラテの病状は良くなっていないとはいえ、怪我だけはしていないことに一安心し、再度「お手当て」に向かおうとするが、ちゆやひなた、妖精達も皆、メガビョーゲンの猛威の前に心が折れかけていた。初めて見るあれほど強大な敵への恐怖や「自分達の判断ミスのためにこの様な事態を招いてしまったのではないか」という後悔等に囚われた一同の間に重苦しい空気が漂う。
- しかし、のどかだけはくじけていなかった。「そんなことないよ! だって、ラビリン達の判断があったから光のエレメントさんを助けられた。作品だって守れたし、長良さんの思いも守れた。水のエレメントさんも助けることが出来た。それは全部本当のことだよ!」と皆を励ます。「でも結局、最後のメガビョーゲンを浄化出来なかったら、花のエレメントさんは…」とラビリンが弱音を吐いても、「諦めなきゃ良いんだよ。皆、見捨てるつもりで花のエレメントさんを最後にした訳じゃないでしょ? 全部のエレメントさんを助けたい気持ちは変わらないでしょ? だったらどんなに難しくてもお手当てを続ける、それしかないんだよ!」と皆を鼓舞する。
- そんな彼女の脳裏には入院していた際の主治医の言葉が甦っていた。「ごめんね、今直ぐに君を治してあげることができなくて。でも、僕達は諦めない。だからのどかちゃんにも、諦めずに戦って欲しい」と、励ましてくれたあの言葉で自分は力付けられた。だから皆も…「それでも戦うことを諦めちゃったら終わりだから!」
- のどかの必死の訴えを前に、弱気となっていた一同も気力を取り戻した。ところがいざ戻ろうとしても、先程の爆撃でかなり遠くまで吹き飛ばされていたために、どちらに向かえば良いかわからない。ラテにメガビョーゲンの方角を教えて貰おうとしても、病状が悪化していて心の声が聞こえなくなっている。一同が困り果てていると、森の中から沢山のエレメントさんが現れた。「どうかわたし達の仲間を助けてください」と頼むエレメントさん達が導く方向へと、のどか達は懸命に走る。
- メガビョーゲンを発見し、「花のエレメントさん、待たせてごめんね! でも絶対に助けるから!」と叫びながら変身したグレース達は再度立ち向かう。成長し切った巨大なメガビョーゲンを相手に、地道に、小刻みに攻撃を重ね、少しずつ体力を削りつつチャンスを待つという作戦であったが、悲しいかな彼我のパワーの差は歴然で、叩きのめされた3人はダウンしてしまう。
- 「分かっただろ、無理なものは無理なんだって。見ろよ、アイツは諦めてるぜ」というダルイゼンの嘲笑を聞いたグレースが「キュアスキャン」でメガビョーゲンの体内を見てみると囚われている花のエレメントさんが力尽きる寸前であった。消滅してしまったら病気に蝕まれた森は2度と元に戻らなくなってしまう。
- 「エレメントさん、諦めないで! 一緒に頑張って! 私達と一緒に!」と、懸命に呼び掛けながら戦うグレース達であったが、それも空しく叩きのめされる。ダルイゼンが「お大事に…なんてね」とおどけて愚弄した時、3人の体が眩い光に包まれ、新たなボトル・ミラクルヒーリングボトルが誕生した。「きっとエレメントさん達が力を貸してくれたんだ。皆で地球の病気と戦おうって!」そしてプリキュア達は新必殺技「ヒーリングオアシス」で逆転勝利を収める。「お大事に!」
- 救出した花のエレメントさんは完全快復とはいかなかったが、長い時間を掛けて少しずつ戻って行くと聞いて、のどか達はひとまずほっと胸を撫で下ろす。その様子を察知したヒーリングガーデンのテアティーヌも安堵していたが、同時に彼女は何か嫌な予感を感じていた。その危惧通り、昼間メガビョーゲンが生み出した怪生命体が水辺にいた小動物の体に寄生し…
■第12話
- 前回の苦戦を踏まえて、ラビリン達が提唱する「プリキュア・チームビルディング大作戦」で、よりチームワークを強くするべく特訓することに。「ふわあ~、大作戦!? 特訓なんて、私初めて!」と、無邪気に目を輝かせるのどか。
- そしてご丁寧に採石場に移動。滝に打たれたり、ウサギ飛びで階段を登ったりするのかと予想していた所、妖精達が持ち出したテーマは「以心伝心」。言葉がなくても互いに考えていることが分かれば連携が取りやすいという趣旨らしい。
- お互いの心を伝えるためにとジェスチャーゲームを始めるも、中々上手く行かない。「猫のポーズ」「ペンギンのポーズ」「ウサギのポーズ」などを取らせてみても、皆バラバラ。しかも、のどかは何故か終始変顔。
- 「中々上手く行かないね」と溜息をつきつつティーブレイク。その間にラビリン達はヒーリングハウスで作戦会議を行い、先日の戦いで苦闘するプリキュアを見兼ねて特訓を提案したものの、それが原因で逆に仲がこじれてしまっては逆効果だとあれこれ悩んだ末、まずは3人を励まそうということとなったが、出て来てみるとのどか達は呑気に連想ゲームで笑い転げており、妖精達は唖然。
- そこにメガビョーゲンが出現。迎撃したプリキュア達の前に新幹部・バテテモーダが現れる。戦闘をメガビョーゲンに任せきりであった従来の幹部達と異なり、彼は「自分、あんたらに負ける気しないんで」と嘯きながら、嬉々として自ら襲い掛かって来た。
- 卓越した戦闘能力を有するバテテモーダに翻弄されつつ、「1人の力じゃ適わなくても3人なら」とアイコンタクトで互いの意思を確認したグレース達は、間断なく波状攻撃を見舞うことで遂にバテテモーダに一矢報い、メガビョーゲンも浄化する。チームワークの勝利であった。
- しかし、バテテモーダは「負けたのはメガビョーゲンであって、自分じゃないし」と、まるで応えた様子がない。それどころか、ヘラヘラ笑いながら「戦うのって超楽しいわ」と呟く異常な姿はグレース達の背筋を寒からしめる。さらに、自分が先日の巨大メガビョーゲンから誕生した事を明かし、「注目若手新人、自分で終わりじゃないかもよ」と不吉な言葉を残して、彼は退却していった。
- 強敵の出現に不安げなひなたやラテに対し、のどかは「大丈夫だよ、みんなで力を合わせれば大丈夫!」と元気付ける。わざわざ特訓なんかしなくても3人のチームワークは抜群であったことを喜び、笑い合う一同であったが、沈んだ表情で俯くひなたには誰も気付いていなかった。
■第13話
- ひなたが「あたしなんてプリキュアも辞めそうなのに」と言い出し、のどかもちゆも妖精達も大慌て。強いメガビョーゲンを倒しても、さらに強いバテテモーダは現れるし、優秀な兄姉に比べて自分は習い事も長続きせず、ジュースの味も姉には及ばないとあって、「なんか、頑張る意味あるのかなとか思っちゃって」と、すっかりひなたは意気消沈していた。
- メガビョーゲンが出現。発する静電気であちこちの機械が故障。のどかの母・やすこが務めるすこやか運送でもベルトコンベアが動かなくなる等、街は混乱に陥っていた。しかし、ラテの心の声を聞いてもメガビョーゲンは次々と移動しており、居場所が分からない。ひなたは「聞いても意味なくない? 行っても見えないし、どうせまた逃げられるし」とネガティブとなっていたが、姉・めいがワゴン車に閉じ込められたと聞き、流石に必死に助け出そうとする。
- そんなひなたに対し、のどかは「諦めずにメガビョーゲンを探そう。めいさんを助けるんだよ。ひなたちゃんのジュース美味しかったよ。めいさんのお店のジュースとは違ったかもしれないけど、美味しかったよ。ひなたちゃんが作ってくれたって聞いて、私嬉しかった。意味なくなんかないよ」と懸命に励ました。その言葉で「例え直ぐに結果が出なくても誰かを喜ばせられるのなら、頑張ることには意味がある」と気付いたひなたは立ち直り、メガビョーゲンを浄化した。
■第14話
- 健診の結果、「本当に病気であったとは思えない程健康」と太鼓判を押され、のどかも両親も大喜び。早速「すこやかフェスティバル」に出掛け、ちゆやひなたと楽しい一時を過ごす。
- 祭りの会場ではすこやか市名物「すこやかまんじゅう」が大人気であったが、蒸し器が故障するアクシデントが発生。まんじゅう屋主人が困り果てていると商店街の人々が協力を申出て、あちこちの店で手分けして作ることで無事間に合った。この町では昔から病気やトラブルに見舞われる度に皆で協力し、困難を乗り越えて来たという話を聞き、のどかは自分が元気となれたのは、町の人々からパワーを貰っているお陰ではないかと思う。
- そんな折、メガビョーゲンが出現。機動力が高い敵に手こずりながらも、グレースは調子に乗るバテテモーダの顔面にドロップキックを喰らわせ、「ここはすこやか市の皆が作り上げたお祭り会場なの! 色んなトラブルにもめげずに歩んで来たこの町の元気が詰まってる!」と奮起してメガビョーゲンを撃破した。
- 救い出された風のエレメントさんは「プリキュアと会うのは久し振り」と語る。以前テアティーヌをパートナーとし、ビョーゲンズと戦った先代プリキュアは遥か昔のこの町に住む女の子であった。のどかは「私もいつかそんな風に、皆を元気にするプリキュアになりたいな」と彼女に思いを馳せた。
- 祭りは再開され、賞品のすこやかまんじゅう目当ての妖精達に後押しされたのどか達は、大声コンテストに出場することに。「私すっごく…生きてるって感じ~!」と叫んだのどかが見事優勝。賞品「すこやかまんじゅう」100個を手に入れ、元気で過ごせる今の感謝と喜びを噛みしめながら皆で頬張るのであった。
■第15話
- 音楽の授業で使うリコーダーを忘れてしまって「先生に謝るしかないか…」と困っていた所、「その必要はないラビ!」と現れたラビリン達が届けてくれて大喜び。ここまではいつも通り仲良しののどかとラビリンであったが、その帰途にラビリンが見かけたラベンだるまちゃんによって思わぬ事態が発生することに。
- その夜、ふと目を覚ましたラビリンはあるチラシを眺めて悦に入っていた所、のどかに見られてしまい、ビックリして思わずたけしややすこも起き出して来る程の大きな声を出してしまう。慌てて取り繕ったのどかが何を見ていたのか尋ねると、そのチラシはハーブ専門店「ハーブガーデン」のものであった。
- 昼間、ラビリンは「ハーブガーデン」の前を通り掛かった際に、そこのマスコットキャラ・ラベンだるまちゃんが「可愛いラビ!」と一目で気に入っていた。一方、その独特のデザインを見たニャトランとペギタンは「はぁ? 本気か?」「可愛くないペエ」とバッサリ。恥ずかしくなったラビリンは「冗談に決まってるラビ!」と誤魔化してその場を立ち去っていた。そして今、ラベンだるまちゃんに見とれていた姿をのどかに見られてしまい、笑われるかもと怯えるが…
- のどかは「ちょっと可愛いね」といってくれた。喜んだラビリンは店のイベントに参加してスタンプを集めれば、ラベンだるまちゃんのぬいぐるみが貰えることを教え、引受けたのどかは翌日からせっせと「ハーブガーデン」に通う。
