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概要編集

明治時代に子供の地理の学習のために作られた唱歌。当時の鉄道の路線に沿って日本各地の地理や歴史、名産品を七五調で歌いこんでいる。


企画した出版社「昇文館」は経営状態の悪化に伴い1900年の初版発売直後に倒産してしまったが、これを買い取った三木佐助が大々的に発表(初めから三木が企画・発表したという説もある)、発表直後から軽快なメロディーと歌詞によって一気に広まり、大人の間でも人気となった。

各集に共通して、歌い始めは旅立ちを、最後には鉄道網の発達を言祝ぐ歌詞になっている。


派生として北海道の鉄道を題材にした「北海道唱歌」と作詞者・大和田建樹の地元伊予鉄道を舞台にした「伊予鉄道唱歌」があり、これをそれぞれ第6集・第7集と紹介することもある。本記事ではこれに倣い「北海道唱歌」を第6集として紹介。


実はよく知られる多梅稚のメロディ以外にも複数の作曲家によりいくつかのメロディが制作され、「好きなメロディで歌ってほしい」と宣伝されたものの、第1集から第3集、そして第5集に収録された多梅稚のメロディが最も人気が高く、実際には当該メロディが収録されなかった第4集や第6集もこのメロディで歌われることが多い。

「伊予鉄道唱歌」は前述のとおり第7集としても数えられることがあり、伊予鉄道の社歌にもなっている(1番・2番・6番を抜粋)が、こちらは田村虎蔵によるオリジナルのメロディで歌われる。


一覧編集

作詞は全て大和田建樹が担当。「全5集・334番」で構成されるが、1962年に発見された「北海道唱歌」や、作詞者である大和田の郷里を歌った「伊予鉄道唱歌」を本編に含め、「全6集・374番」または「全7集・399番」とする説もある。


初版発行日作曲者収録区間番数
1東海道篇1900年5月10日多梅稚上真行66
2山陽・九州篇1900年9月3日多梅稚・上真行68
3奥州・磐城篇1900年10月13日多梅稚・田村虎蔵(※4)64
4北陸篇1900年10月15日納所辨次郎吉田信太72
5関西・参宮・南海篇1900年11月3日多梅稚64
6北海道篇1906年8月(南の巻)・1907年6月(北の巻)田村虎蔵40

(※1)国府津駅沼津駅は旧線(現在の御殿場線)経由のルート。

(※2)当時の横須賀線は東海道線の一部だった。

(※3)肥前山口駅早岐駅諫早駅〜長崎駅は旧線(現在の佐世保線大村線・長崎本線の旧線〈長与支線=長与駅経由〉)のルート。

(※4)本来は奥好義が作曲する予定だったが、締め切りに間に合わなかったため多梅稚が作曲した分で穴埋めした。

(※5)盛岡駅目時駅間は現在のいわて銀河鉄道線(IGRいわて銀河鉄道)、目時駅〜青森駅間は現在の青い森鉄道線(青い森鉄道)。

(※6)三河島駅〜田端駅は旧線(現在の田端貨物線)経由のルート。

(※7)横川駅軽井沢駅間は1997年(平成9年)10月1日付で廃線。軽井沢駅〜篠ノ井駅間は現在のしなの鉄道線(しなの鉄道)、長野駅〜妙高高原駅間は現在の北しなの線(しなの鉄道)、妙高高原駅〜直江津駅間は現在のえちごトキめき鉄道妙高はねうまライン(えちごトキめき鉄道)。上沼垂信号場〜沼垂駅間は沼垂駅の旅客営業廃止(貨物駅化)に伴い貨物支線となり、2010年(平成22年)3月25日付で廃線。

(※8)富山駅〜倶利伽羅駅は現在のあいの風とやま鉄道線(あいの風とやま鉄道、倶利伽羅駅〜金沢駅間は現在のIRいしかわ鉄道線(IRいしかわ鉄道)。

(※9)桜ノ宮線(鉄道院)の駅で、現在の放出駅桜ノ宮駅間(京橋駅の北西)にあった。1913年に廃止。

(※10)木津駅付近にあった。新木津給水給炭所を経て1911年(明治44年)8月30日に廃止。


基本的に国鉄線だが、第5集では南海電気鉄道を題材にした部分がある。


長らく日本一長い曲とされていたが、現在は1987年に発表された「石坂まさを一人旅して─全国我が町音頭」(県別編・市町村編合わせて3355番)に記録を大幅に塗り替えられた。

