概要
北海道の南部、渡島総合振興局管内に位置する市。中核市。2023年からは、俳優・大泉洋の兄・潤氏が市長を務めている。
2020年現在の人口は約26万人。札幌市・旭川市に次ぐ北海道第3の都市で、渡島総合振興局の局庁舎が置かれ、渡島半島の拠点都市である。
北海道と本州を結ぶ交通の要衝として栄えた港町。北海道でも(松前・江差などと並び)古い歴史のある町のひとつで、幕末・明治初期の五開港地のひとつでもある。
旅客輸送のメインが航空に移り、青函連絡船がなくなった現在でも、北海道と本州を結ぶ物流拠点の一つではある。造船所(函館どつく)を擁する工業都市でもあるが、斜陽化が著しい。漁師町としての側面も持ち、市の魚としてイカを定めている。
社会
北海道のみならず、日本を代表する観光地のひとつとして知られ、夜景が美しいことで特に有名。「市区町村魅力度ランキング」では毎年、全国で最もイメージのよい自治体として選ばれている。
観光地としての良好なイメージとは裏腹に、高齢化が進む北海道の中でも、小樽市や室蘭市と並び人口減少が特に深刻。地元に就職先が少ないため、函館の学生は卒業と共に札幌や東京へ出ていくものが大半であり、東京で同窓会が行われるケースすらある。
歴史
室町時代あたりから和人が定着し、アイヌとの交易地として栄えた。江戸時代から幕末にかけては「箱館」と呼ばれ、明治2年に現在の名に改められたが、これはアイヌ語とは全く無関係。アイヌ語名および中世の古名は「ウスケシ」(宇須岸)。
戦国時代からの歴史のある街であり、江戸時代には日本有数の港町として繁栄。幕末には日本初の国際貿易港として開港し、西洋や東京の文化を北海道に受け入れる窓口となった。大正時代には北洋漁業の拠点ともなり、東京より北で最大の人口を誇った。
昭和初期に市街地の大部分が焼ける大火災に見舞われ、復興はしたものの人口を札幌市に抜かれてしまう。太平洋戦争では艦載機による空襲(北海道空襲)に見舞われ、市街地の被害は少なかったものの青函連絡船が壊滅的打撃を受けた。
それでも戦後も北海道の玄関口としての地位はゆるがず、青函連絡船が盛況を極めるとともに、北洋漁業や造船業、食品加工業(特に水産加工)が栄え賑わったが、1970年代に本州と北海道の移動が航空機へシフト、時を同じくして海洋「200カイリ時代」のスタートによって基幹産業であった北洋漁業が息の根を止められてしまう。さらに函館どつくも折からの「造船不況」で大規模な人員整理を行い、街には失業者があふれた。以来、坂道を転げ落ちるように衰退の一途をたどり、1988年には青函連絡船が終焉を迎える。代替の産業として観光に力を入れるものの漁業・造船業・運輸業の衰退の埋め合わせはできず、現在に至るまで高齢化と若者の流出が止まっていない。近年は地域の経済を支えてきたスルメイカが不漁となり、函館の将来に深刻な影を落としている。
交通
観光都市だけあって交通事情には恵まれている。
都市間交通では、鉄道は函館本線の起点として道内主要都市と結ばれており、東京に直結する北海道新幹線の新函館北斗駅は近隣の北斗市にある。函館空港は札幌、東京(成田・羽田)をはじめ、名古屋(中部)、大阪(伊丹・関西)といった大都市と結ばれている。
地域交通は北海道の他の町と同様、基本的に車社会であるが、この規模の地方都市としては例外的に公共交通機関が充実している。函館バスは市内をくまなくカバーし、市街を縦断して函館市電も走っていることから、「北海道で車なしで暮らせるのは札幌と函館くらい」と言われることもある。
加えて、日本でも有数のガソリンスタンド激戦区であり、ガソリン価格が安いことから、駐車場代の安さもあいまってマイカーの維持がしやすい。道ゆく車は札幌などに比べ軽自動車の比率が多め(冬は雪で道が狭くなる上、北海道の他の地域から地理的に孤立しているため函館周辺から出ない《=長距離を走る必要が薄い》人が多く、小さなクルマが好まれる)なのだが、アウディ・JEEPなどの値が張る外国車も目につき、この街の格差社会を露骨に反映している。
津軽海峡は世界中の貨物船が往来し、函館港には海上保安庁の巡視船をはじめ海外のクルーズ船や軍艦もしばしば寄港する。また函館どつくでは海上自衛隊の護衛艦が修理に入ることが多く、函館空港は海保が航空基地を置くなど、船舶、航空趣味的にも見どころが多い都市である。なお函館空港には過去にはソ連の戦闘機がやってきたこともある。
代表的な観光スポット
函館は日本を代表する観光都市のひとつであり、ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンにおいて最も取り上げられている項目が多い都市として話題になった。特に旧市街地の西部地区には非常に多くの観光名所がある。昭和9年の大火を免れた西部地区には、往時の繁栄を偲ばせる町並みや、金森倉庫や函館公会堂、函館ハリストス正教会など多くの近代建築が残っている。また、市内及び郊外には多くの温泉もある。
広域
函館市電(旧市街地と新市街地を貫通し、郊外の湯の川温泉まで通じている)
函館港
旧市街地(西部地区)
函館山:夜景を展望できる。
函館西部地区の町並み
函館朝市
青函連絡船記念館摩周丸
金森赤レンガ倉庫
ハリストス正教会
カトリック元町教会
旧函館区公会堂
旧イギリス領事館(開港記念館)
旧相馬邸
立待岬
船魂神社:平安時代末期の創建と伝えられる、北海道最古の神社のひとつ。
新市街地(旧亀田村)
四稜郭
笹流ダム
道南四季の杜公園
亀田八幡宮:新撰組ゆかりの神社。
郊外
湯の川温泉
市営熱帯植物園
トラピスチヌ修道院:トラピスト会の女子修道院。
香雪園、見晴公園:明治期の日本庭園。紅葉の名勝地として知られる
大船遺跡
川汲温泉
周辺地域の観光スポット
大沼(七飯町)
城岱牧場(七飯町)・きじひき高原(北斗市):函館市街地をはさんで函館山の反対側にあり、ここから一望できる函館の夜景は「裏夜景」として知られる
トラピスト修道院(北斗市)トラピスト会の男子修道院。
鹿部の間歇泉(鹿部町)
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関連タグ
青森市・大間町(対岸)
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