その他曖昧さ回避
- 1990年代に活躍した競走馬。→ツインターボ(競走馬)
- 上記の馬をモデルにした、ゲーム『ウマ娘プリティーダービー』のキャラクター。→ツインターボ(ウマ娘)
本記事は当初競走馬の記事として立ち上げられた上、本タグは現在のpixivにおいて大半がウマ娘の表記揺れ(2の意味)として使用されているが、本記事では原義であるレシプロエンジン及びロータリーエンジンのターボチャージャー機構について解説する。
なお、本来の意味でのイラストを検索する場合は「ツインターボ -ウマ娘 -競走馬」でヒットしますので、こちらもご活用ください。
(類似のマイナス検索で絞り込めるケースはライスシャワーやデュランダルが該当する。参考までに)
注意:検索妨害を避けるため、イラストのタグ付けは正しくお願いします。同様に手遅れ状態となってしまっている「風間トオル」の注意書きもご参照ください。
自動車のツインターボ
簡潔に言うと、エンジンの排気の勢いを利用し、通常より多くの空気を圧縮し送り込むことでハイパワー化する機構がターボチャージャー、略してターボである(その理屈についてはターボチャージャーの記事を参照)。
一般的にエンジンが大きくなればなるほど、ターボチャージャーもより大型なものが必要となる。
しかしあまりに大きすぎるターボチャージャーを採用すると、運転者がアクセルペダルを踏んで排気が十分にターボチャージャーのタービンを回す力を得るまでにかかる時間(ターボラグ)が大きくなり、加速の反応悪化につながる。
つまりアクセルをエイッと踏み込んで、しばらくしてから突然ドカン!と急加速し始めるような、扱いづらいエンジン特性(いわゆる「ドッカンターボ」)になってしまうのである。これは特にアクセルレスポンスが重要なスポーツカーやレーシングカーでは致命的な弱点となる。
そこでターボチャージャーを2基に分割し、小型のタービンで半分の気筒それぞれを担うようにしてターボラグを抑えるのがツインターボである。排気量にして2,500cc以上、気筒数にして6気筒以上のエンジンを過給する場合はツインターボが用いられることが多い。
メイン画像と上の日産スカイラインGT-R専用のRB26DETT(RB26)に代表されるように、特に8気筒以上の大型エンジンが稀少な日本車においてツインターボであることは、トップクラスの高性能エンジンの証である。
ただし上記の通り、ツインターボ化の主目的はアクセル開度に対するレスポンスの改善であり、パワーだけ求めるのなら実はむしろ1基だけの方が都合がいい。つまり「ツインターボだからハイパワーだ」というのは因果関係が逆であり、「運転しやすさを維持しつつハイパワー化するためにツインターボ化した」あるいは「ツインターボにする必要があるほど大きなエンジンだからハイパワーだ」という表現が厳密には正しい。
英語圏では「バイターボ(Bi-Turbo)」という呼び方がされる場合もある。
対義語として、ターボが1基だけのものは「シングルターボ(モノターボ)」と呼ばれる。また3基の「トリプルターボ」、4基の「クアッドターボ」までも存在する。
なお似たようでも「ターボツイン」は1986〜1988年ダカールラリー(パリダカ)で大暴れした、オランダ製トラックの固有名詞である。排気量11,000ccのディーゼルターボエンジンを前後に2基(※ターボを2基、ではなくエンジンを2基)も搭載したこのモンスタートラックは、『狂気』と呼ばれたグループBのマシンをもブチ抜いたという伝説を持つ。しかし乗員が車外に投げ出されて死亡する事故を起こし、撤退した。
シーケンシャルターボ
上記の通常型ツインターボとは異なり、エンジンの作動状況によって2つのターボチャージャーを使い分ける方式で、構造別に「直列型」と「並列型」に分けられる。
直列型は大きさの違うタービンを直列に接続した配置で、低速時に小径のタービンに排気ガスを集中させてターボラグを小さくし高回転時に大径のタービンに切り替える。
並列型は同径のタービンを並列に設置しエンジンの回転数によって作動させる個数を調整するもので、低速時にはタービンを1個、高回転時には2個を作動させて高出力を出す仕組みである。
別名ツーステージターボとも呼ばれる。
ちなみに『頭文字D』でRX-7(FD3S・13B-REW)を駆る高橋啓介が吐いた名台詞「クソッタレが セカンダリータービン止まってんじゃねーのか!!」の「セカンダリータービン」とは、この並列型で高回転時に作動する側のことである。
ツインスクロールターボ
ややこしいが、ツインターボとは別物。決定的に異なるのは、ツインスクロールターボはシングルターボでも成立するということである。
ターボチャージャーの基数はそのまま、空気を圧縮するタービンハウジングまで排気ガスを誘導するための管の方を2つに分ける。
これによりそれぞれの気筒(ピストン)から発生する排気ガス同士の干渉を低減し、低回転域での燃焼効率とレスポンスを向上させるのが目的である。
ターボチャージャー自体を増やすツインターボやシーケンシャルターボに比べると制御のバランスが難しい面があるものの、比較的少ないコスト・重量積で済ませることが可能というメリットがある。
鉄道車両のツインターボ
あまり知られていないが、実は鉄道車両用エンジンにもツインターボ仕様の機関は存在する。
代表的なものとして、DD51形ディーゼル機関車に搭載されたV型12気筒の「DML61Z型」がある。
その後の改良によって「DML61ZA型」、「DML61ZB型」(ともにDE10形用)や、「DML61Z-R型」(除雪機関車DD53形用)が登場し、国鉄時代設計のディーゼル機関車の標準型エンジンとなった。
エンジンを床下に搭載する気動車においては小型のシングルターボエンジンが主流であるが、優等列車向けに開発されたキハ181系やキハ183系、キハ65などで採用された440~600馬力クラスのV型12気筒(バンク角180°の水平型) 「DML30HS(系)」エンジンは片バンクあたりターボチャージャー1基、両バンク合わせて2基のツインターボである。
民営化後も、JR貨物・JR九州のDF200形やDD200形機関車、JR東日本の電動車両と気動車両を組み合わせた周遊型寝台列車トランスイート四季島専用のE001形にも採用されている。