- そして、スタンプ6個を集めてぬいぐるみを手に入れ、ラビリンは満面の笑顔。ところが、買い物帰りのひなたとニャトランに出会ったのどかは「今日、一緒にイベントに行って貰って来たんだ」と無邪気にぬいぐるみを見せびらかす。うろたえるラビリンにも気付かず、さらにニャトランが「ああ、あのダサいぬいぐるみじゃん! ラビリン、この前はあんなこといってたのに、ハマったのか?」と追い討ちを掛けてしまった。
- 恥ずかしさで居たたまれなくなったラビリンは「こんなの好きじゃないラビ!」と、心にもないことを叫びながらぬいぐるみを地面に叩き付ける。流石ののどかも愕然となり、「何するのラビリン!」と怒って言い争いとなるが、最早引っ込みがつかなくなったラビリンは「ラビリンはそんなの別に欲しくなんかなかったラビ! 酷いのはのどかの方ラビ! ラビリンは嫌だったのに!」と嘘までついて逆ギレしながら逃げ去ってしまう。
- 一体何が起こったのかわけがわからぬまま家に帰ると、ラビリンが先に戻っていたが、背を向けたままヒーリングルームバッグに閉じこもってしまった。やむなく寝ようとしても眼が冴えて眠れないのどかは悩む。「何だろ…体調悪い訳じゃないのに…こんな気持ち初めて…初めて? …そっか、私…初めてお友達と喧嘩したんだ…」
- ひなたから話を聞いたちゆと3人で登校しながら、原因はラビリンがそのぬいぐるみが好きだとニャトラン達に知られたくなかったらしいことと判明し、「のどかっち、別に悪くないし。好きなものは好きっていいたいじゃん?」「多分どちらが間違ってるって話じゃないのよ」と励まされても、のどかの心は晴れない。ラビリンの方もニャトラン・ペギタンに謝られた上で、「のどかとちゃんと話せよ」と勧められるが、頑なに心を閉ざしたままであった。
- そんな折、メガビョーゲンが「ハーブガーデン」に出没。喧嘩している場合ではないと、仲間達とともに変身しようとするが、のどか・ラビリンだけはキュアタッチをした際に拒絶反応が起き、変身に失敗する。2人の心がすれ違っているために変身出来なくなってしまったのである。この際、いつもの様に流れた変身BGM・バンク映像が中断されたが、他の仲間達はBGMがないまま変身バンク通りに変身を完了・名乗りまで挙げるという演出となっている。
- やむなくフォンテーヌ・スパークルが戦っている間に、ラテを連れて避難する。何とかしようとは思うものの、のどか・ラビリンの間には気まずい空気が流れるばかり。その時、何かいいたげであったラテが珍しく怒った顔で「ワン!」と吠えた。素直になれない2人を叱ったのである。
- 「ごめんね…」「なんでのどかが謝るラビ?」「ラビリンの気持ち分かってなくて…」ラビリンは目を逸らそうとするが、ラテに睨まれてようやく向き直った。「のどかは全然悪くないラビ。言ってもないのに、勝手に分かって貰った気になって…1人で勝手にムカッとしたラビリンが悪いラビ…なのに、のどかに謝らせちゃって…ごめんなさいラビ! のどかはもう、ラビリンのこと嫌いになったかもって思ったらずっといえなくて、すっごく苦しかったラビ…」「私もだよ…喧嘩した時よりも、その後1人でずっと悩んでた夜の方がつらくて嫌だった。嫌いになんかならないよ! 私、ラビリンと友達やめたくない! ラビリンは?」「そんなの…一緒に決まってるラビ!」「良かった…」2人の思いは同じだった。仲直りして握り合う手から眩い光がほとばしり、変身する力を取り戻したのどか・ラビリンはキュアグレースとなって、メガビョーゲンを退ける。
- その後も「ハーブガーデン」に通い続け、のどかは2個目のぬいぐるみをゲット。達成感に満足しながらのどかはラビリンに話し掛ける。「ねぇ、喧嘩しないで済む方法ってないのかな?」「それが分かれば苦労しないラビ」「うん…そうだよね…でも、仲直りの方法はあるからいっか」その時のどかの脳裏に浮かんだのはビョーゲンズか、それとも…
■第16話
- 「その木の下で友情を誓い合った友達は、永遠に友達でいられる」という伝説を持つ、すこやか市のプチ名所「永遠の大樹」にやって来たのどか達。ところが、噂とは大分イメージが異なり、大樹は真っ二つに折れ、枯れかかっているという酷い有様であった。そこに現れた老人が、この木は以前の嵐で折れてしまい、もう寿命であること、近々伐採予定であることを説明する。さらに。老人は「永遠なんて信じるな…」と言い捨てて去って行くが、のどかは老人が大樹を見詰める淋しげな目が気になっていた。
- 木のエレメントさんに尋ねてみると、その老人・城戸哲也は昔、友人・長野日出夫や杉崎史と一緒にこの木の下で永遠の友情を誓っていた。その後、3人に何があったのか定かではないが、数十年経った最近、哲也は久し振りにこの木を訪れ、毎日悲しい目で木を見詰めているという。この木が伐り倒される前に、何とか哲也を日出夫や史と会わせてあげたいというエレメントさんの願いを聞き届け、のどかは行動開始する。
- エレメントさんの情報を頼りに、かつて3人の会話の中に良く出て来たという喫茶店「純」を訪ねてみると、偶然にも日出夫・史が現れた。今は夫婦となっているらしい2人はずっとこの店に通い続けているらしい。しかし、些細なことをキッカケに出来てしまった心の溝は深く、「大樹に行って貰えないか」というのどかの頼みにも、首を縦に振って貰えなかった。
- そして哲也の方も、「2人は『純』に毎日いるから会いに行ってあげて」というのどかの懇願を聞き入れず、「俺はもうすぐ街を出て、2度と戻らない。もう終わったことだ…」と背を向けてしまった。「余計な事いっちゃった…」と落ち込むのどかは、「怖くなったの。いつか私達も友達でいられなくなっちゃう日が来るんじゃないかって」と不安を口にするが、それを打ち消そうとちゆとひなたは『友情の誓い』を提案する。笑顔になったのどかはちゆやひなたと掌を重ね、「わたし花寺のどかは大樹に誓います」「沢泉ちゆは誓います」「平光ひなたは誓います」。そして、3人は声を揃えて「永遠に友達でいることを!」と宣誓した。
- 次にのどか達は「永遠の大樹ありがとうフェス」という催し物を開催することを計画する。それを聞き付ければ、きっと哲也達3人が大樹の下に集うのではないかと考えてのことであった。担任の先生を説得し、チラシやポスターを作って、張り切って宣伝に勤しむのどか達。その甲斐あってフェス当日は多くの人が集まり、その中には哲也や日出夫と史の姿もあったが…
- こともあろうに、バテテモーダが大樹をメガビョーゲンに変えてしまう。帰り掛けていた哲也は血相を変えて「出て行け! ここは…この木は…俺達の場所だ!」と食って掛かった。そこに日出夫と史が駆け付け三人は数十年振りの再会を果たす。メガビョーゲンは彼らを容赦なく攻撃しようとするが、プリキュアが立ちはだかった。安堵したグレース達は「今度は私達2人の友情を見せる番!」と力を合わせてメガビョーゲンを浄化した。
- 戦いは終わったが、いくら呼び掛けても木のエレメントさんの返事がない。メガビョーゲンに蝕まれて寿命が尽きてしまったのか…? だが哲也達が戻ってきて、史が指さした先には、枯れ木と思われた大樹の中に、一本の若芽が芽吹いていた。永遠の大樹は新たに甦ったのである。「久しぶりに『純』のコーヒーが飲みたくなったんじゃないか?」との日出夫の誘いに、最早わだかまりが解けた哲也は快諾。のどか達もお礼として一緒にパフェを御馳走して貰うことに。そして笑顔で去って行く一同の後姿を、新たな生命に宿った木のエレメントさんが「皆の友情の誓いが永遠になりますように」と見送っていた。
■第17話
- ちゆが実家の手伝いをすると聞き、ひなたと一緒に盛り上がる。ところがコッソリ覗きに行ってみると、帰って来たちゆは浮かない顔をしており、「私も2人に丁度会いたかったから」と呟く。何か悩んでいると察したのどかは、ちゆを砂浜に連れ出した。
- ちゆは海に向かって「エミリーさんを笑顔にしたーい!」と大声で叫ぶ。エミリーという少女の心が分からずに悩んでいたのであった。打ち明けて少しスッキリしたちゆを見て、ほっとしたのどかは「ちゆちゃん、海好きだもんね」と笑顔。その相手を思いやる言葉は、ちゆがエミリーの心を開くヒントとなった。
- 戦闘ではメガビョーゲンに踏み潰されそうになるフォンテーヌを助け、一緒にプリキュア伝統芸を披露。
■第18話
- ニャトランが日下織江という女性に一目惚れし、「心にズッキュン」来てしまったという。「ズッキュンってどういう意味かな?」「多分キュンよりもずっとキュンってことじゃないかしら?」と、のどかはちゆとヒソヒソ。ラビリンやペギタンは、パートナー交代かと大慌て。
- 織江のアロマショップを訪ねてアロマに関する説明を聞くが、キャンドルの炎を見詰める織江のどこか淋しげな表情がのどかは気になった。
- その表情の理由は、彼女が結婚したばかりの夫・日下炎と彼の仕事の都合で同居出来ていない事によるものと知って納得。
- ビョーゲンズとの戦いの後、ラビリンに「スパークル交代のこと、心配してなかったラビ?」と聞かれるが、「2人なら大丈夫って信じてたもん!」と笑顔ののどか。流石です。
■第19話
- ラテの体調不良は疲れが溜まっていた所に風邪をひいたものと判明。皆で看病をすることとなる。ビョーゲンズが来ないようにと、ひなたと一緒に「ふわあ~!」と懸命に念を送る。
- この時ラテの心の声を聞き、「今までプリキュア達に助けられてばかり」と申し訳なさそうに語る彼女を諭す。その夜、バテテモーダがメガビョーゲンを召喚するが、体調不良が元でラテの検知能力が鈍り、結果的に初動対応が遅れてしまう。
- 翌日メガビョーゲンの出現に気付いてラテを置いて行こうとしたが、彼女の気持ちを察して連れて行くことに。しかし、時間が経過し過ぎて強大化したメガビョーゲンにプリキュア達は大苦戦、3人とも捕まってしまう。それを見て、「私達のお手当ては強くないと出来ないのよ」という母の言葉を思い出し、意を決したラテは無茶を承知でメガビョーゲンに向かってゆく。
- 何度も弾き返され、傷付いて倒れたラテに「ラテ、止めて!」「死んじゃうよ!」と叫ぶグレース達。ヒーリングガーデンでは、テアティーヌがラテの危機を察知して立ち上がろうとしていたが、彼女自身もまだ力が戻っておらず、崩れ落ちてしまう。そしてラテはバテテモーダに捕まり絶体絶命。テアティーヌがガーデンの少女像に「お願い! どうかラテを守って!」と叫んだ時…
- 突如、一陣の風が吹き、何者かがバテテモーダの手からラテを奪い取った。その姿はプリキュア、それもテアティーヌのパートナーだった先代のプリキュアそっくりだった。彼女は3人を救い出し、メガビョーゲンを軽々と翻弄、それを受けたグレース達はヒーリングオアシスで逆転勝利を収めた。
- 広範囲が蝕まれた土地も全て元通りになり、バテテモーダは退散してゆく。さらに彼女は少女の姿に変わり、風のエレメントボトルを生み出してラテの傷をも治してしまった。彼女は一体何者なのか…?
