概要
「長江」のうち、下流部を指す地域的な名称。かつて日本では長江を指して揚子江と呼んでいたが、それは誤りだとして、昨今では揚子江とは長江下流部の流域を指す言葉となっている。
また、流域には独自の生態系が広がり、ヨウスコウカワイルカやスナメリやヨウスコウワニ(アリゲーターの仲間で、大昔には日本列島にも分布していた)やハシナガチョウザメなどが知られていた。
しかし、アヘン戦争をふくむ歴史的な流れによる国内情勢の混乱、人口の増加、ダムの開発、下水の垂れ流し、などで環境破壊が進み、生態系への影響が大きかった。そして、ヨウスコウカワイルカとハシナガチョウザメに関しては絶滅宣言が出されてしまった。
一方で、スナメリとヨウスコウワニに関しては長年の保護政策によって何とか持ちこたえている。
そして、中国政府は生態系の回復のために、多数の自然保護区を設立し、多数の魚種の放流なども行っている。
なんと、中国政府は2020年に10年間の全面禁漁を制定し、密漁を防ぐために十数万隻もの船を破壊した。また、数十万人の漁師が職を失ったが、政府による職業案内などのアフターケアが実施されている。
- 今までもその様な気運は長らくあり、実際に中国政府は国内に数千もの自然保護区を作ってきたが、揚子江に関しては様々な業界との軋轢やアフターケアなどの財源の工面などの支障によって実現が難しかった。
- 中国政府は水産資源の保護のための禁漁は以前から厳しく行ってきた。中国の漁船が国外のEEZ内で密漁を行ってきた背景には、皮肉にも、中国政府による生態系への配慮のための政策が原因の一つとしてあるとされる。