「バテテモーダ、オンステージ! 開幕!」
CV:保志総一朗
概要
『ヒーリングっど♥プリキュア』第12話から登場するビョーゲンズの幹部(テラビョーゲン)で、「ビョーゲンズ注目の若手新人」を自称している。
第11話で完全体に成長したメガビョーゲンによって生み出された「種」が、同回終盤ですこやか市内の川辺に生息しているヌートリアを宿主にして寄生・成長し、その後宿主から分離して誕生した存在。
だが、頭部の角とサソリの尻尾と言う、ビョーゲンズの幹部共通の特徴も併せ持ち、金髪で目元にはオレンジの隈取りがある。
また、幹部共通の赤錆色のコートも彼の場合はベストとなっており、その下の服装も不良っぽいラフな出で立ちとなっている。
メガビョーゲンを生み出す際の掛け声は「進化ベイベー、ナノビョーゲン!」。
メガビョーゲンを発生させるバンクが、両腕にオーラを込めた後に両掌を合わせる他、腕を激しく交差させつつ小躍りしているようなのと、複数のパターンが存在する。
この他、飄々とした態度に似合わず身軽な動きを持ち、肉弾戦でもプリキュアを圧倒する実力を持っている。
人物
面従腹背の狂える害獣
一人称は「自分」「オレ」(頻度は前者の方が高い)で語尾に「~っす」と付けて話す等、ハイテンションで軽い口調のチャラ男のように振る舞い、三幹部のダルイゼンを「兄貴」、シンドイーネを「姐さん」、グアイワルを「先輩」と呼び慕う等、お調子者な舎弟キャラを演じている。
しかし、その本心では3人の事を完全に見下しており、手柄を立てる事を通じてキングビョーゲンに変わり、ビョーゲンズの支配を本気で目論んでいる野心家である。この為、逆にその本性を密かに察知したシンドイーネからは、不信感を抱かれている。
このため、ビョーゲンズとして生まれたばかりにもかかわらず、早くも野心を見せ始めると言う初の設定だったりする事と、新たに誕生したビョーゲンズが、必ずしもキングビョーゲンに従う訳でない事も明らかになった。
また、「どんなときでも楽しくあろう」と言うスタンスを悪い意味で実践しており、プリキュアとの戦いも仕事として真剣にするのではなく「戦うことが楽しい」と趣味の一環であるかのように豪語する。
プリキュアたちを本当に楽しそうに痛め付ける等、好戦的かつサディスティックな一面も持ち合わせている。
そして、メガビョーゲンがプリキュアに浄化された時も「負けたのはメガビョーゲンであって自分じゃない」として全く問題視せず、プリキュア達にまた遊ぼうと言わんばかりの、爽やかな笑顔とともに撤退していく。
こうした軽い遊び感覚の態度(あえて言えば陽キャラなチャラ男のノリ)は、他のビョーゲンズ幹部からもあまり良い感じで見られていない。
バテテモーダにとっては遊び感覚でやる事こそが強さに繋がる=『遊び』と認識しているからこそ、体全身の無駄な力が抜けていると思われる。
最初の戦いでは、メガビョーゲンに周囲を蝕ませる一方、自身はプリキュアと直接戦うと言う、他の幹部とは一線を画した立ち回りだったが、これはデビュー戦で自分の実力を他のビョーゲンズ幹部や、キングビョーゲンに見せつけることが主目的だったようで、この時点でプリキュアたちにとどめを刺せるだけの実力があったにもかかわらずにそれは敢えてしなかった。2回目の襲撃では自分は直接戦わずにメガビョーゲンに任せきりで、その上でプリキュアを見下す典型的な舐めプをやってのけた。
この辺りから、プリキュアを倒す事は「いつでもできるから」としてあまり真剣になっておらず、ビョーゲンズのテッペンを取る為の布石に過ぎないと考えている様子。
底が見えない強さも秘めているにもかかわらず、ヘラヘラ笑うばかりで何を考えているか分からないキャラである為、キュアグレースは「理解不能な相手」と困惑しており、キュアスパークルは初遭遇の際に「恐怖の対象」としてトラウマが植え付けられていた(これがきっかけで第13話ではひなたは、プリキュアを続ける自信をなくしてしまった)
一方、生命溢れる地球の環境を「不快な臭い」と嫌悪する等の言動がたびたび見られており、その点では他のビョーゲンズ幹部と同様の価値観を持つ、歪な人物である事が分かり易く示されている。
ラップの披露
第16話においてラップを披露。