■第20話
- 謎の精霊少女の正体は、「ラテを守りたい」というテアティーヌの願いによって地球が生み出した存在だった。しかし彼女はラテを守るという使命に固執し、ヒーリングガーデンに連れ帰ろうとする。
- 反対するラビリン達と押し問答になるのを押し留めたのどかは、「ラテはどうしたい?ママの所に行きたいなら、ちゃんとそう教えてね」と、ラテの想いを聞こうとする。しかしメガビョーゲンが現れたため、「お願い、精霊さん。ラテの話、ちゃんと聞いてあげてね」と彼女にラテを託してお手当てに向かった。
- 前回倒した個体の欠片を埋め込まれてパワーアップしたメガビョーゲンとバテテモーダの猛攻の前に大ピンチに陥るが、「みんなと一緒にお手当てをしたい」というラテの強い思いに心を動かされた精霊少女がキュアアースとなって登場。メガビョーゲンと、強敵バテテモーダをも浄化した。
- 仲間に加わった精霊少女の名前を付けることとなり、「う~ん…アスミちゃん! どうかな?」と提案したところ、ラテが「ワン!」とうれしそうに鳴き、それを受けて彼女も「ラテ様がよろしいのなら」と了承。しかし、「アスミちゃん」「アスミ」「アスミン」とちゆやひなたと一斉に呼び掛けた所、「どれが私の名前でしょう?」と問い返されて「えーっと…! アスミ! アスミが基本でね」と慌てて説明する羽目に。ともあれ、頼もしい仲間がまた増えたのであった。
■第21話
- 「じゃあ、私こっちだから」「じゃあ、また学校で」「うん、まったね~!」とそれぞれ帰途に就くのどか・ちゆ・ひなた。そして、その背後でにこやかに道路に突っ立ったままの者が1名。慌てて戻って来たのどか達の「どこに帰るの!?」という問いに対してアスミは「私に家はありません、強いて言えば地球全体でしょうか…?」と平然と答え、「休む場所ならここで」と道路のド真ん中に寝転がろうとする。
- 流石に放置出来ず、「私、何とかする!」とのどかが連れ帰ることに。両親に紹介する際、飾られていた風鈴から「風鈴アスミ」とネーミング。暫く泊めてあげて良いかとお願いするが、「泊まって頂くこと自体は構わないけど…暫くってどういうこと?」「まさか、家出か何かか!?」「お家の方は何て言ってるの?」「随分大人っぽいけど同級生? それとも学校の先輩かい?」「何にしても保護者の方に連絡しないと」等々、ズバズバと正論で問い質して来るたけし&やすこ。今までの桃キュア家は深く事情も詮索せずに居候させてくれたのに…花寺家は現実的。
- 「違うの、違うの! アスミちゃん、ラテの飼い主なの! 日本のこと知りたくて海外から来たバックパッカーでね、旅の途中でラテとはぐれちゃったんだって!」とその場凌ぎの苦しい設定を並べ立て、ようやく両親に信じてもらえて一安心。しかし、明らかに言葉遣いはおかしく、箸も使えず、「私、初めて食べ物を食べました」といったり、風呂も知らなかったりと、のどかはアスミのフォローと教育で大忙し。
- 翌日、ひなたの家に向かう途中で赤信号で立ち止まるが、アスミはそのままスタスタ進んで行く。走って来た車から庇ってアスミは無事であったが、のどかは手を擦り剝いてしまった。まだ人間の心を理解しておらず、「何故のどかは私のために尽くして下さるのですか? そういう風に生まれたのですか?」と尋ねるアスミにのどかは、「ううん、違うと思う。私ね、色んな人に沢山助けて貰って、今こうやって元気でいられるの。それで私も色んな人を助けたいって思うようになったのね。だから、そういう風に生まれたんじゃなくて…経験して変わったんだと思う」と答えた。のどかにとっては至極当たり前のことであったが、アスミにとってはまだ理解し難い感情の様であった。
- ダルイゼンが生み出したメガビョーゲンは、グアイワルがメガパーツを埋込んだために急速に成長していた。戦いの中、グレースはダルイゼンとやり合うが、パンチを左手で受止めた際に苦痛の表情を見せる。それを見たアースは、先刻のどかが自分を助けた際に怪我をした箇所であると気付き、割って入ってダルイゼンを追い払う。体が自然と動いた彼女の中に、「お返しに人を助けたいと思う気持ち」が芽生えたのである。そして、アースは「ヒーリングハリケーン」でメガビョーゲンに勝利する。
- ひなたの家のワゴンカフェで、アスミがのどかの家で暮らせることを祝して乾杯。「この様な経験もいつか私に何か変化をもたらすのでしょう?」と聞くアスミに、「うん、きっと! 私も新しい事経験するの、凄く楽しみ!」と答える。生まれたてのアスミには色々振り回されるが、きっと同じくらい楽しい経験が待っていると期待するのどかであった。
■第22話
- アスミに1人部屋をあてがうこととなり、学校でちゆ&ひなたに「アスミちゃん、今朝は嬉しそうだったなあ」と話すも、ちゆに「でも、大丈夫かしら? 家にアスミ1人で」と言われて少し不安に。案の定アスミは過保護が過ぎてラテと上手く行かなくなり、体が半透明になって消えかかるという騒ぎを起こす。
- しかし、ちゆのお陰でアスミは「自分はラテが好き」という己の心を改めて理解し、同時にラテの気持ちを尊重することで和解出来て一安心。「私も病気の時、お母さんにすっごく心配されてたけど、それだけ大切に思ってくれてたってことだよね」と、のどかは自分の経験からアスミの思いを推し量る。それこそが「好き」ということ。美しい夕陽を眺めながら、アスミは「この世界にも私の心の中にも、まだまだ知らないことが沢山ありそうですね」と呟いていた。
■第23話
- ひなたに色々な服を着せられても良く分からず、「『可愛い』とは何ですか? 『好き』とは違うのですか?」と問うアスミに対し、「うーん、良く考えると『可愛い』と『好き』って似てるよね。でも何となく違うっていうか…」と真面目に考え込む。
- ひなたが預かっている保護犬・ポチットをドッグランに連れて行き、花の飾りを見せて興味を引いたりして、臆病なポチットと仲良くなろうと試みる。一方、「可愛い」が理解出来ないアスミはポチットも懐いてくれずに悩むが、戦闘を通じてポチットとひなたの心の繋がりが分かったことで、最後には通じ合えた。
■第24話
- おおらか市の湖にハイキング。地面でさえずっていた雛鳥を見付け、「巣から落ちちゃったのかな? 怪我してるのかも」と手を差し伸べようとした時、「触っちゃ駄目よ!」と制止する声が。現れたのは樹サクヤという樹木医の女性で、のどか達が知らないことを色々教えてくれて、この湖周辺の自然を愛する彼女の姿に感銘を受ける。
- ところが後日、おおらか市に謎の飛行物体が出現。ニュース映像でサクヤの姿を見たのどか達は至急向かおうとするが、現場までは2時間以上掛かる。すると、アスミがサクヤに対する思いの力でワープトンネルを開いてくれたため、一同は湖にに急行。
- 現れたネブソックのスピードとパワーに手こずるも、流石にアースは一枚役者が上で、軽くあしらう。しかしサクヤが倒れた木の下敷きになりかけて、アースは木を支えて彼女を救ったために身動きが取れなくなってしまう。そこをネブソックに狙撃されるが、今度はグレースが「ぷにシール」ドでアースを守り、「私達もっこが大好きだから絶対守らないとね!」と反撃、最後はアースがネブソックを浄化した。
- 一件落着してさぁ帰ろうとしたが、先程のワープトンネルは連続使用出来ないことが判明。「電車賃足りるかな…」と心配しながらも、ひなたに「折角だからカフェ寄ってかない?」と誘われるとすぐさま「行ってみた~い!」とはしゃぐ、呑気なのどかであった。
■第25話
- ほぼ出番なし。
■第26話
■第27話
- たけしが大学時代所属していた気球サークルの後輩達が大会に出場するとの事で、花寺家全員で応援に。かなりの早朝にもかかわらず、皆でお出掛けとあってご機嫌なのどかであったが…
- 大会が終わった頃、のどか&ラビリンはただならぬカラスの鳴き声を聞いた。森の中へ駆け付けると、カラスを相手にメガパーツの実験をしようとするダルイゼンの姿が。素早くグレースに変身して「何をしてるの!」と叫ぶが、ダルイゼンは「そうだ、キュアグレース…お前を使って育ててみるってのはどう?」と言いながら、飛び掛かる彼女の腹部にメガパーツを埋込んだ。グレースは絶叫を上げてその場に倒れ、意識を失ってしまう。「グレース! グレース!」ラビリンの悲痛な声だけが空しく森に木霊していた…
■第28話
- アバンではいつも通り、「地球さん、今日はお加減いかがですか?」と元気に挨拶していたが、先週からの展開が展開なので「地球よりのどかのお加減が心配」「挨拶は良いから休んで」等の声が上がる。
- 意識を失ったグレースは目を覚まさず、変身が解けてのどかの姿に戻ってしまう。必死に呼びかけるラビリンに対し、「いつ出てくるかはメガパーツとの相性次第。自分の意思じゃ取り出せない」と告げたダルイゼンは、駆け付けたフォンテーヌとスパークルの攻撃もかわし、「じゃ、頑張ってよキュアグレース」と冷笑と共に姿を消した。