一部のカラオケの機種には第一集66番をすべて歌うことができ、その曲長はなんと15分59秒!発売されたCDに収録されているものではボニージャックスが334番全集、キドブラザーズが省略せずに「伊予鉄道唱歌」を含めて399番を収録したCD集がある。


派生楽曲編集

大和田は「北海道唱歌」と「伊予鉄道唱歌」以外にも、大阪市電を題材にした「大阪市街電車唱歌」、南満州鉄道と大韓帝国の鉄道を題材にした「満韓鉄道唱歌」を作詞している。

昭和期には「新鉄道唱歌」という楽曲も制作されている。日本放送協会が国民歌謡として発表した「日本放送協会編」と鉄道省が歌詞を公募した「鉄道省編」の2種類がある。

また谷川俊太郎東海道新幹線の予算超過を揶揄した替え歌「新・鉄道唱歌」を作成している。


海外の替え歌編集

「満韓鉄道唱歌」の影響もあってか現在でも中国韓国で多梅稚の鉄道唱歌のメロディは広く伝わっている。中国では揚子江の風景を題材にした「揚子江歌」、韓国では学生啓蒙をテーマにした「学徒歌」、さらにモンゴルでも「人類」という女性解放をテーマにした曲にメロディが引用されている。

ルーツが日本の曲であることが忘れ去られているのか、北朝鮮では「反日革命歌」にメロディが引用されていたりする。


使用例編集

国鉄型電車の車内チャイムとして鉄道唱歌が使われることが多く、開業当初の東海道新幹線でも使用されていた。

現在は品川駅東海道線発車メロディとしても使用されている。発車メロディの最後には蒸気機関車の汽笛が流れるが、これはC57180号機のもの。

北陸新幹線JR西日本管内の駅では接近メロディとして使用されている。


フジテレビの『ポンキッキーズ』で使用されていた「汽車ポッポ鉄道どこまでも(歌:シスターラビッツ(安室奈美恵鈴木蘭々)」は鉄道を題材にした楽曲のメドレーであり、「鉄道唱歌」の1番が含まれている。

NHKでかつて放送されていた『ゆうがたクインテット』では鉄道唱歌のメロディに乗せて山手線の駅名を歌う「鉄道唱歌 山手線」のコーナーがあり、外回り・内回りの2種類が存在した。

因みに、当時は歌うとき1駅ずつずれていったが、高輪ゲートウェイ駅が開業した現在は2周で駅が戻ってくる仕様になった。

今の子どもに歌えるか心配に思える方もいるかもしれないが、高輪ゲートウェイ駅入りバージョンが「令和山手線編」として『コレナンデ商会』で放送されているので意外と守備範囲は広い。

『クインテット』出演者の宮川彬良による大阪環状線バージョンも確認されている。


この他『クレヨンしんちゃん』でも酢乙女あいのボディガードである黒磯のカラオケの十八番に、『新幹線変形ロボ_シンカリオン_THE_ANIMATION』の主人公速杉ハヤトも入浴時に歌っているが、62話では彼を励ます為に東日本指令室のメンバーの大半が動画越しで唄った。


甲鉄傳紀』シリーズの1篇「通勤大戦争」ではマーチ調アレンジされたものがBGMとして使用されている。


大魔法峠』ではヒロインの一人国鉄子が歌いながら跳び箱に向かって走っている。(歌っている箇所は1集1番)



関連タグ編集

ハイケンスのセレナーデ アルプスの牧場(車内チャイム):国鉄車両の車内チャイムとして使用された楽曲。

AMBITIOUS_JAPAN!:当時の葛西敬之JR東海社長がなかにし礼に「新しい鉄道唱歌を作ってほしい」と依頼したとされている。

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