- ビョーゲンキングダムにてラップ調のノリで「蝕みたい地球♪嗜むぜ卓球♪キングにサンキュー♪和尚なら一休♪マイネームイズ・バテテモーダ♪レペゼンビョーゲンキングダム♪プチョヘンザ!プチョヘンザ!!」と歌いながら騒ぎ、グアイワルに「やかましい!何がプチョヘンザだ!サンバイザーの親戚か?」と怒られ、「ノリ悪いっすね先輩方、人生は一度きりのフェスっすよ」と返し、シンドイーネも「フェスなら他所でやって」、ダルイゼンも「シッシッ」と冷たい視線を返した。
- 永遠の大樹をメガビョーゲン化し、「ついに来た来た蝕みタイム♪メガビョーゲンと放つこのイルなライム♪フェスの主役はMCバテテモーダ♪」と歌い、ラップを披露。そこに哲也が現れ、「この木は俺達のものだ!」と激怒した。
- プリキュアとの戦闘においてもラップで「力比べはバットなチョイス♪オススメしない勝ち目など無い♪それは何故かと問うならば♪今回のこいつはマジパワー系♪」と歌い、メガビョーゲンをパワーアップさせてプリキュアを追い詰める。
- メガビョーゲンが浄化された後も「これで勝ったと思うなよ♪全く懲りない悪びれない♪MCバテテモーダ♪ラララ……」と歌い、「もうラップはやめやめ!」と吐き捨て撤収した。
下克上を目論んだ害獣の末路
古のプリキュアの誕生を受け、身の程知らずにもキングビョーゲンに対して、「次の戦いで勝ったらグアイワル達より上の側近にして欲しい」と懇願。だが、それは何も考えずに言っている訳ではなく、大金星を獲れる秘策があっての事だった。
先程の戦いで浄化されたメガビョーゲンだったが、その身体の破片が結晶となって残ったのをバテテモーダは偶然ながら発見。自身の下剋上に役立てる為に複数隠し持っていたのである。
然し、メガビョーゲンの欠片の事は既にグアイワルの知る所となっており、命じられるまま2つ手渡すと、相手は自身の心を見透かすかの如く「こいつが役に立ったらお前の手柄だ」と言って退散する。だが、バテテモーダの発見した欠片は全部で3つで、懐に最後の1つを隠し持っていたのだった。
やがて、太陽光発電の工場へ赴くと、太陽のエレメントさんを媒介にメガビョーゲンを生み出してプリキュアと交戦。取って置きの欠片をメガビョーゲンに埋め込む事で急成長させ、その力で3人を追い詰めて行く。其処へ地球へ残る想いを精霊少女に伝えたラテが彼女と共に登場。2人で変身したキュアアースに戦いを仕掛けるものの、攻撃をすべて避けられた上、彼女の強烈な一撃を浴びてしまう。更に必殺技ヒーリングハリケーンを受け、「俺の野望がぁぁぁ…… ヒーリングッバ~イ!!」と言う断末魔と共にメガビョーゲン諸共浄化され消滅、ビョーゲンズ最初の殉職者となった。
バテテモーダの消滅後、その一部始終を見ていたグアイワルは動揺もなく彼を唾棄して立ち去る。彼から奪い取ったメガビョーゲンの欠片により、あらぬ事を企む表情を浮かべながら……。
尚、翌週の放送からのオープニング映像ではキュアアースが追加されるのと同時に、退場したバテテモーダが削除されるものへと変更された。
退場後
21話ではダルイゼンが、グアイワルからバテテモーダがキュアアースによって浄化されたと聞き、「ちぇ、せっかく人出が増えたと思ったのに…」と一言。
また、23話ではメガパーツの力を見つけたのは自分だというグアイワルに、ダルイゼンが「元はと言えば、バテテモーダの発見だろ」と言い返している。
バテテモーダの宿主について
ちなみに、『ヒーリングっど♥プリキュア オフィシャルコンプリートブック』の池田洋子氏のインタビューによると、「宿主にされたヌートリアはエネルギーを吸い取られているけれど解放されて生きています。」という事が判明した。
作中で描写される事は無かった宿主のヌートリアのその後はどうなったのだろうか…。
※ヌートリアは気性が荒く危険なので手で捕まえてはいけません
余談
彼の最期について
前述の通り、登場してからはずっとプリキュアの強敵として描写されていたが、新たなる戦士であるキュアアースが登場すると、その力に全く敵わなくなり、アースのデビュー戦を彩る敵として散っていった。
尚、彼のように敵組織の追加メンバーとして登場した敵が、敵組織における最初の退場者となるというケースはプリキュアシリーズでは稀である。
一応、『ドキドキ!プリキュア』のリーヴァやグーラ等の前例はあるものの、彼等は身内の陰謀に巻き込まれた事が消滅の原因であり、プリキュアに浄化されたわけではない為、バテテモーダとは事情が異なる。