- たけしとやすこは「再発ではありませんように…」と願いながら、のどかを病院に連れて行ったが、医師の診断ではやはり原因は不明。以前同様「謎の病気」が再発してしまったのである。絶望に打ちひしがれながらも、2人は決して諦めないと決意したものの、「神様、どうかのどかを助けて下さい」とただひたすらに祈ることしか出来なかった。
- ベッドに横たわるのどかの傍らで、ラビリンは「どうしたら良いか分かんないラビ、巻き込んでごめんラビ」とうなだれて涙を流していた。そんなラビリンに対し、のどかは逆に「泣かないで、大丈夫だから…前は原因がわからなくて苦しかったけど、今はビョーゲンズのせいだって知ってる。それにラビリンがいるから頑張れる。私、絶対負けないよ」と気丈にも励ます。ところが、ラビリンの両手を握ったのどかの手が突然光り、のどかは苦しみ始めた。
- そこに心配したちゆ・ひなた・アスミが現れた。何かいいたげなラテに聴診器を当てると「のどかの中でビョーゲンズが苦しんでるラテ!!」という。プリキュアの力が作用し、のどかの体からメガパーツを追い出そうとしているのである。仲間が懸命に励ます中、ラビリンとのどかが「悪い悪いメガパーツ! のどかの体から…」「私の体から…」「「出てって!」」と声を合わせて叫ぶと、怪しい光がのどかの体から飛び出し、窓から外に逃げ出して行った。
- そして、ベッドからのどかは起き上がり、体のあちこちを擦っても何ともないことを確認。先程までの苦しさがまるで嘘の様に消えていた。「うん、大丈夫…生きてるって感じ!」ラビリンと抱き合って喜ぶのどか。しかし、めでたしめでたし…と喜んでいる場合ではなく、一同は逃げ出したメガパーツを追跡する。
- その先でそのはメガパーツを回収したダルイゼンが待ち構えていた。「お前達も一緒に見なよ、キュアグレースの中で育ったメガパーツが、一体どんなテラビョーゲンに進化を遂げるのか…」という側で、メガパーツは人の形に変形して行ったが、その顔形は彼と良く似ていた。「ダルイゼン…? チガウ。ボク、ケダリー…」
- 柔軟な身のこなしとアクロバティックな動きでプリキュア達を翻弄するケダリー。その戦いぶりを眺めながら、ダルイゼンの脳裏には生まれた時の記憶が甦っていた。「のどか、しっかり!」と叫ぶたけし・やすこの声、キングビョーゲンの号令に応じて宿主より飛び出して今の姿に成長したこと、そして花畑で遊ぶ幼い女の子に憑依した時のこと…「そうか…そういうことか…」
- その間に、苦戦しながらもプリキュア達はケダリーを浄化した。余勢を駆ってダルイゼンをも浄化しようとするが、彼の一撃で吹っ飛ばされる。そしてグレースに近付いた彼は「思い出したよ…俺を育てたのはキュアグレース、お前だって。メガビョーゲンの一部だった俺は、お前の中で成長してこの姿になったのさ!!」と衝撃の事実を告げる。
以前、グレースが長年苦しんだ謎の病の元凶は体内にいたダルイゼンであった。驚愕するグレースに「全く面白い…ますます気に入ったよ、キュアグレース…また会おうぜ…」と言い残してダルイゼンは去って行った。
- 快癒したことを両親に告げるが、安堵しつつもたけし・やすこの表情は「またいつか倒れるかも分からなくて心配」と完全には晴れていなかった。そんな2人を力付けるようにのどかは、「大丈夫、もしもの時はまた戦う。一緒に戦ってくれるお友達も沢山出来たの。何度倒れても私はもう負けない!」と明るい笑顔を見せた。両親に抱き締められながらも、のどかはダルイゼンのことを思い起こしていた。「ダルイゼンを育てたのが私なら…私が何とかしなくちゃ…!」
■第29話
- ある早朝、ランニングに励むのどか。両親に「体力を付けたい」と説明、車の送迎を断る。窓辺からのどかを眺めるアスミも気になる様子。
- 音楽の授業へ向かうのどか達。ひなたがリコーダーを落としてしまい、吹奏楽部に所属する菅原有斗に「大事にしろよ 傷1つで音が変わる 廊下を塞ぐ様に歩くのは 止めてくれないか:と指摘され、のどかはちゆに体当たり、有斗は吹奏の王子様と説明するひなた、「水槽の王子様? 人魚?」とボケを噛ますのどか、ちゆも思わず爆笑。そこに同じ吹奏楽部に所属する金森ことえと合流、のどかが早朝にランニングする場面を目の当たりにしたと語る。
- 昼休み、ご飯特盛弁当を広げ、「デカっ! めっちゃサイズアップしてない?」と驚くひなた、のどかは「いっぱい食べると元気になる」と説明。トランペットを練習することえと遭遇し、そこに有斗が現れて「クレームが来るから禁止」と指摘。
- 学校の帰り道にアスミと遭遇。突然、彼女に「気分転換にどんなことをしたいですか?」と問われ、ラビリンに「最近ランニング頑張り過ぎラビ」、ペギタンに「少し控えて楽しく気分転換した方が良いペエ」、ちゆに「どれ位走ってるの? 急に増やすと体に悪いわよ」、ひなたに「あーっ! 急にお弁当が大きくなったのもそのせい?」と指摘されてのどかも収拾が付かなくなり、「単にもっと鍛えなきゃって思っただけで…」とあたふたした。そこに、有斗・ことえがトランペットを練習する場面を目の当たりにする。
- トランペットを素体にしたメガビョーゲンが現れ、グレースに変身。「少しでも突破口を……」とメガビョーゲンに接近するも、踏み潰されそうになりキュアアースの重量挙げによりピンチを救われた。「どうして焦るのです?」と指摘するアース、「私がダルイゼンを作り出した」「私がなんとかしなきゃ」と責任を感じるグレース。「あなたのせいではありません 自分を責める必要はないのです」とアースが励ました。
- 戦闘後、アスミに「焦るのどかは心配 頑張るのどかは大好き」と励まされ、後日アスミと共にランニングに励んだ。
■第30話
- みんなで動物園へ。動物に詳しい孝太という子供と知り合いとなり、彼に園内を案内して貰うこととなる。実は孝太は、担任の円山先生の息子だった。
- 話す事や雰囲気、見たいものもバラバラなのどか達4人を見て、「キャラが違うのに良く仲良く出来るね」と不思議がる孝太。彼は秀一という友達と喧嘩している最中らしく、その本人とばったり鉢合わせして「ライオン・トラのどちらが強いか」で口論を始めてしまう。意固地になる孝太をのどかは昼食に誘った。
- のどかはハンバーグセット、ちゆはピザ、ひなたはオムライス、アスミはハンバーガーと、またも4人はメニューがバラバラであったが、互いに交換したりして楽しそう。それを横目で見る孝太に対し、円山先生は「キャラが違うからこそ楽しいってこともある。相手がいるから自分の世界が広がる。友達は良いもんだ」と諭した。
- そんな折、ダルイゼンが召喚したメガビョーゲンが出現。円山先生が他の人々を救助するために園内に戻り、先に避難した孝太は、転んで逃げ遅れた秀一を発見する。肩を貸して一緒に逃げながら「オレ達キャラがばらばらだけどそれぞれ得意なものがある。今日一緒だったお姉さん達もキャラバラバラだけど楽しそうで…だからそういうのもありかなって」と秀一に今日感じた思いを素直に吐露した。秀一も笑顔で頷き、2人は和解した。
- その間にプリキュアがメガビョーゲンを浄化し、めでたし…とはならなかった。ダルイゼンと別行動を取っていたシンドイーネが人間の実験台として孝太をロックオン。そして、息子を庇った円山先生にナノビョーゲンが埋込まれてしまい…
■第31話
- メガビョーゲンが再出現し、キュアスキャンしてみると、中にはエレメントさんではなく、円山先生の姿が。シンドイーネが作り出したギガビョーゲンであった。その猛威の前にグレース達は為す術もなく完敗。
- 勝ち誇ったシンドイーネが帰還したため、何とか命拾いしたものの、動物園周辺の森は蝕まれ、動物達も怯えていた。その光景に胸を痛めるのどか達は、「お父さんが怪物に食べられた」と思い込んで泣きじゃくる孝太を発見。「きっとプリキュアがお父さんを助けてくれる」と励まし、のどか達は港に出現したギガビョーゲンを目指して走って行く。
- すこやか市全域を蝕むギガビョーゲンのパワーにはやはり歯が立たず、「ヒーリングオアシス」すら弾き返されてしまった。今まで無双状態であったースさえも初めて絶望してしまうが、グレースとラビリンは「それでも…私は諦めたくない…先生の…ビョーゲンズのせいで苦しむ人の気持ち分かるから…」「そんな大切な人の無事を祈る孝太くんの気持ち、分かったラビ」「ギガビョーゲンがどんなに強くても…」「ほっとく訳に行かないラビ!」と立ち上がる。その声で勇気づけられたフォンテーヌとペギタン、スパークルとニャトラン、そして挫けかかっていたアースもラテと共に闘志を取り戻し、一同は再度ギガビョーゲンに立ち向かった。「私達は『お手当て』をあきらめない!」
- その想いに応えたのか、全ヒーリングボトルが合体してスペシャル・ヒーリングっどボトルが誕生、ヒーリングっどアローが作り出された。4人はスペシャルヒーリングっどスタイルに進化し、新必殺技・ファイナルヒーリングっど♥シャワーで見事勝利を収め、蝕まれた地域も、円山先生も元に戻った。
- ヒーリングガーデンでは戦いの様子を感じ取っていたテアティーヌがプリキュアの成長を喜んでいたが、同時に嫌な胸騒ぎも覚えていた。その危惧通り、ビョーゲンキングダムでは何かを目論むキングビョーゲンが、不気味な笑い声を上げていたのであった。
