台湾で話されている汉語(中国語)方言、福建省南部で話されている閩語の派生であり、『台湾閩南語(たいわんびんなんご)』、『福佬語/河洛語(ホーローご)』とも言われている。
話者
話し手は17世紀から19世紀にかけて福建から台湾に移住してきたホーロー人の末裔であり、台湾人の74.5%以上の母語として話されている。台湾人の大部分は、台湾語を母語としない客家や台湾原住民なども含め、人によってその流暢さに大きな違いがあるものの、北京語と台湾語の両方を使用する事ができる。
台湾語内部での地域差もそれなりにあり、標準と見做されているのは高雄方言であるが、相互理解に支障を来すほどのものではないという。
表記
文字表記は他の中国語と同様漢字が使われているが、口語として話されてきた歴史から正書法というものは存在しない。漢字でどう表記すべきかはっきりしない語もあり、その場合は当て字やローマ字で表記する場合がある。また、大陸においては中国共産党により廃止されてしまった旧字体の漢字が使われている(無論、他の中国語系の言語と同様、すべての単語に特定の漢字が常に充てられるという訳ではないのだが)。
発音表記としては、大陸のピンイン同様にローマ字を用いた白話字という体系が用いられる他、台湾で国語(大陸の普通話に相当する、標準中国語のこと)の発音表記に広く用いられる注音符号(台湾語用に拡張されたもの)が使われる事もある。かつては日本統治時代に台湾総督府が制定したカタカナベースの台湾語仮名が用いられていた事もある。
主な単語
以下、カナ表記は台湾語仮名に則ったものとし、必要に応じて括弧内に日本語表記に近づけた表記を添える。なお、フォントの関係上、有気音は文字の下にドットを打つ代わりにピリオドを添えて表す事とする。
生き物
意味 | カナ表記 | 英字表記 | 漢字表記 |
---|---|---|---|
動物 | トン𚿽 ブッ𚿶 | tōng-bu̍t | 動物 |
ウサギ | トオ𚿳 | thòo | 兔 |
ウシ | グウ𚿳 | gû | 牛 |
ウマ | ベエ𚿱 | bé | 馬 |
サイ | サイ グウ𚿳 | sai-gû | 犀牛 |
センザンコウ | ラア𚿳 リイ𚿱 | lâ-lí | 鯪鯉 |
ゾウ | チ̅.ウ𚿽(ツィ.ウん) | tshiūnn | 象 |
ネコ | ニァウ | niau | 貓 |
ヒツジ | ミイ𚿳 イウ𚿻(ミイ イウん) | mî-iûnn | 綿羊 |
魚 | ヒイ𚿳 | hî | 魚 |
サバヒー | サッ バㇰ𚿶 ヒイ𚿳 | sat-ba̍k-hî | 虱目魚 |
ソウギョ | サ̅.ウ𚿱 ヒイ𚿳(ツァウ ヒイ) | tsháu-hî | 草魚 |
タウナギ | シェヌ𚿽 ヒイ𚿳 | siān-hî | 鱔魚 |
ティラピア | ゴオ𚿻 コェ ヒイ𚿳 | ngôo-kueh-hî | 吳郭魚 |
ハクレン | リェヌ𚿻 ヒイ𚿳 | liân-hî | 鰱魚 |
虫 | タ.ン ツ̅.ア𚿵(タ.ン トゥ.ア) | thâng-thuā | 蟲豸 |
カマキリ | サ̅.ウ𚿱 カウ𚿳(ツァ.ウ カウ) | tsháu-kâu | 草猴 |
クモ | チ̅イ ツ̅ウ(ティイ トゥウ) | ti-tu | 蜘蛛 |
コオロギ | シィ スッ アア𚿱 | sih-sut-á | 蟋蟀仔 |
サソリ | ギェッ アア𚿱 | giat-á | 蠍仔 |
スズメバチ | ホオ𚿱 タ.ウ𚿳 パン𚿷 | hóo-thâu-phang | 虎頭蜂 |
ミツバチ | ビッ𚿶 パ.ン𚿷 | bi̍t-phang | 蜜蜂 |
ムカデ | ギア𚿳 カン𚿷 | giâ-kang | 蜈蚣 |