また、2017年の『キラキラ☆プリキュアアラモード』、2018年の『HUGっと!プリキュア』、2019年の『スター☆トゥインクルプリキュア』といった近年の作品は、敵と和解するのが基本であった為、敵を邪悪な存在として倒したのは2016年の『魔法つかいプリキュア!』以来実に4年ぶりとなる(更に苦しみに燃えるような所を一切見せない敵が登場したのは『Go!プリンセスプリキュア』以来5年ぶりである。)。
モチーフ
素体であるヌートリアはネズミの一種である。ネズミはペスト等の病原体を撒き散らすベクター(媒介者)として名高い為、生物モチーフとしては理想的なチョイスである。
又、ヌートリアは日本においては侵略的外来種として知られている動物である。
日本では毛皮生産のため輸入され、その後捨てられたり逃げ出すなどした個体が野生化し、植物を食い荒らして鳥の巣であるアシ原を破壊したりする等、生態系を破壊する環境問題の原因にもなっている動物でもある。
尚、ネズミ自体が世界の外来種ワースト100に登録されている。
名前の由来
名前の由来は「バテてしまった」を関西弁で言い換えた「バテてもうた」、或いはもっと単純に「バテてもうダメ」、もしくはその両方をかけたダブルネーミングのいずれかだと思われる。
バテテモーダの「意識」
初登場となる第12話で「自分はあの種(=メガビョーゲンから発生した種)から生まれた」と発言しており、第16話でラップを披露した際には「レペゼン・ビョーゲンキングダム(ビョーゲンキングダム出身)」と言っていた事から、恐らく「バテテモーダ」としての意識は素体のヌートリアのものではなく、寄生している種そのものであると思われる。
後に新たなる獣人幹部(?)が現れたが、そちらは小鳥を素体にした為に幼稚な言動をしている事から、バテテモーダの素体となったヌートリアは、成獣の可能性が強いと思われる。
演者について
声を演じる保志総一朗氏は今作がプリキュアシリーズ初出演であり、ニチアサでも『炎神戦隊ゴーオンジャー』でバルカと言うヒーローサイドのキャラを演じて以来、12年ぶりの出演となった。
保志氏は本作の出演に於いて「ようやくプリキュアのシリーズに参加出来ることが出来てとても嬉しいです。バテテモーダは悪役・・ですかね?今まで自分が演じてきた役柄の中でもなかなかない感じのキャラな気がしていて、これからどんな活躍をしてくれるのかも凄く楽しみですね。プリキュアと楽しくバトルしたいです(笑)日曜の朝を楽しみにしててもらえると嬉しいです。是非観て楽しんでくださいね!」とコメントした。
尚、劇中でバテテモーダは自身を差して「若手新人」と称しているが、演じる保志氏自身はビョーゲンズ幹部の声優陣の中では最年長で芸歴も最も長い。
関連タグ
キンググアイワル:自身が失敗した下克上を成功した者の結露。
プリキュア関連
ニチアサを含むテレ朝関連
- 九条貴利矢∶同じく、医療繋がりのキャラクター。立ち位置はかなり違うが、一人称が「自分」もしくは「俺」、そしてチャラ男じみた性格など、共通点が多い。参戦してから10話以内で退場したのも共通。
- クレオン:『騎士竜戦隊リュウソウジャー』の幹部キャラで、同じく自力で怪物を生み出せる点、表向きは上の幹部達の太鼓持ちだが内心では見下したり不満を持っていたりする点が共通。
- ガラット・ナーゴ:こちらも「俺の野望がァ…後継者~ッ!!」と似た断末魔と共に倒されている。中の人も保志氏同様、プリキュアシリーズの敵幹部やガンダムシリーズの主役、そしてニチアサでヒーローサイドのキャラを演じていた点も見逃せない。
- ドラえもん:猫型ロボットだが逆にネズミが天敵である。
演者関連のキャラクター
- キラ・ヤマト(機動戦士ガンダムSEED):中の人繋がりで主人公達と敵対している。なおニチアサで同時期に放送されているキラメイジャーに登場する魔進ファイヤの中の人は次作の主人公と同じ
- 前原圭一(ひぐらしのなく頃にシリーズ):中の人繋がりかつバテテモーダの衣装と圭一の私服のファッションが酷似しており、方向性は違うが軽妙かつ饒舌なところも彼そっくり。しかも何気に両者ともラップソングを歌っている。(片やソロで片やデュオであるが)その他には黒色のお菓子を食べていることも共通点。また、僅かな時間かつ番外編とはいえ、実際にバテテモーダと同じく魔法少女と対峙してたりもする。