■第32話
- アバンでは初の4人揃って御挨拶。
- とうじ主役回のため、出番少な目。部屋掃除を任された際、突然掃除機をかけようとするひなたに、「先に上の埃から落として、掃除機は最後で良いかも」と説明し、基本を踏まえてちゆに褒められる。
■第33話
- ひなたにゆめぽーとに行こうと誘われるも、「先約があるからごめん。大好きな人に会えるの」と断るのどかはそわそわした様子。学校の校門で待っていたその「大好きな人」とは、のどかが入院していた頃の主治医・蜂須賀先生であった。
- 纏まった休みが取れたため、元気になったのどかの顔が見たくなって、すこやか市までやって来たのだと言う。のどかと手紙のやり取りを続けていたため、ちゆ・ひなた・アスミのことも良く知っていた。ラテを追いかけて走り回るすっかり快復したのどかの姿を見て、先生は目を細めていたが…
- その夜、花寺家との食事会の席上でたけしややすこに「のどかがすっかり元気になったのも先生のおかげです」といわれた蜂須賀先生は「実は今日は休暇ではなく、病院を辞めて来ました」と打ち明ける。原因不明ののどかの病気に対し、何も出来なかった医師としての自分の無力さを痛感したと言うのだ。
- のどかの病の原因が分からなかったのは、現代医学では理解も対処も不可能なビョーゲンズの仕業であったためであり、決して先生の力量不足のせいではない。しかし、それを自分の責任と感じて先生がお医者さんを辞めてしまうなんて…。いたたまれなくなったのどかはラビリンに、「ビョーゲンズのこと、蜂須賀先生に話しちゃダメかな!? お願いラビリン、先生は何も悪くないって…」と訴えるが、さすがにビョーゲンズの存在をテアティーヌへの相談もなしに簡単に打ち明けて良いかどうかは決められないと、待ったを掛けられた。ラビリンの立場も理解出来るだけにそれ以上無理もいえず、のどかは途方に暮れる。
- そんなのどかを散歩に誘った先生は「僕はのどかちゃんに礼をいうために来たんだ」と事情を語り始めた。実は、病院を辞めたのは海外の研究機関に転職するためでもあった。入院したのどかを担当したものの、原因が分からず、自分の無力さと不甲斐なさに彼は落胆した。そして病気は何故か快癒し、退院するのどかを見送りながら、「結局何もしてあげられなかった」と思っていたが、のどかから渡された手紙には、「いつも先生が励ましてくれたから、私は頑張ることができました」という感謝の言葉が綴られていた。嬉し涙を流しながら、その手紙に励まされた先生は、のどかの様に病気に苦しむ人々を助ける研究をしたいという思いが強くなり、海外に旅立つ決意をしたのであった。「私、ちょっとだけ先生の役に立ててたのかな…」「ちょっとじゃないよ、すっごくだ!」互いの言葉によって前へ進む事のできたのどかと先生は、固く手を握り合った。
- 翌日、のどか達に見送られて先生は出発する。「先生、またお手紙書きます。それで、もう少し大人になったら私が先生に会いに行きます」「ありがとう、楽しみにしているよ」と、のどかは快く先生を送り出したが…
- その道中で先生はパワーアップしたダルイゼンに出くわし、ギガビョーゲンにされてしまう。駆け付けたのどか達は変身して戦闘突入するも、ギガビョーゲンのパワーの前にスパークル・フォンテーヌ・アースが次々と蹴散らされる。ダルイゼンは「フッ、そろそろ諦めたら?」と嘲笑するが、グレースは「絶対に諦めない! 絶対助ける! 先生にもっと沢山の人を助けて貰うために!」と単身立ち向かって行く。
- その姿を見て苛立ったダルイゼンは「人のために頑張って何になるんだ! 自分のことだけ考えてる方が幸せだろ!」とグレースに直接襲い掛かる。だがグレースは猛攻を受け止めながら「あなたには分からないかもしれない…だけど私達は、助け合ったり、支え合ったり、そうやって生きてるんだよ!」と叫ぶ。その間に立て直した皆がギガビョーゲンに反撃。最後は「ファイナルヒーリングっど♥シャワー」で浄化して先生を救出した。
- 意識を取り戻した先生は「しっかりしないと。のどかちゃん達に会えなくなったら困るからな」と気合を入れ直して走り去って行く。遠ざかる先生の車を見守りながら、のどかは決意を新たにする。「先生…先生みたいにわたしも頑張るね。ビョーゲンズから皆を守れる様に」
■第34話
- 競技大会で優勝するも、その先の世界の舞台で戦うことなど意識していなかったちゆは、彼女をライバル視する高美ツバサに「あなたのハイジャンはお遊び」と言われてしまい、そのことに「私だって真剣に、それなりの思いでやっているのに、どこがいけないの!?」と苛立つ。だがその話を聞いたのどかの「本当にちゆちゃんとまた勝負したかったんだね」と評する言葉で、ちゆはツバサのきつい台詞は決して悪意からではなく、自分をライバルだと思ってくれていたためであると気付く。
- 何かに取り憑かれたかの如く、何度失敗しても自己新記録に挑み続けるちゆ。息も上がり、ボロボロで苦しげにすら見える姿であったが、のどかは「でも…ちゆちゃん、すっごく楽しそうだよ」と微笑んだ。その見立て通り、ツバサの存在によって自分のハイジャンプに対する情熱を再認識したちゆは、世界を目指すことを決意した。
- 思いを伝えるべく、ツバサの所に走り出したちゆの後をひなたと共に走って追い掛けるが、すこやか西中から陸上競技場まで走り続ける羽目となり、もうヘトヘト。しかし、第1話の頃と比べると相当体力ついてます。
■第35話
- ラテが「いつも頑張ってるのどか達を南の島に連れて行ってあげたいラテ」と望んだため、アスミのワープトンネルで一同は無人島へ。実は、ラビリンやラテは熱血スポ根アニメ『燃えよ、ビーバレ!』にはまっており、「南の島でビーチバレーをしたかった」というのが真の理由であった。
- 放送日が12月6日であったけど、舞台の無人島は赤道直下の南国なので12月は夏真っ盛りですという有無をいわさぬ設定で水着姿になる一行。しかし、のどかは終始Tシャツとショートパンツを着たまま。
- ラビリン"コーチ"とラテ"カントク"の指導の下、ビーチバレー合宿がスタート。「青春」「スポ根」と聞き、「何だかどっちも生きてるって感じ!」と目を輝かせるのどかは、ラビリンコーチにノリノリで付いて行く。
- ちゆ・アスミの激しい攻防に触発され、レシーブに挑戦しようとするも、目を瞑って空振りしたり、リバウンドしたボールを頭で受け、何故か全身砂に埋まったり。しかし、すっかりビーチバレーに夢中ののどかは、「もっとラリーを続けられる様になりたい。手から手にボールが繋がれて行くのが楽しくて、ちゃんと受止めてちゃんと返せる様になりたい」とラビリンに特訓を願い出る。
- ところが、グアイワルと鉢合わせ。すっかり『燃えよ、ビーバレ!』に感化されているグレース・フォンテーヌ・アースは、メガビョーゲンのヤシの実サーブ攻撃を真っ向からレシーブしようとして苦戦。「繋げなくて良いし! 避けて!」というスパークルの正論も耳に入らぬ熱血ぶり。
- しかし、メガビョーゲンを猛特訓でしごいて鍛え上げたと自慢するグアイワルに対し、「選手の未来を潰しちゃうラビ!」「酷い!」「そんな歪んだ指導を、アスリートとして認める訳には行きません!」「恐怖が支配する特訓なんて無意味だということをここで証明してみせるわ!」と、グレース達は完全に明後日の方向で怒り、円陣を組んで気合を入れて反撃開始。実りのエレメントで作り出したボールを皆で繋いでメガビョーゲンに叩き込み、久々のヒーリングフラワーで勝利した。
- 最後はまた皆で円陣を組み、「プリキュア! ファイ! オー!」。かくして南の島の熱い青春の1日は幕を閉じた。
■第36話
- 英語の小テストが84点で、結構優秀な部類である事が判明。100点満点のちゆを見て、「ちゆちゃんすごい! 部活も大変でしょ? もしかして徹夜?」と、ありがちなリアクションをする普通の子・のどかに対し、「授業を真面目に聞いていれば、徹夜までしなくても…」と事もなげに答えるできる子・ちゆ。そしてできない子・ひなたは32点で「不公平だ…夜中まで勉強しても駄目だった可哀そうな子もいるんですよ~」と、魂が抜けたような顔(ただし実態は、単なる集中力不足による自業自得)。
- 平光家で勉強会。"Satisfaction"という英単語の覚え方について、「サティスさんっていう外国の人が、『ファクション!』ってくしゃみをしているビジュアルが思い浮かばない? くしゃみをするとすっきり満足するでしょ? だから、『Satisfaction』は『満足』って覚えられるよ」という連想式暗記法をひなたに指南する(ニャトランは「そんなやり方で本当に覚えられんのかよ…?」と疑問を呈していたが、昔からある有名な記憶術)。しかし、雑念が入りやすいひなたはどんどん勉強と関係ないものばかり連想してしまうため、効果なし。なお、これもある種の駄洒落であるが、ちゆの笑いのツボには嵌らなかったらしく、呆れ顔をされている。
■第37話
- 美術の時間、互いの顔をスケッチ。ひなたの笑顔の特徴は良く捉えている…ものの、画力は微妙?
