概要
地形が斜めに傾いており、坂の状態になっている事、またはその程度。
勾配が大きい場合は急勾配などと表現される。
角度で表現される事もあるが、水平方向の距離に対する鉛直方向の距離の比の百分率(パーセント)や千分率(パーミル)で表現される事も多い。
ベクトル解析における勾配
ベクトル解析においては、そのまま三次元的な勾配を求める時に用いられる計算、またはその結果を意味し、グレーディエント(グラディエント、グラジエント)とも呼ばれる。
関数の傾きと意味合い的には同じであり、xyzの3方向全てについての傾きを見たものとなっている。
例えば、二次元的な勾配なら我々も馴染んでいる。
東西方向には上り坂になってるのに、南北方向には平坦だったり下り坂になってる事がよくあるが、この時我々は(東西方向の勾配、南北方向の勾配)というベクトルを認識している。
これは言い替えると、(高さの東西方向についての微分、高さの南北方向についての微分)となる(北東などの斜めの方向の勾配はというと、これらの特殊な組み合わせで表現できる)。
これを三次元に拡張しただけであり、同列的に存在する発散や回転に比べると大分イメージするのが容易となっている。
例えば高さを気圧に置き換えるとよく当て嵌まる。
とはいえ、普通の変数が1つの関数なら位置と勾配の関係を平面上で描けるのに対し、こちらは位置も勾配も三次元となるので、同様に表現しようとしたら六次元の図となる所は厄介であり、それを忘れていると混乱の原因となるかもしれない。
勾配の計算はスカラーに対して行われるものであり、結果はベクトルとなる。
Aというスカラーの勾配は、∇(ナブラ)なるものとの掛け算(スカラー乗法)のような形の∇Aとなり、grad(A)とも表現される。
∇は演算子であるため(偏微分の演算子部分だけを要素に持つ特殊なベクトル)、ただの掛け算とは異なり、A∇のように交換したり、∇(AB)を(∇A)Bのように組み替えたりしてしまうと別の意味となってしまう(発散や回転も∇を用いて表現できるが、同じ点に注意が要る)。
発散と共にスカラーポテンシャルと密接であり、勾配の結果のベクトルには発散はあっても回転が無い。