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横軽

よこかる

信越本線に存在していた横川駅(群馬県)~軽井沢駅(長野県)間の愛称。
目次 [非表示]

これより音にききいたる 碓氷峠のアブト式

歯車つけておりのぼる 仕掛は外にたぐいなし

くぐるトンネル二十六 ともし火うすく昼くらし

いずれは天地うちはれて 顔ふく風の心地よさ

(『鉄道唱歌』第4集・北陸編19番・20番より)


吾妻はやとし 日本武(やまとたけ) 嘆き給いし碓氷山

穿(うが)つ隧道(トンネル)二十六 夢にもこゆる汽車の道

みち一筋に学びなば 昔の人にや劣るべき

古来山河の秀でたる 国は偉人のある習い

(長野県歌『信濃の国』6番より)


概要編集

国鉄(現・JR)は信越本線横川駅軽井沢駅間が群馬長野県境に立ちはだかる碓氷峠を通過するルートをとっており、最大勾配68‰(旧線の数値。上り新線が66.7‰で下り新線が66.4‰)という急勾配の難所として有名になった。通過列車は自力で峠を越えることができず、補助機関車を連結していた。「北の板谷」・「西の瀬野八」と並んで「東の碓氷」とも称された。

急勾配ゆえに逆行したり、ブレーキが利かずに脱線したりといった事故も発生している。



歴史編集

1893年明治26年)4月1日に開通(これにより信越本線が全通)。

当初は非電化でアプト式ラックレール蒸気機関車による運転が行われたが、26個のトンネルが続くなど乗務員からの苦情が相次いだ結果国鉄で初めて電化され、ドイツからの輸入機関車EC40形(10000形)や純国産のED42形などが活躍した。

さらに1963年には機関車性能の向上により専用本務機のEF62形と、専用補機のEF63形を新製してラック式を廃止。新線を建設してEF63形で電車を後押しするという珍しい運行方法がなされた。

機関車の連結・解結のため、特急列車を含む全ての列車が横川駅と軽井沢駅の両方に停車していたが、このうち機関区が併設された横川駅では駅弁峠の釜めし」が販売され、全国的にも有名な駅弁となった。


国鉄の分割民営化時には信越本線の他の区間と共にJR東日本に移管された。しかし、1997年平成9年)10月1日北陸新幹線高崎駅長野駅間(通称・長野新幹線)の開業に伴い、信越本線の横川駅〜篠ノ井駅間がJR東日本から経営分離された。軽井沢駅〜篠ノ井駅間は第三セクターしなの鉄道に移管された(高崎駅〜横川駅間は移管されなかった)が、横川駅〜軽井沢駅間は特急の新幹線への移行や県境を跨ぐことによるローカル需要の低さ、さらに前述の特殊な運行形態を維持しなければ列車が走行できない区間であることから存続は困難とされ、鉄道そのものが廃止となった。

なお、北陸新幹線は並行在来線がJRから経営分離される初のケースとなり、以後、開業した新幹線整備新幹線)はいずれもこのスタイルを採っている。中でもこの横川駅〜軽井沢駅間は、並行在来線で初の廃止区間となった。


他の機関車とは違いが大きい、EF63形を描く方は多く、pixiv内でもリスペクトする方々が多く見受けられる。


また、ラック式時代の美しいレンガアーチ橋や当時の変電所が残っていることでも有名で、これらは重要文化財近代化遺産に指定され、横川から熊ノ平まで遊歩道「アプトの道」として整備されている。

今では運転されなくなった機関車たちは、「碓氷峠鉄道文化むら」で動態・静態保存されている。


現状編集

鉄道の廃止により、横川駅〜軽井沢駅間の公共交通はJRバス関東が運行する「碓氷線バス」に移行した。

便数は1日7往復となり、運賃・所要時間とも2倍以上になり、この影響で群馬・長野県境を超えて通学する高校生が激減した。

なお春〜秋の多客期限定で廃線沿いの国道18号旧道を走る「めがねバス」が1日1往復運行される。


廃止によって横軽間の移動が大変になり、地元住民から訴訟も起きたが棄却された。


横川機関区は、現在碓氷峠鉄道文化むらになっており、廃線の一部を使いトロッコ列車シェルパくんをぶんかむら駅〜とうげのゆ駅で運行している。こちらの最急勾配は65‰、機関車はEC40形をモデルとしている。


2024年現在、線路等は多くが残っているものの、アプトの道やトロッコ列車の線路として整備されていない場所以外は雑草等に覆われている状態である。

また窃盗グループにより残っていたケーブルや車両の部品が盗難被害にあったり、2019年の台風19号で路盤が流出したり、軽井沢駅付近の廃線跡が商業施設建設で潰されることになったりと、復活は非常に難しい状況と言わざるを得ない。


しかし、2017年からは新線を歩ける廃線ウォークが実施されたり、2024年には旧線のトンネルや橋梁を世界遺産に登録するためのプロジェクトがスタートしたり、2025年までにとうげのゆ駅から熊ノ平駅までをEF63やED42を模した電動レールカートが下り新線で運行される予定だったり、横川駅に隣接して2027年度以降に道の駅が建設されたりと明るいニュースもあるので、廃止から四半世紀が経過してからも目が離せない。


関連タグ編集

国鉄 JR東日本 信越本線


板谷峠奥羽本線の(福島駅〜)庭坂駅米沢駅間がこの峠を跨いでおり、「北の板谷」と称される急勾配区間であった。現在は補機を連結せず峠を越えている。山形新幹線の走行区間にも含まれる。

瀬野八山陽本線八本松駅瀬野駅間の通称で、「西の瀬野八」と称される急勾配区間。開業以来現在まで上り線のみ補機を連結している。


並行在来線

函館本線北海道新幹線新函館北斗駅札幌駅間の延伸に伴い、函館駅小樽駅間が並行在来線としてJR北海道から経営分離されるが、このうち長万部駅〜小樽駅間(通称・山線)は廃止が事実上決定している。並行在来線の廃止は横川駅〜軽井沢駅間以来2例目となる。

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