- 戦いが終わった後、ダルイゼンは「残された時間をせいぜい楽しむんだね」と捨て台詞を残して退散していった。のどか達は与り知らぬ事であるが、今日ラビリン達は「『お手当て』が終わったら、人間界にいる必要がなくなる。皆と一緒にいられなくなるのでは」と悩んでいた所に、ダルイゼンから「だったら『お手当て』をしなければ、ずっとプリキュアといられるんじゃないの?」という言葉を投げ掛けられ、心揺れながらも戦いに臨んでいたのであった。
- そんな複雑な思いを押し殺しつつ、「来年こそは皆で一緒に秋を楽しもう」とのどか達と談笑するラビリン・ペギタン・ニャトラン。一方、ヒーリングガーデンでは戦士レイオンやトライン、そしてテアティーヌが、来たるべきビョーゲンズとの戦いに向けて、人間界に行く準備を進めていた。決戦の時は迫りつつある…
■第38話
- ハイジャンと女将のどちらを取るべきか悩むちゆは、授業中も考え込んでいた。その姿を見たのどかは心配そうな顔。
※決してのどかの顔に見とれていた訳ではない…はず
- ニャトランに解説して貰い、ちゆの現在の心境が良く分かった。みんなで考え込んでいる時、ラテが反応したのは、第8話でちゆのために作った「空へ! 限界突破!」の横断幕。当時はいなかったアスミにどういう意味なのか問われ、のどかは「自分で無理だと思ってることを、頑張って乗り越えることかな」と解説する。その言葉でひらめいたペギタンは「ハイジャンも女将もどっちも頑張れば良い、ちゆなら出来るペエ」という答えを導き出し、彼女の迷いを消し去った。
■第39話
- ひなたが見た「ビョーゲンズを改心させて、すこやか市を平和にしたプリキュア達が表彰される」という夢を聞き、「でもそれ、本当に正夢になるといいね」と笑顔。まだ見ぬキングビョーゲンの話題になり、「王様っぽいんじゃない?」と想像図を描くが…例によって微妙な画伯ぶり。
- ゆめぽーとのタピオカフェアに行こうとみんなで待ち合わせしていたところ、ひなたから「グアイワルが開きっ放しにしている、ビョーゲンキングダムへの出入口を見付けた」と連絡が入る。罠を危惧するちゆに対し、のどかは「でも、確かにキングビョーゲンを浄化するチャンスだよね…」と積極的。結局、発見者のひなたが「これはチャンスだと思う」と強く主張した事で、一同はトンネルに飛び込む覚悟を決める。
- ビョーゲンキングダムの地底で、遂にキングビョーゲンと遭遇。しかし、流石に手強く、キングビョーゲンは愚か、分身体にすら歯が立たない。倒れ伏したプリキュア共々、キングビョーゲンに弱さをなじられて、「半人前のラビリン達じゃ何にも守れないラビ」とラビリン達は涙を流すが、「一緒なら守れる、一緒なら負けない。だから頑張ろう、ラビリン」とグレース達は立ち上がった。
- そして、「ファイナルヒーリングっど♥シャワーでキングビョーゲンを浄化する。だが、勝利の喜びも束の間、グアイワルが姿を現す。」
■第40話
- キングビョーゲンを倒させるために、わざとプリキュアをビョーゲンキングダムに招き入れた事を明かしたグアイワルは、大量のメガパーツを取り込んでキンググアイワルに進化した。その圧倒的な力で叩きのめされたグレースはフォンテーヌもろとも変身解除に追い込まれ、アースの助けでかろうじて逃げ延びる。
- キンググアイワルの猛威に一同が意気消沈する中、のどかは「もう一度浄化しに行こう。だって、放っておけないよ。このままじゃもっと悪い事が起きるかもしれない」と果敢に立ち上がる。すこやか市にグアイワルの魔手が伸びた事をラテが察知するも、戻る手段がなく、責任を感じたひなたが「全部あたしのせいだ。みんなに迷惑をかけてばかりで、あたしなんか何もしなきゃよかった」と泣き出してしまう。
- しかしニャトランが「誰でも失敗はする。お前だってうまくいった時があった」と明るく励ます。ひなたは「そんなのない…」とうなだれるが、のどかが「あるよ。あの時ひなたちゃんが呼んでくれたから、エレメントさん達が応えてくれたんだよ」と、森の中で迷った時に、ひなたの叫びがエレメントさん達を呼び寄せて助かった時の事(第11話)を思い出させた。おかげでひなたは笑顔を取り戻した。
- さっきの戦闘の際、スパークルのヒーリングフラッシュが当たった岩が部分的に浄化され、そこに穴が開いたとラテに教えられたのどか達は、もっと大きな穴を作れば帰れるかもしれないとプリキュアに変身する。ところがそうはさせじとダルイゼンが襲い掛かってきた。攻撃をかわしながら4人はファイナルヒーリングっど♥シャワーを放ち、開いたトンネルに皆は次々駆け込むが、グレースが入る前にダルイゼンが闇の波動を浴びせて浄化を打ち消し、たちまち穴は小さくなってゆく。それを見て「あーあ、置いてけぼりだ」と冷笑するダルイゼンが近づいてきた。
- その時、閉じかけていた穴が再び大きく開いた。「何!?」と驚くダルイゼンはグレースをつかまえようとするが、一瞬早くグレースは穴に飛び込んで人間界に帰還する。空振りに終わった自分の手を見つめ、ダルイゼンは「フン…」とつぶやいていた。
- 人間界側から3人がヒーリングエネルギーを放出して穴を広げてくれた事で、グレースは脱出できたのだった。抱き着くスパークルと共に無事を喜ぶも、大量のメガビョーゲンによってすこやか市が蝕まれていた。グレース達は休む間もなくお手当てに向かってゆく。
■第41話
- メガビョーゲンを次々浄化するプリキュア達。まだギガビョーゲンが残っていると知り、森林公園へと向かう。公園に避難した人々に迫るギガビョーゲンを止めようとするも、キンググアイワルが襲い掛かってきた。さらにダルイゼンとシンドイーネまでもが現われ、各個撃破された4人の変身は解けてしまい、絶体絶命の大ピンチに陥る。
- キンググアイワルは高笑いしながら「遂にこの手でプリキュアを倒す時が来た!別れのセリフは決めていた!じゃあな、プリキュア!かばよ!」とトドメの一撃を放とうとする。ところがその体は突如現れた闇に呑み込まれてしまう。「『かばよ』じゃなくて『あばよ』でしょ。最後の言葉まで間が抜けてるわ」と冷笑するシンドイーネと、思わぬ展開に愕然となるダルイゼンの目の前で闇は膨れ上がり、巨大な怪物が出現した。「我はキングビョーゲン。ビョーゲンズの真の王である」
- グアイワルの裏切りを把握していたキングビョーゲンは、自分の一部をプリキュアに倒させて油断させ、キンググアイワルへと進化した彼を取り込む事で、復活の早道としたのだった。「我の挨拶はここまでだ。復活の祝杯代わりにお前達は余興を見せてみよ」と、キングビョーゲンはギガビョーゲンに力を与える。再変身したプリキュアはギガビョーゲンを浄化するが、その間になぜかキングビョーゲン達は姿を消していた。
- とりあえず危機は去って一同はほっと胸を撫で下ろすが、気付けばいつの間にか夜になっていた。怪物出現ですこやか市全体が大騒ぎになっていた時に連絡の取れなかった4人はそれぞれの家で油を絞られつつも安堵される。ひしと抱き締めるやすこと、嬉し涙を流すたけしの姿に、のどかの目にも涙が浮かんだ。
- 翌朝、プリキュアをやっている事で両親を心配させた後ろめたさを感じつつも、地球のお手当てをする決意を新たにしたのどかは日課のジョギングに出かける。するとその途中で、傷ついたダルイゼンが現われて「見つけた…いいから寄越せよ、その体!」と言い出した。グレースに変身するも、彼は満身創痍で戦える状態ではなく、明らかに様子がおかしい。
- 「もしかして…キングビョーゲンにやられたの?グアイワルを取り込んだみたいに、また仲間を?」グレースの推察通り、ダルイゼンはキングビョーゲンに自分の一部となるように命令され、命からがら逃げてきたのだった。彼は必死に這いずりながら、グレースに訴えた。「助けてくれ…このままじゃ…おれはおれじゃなくなる…消えてなくなる…!」逡巡するグレース。その顔は、ダルイゼンの次の言葉でひきつった。「頼む、キュアグレース…おまえの中におれを匿ってくれ…」
- 「おまえはおれを育てた宿主だ、おまえの中ならきっとこの傷は癒える…キングビョーゲンに見つからずに回復できる…頼む、助けてくれ…キュアグレース…!」息も絶え絶えになりながら、ダルイゼンは哀願した。もし彼が体に入ったら、また苦しい闘病生活に逆戻りするのでは?そもそも今までの所業を考えれば勝手すぎる言い分だし、助ける義理などあるのか?しかしこんなに必死の相手を無下に見捨ててよいのだろうか?それにキングビョーゲンに取り込まれてしまったら、ますます手が付けられなくなるのでは?……グレースの心は千々に乱れる。だがダルイゼンに手首を掴まれた次の瞬間、グレースは悲鳴を上げてそれを振りほどいてしまっていた。
- 仰向けに倒れ、起き上がる気力もないダルイゼンに背中を向けて、グレースは走り出した。後ろからダルイゼンの恨みの声が聞こえてくる。「おまえ、おれに言ったよな!?自分さえよければいいのかって…!」そうだ、確かに言った。確かに以前グレースは、ダルイゼンの仕打ちに対して『自分さえよければいいの!?』と言った事があった。でも、だからって…。恐怖、嫌悪、不安、後悔、後ろめたさ等々、様々な感情が頭の中で渦巻いて収拾がつかない。顔面蒼白になって逃げ去ってゆくグレースの背中に「結局、おまえも同じじゃん!」というダルイゼンの悲痛な叫びが突き刺さる…。
■第42話
- 花寺家の朝、のどかは暗く沈んだ顔で食事にもほとんど手を付けない。「体調が悪いのなら学校を休めば」と心配する両親やアスミに、「ちょっと怖い夢を見ただけ」と無理矢理笑顔を見せて学校へ向かう。唯一事情を知るラビリンは、心配げに後を追って行った。
- ちゆとひなたはお弁当を食べながら、今日ののどかは何か様子がおかしいと話し合う。閉まっているドアにぶつかったり、何もないところで転んだり、理科の時間にリコーダーを吹いたり、弁当を忘れてパンを買いに行ったりと、普通の子・のどかにしては例年の桃キュアを髣髴させる様なドジっ娘振りであった(ニャトラン曰く「ひなたならともかく」)。
- ところが、ラビリンによれば、ちゃんと弁当を持って出かけたという。きっと何かあって悩んでいて、暗い顔で自分達を心配させたくないから、あえて避けていると察したちゆ&ひなたは、「のどかはあなたになら話せるんじゃないかな、ずっと一緒にいたパートナーなんだから」とラビリンの背中を押して託した。
- 帰宅後も部屋で沈み込んでいるのどかにラビリンは、「のどかは優しいラビ…のどかは本当はダルイゼンを助けたかったラビ? 地球を『お手当て』するラビリンのために助けなかったラビ?」と切り出した。しかし、「もしのどかが助けたいなら、ラビリンは一緒にダルイゼンを助けるラビ! ラビリンの事は気にしなくて良いラビ」というラビリンに対し、「違う…そんなことじゃないの…私、そんな優しい子じゃない…」と声を震わせて俯く。
- 苦しかった闘病生活。強い気持ちを保ち、笑顔でいないと潰れそうだから必死で頑張った。今の自分を作った大切な経験だとも思う。だが…「でも、それでも! 叶うことならもう二度と…あんな苦しい思い、もうしたくないよ!」それは、1人の人間・花寺のどかとしての偽らざる本音であった。
- 涙を流すのどかにラビリンは、「のどかはダルイゼンを助けたいラビ?」と問い掛ける。そして「そうした方が良かったんだと思う…」と答えるのどかに、「そうじゃないラビ。のどかの気持ちを聞いてるラビ」と尋ねた。「無理…私、どうしても嫌! 嫌なの!」「だったら助けなくて良いラビ! 悩む必要もないラビ! のどかが自分を犠牲にしなきゃいけないなんてそんな義理も責任もないラビ!のどかは十分頑張ってくれてるラビ、それはラビリン達がよーく知ってるラビ。もし、のどかに何か言って来る奴がいたら、ラビリンがぶっ飛ばしてやるラビ! だからのどかは、自分の気持ちも体も大切にして良いラビ! のどかが苦しまなきゃいけない理由はひとっつもないラビ!」ラビリンの力強い励ましに、心が楽になったのどかの頬に嬉し涙が流れる。プリキュアといえど人間。神様でもなければ万能でもない。何もかも守れる訳でもないし、自分を犠牲にする必要もない。出来ることを出来る限りの範囲で、自分が思う通りにやれば良い。「心の肉球にキュンと来るって、こういうことなんだね…」
