概要
本来は1000分の1を1とする単位であるが、もっぱら鉄道などの勾配値として扱われることが多い。
パーミルの記号は、パーセントの後ろに○が付いたもので、パーミルと打って変換すれば「‰」と出る。
勾配としてのパーミル
勾配としてのパーミルは、1km(1000m)進むと何m変化するか?の「何メートル」がパーミルの数値になる。
つまり、かつて存在した信越本線の碓氷峠における66.7‰は、1kmごとに66m70cmも高さが変化していたということになる。
(大正時代までのヤード・ポンド法での規定では、今の十進法的な表現ではなく、純粋に分数である1/15という表現を用いていた。同様に33.3‰は1/30、25‰は1/40と定義されていた)
この場合、平地の約34倍の力で走行や制動を行う必要があり、補助機関車(以降、補機と略す)の併結が必要になる。
鉄道における勾配の限度
牽引重量 | 本線の最急勾配 |
---|---|
1200t以上 | 15‰ |
1000t以上~1200t未満 | 20‰ |
500t以上~1000t未満 | 25‰ |
500t未満 | 35‰ |
※停車線・側線は重量にかかわらず、全て3.5‰~10‰まで。
運転方式 | 本線の最急勾配 | 停車・側線の最急勾配 |
---|---|---|
電車・気動車 | 35‰ | 3.5‰~10‰ |
新幹線 | 15‰ | 3‰ |
地方鉄道 | 35‰ | 5‰~10‰ |
軌道 | 40‰ | 10‰ |
牽引重量と運転方式の関係の例
2015年に開業した上野東京ラインは、最高34‰を記録し、神田駅を新幹線の真上で通過しているが、これはE233系やE657系と言った、旅客電車のみの通行を想定しているためであり、貨物列車が上野東京ラインを走行することは出来ない。
勾配の限度を超えた事例
碓氷峠
在来線時代、この区間では、電車・気動車の限界である35‰を遥かに超えた66.7‰もの急勾配が採用されていた。
この急勾配は、横川駅の標高が385mであるのに対し、直線距離10km先にある軽井沢駅の標高が942mもある、とてつもない標高差が原因。
つまり、長大トンネルで勾配を緩くするなんてことは出来ない。
現在では、北陸新幹線開業にともない、この区間は廃線になっている。
しかし、北陸新幹線開業後もここが難所であることに変わりはない。
何を隠そう、ここの区間全てで勾配の限度を二倍も超過する、連続30‰もの急勾配がある。
その為、新幹線であるにもかかわらず、線路がわんきょくしており、この区間で最高速度を出すことは出来ない。
瀬野八
この区間では、1200t以上(20両以上)の貨物列車が頻繁に行き来する幹線鉄道であるにもかかわらず、20‰もの急勾配が連続して存在する。
その為、今もなお瀬野八を通る貨物列車には補機が付けられている。
日本一傾いている鉄道駅
日本一傾いている鉄道駅は、明智鉄道明知線の飯沼駅で、駅構内で33.3‰もある。
当然、この駅の設置は特例であり、運輸省立会いの下で停車・発進の安全確認テストを重ねた上で駅設置が特別に認められた。
その他
この他にも新幹線史上最急勾配の35‰が九州新幹線内に存在し、日本一の急勾配80‰が箱根登山鉄道に存在。
そして、日本の三大難所の一つである板谷峠も存在する。
いくつも挙げていたらキリがない為、随時追記を募集しますが、追加はほどほどに。
関連項目
北陸新幹線(現在、碓氷峠を走行する路線)
山形新幹線(現在、板谷峠を走行する路線)