概要
ターボチャージャーが1基のみ装備されているエンジンのこと。
ターボチャージャー付きエンジンでは最もオーソドックスな形式。
市販車では排気量にして2,000cc以下、気筒数にして4気筒以下の車種に装備されることが多い。特に燃費重視の「ダウンサイジングターボ」が流行り始めてからは搭載車種数を増やしている。
また排気量・気筒数が少ないハイパワーなスポーツカーやレーシングカーでも普通に採用されており、今のF1やSUPERGT・GT500クラス/スーパーフォーミュラ、WRC、BTCCなどは全車シングルターボである。
コストや重量、燃費などの面で優れる一方、従来はアクセルを踏んでターボが効き始めるまでのタイムラグ、いわゆる「ターボラグ」が生じやすいデメリットがあったが、近年は技術進歩により改善されており、それゆえに採用例が増えている面もある。
他の形式についてはツインターボの項目を参照。
ビッグシングルターボ
エンジン同様、ターボチャージャーも大きさによって性能や性格は異なる。
自動車メーカーが市販車用エンジンにおいてターボチャージャー(特にシングルターボ)を用いる場合は、一般的に小さめ、あるいはほどほどな大きさのターボチャージャーを選定する。これは低回転域からターボを効かせてターボラグを消し、かつ燃費も良くするためである。
ただしこの場合はエンジン本体が最大馬力発生回転数に達する以前に、ターボチャージャー自体の限界や排気抵抗、エンジンを保護するための過給圧制御などで仕事量(馬力)が頭打ちになる。これは市販車である以上、10~20万kmは走れる耐久性を確保するために致し方ない部分でもある。
一方で勝負の世界では、そこで標準的な容量よりもあえて大型のターボチャージャーを選定し、過給開始回転数を上げる代わりに、ターボチャージャーの過給仕事量とエンジン回転数それぞれのピークを一致させるチューニング手法が存在する。
それがビッグシングルターボである。
この手法はツインターボなどターボチャージャーを複数用いる形式では実現しにくい。そもそもターボチャージャーを複数台以上使うのはターボラグを無くすためであるが、ビッグシングルターボは逆にターボラグを大きくする代償として馬力を高める手法だからである。
アクセルを開けた直後のエンジンパワーのスカスカ感と、しばらくしてからとてつもないパワーが来るその落差の大きさは「ドッカンターボ」と表現される。
スカイラインGT-Rに搭載されているRB26型などのツインターボエンジンを、あえてシングルにしてチューニングすることもある。
この手法を用いる場合はターボチャージャーだけでなくエンジン内部も過給圧に耐えられるよう強化しなければ十分に機能しないため、金銭的コストも重量も重くなるというデメリットがある。
そうした理由から、加速力だけを争うドラッグレース等の特別な用途が一般的である。