- ラテが探知して駆け付けた展望台で大暴れしていたのは、通常のメガビョーゲンとは何かが異なる異質な巨大怪物であった。のどかはそれがダルイゼンであると気付く。追い詰められたダルイゼンは一か八かで大量のメガパーツを吸収したが、グアイワルと異なって上手く適合出来ず、理性を失って怪物化してしまったのだ。しかし、正気を失っていてもなおグレースのことだけは分かるらしいダルイゼンは、グレースの名を叫びながら、「助けてくれ…こんなのは俺じゃない!」と救いを求めて来た。
- しかし、「お前だけが頼りなんだ…お前の中に…」と必死に訴えるダルイゼンに対し、グレースは「そしたら私はどうなるの!? いつまで!? 貴方が元気になったらどうするの!? 貴方は私達を…地球を二度と苦しめないの!?」と、矢継ぎ早に問い他た。
- この言葉にダルイゼンは怯み、何も答えられなかった。
- グレースは「私はやっぱり、貴方を助ける気にはなれない!」と毅然と言い放つ。ダルイゼンは彼女の言葉に項垂れ、絶叫して辺りを攻撃した。
- このことで、遂にグレースの腹は決まった。大暴走するスーパーダルイゼンに彼女は怒りの猛攻を加える。「貴方のせいで私がどれだけ苦しかったか…あなたは全然わかってない! 分かってたら地球を、沢山の命を蝕んで笑ったりしない! 都合の良い時だけ、私を利用しないで! 私は貴方の道具じゃない! 私の体も! 心も! 全部私のものなんだから!」
- グレースのみならずく、地球の数多の命を蝕んで嘲笑ったダルイゼンは己の身勝手さを思い知り、罰を受けるべき存在なのである。「ファイナルヒーリングっど♥シャワー」をもろに喰らったダルイゼンは「俺だって…おれの体も…心だって…!」と叫びながら浄化されるも、消滅せずに等身大に戻った。
- だが、それが彼の運命を決定付けた。直後にシンドイーネが現れ、「バカね。あんなに派手に暴れちゃ、見付けてくれって言ってる様なもんじゃない」「キングビョーゲン様! ダルイゼンは、こちらでーす!!」と容赦なく彼の所在をキングビョーゲンに通報した。
- そして、現れた彼はダルイゼンを吸収し、ネオキングビョーゲンに進化してしまう。「地球の皆の心と体…全部私達が守ってみせる!」と叫ぶグレースを、「これは面白い。ダルイゼンを見捨てながら、地球の皆と全てを守るというか。随分な思い上がりだ」と嘲笑するネオキングビョーゲン。
- その言葉に、キュアグレースはハッと固まった様に顔を歪めた。彼女の心の内は視聴者には分からない。
- だが、心に痛みを感じながらもグレースは、「ダルイゼンを追い詰めたのは誰? 貴方にいわれたくない! そんな言葉には負けない! 私は絶対貴方を浄化する! それが私の今の気持ちだよ!」と言い返し、敢然と立ち向かって行く。
■第43話
- ネオキングビョーゲンの猛威はすこやか市全体を一瞬で蝕んでしまった。プリキュア達の攻撃もバリアで弾き返され、変身解除してしまい大ピンチに。そこへ駆け付けたテアティーヌやヒーリングアニマル達が結界を張ってネオキングビョーゲンを抑え込んでいる間に、一同はアスミに助けられて逃げ延びた。
- バリアを突破する手段として、アスミはビョーゲンズの力を自分の身に取り込むと言い出した。のどかは血相を変えて「ダメだよ!そんなのダメ、危ないよ!アスミちゃんに…ううん、誰にもあんな苦しい思いさせたくない!ダメ!絶対ダメ!」とアスミを止めようとする。誰よりも病気のつらさと苦しさを知っているからこそ、そんな危険な手段をアスミに取らせなくなかった。
- しかしアスミは、「わたくしの決意は変わりません。皆さんと過ごして重ねてきた経験が、今のわたくしを作っているのです。どんなに反対されてもわたくしは実行します。わたくしの心も体もわたくしのものですから」と決意を変えなかった。つい先刻、グレース=のどかがダルイゼンに対して言った「わたしの体も心も全部わたしのものなんだから」という言葉。それもアスミの確固たる決意の原動力になっていたのだ。
- アスミの覚悟を受け止めた一同は、追いかけてきたシンドイーネを浄化。彼女の一部のナノビョーゲンを取り込み、「それでは参りましょう」と言うアースに、グレース達も「わたし達の町を、地球を、『お手当て』しに!」と続く。いよいよ決戦の時がやって来た。
■第44話
- 必死でネオキングビョーゲンを抑え込むテアティーヌ。しかし、彼の力が勝り、結界は破られようとしていた。そこにプリキュア達が駆け付け、「今度こそあなたを浄化する!」と最終決戦を挑む。
- グレース達が攻撃をぷにシールドで凌ぎ、その隙にアースが技を放つ作戦は予想通り効果があって、バリアを崩すことが出来た。しかし、それも束の間、ネオキングビョーゲンはとうとう結界を突破。「我を抑えるものは何もない! 我の勝利だ! プリキュアもヒーリングアニマルも皆我の養分となるが良い!」と高笑いしながら、プリキュア達やテアティーヌを体内に吸込んでしまった。そしてその瘴気はあっという間に地球全体を蝕んでゆく。「ハハハハハ…全ては我が手に!」
- 変身が解けたのどかはネオキングビョーゲンの体内で目を覚ました。仲間達は気絶したまま。ネオキングビョーゲンは、人間も含め、地球上の生命はどれかがはびこれば別の生命が絶滅するのが自然の摂理であり、「生きるということは戦うこと。戦いに勝った者だけが生きる事を許される。その勝者が我ただ1人であったというだけだ」と勝ち誇る。
- のどかも「生きることは戦うこと…そうだね、私もそう思う。私は病気と戦ったから、今元気でいられる。ちゆちゃんは未来の目標に向かってずっと戦ってて、だから毎日が充実してて…ひなたちゃんは自分の嫌いなとこと戦いながら、いつも笑顔でどんどん強くなって…アスミちゃんは戦いの中で生まれて、今もずっと大好きなラテのために戦い続けてる…ラビリンもペギタンもニャトランもラテも、故郷を離れて地球のためにずっと戦い続けてくれてる。私達、いつも何かと戦ってる、戦いながら生きてる、あなたのいう通り…」と呟き、それを聞いたネオキングビョーゲンは、敗北を受入れたと思って鼻で笑うが、次ののどかの言葉で顔色が変わった。「…だから私は戦い続ける!」
- 「今までと同じ…今まで以上に戦い続ける! 勝つためじゃない、負けないために。わたしがすこやかに生きるために、大好きな人達が健やかに生きられる様に。他の全てを見下して、虐げて、奪ってくる貴方みたいな存在のせいで、悲しむ人が増えない様に!」のどかは拳を握り締め、強い闘志を瞳に燃やして、敢然とネオキングビョーゲンに言い放った。まだ諦めてなんかいない。まだ戦いは終わっていないのだ。
- ネオキングビョーゲンは「今更人間1人に何ができよう!」と嘲笑うが、ラビリンが「できるラビ! 諦めない人が1人いれば、勇気付けられる人が生まれるラビ! 一緒に戦う仲間が増えるラビ!」とのどかの熱い叫びに応えた。気絶していた他の皆も目覚め、パートナー同士で手を取り合う。「1人じゃ難しくても!」「皆で手を取り合って!」「諦めずに!」「戦い続けます!」
- その姿は、力尽き挫けかかっていたテアティーヌを勇気付ける。さらに、4人の声はすこやか市の人々の心にも届いていた。たけしややすこを始め、他の家族や町の人々、エレメントさん、動物達に至るまで皆が願う。「私達はまだやりたいことがある!」「私達は生きたい!」「生きたい!」その生の願いに満ちた心のエネルギーは光の奔流となって世界中を包み、蝕みを押し返した。「何だ!? この生気に満ちた光は!」と苦しむネオキングビョーゲンの体内からのどか達は脱出する。
- そして、のどか達の手元には、新たなヒーリングステッキが誕生していた。この星に生きる全ての命が、心の肉球にキュンと来た、生きたいという叫びの結晶であった。「この星の全ての皆さんと!」「手と手を繋いで!」「ハートを繋いで!」「地球を『お手当て』するんだ!」そう叫んだ4人は再変身、怒り狂うネオキングビョーゲンの猛攻も跳ね返し、「ファイナルヒーリングっど♥シャワー」を炸裂させる。「この我が、見習いどもと人間なんぞに!」と最後の抵抗を試みるネオキングビョーゲン。しかし、地球の皆の思いを受取ったプリキュア達の力が、それを上回った。「私達は! 生きることを! すこやかな未来を! 諦めない!」遂にネオキングビョーゲンは眩い光に呑み込まれ、「ヒーリングッバーイ…!」と絶叫を残して浄化・消滅した。同時に世界の蝕みが消えて行く。地球は救われたのだ。
- 勝利の喜びを噛みしめながらも、全ての力を出し切った4人の変身は解け、その場に倒れ込んで眠ってしまった。テアティーヌに促されたラテが癒しの光を放つと、眠るのどか達の顔に穏やかな笑みが浮かぶ。「ありがとう…優しく真っ直ぐな地球のお医者さん達」と、テアティーヌは心からの感謝を捧げた。
- そして夜が明け、まだ眠り続けるのどか達4人を、それぞれの家族やすこやか市の人々が取り囲んでいた。彼らは全員、先刻の戦いの中で、のどか達がプリキュアであり、人知れずこの町や皆を守り続けてくれていたことに気付いていたのであった。「知らなかったな、この子達がずっと私達を守ってくれてたなんて」「きっと何か重大な事情があって隠してたんだよ」「この子達の思いを尊重してあげたいですね」「今まで通り、何も知らないということで…」と口裏を合わせることとしつつも一同は、テアティーヌ同様、心からの「ありがとう」の言葉をのどか達に贈った。お陰で翌日以降、のどか達は周囲の人々の妙に優しい態度に首を傾げることとなった。
まぁ…皆色々思う所はあったということで。
- そして後日、のどか達はヒーリングガーデンに帰還するラビリン達を見送る。ラテの傍にいたいアスミも人間界を去ることを決めていた。淋しがるペギタンをちゆが慰め、半泣きのひなたをニャトランが励ます中、ラビリンがのどかに語り掛ける。「のどか…」「なぁに? ラビリン」「『お手当て』手伝ってくれて本当にありがとうラビ。今度こそ元気で平和な日常を…すご…」みるみる涙が溢れるラビリンは、堪え切れずに号泣する。
- 「危ないことに巻き込んじゃってごめんラビ!」と泣きじゃくるラビリンを、のどかは抱き締め、「ずっと心配してくれてたもんね…ありがとう。でもね、わたしね、大変だったけど楽しかったよ。ラビリン達と一緒に過ごした日々は本当に楽しくて新鮮で…わたし、生きてるって毎日感じてた。ラビリン達が一人でお手当てできるようになってパートナーが必要なくなっても、わたし達、お友達でしょ?」と答えた。ラビリンも笑顔になって「ラビ1 ずっと友達ラビ!」と手と手でタッチを交わし、旅立ってゆく。
- その姿に手を振るちゆ・ひなたの瞳は潤んでいたが、のどかは輝く笑顔で皆を見送った。
「私は泣かない。私は強くなったから。それに、きっとまたいつか会えるから…」
「またね…」
■第45話(最終回)
- キャリーバッグを引いて出掛けるのどかを見送りつつ、「あーあ、ボクも会いたかったなぁ」「ほんと、あの子達、一体どんなところで暮らしてるのかな」とアスミとラテに会いたかったと残念がるたけしとやすこ。今日のどか達は約束通り、ヒーリングガーデンへ遊びに行くのだ。早速、ラビリン・ペギタン・ニャトランが大喜びで飛んできた。「レッツゴー、ヒーリングガーデンラビ!」
- 到着したヒーリングガーデンは、絵本のように美しくファンタジックな世界だった。ヒーリングパレスに案内されたのどか達はアスミやラテとも再会し、少しだけど飛べるようになり、しゃべれるラテに相好を崩す。テアティーヌに謝意を述べられ、すこやかまんじゅうをふるまってヒーリングアニマル達とも仲良くできたかのように見えた。
- しかし、ヒーリングガーデンの一角は、キングビョーゲンの侵攻時に蝕まれたまま。さらに、サルローという老ヒーリングアニマルは人間を嫌っており、「人間などビョーゲンズと変わらん。自然を破壊し、動物の命を奪う。生きることには必要とはいえ、限度がある。ビョーゲンズだって、進化の果てがキングビョーゲンだ。俺に言わせれば、ヒーリングアニマルは人間だって浄化していくべきなんだ。この星のためにな」と厳しい言葉を投げかける。
- ともすれば横暴とも受け取れるサルローの人間という種への批判に猛反発するラビリン達。しかし、当の人間であるのどか達の考えは異なった。
- 「キングビョーゲンにもいわれた…人間もビョーゲンズと変わらないって。私達人間も、地球に酷い事してるんだよ…」とのどか達は悄然となって考え込む。
- のどか達は思い悩む。豊かで快適に暮らすために生きる目的以上に他の動物の命を奪い、地球環境を蝕んでいる人間も、ダルイゼン達ビョーゲンズと何ら変わらない、「地球を蝕む存在」であり、いずれラビリン達ヒーリングアニマルに浄化しなくてはならなくなるのか…?
