「我の体を取り戻すためにも、この星は必ず我々のものにする!」
CV:郷田ほづみ(第41話で判明)
概要
『ヒーリングっど♥プリキュア』第2話より登場するビョーゲンズの首領。テラビョーゲンの更なる上位種。
地球を自分達だけが住める環境に変えるべく、地球の生態系や自然の仕組みそのものを破壊し尽くそうと目論んでいる。
現代よりもずっと前の時代に、古のプリキュア達との戦いで倒されたものの、意識だけの存在として逃げ延びており、永き時の後に地球への再侵略を開始した。
第3話のダルイゼンの発言によると、現在はナノビョーゲンの集合体の状態であるらしい。
身体を取り戻す為には地球を蝕む必要があるらしく、部下達にメガビョーゲンを暴れさせるように命じている。
部下達に指令を下す際は、ナノビョーゲンの霧に戯画的な目と口が描かれただけの状態で現れ、在りし日の姿をそこから知ることはできない。
第1話時点では喋る以外に何もできない程に力を失っているが、その少し前までは身体を失っていても、絶大な力を持っていたようだ。
というのも、第1話以前に地球を守るヒーリングアニマル達が住まう世界「ヒーリングガーデン」へ攻め込んだ際、女王テアティーヌと相打ちになり、そのダメージでキングビョーゲンは殆どの力を失ったのである。
一方、ヒーリングガーデンも大きく傷つき、戦う力を持つ成体は殆どが戦闘不能状態に追いやられ、女王テアティーヌも力を大きく失ってしまった。
ヒーリングガーデンが機能を停止し、地球の守護者がいなくなった好機をキングビョーゲンは見逃さず、地球の人間界を蝕むように部下達に命令を下す。
だが、見習いのヒーリングアニマルである幼生体が、人間界の少女達と絆を結んだことで新たなるプリキュアが誕生。こうして本作の物語が始まったのである。
そして第41話でついに完全復活を遂げた。
復活後は様々な動物の特徴が融合した合成獣のような姿を持つ。
人物像
無情なる地球の病の化身
典型的な独裁者そのもの。
悪い意味で成果主義者かつ実利主義者である。
部下に対しては「おまえたちの頑張りに期待する」旨の言葉は与えているが、実際のところは駒としか考えていない。部下同士の競争意識を高める状況を好んでおり、あえて対立を煽ったりもする。
その為か自身に盲信するシンドイーネ以外の部下からは、慕われている様子がない。
絶対の忠誠心を持つシンドイーネには意識を向けており、彼女の自己犠牲を制するなど、自身を慕う有能な部下ならあえて残して利用してはいるが、後にシンドイーネが浄化されると「使い勝手の良いヤツだった」「また生み出せば良い」(何れも要約)と言い放っており、案の定シンドイーネすらも完全に手駒としか見做していなかった。
この様に本質はダルイゼンと同様かそれ以上に、「自分さえ良ければいい」とする考えの持ち主であり、また自然の摂理等も自分に都合良く解釈して増長する傲慢さを持つ。
しかし、戦いにおいて前述の面は最大の弱点であり、それを自覚していなかった彼は、最後の最後で大きなしっぺ返しを受ける事態に陥る。
戦闘能力
完全復活前
身体が復活する前の状態でも、プリキュア4人を同時に相手取って優位に立つ実力の持ち主。
「身体がない」状態では、ナノビョーゲンを集積した「もや」のような姿で顕現し、「もや」は宙に浮かぶ顔のような薄い円形をしている。この状態での主な攻撃手段は、その顔から豪雨のように連射する光弾で、これは収束させて太いビーム砲として打ち出すことも可能。
「もや」の形を自由に変形させてプリキュアの攻撃の回避も可能。
また、2本の角を生やした人間サイズの分身体を生み出し、自由に使役して戦わせる。
この分身体は特殊な攻撃方法こそ持たないものの、ぷにシールドを容易に突破する怪力を持つ他、本体同様に自由に体を変形させて攻撃をかわすことができる。
復活までの経緯
当初は地球を蝕み汚染して復活する想定だったが、31話でメガパーツでテラビョーゲンを進化させられる事実を知った後は、それに強い興味を持ち、部下達に自己進化を促すようになる。
メガパーツの取り込みは進化をもたらすが、その進化に耐えられず自分の身体と精神が崩壊する危険性もある。躊躇する部下達だったがキングは例の如く、部下同士の競争意識を刺激し、部下達はそれぞれの思惑で進化する事態になった。
その一人であるグアイワルは、予てより「身体を失い、ただのもやのような存在に成り下がったキングビョーゲンがリーダーとしてふさわしいのか?」と疑念を持っており、それを隠さずに吹聴する自信家でもあった。
グアイワルはメガパーツで進化し更に自信を高め、自分こそがキングにふさわしいと思い込むようになる。
そして、グアイワルはキングビョーゲンとプリキュアを戦わせて、残った方を自分が倒し邪魔者を一掃しようと策を練る。
第39話にて、グアイワルがワープゲートを開いてビョーゲンキングダムから人間界へやってきた時、いつもはすぐ閉じるそのゲートをあえて開いたまま残し、プリキュア達をおびき寄せた。
プリキュア達は「本拠地に閉じこもっているキングビョーゲンを倒すチャンス」だと考え、危険を承知でゲートからビョーゲンキングダムで潜入する。
