概要
福島県の県庁所在地で中核市でもある。人口285,388人(2020年)。
周りは山に囲まれ、西にある吾妻連峰の吾妻小富士は市内全域から望め、市のシンボルとして親しまれている。
これに対し、市街地のランドマークは信夫山。市街地の北側にポツンとある離れ小島のような山で、羽黒山、羽山、熊野山の3つの頂が連なる。最高峰は羽山で標高275m。
福島市は1300万年ほど前は海底にあり、信夫山では貝類などの化石が見つかるが、福島盆地ができたのは50万年ほど前で、既に日本列島が陸地になっていた。
信夫山は福島盆地を形作った地殻変動(断層)で出現した山塊の内、風雨に浸食されず、堆積した土砂にも埋もれず残ったものの一つで、地質学的には残丘と呼ばれる。
その後も福島盆地は沈下(吾妻連峰は隆起)を続けたが、吾妻連峰から流出する土砂に埋められて標高はほとんど変動しなかった。中心街では堆積物の厚さが150m程に達する。
盆地にあるため冬は寒く、夏は東北地方とは思えない蒸し暑さで東京以上に暑いのもザラだが、その寒暖差のお陰で美味しい果物もできるため福島市の名物となった。
平坦地の大部分は吾妻連峰から流れ出す川が作った扇状地で、郊外には林檎や梨、桃、葡萄などの果樹園が広がる。
戦後、満洲からの引き揚げ者により闇市で餃子が供され、フライパンで一度になるべく多く焼くため円盤状に並べた事により、御当地グルメの円盤餃子が誕生した。近年、次第に全国的に知られるようになっている。
飯坂、高湯、土湯、微温湯(ぬるゆ)といった複数の温泉に、五色沼、花見山公園、へたれガンダム、秘境駅「赤岩駅」(2021年3月12日をもって廃止)などがアピールポイント。日本三不動のひとつ「中野不動尊」も見逃せないだろう。土湯温泉のこけしも郷土玩具として親しまれている。
夏祭り「福島わらじ祭り」で用いられる大わらじは実に10メートルをこえ、堂々の日本一。ただし、これは商工会議所のアイデアで1970年より始まったものであり、本祭は旧正月14日に信夫山の羽黒神社に大わらじを奉納する「信夫三山暁まいり」で、300年以上続いている。
福島県の免許センターは福島市と郡山市にしかない他、福島競馬場はJRA(日本中央競馬会)の競馬場としては東北唯一。
福島市民は県内の他地域よりも仙台市に行く機会が多いらしく、ジョークめかして「仙台圏・福島区」とか言われることも。コープふくしま(市民生協)も2018年にみやぎ生活協同組合に合併されるなど依存度が高いのは本当のようだ。
また、2020年8月末に地場百貨店であった中合福島店の閉店により、福島県の百貨店は郡山市のうすい百貨店のみとなり、百貨店が存在しない県庁所在地となった。同日には滋賀県大津市も西武大津店が閉店し(草津市に近鉄百貨店がある)、同じ状況となった。
2020年に山形市(大沼の破産)、2024年に松江市(一畑百貨店の廃業)と岐阜市(高島屋の撤退)も百貨店が存在しない県庁所在地となった。なお徳島市は2022年にそごうの跡地に高松三越の小型店ができて百貨店なしを回避。
交通
鉄道
東北新幹線、山形新幹線、東北本線、奥羽本線、福島交通飯坂線、阿武隈急行が通る。
市内で利用者数最大の駅は福島駅。
いわゆる夜の街があるのは東口方面。西口は1982年の東北新幹線開通まで無く、駅に接していた昭栄製糸福島工場の跡地にイトーヨーカドーをキーテナントとする昭栄福島ショッピングセンターが建設され、再開発が始まった。しかし、2024年にイトーヨーカドーが撤退し、西口から商業施設が消えた。
高速道路
福島vs郡山
福島市民は郡山市にライバル心を抱いており、逆も然りである。
「福島わらじ祭り」と「郡山うねめ祭り」が共に8月の第1金曜~日曜という同日開催&毎年頑なに日時をずらさず行ってきたほか、「テレビユー福島(本社:福島市)と福島放送(本社:郡山)は互いの市に支社があるにも拘らず各々の地元の話題ばかり」である。
1871年の廃藩置県で、絹糸取引で栄えていた福島市(当時は福島町)には旧・福島県の県庁が置かれたが、郡山周辺は、安積台地に荒れた原野が広がっていた。
その後の安積開拓(1877年)で失業士族が入植し、安積疏水によって安積台地は豊かな農地に生まれ変わり、疏水に伴う水力発電所建設により郡山市は工業都市として発展。ドツボのように狭い福島盆地に立地する福島市より伸び代が大きかった。
経済・商業・交通の中心地で利便性が高く人口も多い郡山こそ県庁所在地にふさわしいという郡山市民が多く、本気で県庁移設を目指す市民活動も行われている(実現する可能性は限りなく低い)。
郡山が1997年という早い段階で中核市(県の権限を一部委譲された市町村のこと)に指定されたのに対し、福島は2018年とつい最近だった。
福島市出身の人物
古関裕而:長崎の鐘、オリンピックマーチ等を作曲し、2020年前期NHKの朝ドラ「エール」の主人公のモデルとなった作曲家。
野村俊夫:同上のドラマで主人公の幼馴染のモデルとなった作詞家。
クォン・リセ:K-POPアイドル「LADIES'CODE」メンバーの在日朝鮮人4世。