概要
大山峠を越える、山陽本線瀬野駅(広島県広島市安芸区)~八本松駅(同東広島市)間(営業キロ10.6km)の通称。瀬野八とも。
22.6パーミルの勾配(片勾配)が連続する。
勾配の大きさとしては碓氷峠(66.7パーミル)や板谷峠(33.3パーミル)には及ばないものの、輸送量が上記2路線と比して多く重要な大動脈の途中に位置するため、特に蒸気機関車時代には客貨問わず上り列車に補助機関車(補機)連結を必要とする輸送上の隘路となった。
そもそも山陽本線の神戸~下関間を開通させた山陽鉄道は輸送力を重要視していた会社で、当時の社長の方針から1/100(10パーミル)を本来の最大勾配としていた。ここだけが例外なのである。
旅客列車については電車化された後もモーター出力の小さい151系・153系は単独で登坂することができず上り列車については補機の助けを借りて往来していた。
その後は山岳路線向け(抑速ブレーキ・ノッチ戻し制御機能装備)である115系が配されて補機の運用は終了し、2020年現在は227系(0番台)が主に運用されている。
また、貨物列車については基本的に補機連結が続けられており、改造による本区間専用機が投入されてきた。2012年には電気機関車時代では初の新製機であるEF210形300番台が投入されており、2022年3月に全てのEF67形を置き換えた。
2002年までは、高速貨物列車Aに限り八本松駅手前(下関側)で走行中に補助機関車の切り離し(走行解放)していた。
このため補助機関車と、列車の最後尾となるコキ10000とレサ10000の緩急車にはブレーキ制御用の電気連結器とブレーキ用の空気管がついた密着自動連結器が、またこれらの貨車を曳く本務機(EF65F型やEF66など)にも空気管付きの密着自動連結器が備わっていた。1996年のコキ10000全廃でコキ104にこれらの装備を追加した10000番台が投入されたが、6年ほどで走行解放が終了したため一般仕様に改造されている。
現在では広島貨物ターミナル駅で補助機関車を連結→西条駅で切り離しとなっている。