一方、キングビョーゲンもその侵入を察知し、プリキュアを排除すべく彼女達の前に自ら姿を現す。まだ身体が復活していない状態であったが、光弾や分身体を駆使してプリキュアを一方的にいたぶり、必殺技の連打すらも耐え切って見せ、更にはヒーリングアニマル達にも「自分がガーデンに侵攻した時戦いもせず何処かに隠れていた」事実を突きつけて、彼女達の未熟さと無力さを罵倒。
その心を完全にへし折ろうとする。
しかし、そんな言葉にも負けずプリキュア達はアニマル達と共に戦い、守り抜く決意で再び立ち上がる。
特に、キュアアースに嘗て追い詰められて尚も、自分に立ち向かったフウと幼き頃のテアティーヌを重ねると業を煮やし、ビームで一掃しようとするもぷにシールドの重ね掛けで止められたところを、アースの空気のエレメントで押し返され遂にダメージを負う。
最後はプリキュアヒーリングッドシャワーを受けて、断末魔を上げる間も無く消滅した。
こうして、ビョーゲンズとの長きに渡る戦いは幕を閉じた……かと思われたが、そこへ限界を超えてメガパーツを取り込み、更なる進化を遂げたグアイワルが現れる。
彼はキンググアイワルを名乗り、自分こそが新たなキングだと下剋上を宣言した。
それからしばらくは、キンググアイワルとプリキュア達との激戦が描かれるが、第41話にてキンググアイワルの圧倒的なパワーにプリキュアは遂に倒れる。グアイワルはプリキュアにとどめを刺すべく、ナノビョーゲンを凝縮したエネルギー球を召喚するが、そのエネルギー球がなんとグアイワルに自ら襲いかかり、グアイワルは何が起こったか理解出来ないまま消滅してしまう。
その直後、エネルギー球から出てきたのは、身体を取り戻したキングビョーゲンであった。
実はキングビョーゲンは、メガパーツで進化した部下を取り込み、それを糧に自らの身体を復活させる計画を水面下で練っていたのだ。
更に、グアイワルが下克上を目論んでいたのもお見通しで、グアイワルのそれに陥った風に装っていたのである。
「もや」のキングビョーゲンはいくらでもその「もや」を分裂させ、分身体が作れるのは39話で描写されていた。39話ではプリキュアが頑張ってキングビョーゲンの「本体」を倒し分身体も消えたように見えていたが、その「本体」自体が、本体にカモフラージュした分身体の一つであったのだ。
復活直後の姿は豪奢なローブを纏った四足歩行獣(但し、四肢の先端は鳥や爬虫類に近い)で、眉間には上へ直角に曲がった角を1本生やし、鼻面が猛禽類の嘴のように湾曲しているもので、その時点でもプリキュア達を相手に一方的に蹂躙した。
それでも飽き足らずかつて以上の力を得る為、ダルイゼンを取り込む事をダルイゼン本人の前で提言(しかも、その際には「取り込まれた場合、ダルイゼンの自我が消滅する」事実を堂々と明言)、それに恐怖し逃げたダルイゼンに平然と攻撃を加えた。
そして、プリキュアに敗れたダルイゼンを発見したシンドイーネに導かれ、キングビョーゲンは彼を取り込み更なる恐ろしい進化を遂げたのだった。
キャストについて
郷田ほづみ氏はプリキュアシリーズ初参加。
郷田氏は最終話ではヒーリングアニマルのサルロー役でも出演している。
キングビョーゲンは初登場から39話まではキャスト非公開で、エンディングクレジットの表記も無かった。
41話で身体を持って復活した際に、キャストが公開された。
敵組織の首領が登場当初はキャスト非公開なのは、前年、前々年に続いて3年連続となる。
ただ、前二作については「声でボスの正体がバレないように」の意図でキャスト非公開だったのだが、キングビョーゲンについては正体を隠していたわけでもないので、なぜキャスト非公開だったのかの理由ははっきりしていない。
余談
同情の余地が一切ない純然たる悪扱いのラスボスがTVシリーズに登場したのは、Go!プリンセスプリキュアのディスピア以来5年ぶりである。
復活直後の姿の頭部が(どことなくだが)犬っぽく見え、更にマントを羽織ったその全体像は、嘗て死闘を繰り広げたテアティーヌによく似ている。
2021年アニメージュ3月号のインタビューによると、「テアティーヌと直接戦った相手」として「四つ足の獣っぽい姿」としてデザインされ、キャラクターデザインの山岡直子氏が「当初はもう少し犬っぽい雰囲気がありましたが、より『犬ではない雰囲気に』ということで、マズル(犬の口から鼻先までの部分)を変えて、一見何の動物か分からない感じの、ちょっとドラゴンっぽい方向にしてみました。」との事。シリーズディレクターの池田洋子氏が、「今は存在しない、太古の動物みたいなね。」と答えている。
結局キングビョーゲンが他のテラビョーゲン達と同様地球の生命を宿主に生まれたのか、それとも異世界に住む生命を宿主にして成長し、そこを支配してビョーゲンキングダムを作ったのかは、作中でもインタビューでも明かされる事は無かった。
関連タグ
ネオキングビョーゲン:進化後の姿。
キンググアイワル:彼から王の座を奪おうとしたもの。
プリキュア関連
プリキュアシリーズの首領