(※2020年5月の作品です)
- そんな中、なぜかメガビョーゲンが出現。どうやらのどか達が持ち込んだすこやかまんじゅうに、野生のナノビョーゲンが付着していたらしい。人質にされたヒーリングアニマルの子供達を救うべく、のどか達は変身して戦闘開始。しかし6個入り1箱のすこやかまんじゅうから生まれた6体のメガビョーゲンのチームワークに手こずり、「すこやかまんじゅうとは戦えません」とアースが戦意喪失したために苦戦に陥る。その上、サルローに「人間がナノビョーゲンを持ち込んだんだ。災いを持ち込むのはいつだってお前ら人間なんだ!」と罵られ、グレース達は途方に暮れる。
- だが、ラテが「違うラテ…!」と必死に叫ぶと、空に開いた穴から1人の少女が降ってきてメガビョーゲンに命中した。その姿はプリキュア!?「あっ、こんにちは! 私、キュアサマー! もしかして皆もプリキュアなの~?」サマーはメガビョーゲンに吹っ飛ばされて気絶してしまったが、彼女がぶつかった弾みで人質が解放され、グレース達は反撃開始。
- 「人間が地球に酷いことしてるとか、あたし全然分かってなかったけど、でも今からでも遅くないよね!」「これ以上酷いことにならない様に、最悪の未来を避けるために、私達にも何かできるはずよ!」「そして少しでもすこやかな未来を…私達だけじゃない、地球の沢山の皆が健やかに生きられる未来にしたいから!」そう叫びながら戦うプリキュア達に、テアティーヌは「貴女がいうことも分かるわ。私もいざという時が来たら、人間を浄化する覚悟はあります。でも、人間に深く関わった者としていわせてもらうと、人間には未来を変える力があると信じたいの…私にはさっきの見慣れぬプリキュアの存在が、その希望の様に思えるのよ」とサルローに訴えかける。その間にグレース達は「ファイナルヒーリングっど♥シャワー」でメガビョーゲンを浄化した。
- 意識を取り戻したサマーはラテが生み出したリングを「めっちゃトロピカってる!」と受取り、再度空に消えて行った。のどかは騒ぎを起こしたことを謝罪しつつ、サルローに「私達、頑張ります。じゃあどうしたら良いかとか今はまだ分からないけど…それでも! 私達にも出来る地球の『お手当て』を考えて行きます!」と誠意を持って決意を告げ、彼もようやく認めてくれた。3人は笑顔のヒーリングアニマル達に見送られ、ヒーリングガーデンを後にする。
- 展望台から美しいすこやか市の景色を眺めるのどか・ちゆ・ひなた。これからはヒーリングアニマル達がいなくても、自分達にできる事を考えて、地球の「お手当て」をして行こうと、3人とも心に決めていた。
「帰って来ちゃったね」
「ええ…」
「これからもやること一杯だね!」
「地球の『お手当て』、まだまだ続くもんね!」
「生きている限り、戦いは終わらないってことね」
「うん…でも、そういうのも全部丸ごと…生きてくって感じ!」
3人の晴れやかな笑い声は、空へ、海へ、響いて行くのであった。
『プリキュアオンライン感謝祭』
最終回後のプリキュアオンライン感謝祭で披露されたショーでは、のどか&ラビリン達は最終回後もビデオ通話で交流を続けていた。
実は、人間界のインターネットは雷のエレメントさんによって維持されているため、必要な時にお願いさえすればヒーリングガーデン - 人間界間にWi-Fiが開通するのであった。
しかし、その雷のエレメントさんが電脳世界の野生のメガビョーゲンに取込まれ、プリキュア達は戦うこととなる。
野生のメガビョーゲンは戦いの最中、過去のデータからダルイゼン・シンドイーネのアバターを作り出す。
メガビョーゲンが作り出したアバターダルイゼンは第42話の台詞を再現しつつ、苦しそうにキュアグレースを責め立てる。
グレースは「確かに私はダルイゼンを助けなかった。今も気持ちは変わらない!」と告げた上で*「でも、ダルイゼンが苦しんでたのを、そんな風に利用するのは許せない!」とアバターダルイゼンを作り上げたメガビョーゲンに言い放った(※アバターダルイゼンはあくまでメガビョーゲンが操っている幻影に過ぎないため、彼本人の意思ではない)。
戦いの末にメガビョーゲンを浄化。グレース達はこれからも自分達なりの地球の「お手当」を続けて行くことを誓うのであった。
特別出演
- 第8話
『ヒロガリズム』EDのダンスに日替わり登場する歴代プリキュア3番手として登場。また、これが相棒・ラビリンと中の人が同じであるキュアプリズム(虹ヶ丘ましろ。)との初共演となった。
- 第31話
- 第37話から通常の後期ED『Dear_Shine_Sky』に戻ったが第32話以降 - 翌2024年(令和6年)1月21日に放送予定の第49話までがは『ひろプリ』メンバーが登場をするため、グレースが過去作からでの最後の登場となった。
映画
■『映画トロピカル~ジュ!プリキュア プチ とびこめ!コラボダンスパーティ!』
- ダンシングアイランドへのダンスパーティの招待所をラビリンを通じてローラ宛てに送った。
- ヤラネーダの襲撃を乗り切りダンシングアイランドに到着したトロピカルージュプリキュアに手を振って出迎えた。
- 主題歌『エビバディ☆ヒーリングッデイ!&トロピカI・N・G エンディングリレー』でトロプリ勢と共にダンスした。
■『映画トロピカル〜ジュ!プリキュア 雪のプリンセスと奇跡の指輪!』
- 声なしであるが、物語終盤に登場。
- トロピカる部が出場する商店街の歌の大会に駆け付ける。
- まなつが知っている人に声を掛けたためらしい。
- また、服装が本編では見られなかった夏仕様(トップスが七分袖から半袖に変化)となっている。
- 後輩の映画である『夢みる♡お子さまランチ!』の同時上映作品にまさかの共演することが決定。また、先輩である『スター☆トゥインクルプリキュア』のキュアスターと後輩の『トロピカル〜ジュ!プリキュア』のキュアサマーと4世代が共演する。
- オールスターズ映画初登場。
- 『プリキュア5』以外の『キラキラ☆プリキュアアラモード以前の44人と『ひろがるスカイ!プリキュア』の5人と初共演。
- 不思議な世界に飛ばされて1人でいた所を後輩である『トロピカル〜ジュ!プリキュア』のローラ・デリシャスパーティ♡プリキュアのあまね・『ひろプリ』のましろ、そして謎の妖精・プーカに見付けられ、バラバラとなった仲間を探す旅に出ることとなる。ラビリンとも逸れてしまったため、プリキュアに変身出来なくなっていた(そのため、キュアグレースとして登場するのは中盤以降)。
- この事件の真犯人・アークを探すためにお城を目指す。
- 城に向かう列車を見付け、飛び乗ろうとするも、元々身体が病弱であった名残りか追い付かず乗り遅れそうになる。そこに相方・ラビリンが現れ、彼女に助けられて列車に乗ることが出来た。こうしてラビリンと無事に再会を果たした。
- 本当の首謀者である地球外生命体・シュプリームにキュアマカロンと攻撃をするが兎の盾で塞がれ、アースと共に押し潰されそうになったが、仲間達に助けられた。
関連イラスト
関連タグ
プリキュア内
- 美墨なぎさ;元号最初の主人公繋がりで、病弱な幼少期を過ごした点が共通している。
- 日向咲;敵に「自分さえ良ければ良いのか?」と聞いたことがあるプリキュア繋がりで、それぞれが平成・令和最初の花キュアという点も共通している。
- 美翔舞;元号最初の転校生繋がりのキャラ。
- 春日野うらら:うららか、長閑と、春の季語が入ったプリキュア繋がり。
- 桃園ラブ:元号最初の人外キャラを居候させたプリキュア繋がり。
- 花咲つぼみ:苗字に【花】があり、運動が大の苦手で身体能力と基礎体力が乏しく、桃キュアしては大人しい性格、他校から転入してきた転校生キュア、パートナー妖精と苦楽を共にし、花をモチーフとする桃キュア繋がり。
- 星空みゆき・野乃はな:他校から転入してきた桃キュア繋がり。特にはなの初期のチームメイトとは色も人種も学年も同じである。⇒転校生キュア そして、はなは仲間を居候させた桃キュア繋がり。もっと言えばはなとは後に知る事となる敵側と本編開始以前からの因縁繋がりでもある。
- 虹ヶ丘ましろ:パートナーと演者が同じプリキュア。
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歴代桃キュアタグ
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